◆MOVIE Watch(毎週金曜日発行:無料)─────────1998-11-20


☆今週のHEADLINE☆─────────────────────────────

●MOVIE Watchリアル・ランキング
 MOVIE Watchがオススメする今週の5本(平均値/ライター別評点)

●オススメ封切り情報
 『ビッグ・リボウスキ』 コーエン兄弟がまたやってくれました!
 『プリーチング』 SMクラブをスパイする青年が女王さまの虜に……
 『アボルファズル・ジャリリ/瞳に映る痛みとやさしさ』 注目のイラン俊英監督
 ○公開作 CHECK5本!
 『アウト・オブ・サイト』『ノック・オフ』 ほか

●MOVIE PADDOCK 出走を待ちわびる新作情報(期待値%つき!)
 『女と女と井戸の中』 オーストラリアの新星、サマンサ・ラング監督デビュー作
 『ロンゲストナイト』 新しい香港ノワールの潮流にトニー・レオンが挑む ほか

●映画4人衆
 『トゥルーマン・ショー』 ひょんなことから始まる能動的な人生の旅

●TOPICS
 "The Waterboy"、2週連続全米トップ ほか

●興行成績ベストテン

●オススメVIDEO
 『プルガサリ 伝説の大怪獣』 最初はかわいく、やがて頼もしき、大怪獣
 ○CHECK 7本!

●Weeklyレンタルビデオランキング【NEW!!】
 週末に見逃せないビデオはコレ

●BS&CS今週の3本

●COLUMN
 【世界の終わりとハードとソフト・ワンダーランド(13)】
 日本映画復興への道(1)
  第11回東京国際映画祭自主企画 国際映像シンポジウム1998『人材育成のトップ
  リーダー英国映画界に学ぶ』レポートで映画振興政策について考える 前篇

●THE DAY OF BIRTH

●後記


                [◆◆◆MOVIE Watchリアル・ランキング◆◆◆]
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    現時点での劇場公開作からピック・アップした、MOVIE Watch独自の
        採点による上位5作品。今観るならこれだ!
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  『始皇帝暗殺』『トゥルーマン・ショー』の2本がそろってランクイン。
  それぞれに持ち味の異なる作品ばかりが5本、気分次第で選べるこの機会
  に、あなたもぜひ映画館へ。

             平均値/ライター別評点(5点満点)

                  唯  巴  古  冴
 1.ブギー・ナイツ      4.63 5.0 5.0 4.0 4.5
 2.モンタナの風に抱かれて  4.38 5.0 4.5 4.0 4.0
 3.ニルヴァーナ       4.13 4.5 4.0 4.0 4.0
 4.始皇帝暗殺        4.00 4.0 4.0 4.0 4.0
 5.トゥルーマン・ショー   3.38 4.5 4.5 2.5 2.0

                    [◆◆◆オススメ封切り情報◆◆◆]
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『ビッグ・リボウスキ』         コーエン兄弟がまたやってくれました!
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11月21日より公開 '98年/アメリカ/1時間57分 ◇監督・脚本:ジョエル・コーエ
ン ◇製作・脚本:イーサン・コーエン ◇出演:ジェフ・ブリッジス、ジョン・グ
ッドマン、ジュリアン・ムーア、スティーブ・ブシェーミ ◇配給:アスミック
 ―シネマライズ 12:05/14:30/16:55/19:20(~21:30)

 前作『ファーゴ』でアカデミー賞を獲ったコーエン兄弟が、おなじみの意地悪でグ
ロテスクなコメディに戻ってきた。映画はハードボイルド・ミステリー調の筋立てに、
時代から取り残されたグウタラ中年男とその取り巻きを放り込んでシェイクした、極
彩色のカクテル。CGを使ったバズビー・バークレー風の幻想シーンには、嬉しくて笑
いが止まらなくなってしまう。映画ファンにとって、これは夢に見た理想郷なのだ。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.lebowski.com/
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『プリーチング』        SMクラブをスパイする青年が女王さまの虜に……
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11月21日より公開 '97年/イギリス/1時間40分 ◇製作・監督・脚本:スチュワー
ト・アーバン ◇製作:キース・ハイレイ ◇出演:グィネヴィア・ターナー、クリ
スチャン・アンホルト、トム・ベル、ジュリー・グラハム ◇配給:アートキャップ
 ―銀座シネパトス 11:00/13:00/15:00/17:00/19:00(~20:50)

 性風俗の氾濫に眉をひそめる政治家が、過激なショーが売り物のSMクラブを摘発す
るため秘書ピーターを送り込んだ。決死の覚悟でクラブに潜入したピーターは、やが
てクラブの経営者でもあるSMの女王タニヤに惹かれて行く……。「潜入捜査官物」を
パロディにしたような前半に加え、後半は「法廷物」のパロディになるサービス満点
の映画。画面に登場するSMファッションや華麗なショーの様子は、一見の価値あり!
 □OFFICIAL SITE
  http://www.preachingtotheperv.com/
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『アボルファズル・ジャリリ/瞳に映る痛みとやさしさ』  注目のイラン俊英監督
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11月21日より公開 『かさぶた』'87年/イラン/1時間26分 ◇監督:アボルファズ
ル・ジャリリ ◇配給:ビターズ・エンド 『7本のキャンドル』'94年/イラン/
1時間23分 ◇監督:アボルファズル・ジャリリ ◇配給:シネカノン
 ―シネ・ラ・セット    『かさぶた』11:50/15:30/19:10(~20:50)
           『7本のキャンドル』13:40/17:20 ※各回定員入替制

 新作『ダンス・オブ・ダスト』が東京国際映画祭で好評だった、イランの映画監督
アボルファズル・ジャリリ。その代表作が2本同時に公開される。『かさぶた』は少
年刑務所に入った少年の物語。『7本のキャンドル』は病気の妹を気遣う少年の物語
だ。登場する役者たちは、ほとんどが素人だという。子供たちがおかれている境遇を
リアルに描いたジャリリ作品は、イラン本国ではすべて上映禁止になっているとか。
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○公開作 CHECK 5本!
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★=注目作 ★★=見て損はしない ★★★=これは必見! (未)=未見

■『アウト・オブ・サイト』 11月21日より全国東宝洋画系にて公開 ★★
原作は『ジャッキー・ブラウン』と同じエルモア・レナード。脱獄した銀行強盗犯が、
美人の女保安官と運命的な恋に落ちる。主演はジョージ・クルーニーとジェニファー
・ロペス。監督は『セックスと嘘とビデオテープ』のスティーブン・ソダーバーグ。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.toho.co.jp/cinema/out/welcome-j.html

■『ノック・オフ』 11月21日より松竹東急洋画系にて公開 ★★
香港からハリウッドに渡って『ダブル・チーム』を作ったツイ・ハークが、香港にハ
リウッドの俳優を招いて作ったアクション映画。『ダブル・チーム』でも監督と組ん
だジャン=クロード・ヴァン・ダムが、ジャッキー・チェンばりのアクションに挑む。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.gaga.co.jp/movie/knockoff1.html
 □『ノック・オフ』の楽しみ方
  http://www.werde.com/movie/new/knock_off.html#HOW_TO

■『キュリー夫妻/その愛と情熱』 11月21日よりシャンゼリゼにて公開 ★★
日本でも『喜劇キュリー夫人』(主演/黒柳徹子)として上演された戯曲を、イザベ
ル・ユペール主演で映画化。夫妻をこき使って勲章を手に入れようとする俗物校長を、
『ニュー・シネマ・パラダイス』のフィリップ・ノワレがチャーミングに演じている。

■『知らなすぎた男』 11月21日よりシネマ・カリテにて公開 ★★
参加演劇という名の『ゲーム』を楽しんでいた主人公が、本物のスパイ事件に巻き込
まれるコメディ映画。ビル・マーレーのとぼけた味わいが、大いに笑いを誘う。監督
脚本がイギリス人のせいか、ハリウッド作品には珍しい意地悪なセンスが感じられる。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.warnerbros.co.jp/movie/man/index.htm

■『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー スーシン』
                  11月21日よりシネマミラノ他にて公開 ★★
大ヒット・シリーズ『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』のアニメ版最新作。3D
のCGで描かれた背景に、セル画のキャラクターを合成した凝った作り。日本のアニメ
製作スタッフが協力したほか、香港のスター俳優たちがアフレコに総動員されている。
 □OFFICIAL SITE
  http://imsp008.netvigator.com/chineseghoststory/poster/index.html
                           [Written by 服部弘一郎]


                        [◆◆◆MOVIE PADDOCK◆◆◆]
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            出走を待ちわびる新作情報を、
            期待値%つきでお届けします!
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■『女と女と井戸の中』
'99年正月/恵比寿ガーデンシネマ(期待値70%)
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長い間、父親と2人で暮らしていたヘスターのもとに、家政婦の娘キャスリンがやっ
てきた。2人の間にはいつしか親密な感情が生まれ、父親が死に遺産を相続したヘス
ターは、キャスリンのために金を使い、贅沢で幸福な毎日を過ごすようになる。ある
夜、酔って運転したキャスリンの車が1人の男を轢いてしまい、怯える彼女の代わり
にヘスターが男の死体を庭の井戸に捨てる。しかし、一夜明けると隠しておいたはず
の大金がすべてなくなっており……。'97年カンヌ国際映画祭で話題を呼んだオース
トラリアの新星、サマンサ・ラング監督デビュー作。出演はパメラ・レイブ、ミラン
ダ・オットーほか。
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■『ロンゲストナイト』
'99年1月8日/俳優座トーキーナイト(65%)
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香港のシチリア島と呼ばれる無法地帯マカオの利権をめぐって、激しい抗争を続ける
黒社会の二大勢力。勃発する不条理な事件を追うアウトローの刑事サム(トニー・レ
オン)は、陰謀渦巻く暗黒街で謎のスキンヘッドの男(ラウ・チンワン)と出会い、
組織抗争の行方と共に彼との対決を余儀なくされていくのだが……。金城武主演の
『パラダイス!』で鮮烈なデビューを飾ったパトリック・ヤウ監督作品。
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■『コキーユ』
'99年新春/シネスイッチ銀座(65%)
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同窓会で30年ぶりに再会した浦山(小林薫)と直子(風吹ジュン)。2人には、中学
時代の初恋の思い出があった。浦山からもらった白い貝殻と、ジャン・コクトーの詩
の一編"私の耳は貝の殻 海の響きを懐かしむ"を心のよりどころにして生きてきた直
子は、離婚して郷里に戻り"コキーユ(貝殻)"という名のスナックを開いていた。平
穏な家庭生活を送っていた浦山は、直子が30年間自分への変わらぬ想いを抱き続けて
いたことを知り、2人はいつしか初恋の甘い感情に身を委ねていく。監督は、『12人
の優しい日本人』『Lie Lie Lie』の中原俊。

                         [◆◆◆映画4人衆◆◆◆]
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『トゥルーマン・ショー』       ひょんなことから始まる能動的な人生の旅
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降り注ぐ太陽、白壁の家々、青い海がまぶしい離れ小島の町、シーヘブン。保険会社
のセールスマン、トゥルーマン・バーバンク(ジム・キャリー)は、妻メリル(ロー
ラ・リニー)、時折訪ねてくる母(ホランド・テイラー)、親友のマーロン(ノア・
エメリッヒ)らと、気のいい町の人々に囲まれて平和な毎日を過ごしていた。ある朝
トゥルーマンは、幼い頃に海で死んだはずの父にそっくりなホームレスの老人に遭遇
するが、老人はあっと言う間に何者かに連れ去られてしまう。その時から、トゥルー
マンの日常が微妙にズレ始め……。
                        (満点は★5つ/半は★半分)

■脚本の完璧な構成と、監督の視点がピッタリ。メディア論云々よりも人間の「知」
の問題の示唆に興奮。船名を見たら涙が出そうになってしまった。 ★★★★半<唯

■虚と実が入り交じったハリウッド病を、ジム・キャリーの真顔と笑顔の、いかにも
神経症的なギャップで表現してみせようとしたことは評価したい。 ★★半☆☆<古

■脚本家の頭脳と、監督のセンスというベース上に、ジム・キャリーが静かなユーモ
アを送り込んだ。泣いても笑っても、その理由を考えたくなる。  ★★★★半<巴

■1万日以上もボロが出ない(?)芝居に騙される(フリをする? )設定に敢えて異議
を唱えたい。人の動物的なカンと脆さを信じてみたいから。    ★★☆☆☆<冴

 □OFFICIAL SITE
  http://www.trumanshow.com/

                            [◆◆◆TOPICS◆◆◆]
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★"The Waterboy"、2週連続全米トップ
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大学フットボール・チームのドリンク係から選手に抜擢された主人公(アダム・サン
ドラー)を描いたコメディー作品"The Waterboy"が、初登場の"I Still Know What
You Did Last Summer"(青春ホラー映画『ラストサマー』の続編)を抑えて2週連続
で全米興行収入トップの座を守った。3位はブラッド・ピット主演"Meet Joe Black"。

 □"The Waterboy" OFFICIAL SITE
  http://www.movies.com/waterboy/index.html
 □"I Still Know What You Did Last Summer" OFFICIAL SITE
  http://www.istillknow.com/
 □"Meet Joe Black" OFFICIAL SITE
  http://www.meetjoeblack.com/
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★『恋の秋』、特製ワイン特価にて提供
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11月28日(土)より日比谷シャンテ・シネにて公開予定、フランス映画社配給の『恋
の秋』(エリック・ロメール監督/マリー・リヴィエール、ベアトリス・ロマン主
演)で、ペア前売り券(2枚1組2,800円)を買うと、「恋の秋特製赤ワイン特価購入
券」がもらえる。『恋の秋』は、南仏ローヌ渓谷でワインを造る女性をめぐる恋の物
語。撮影はコート・デュ・ローヌの赤ワイン名園ドメーヌ・ラ・レメジャンヌで行わ
れたが、ここで誕生した特製ワイン(極めて少量)に映画の1コマをラベルに使用した
限定500本が直送で輸入され、プランタン銀座本店で独占販売される。購入券を同店ワ
イン売場で提示すると特価購入が可能(先着100名まで)詳細は劇場(03-3591-1511)
へ。
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★「子役になってはみたけれど」出版記念上映会、開催
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小津安二郎監督作品など、数々の映画に子役として出演した"突貫小僧"こと青木富夫
氏が小説の形で綴った半生記「子役になってはみたけれど─小説 突貫小僧一代記」
(都市出版)の出版を記念して、11月21日(土)午後1時より、アテネ・フランセ文
化センターにて『生まれてはみたけれど』('32/小津安二郎監督)の上映会が行わ
れる。料金は一般1,500円(「子役になってはみたけれど~」持参の場合1,000円)、
会員1,000円。上映終了後、青木氏と篠崎誠氏(映画監督)のトークショーが予定さ
れている。詳しくは会場(03-3291-4339)へ。
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★『竜二』、リバイバル上映決定
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元上板東映の小林紘氏、元文芸坐の鈴木昭栄氏ら当時の名画座支配人たちの尽力に
よって一般公開を果たした"伝説の名画"『竜二』('83/金子正次監督)が、来春、
ニュープリントで全国縦断リバイバル上映されることになった。『竜二』は、キネマ
旬報'83年度第3位、毎日映画コンクール、スポニチグランプリ新人賞、日本アカデ
ミー新人俳優賞、ブルーリボン賞新人賞などを受賞している。


                      [◆◆◆興行成績ベストテン◆◆◆]
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  『トゥルーマン・ショー』が初登場1位。同じく初登場の『始皇帝暗殺』
  は、上映時間の長さから回数が限られているものの3位に入る安定ぶり。
  『時雨の記』も4位につけて、いずれも観客の期待度を反映した結果と
  なった。『踊る大捜査線/THE MOVIE』は2位にとどまり大健闘。
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  【配収】
 1 初(─)トゥルーマン・ショー            ( 1週)
 2 ↓( 1)踊る大捜査線/THE MOVIE           ( 3週)
 3 初(─)始皇帝暗殺                 ( 1週)
 4 初(─)時雨の記                  ( 1週)
 5 ↓( 2)プライベート・ライアン           ( 8週)
 6 ↓( 3)マスク・オブ・ゾロ             ( 6週)
 7 ↓( 4)ダイヤルM                  ( 4週)
 8 初(─)アンツ                   ( 1週)
 9 ↓( 5)学校lll                   ( 5週)
 10 ↓( 6)シティ・オブ・エンジェル          (10週)

 興行通信社調べ1998/11/14~1998/11/15(銀座・新宿・渋谷3地区代表館集計)

-------------------------[◆◆◆オススメVIDEO◆◆◆]------------------------
       公開当時、同じ映画館でかかっていた『GODZILLA』に
       勝った(注:観客動員で)という『プルガサリ』。
       低予算ぽいのにエキストラの数のすごさでも話題に。
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『プルガサリ 伝説の大怪獣』 最初はかわいく、やがて頼もしき、大怪獣
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【データ】'85年/北朝鮮/1時間35分(11/22発売:ジェイ・シー・エー、日本スカイ
ウェイ)監督:チョン・ゴンジョ 出演:チャン・ソニ、ハム・ギソプ、薩摩剣八郎

 日本のゴジラスタッフが全面協力した、幻の北朝鮮製・怪獣特撮民話。王朝政府の
横暴に反抗したとして捕えられた鍛冶屋が残した形見の人形が、偶然から生命を与え
られて動き出す。手のひらに乗るほどのかわいいチビ・プルガサリが、鉄を食べなが
らみるみる成長。圧政に苦しむ民の味方として巨大な鬼神となり政府軍と戦う。そし
て、怪獣という度を越えた強大な力が闘いの終焉とともに迎える宿命。この永遠の課
題について、かくも深い回答があったとは。またそこまで考え込まなくても、ストー
リーの骨太さにはとにかく納得できて、笑いも興奮もありのホントによくできた模範
的古典風娯楽作。
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○CHECK 7本!
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■『ジャッキー・ブラウン』2時間35分/米
(11/27発売:アミューズビデオ、松竹富士)
武器密売人の大金の横領計画をめぐって、女、仲間、警察らを巻き込んだダマシ合い
が交錯する。淡々とした古くさい雰囲気の時間の流れを感じさせる、一風変わった魅
力のタランティーノ作品。
監督:クエンティン・タランティーノ 出演:パム・グリア、サミュエル・L・ジャクソ
ン、ロバート・デニーロ、ブリジット・フォンダ

■『グラスハープ』1時間43分/米(11/21発売:オンリー・ハーツ)
原作はトルーマン・カポーティの自伝的小説。傷心の少年の成長を温かく描く。『タ
ーミネーター2』の少年、エドワード・ファーロング主演。
監督:チャールズ・マッソー 出演:エドワード・ファーロング

■『アンナ・カレーニナ』1時間48分/米=英(11/25発売:エキスプレス)
貴族の妻に訪れた若き軍人との運命の出会い、それは悲劇的な恋へと転がり落ちてい
く。あまりに有名なトルストイの名作、ヒロインはソフィー・マルソー。
監督:バーナード・ローズ 出演:ソフィー・マルソー、ショーン・ビーン、ミア・カー
シュナー

■『絶対×絶命』2時間5分/米(11/27発売:CIC・ビクタービデオ)
白血病の息子のため、唯一の骨髄適合者である凶悪犯に協力を求めた刑事。しかしIQ
150を誇る犯人は脱走を計画。息子の病状のタイムリミットが迫る中、暴走する犯人
を殺さずに捕らえるという難題が刑事の前に立ちはだかる。
監督:バーベット・シュローダー 出演:アンディ・ガルシア、マイケル・キートン

■『ツイン・タウン』1時間39分/英(11/27発売:アスミック)
『トレインスポッティング』のダニー・ボイル総指揮で描くイギリスの田舎町。あく
どい刑事と有力者に立ち向かう問題兄弟の復讐作戦。
監督・出演:ケヴィン・アレン 出演:リス・エヴァンス、リル・エヴァンス

■『ラブ・レター』1時間48分/日本(11/21発売:松竹ホームビデオ)
日々くすぶっていたチンピラが、報酬と引き換えの偽装結婚で中国人女性と出合う。
原作は直木賞受賞の短編集『鉄道員(ぽっぽや)』収録作品。
監督:中島丈博 出演:中井貴一、コウ・チュウ、根津甚八、柄本明、倍賞美津子

■『クルシメさん』56分/日本(11/25発売:アップリンク)
好きになった人を傷つけてしまう心の病。あるいは隠された身体の秘密。ふたりの少
女の奇妙な関係を描く。
監督:井口昇 出演:新井亜樹、唯野未歩子、松梨智子、なにわ天閤、鈴木卓爾
                            [Written by 唯よーじゅ]

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 5】フェイス/オフ                                        〔貸出回数〕32,937
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 6】ジャッカル                                            〔貸出回数〕28,741
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 7】恋愛小説家                                            〔貸出回数〕24,371
                                    ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント
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 8】ドーベルマン                                          〔貸出回数〕23,615
                                                            ポニーキャニオン
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 9】マウス・ハント                                        〔貸出回数〕23,609
                                                         CIC・ビクタービデオ
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10】メン・イン・ブラック                                  〔貸出回数〕23,437
                                    ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント
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            [◆◆◆BS&CS今週の3本◆◆◆]
                            セレクター:古山 慶
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 11/21(土)『ネバダ・スミス』 NHK衛星第2(21:30~)
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白人とインディアンの間に生まれた主人公が、3人組の強盗に殺された両親の仇をと
るべく復讐の旅に出た。荒野を渡り歩き、1人1人追いつめて仇討ちを成し遂げた彼は
一切の過去を捨て、"ネバダ・スミス"の名で新しい人生を生きていく。スティーブ・
マックイーン主演の、男の美学がつまったウェスタン・ムービー。
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 11/21(土)『地下鉄のザジ』 WOWOW(8:00~)
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田舎からパリに遊びに来た10歳の少女ザジの、36時間に渡るパリ見物物語。一番楽し
みにしていた地下鉄は、あいにくストライキ中。そんな導入部から一気に少女の視点
から見えてくるパリの街や人を、スラップスティック・コメディで語ってみせるルイ
・マル監督の手腕は見事。ザジのドキドキする表情は印象的で、きっと忘れられなく
なるだろう。
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 11/26(木)『シャーキーズ・マシーン』 CSN1ムービーチャンネル(21:00~)
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アトランタ市警麻薬課の刑事、シャーキーは、白昼、バスの中で犯人と壮絶な銃撃戦
を繰り広げてしまい、風紀課に格下げになった。しかし、正義感あふれる彼は、市警
本部の落ちこぼれ刑事を集めて叩き直し、チーム(シャーキーズ・マシーン)を結成
して悪に立ち向かっていく。製作・監督・主演をバート・レイノルズがつとめたアク
ション大作。見落としていた方はこの機会にぜひ。

                            [◆◆◆COLUMN◆◆◆]
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【世界の終わりとハードとソフト・ワンダーランド(13)】
 日本映画復興への道(1)
  第11回東京国際映画祭自主企画 国際映像シンポジウム1998『人材育成のトップ
  リーダー英国映画界に学ぶ』レポートで映画振興政策について考える 前篇
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 今月の8日に幕を閉じた東京国際映画祭。毎年、その成長ぶりには本当に驚かされ
日本人としては嬉しい限りなのだが、問題点もある。招待作品ばかりに注目が集まり、
なかなかコンペティションの結果が浸透しないのだ。無論、マスコミにもその責任は
ある。若い映画祭だから仕方がないともいえるが、あまりにもバランスが悪い。ちな
みに今年の東京グランプリには、アレハンドロ・アメナーバル監督の『オープン・ユ
ア・アイズ』、東京ゴールド賞には、イ・グァンモ監督の『故郷の春』がそれぞれ輝
いた。ゴールド賞とは、35mm長篇映画製作3本以内の監督を大賞としたスカラシップ
である。そう、映画祭とは本来、才能ある映画人のステップ・アップを目的とする場
であるべきだろう。その点で、東京国際は真の映画祭である。『アルマゲドン』一色
に染まる渋谷の風景からは、そのストイックなスタイルがなかなか表面化されないが、
日本映画復興の鍵を握るイベントが今回も行われている。「東京フィルム・クリエイ
ターズ・フォーラム」は、来年からの本格的開催を前に、今年はプレ開催として実施
された。この企画は、日本映画の輸出促進を目的としているもので、海外の映画人を
招き、輸出促進の道を探るという画期的な内容で、Bunkamuraリハーサル室で行われ
た渋いイベントである。今年は、一般入場不可であったが、来年からの本開催が期待
される。
 そして、毎年行われている「国際映像シンポジウム」もしかりである。今年は『人
材育成のトップリーダー英国映画界に学ぶ』と題し、復興著しい英国映画界のノウハ
ウを探り、日本映画の世界的復興を目指そうというもので、英国外務省に招かれ、今
年9月に英国映画産業を視察したばかりの映画評論家・品田雄吉氏をモデレーターに
行われた。ゲストには、英国BBCテレビ映画部エグゼクティブ・プロデューサーのルー
ス・ケイレブ氏。同映画祭で特別上映された『ワンダフルライフ』の是枝裕和監督等
各界から多彩なメンバーを迎え行われた。話題の中心となったのは、公営宝くじ基金
による映画製作の助成や税制面での優遇措置など、英国政府が実施している映画振興
施策について。現在の英国映画の成功には、国の政策が大きく関わっていることが分
かる。日本でも、(財)東京国際映像文化振興会が平成7年度から映画製作に対して
助成金の交付を行っており、第1回対象作品として是枝監督の『幻の光』が選ばれ、
その助成金で『ワンダフルライフ』が製作されている。また、文化庁もシナリオを審
査し、最高2,500万円の助成金を交付するのだが、こちらは、その規約や審査方法で
問題を抱えている。と、このへんで、お時間です。次回、後篇へ続く。
(予告と内容を変更しております。ご容赦を)

 ・東京国際映画祭'98
  http://www.tokyo-filmfest.or.jp/index.html
 ・文化庁ホームページへようこそ
  http://www.bunka.go.jp/index.html
                          [Written by 藤原タカシ]

               [◆◆◆THE DAY OF BIRTH(11/21~11/27)◆◆◆]
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11/21 マリア・カザレス(1922)、平幹二朗(1933)、フランコ・ネロ(1941)、
    ゴールディ・ホーン(1945)、ビョーク(1965)、
    ジーナ・マローン(1984)

11/22 ジョージ・エリオット(1819)、アンジェイ・ズラウスキー(1940)、
    テリー・ギリアム(1940)、尾藤イサオ(1943)、倍賞美津子(1946)、
    ジェイミー・リー・カーチス(1958)、スカーレット・ヨハンソン(1984)

11/23 ボリス・カーロフ(1887)、ハーポ・マルクス(1893)、小林桂樹(1923)、
    田中邦衛(1932)、十朱幸代(1942)、士郎正宗(1961)

11/24 エミール・クストリッツァ(1955)、山本太郎(1974)

11/25 ジョー・ディマジオ(1914)、大地康雄(1951)

11/26 ティナ・ターナー(1938)、下条アトム(1946)

11/27 ブルース・リー(1940)、ジミ・ヘンドリクス(1942)、
    小室哲哉(1958)、杉田かおる(1964)

▼星座別オススメ映画はwebへのリンクに移行しました。
 http://www.cup.com/yoge/tarot/astro/
占い協力:TAROT-ASTROLOGY OF THE WEEK

▼MOVIE WatchのHP
 http://www.watch.impress.co.jp/movie/

----------------------------◆◆◆ 後記 ◆◆◆----------------------------
■流星雨の予定が単なる流星群並みの数しか見えなかったけど、光り方はけっこうす
ごかった。それにしても東京都心は明るすぎ。何を照らしているのだろう。  <唯

■『オープン・ユア・アイズ』で東京グランプリに輝いた、アレハンドロ・アメナー
バル監督は'72年生まれで、僕の1コ下なんだよな。…頑張ろっと。      <藤

■愛しのマシューの初監督作品が、13日からレイトショー公開中なのだ。久しぶりに
彼のキュートさが堪能できる作品。もう一回、観に行っちゃおうかな。    <巴

■どんな時にも休息は欠かすべからず。見上げた夜空に輝く星の、静かな瞬きに心預
けて。1日の終わりを感じる儀式が、夜明けのあなたを新しくしてくれるかも。 <冴

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