◆MOVIE Watch (毎週金曜日発行:無料)──────── 1998-10-30

☆今週のHEADLINE☆─────────────────────────────

●MOVIE Watchリアル・ランキング
 MOVIE Watchがオススメする今週の5本(平均値/ライター別評点)
 さらば『タイタニック』!

●オススメ封切り情報
 『地球は女で回ってる』 ウディ・アレンが芸術に高めた自虐コメディの傑作
 『従妹ベット』 風采の上がらない中年女の華麗なる復讐劇
 『踊る大捜査線/THE MOVIE』 人気テレビシリーズが映画になってスケールアップ
 ○公開作 CHECK5本!
 『リプレイスメント・キラー』『ネネットとボニ』 ほか

●MOVIE PADDOCK 出走を待ちわびる新作情報(期待値%つき!)
 『ベルベット・ゴールドマイン』 ブライアン・スレイドとグラムロックの時代
 『おもちゃ』 深作欣二監督、4年ぶりの新作 ほか

●映画4人衆
 『ダイヤルM』 完全殺人計画の衝撃度も日常の信頼関係があればこそ?

●TOPICS
 「第11回東京国際映画祭」、直前見どころチェック! ほか

●興行成績ベストテン

●オススメVIDEO
 『シーズ・ソー・ラヴリー』 強く育つということがどんなに大事か
 ○CHECK 5本!

●BS&CS今週の3本

●COLUMN
 【映画は音楽だ(10)】
 ミニマルでソリッドなサウンド、寒くなってきた夜に聴く2枚

●THE DAY OF BIRTH

●後記

                [◆◆◆MOVIE Watchリアル・ランキング◆◆◆]
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    現時点での劇場公開作からピック・アップした、MOVIE Watch独自の
        採点による上位5作品。今観るならこれだ!
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  昨年の東京国際映画祭以来、1年にわたって首位を独占していた『タイ
  タニック』は今年の開幕をもってめでたく殿堂入り。10月16日、興収
  14億半ばに迫る成績でファーストランを終えた『L.A.コンフィデン
  シャル』に敬意を表して、今週の1位を贈りたい。

             平均値/ライター別評点(5点満点)

                  唯  巴  古  冴
 1.L.A.コンフィデンシャル  4.63  4.5  5.0  4.5  4.5
 1.ブギー・ナイツ      4.63 5.0 5.0 4.0 4.5
 3.モンタナの風に抱かれて  4.38 5.0 4.5 4.0 4.0
 4.マーキュリー・ライジング 3.75 4.0 3.0 4.0 4.0
 5.マスク・オブ・ゾロ    3.63 3.0 4.0 4.0 3.5
 5.マルセイユの恋      3.63 4.0 4.0 3.0 3.5

                    [◆◆◆オススメ封切り情報◆◆◆]
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『地球は女で回ってる』    ウディ・アレンが芸術に高めた自虐コメディの傑作
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10月31日より公開 '97年/アメリカ/1時間36分 ◇監督・脚本・出演:ウディ・ア
レン ◇出演:キャロリン・エアロン、カーティス・アレイ、ジュディ・デイビス、
エリザベス・シュー、デミ・ムーア、ビリー・クリスタル ◇配給:松竹富士
 ―恵比寿ガーデンシネマ
 (土日祝10:05)12:25/14:25/16:35/18:45(~20:40)(10/31 21:00~22:35)

 自分の私生活をネタに小説を書いている男が、愛を見失い、家族を見失い、自分自
身を見失った果てにたどり着いたのは、自分が書いた小説の世界だった……。現在進
行形のドラマと、劇中で演じられる小説の一場面や回想シーンが巧みにコラージュさ
れ、主人公の人物像をどんどん掘り下げていく。全編を包み込むジャズの旋律と超豪
華な出演者の顔ぶれにうっとり。ロビン・ウィリアムズの出演シーンは爆笑必至だ。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.shochiku.co.jp/shochikufuji/harry/index.html
  http://www.flf.com/harry/index.html
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『従妹ベット』            風采の上がらない中年女の華麗なる復讐劇
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10月31日より公開 '98年/アメリカ/1時間46分 ◇監督:デス・マカナフ ◇製作
・脚本:スーザン・タール ◇原作:バルザック「人間喜劇」より ◇出演:ジェシ
カ・ラング、エリザベス・シュー、ボブ・ホスキンス ◇配給:20世紀フォックス
 ―シャンテ・シネ (月~金)12:30/14:40/16:50/19:00(~20:55)
          (土日祝)11:30/13:45/16:00/18:15(~20:10)

 バルザックの古典を現代風にアレンジして映画化。舞台は革命の余韻さめやらぬフ
ランス。舞台で衣装係をしている中年女ベットは、親戚から都合のいいようにこき使
われても断れない、受け身で従順な女性だ。だが彼女のささやかな幸せが無惨にうち
砕かれたとき、彼女は復讐の鬼となった……。サスペンス・アクション映画さながら
のテンポで描かれる、用意周到な復讐劇が痛快。エリザベス・シューの衣装もすごい。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.foxjapan.com/movie/cousinbette/index.html
  http://www.toho.co.jp/cinema/bed/welcome-j.html
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『踊る大捜査線/THE MOVIE』  人気テレビシリーズが映画になってスケールアップ
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10月31日より全国東宝邦画系にて公開 '98年/日本/1時間59分 ◇監督:本広克行
◇脚本:君塚良一 ◇出演:織田裕二、柳葉敏郎、深津絵里、水野美紀、小野武彦、
佐戸井けん太、ユースケ・サンタマリア、小泉今日子、いかりや長介 ◇配給:東宝

 「警察は役所だ」「刑事はサラリーマンだ」をコンセプトに、警察の内情をリアル
にえぐり取った人気テレビドラマが映画になった。副総監誘拐事件、猟奇殺人事件、
警察署内の窃盗事件などが平行して描かれていく凝った構成。小泉今日子が不気味な
サイコ・キラーを演じることも話題だろう。テレビシリーズの番外編的な内容だが、
テレビを見ていなくても内容は理解できるはず。警察映画に新たな傑作が生まれた。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.odoru.com/
  http://toho-group.co.jp/movie/odoru/welcome-j.html
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○公開作 CHECK 5本!
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★=注目作 ★★=見て損はしない ★★★=これは必見! (未)=未見

■『リプレイスメント・キラー』 10月31日より有楽町スバル座他にて公開 ★★★
香港の活劇王チョウ・ユンファがアメリカに殴り込み。相手役はミラ・ソルヴィーノ。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.toho.co.jp/cinema/r-kill/welcome-j.html

■『ネネットとボニ』 10月31日よりシネマスクエアとうきゅうにて公開 ★★
パン屋の女房を演じたヴァレリア・ブルーニ=テデスキが、すごく色っぽくて素敵。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.strandrel.com/theatrical/nenette.html
 □MOVIE Watchの紹介ページ
   http://www.watch.impress.co.jp/movie/

■『ドレス』 10月31日より俳優座トーキーナイト公開 ★★
1着のドレスが人間の運命を狂わせていく。ドレスがつづるオムニバス人間ドラマ。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.iijnet.or.jp/ASMIK/M/Ace/1998/Dress/index.html

■『血を吸うカメラ』 10月31日よりシネ・ラ・セットにて公開 ★★
『赤い靴』のマイケル・パウエルが『サイコ』と同じ年に撮ったサイコ・サスペンス。

■『キッスで殺せ』 10月31日よりシネセゾンにて公開 ★★
初公開から数十年ぶりに発見されたディレクターズ・カットはハッピーエンドだった。
                            [Written by 服部弘一郎]

                        [◆◆◆MOVIE PADDOCK◆◆◆]
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     出走を待ちわびる新作情報を、期待値%つきでお届けします
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■『ベルベット・ゴールドマイン』
'99年正月/渋谷シネマライズ(期待値80%)
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'70年代初頭のロンドン。グラマラスなイメージで華々しく登場し、スキャンダラス
な旋風を巻き起こして走り去っていったグラムロックの時代。ポップスターとして頂
点を極めたブライアン・スレイドを崇拝し、'80年代にジャーナリストとして彼の失
踪を調査する1人の青年と、ブライアンとの宿命的な愛で結ばれたロッカーの目を通
して、当時の若者たちの夢と憧れと葛藤を鮮やかに描き出す。監督は、『ポイズン』
でその芸術性を高く評価された鬼才トッド・ヘインズ。出演はユアン・マクレガー、
ジョナサン・リース・マイヤーズほか。製作総指揮には音楽界の大物マイケル・スタ
イプが名を連ねている。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.inter-g7.or.jp/g2/cinema/herald/lineup/velvet/home.html
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■『おもちゃ』
'99年1月15日/全国東映系(70%)
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古都・京都の華やかな伝統と厳しいしきたりが色濃く残る花街で繰り広げられる、女
たちのたくましくも切ない生き様を、舞妓になる夢を胸に抱いた少女、時子の目を通
して鮮烈に描く。監督は『忠臣蔵外伝四谷怪談』以来4年ぶりにメガホンをとる深作
欣二、脚本は『午後の遺言状』の新藤兼人。主人公の時子には新人の宮本真希。
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■『りんご』
'99年1月下旬/日比谷シャンテシネ2(75%)
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12歳の双子の少女が家に閉じこめられ、マスコミ報道でイラン全国の話題をさらった
事件を発端に、その一家のドキュメントから少女たちの夢の世界へと展開する瑞々し
い映像。'98年カンヌ映画祭で彗星のごとく現れた、イラン出身で18歳の女性監督、
サミラ・マフマルバフによる長編第1作。

                         [◆◆◆映画4人衆◆◆◆]
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『ダイヤルM』 完全殺人計画の衝撃度も日常の信頼関係があればこそ?
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莫大な財産をもち、実業家として成功した夫・スティーブン(マイケル・ダグラス)
と共にニューヨークの高級アパートメントに暮らすエミリー(グウィネス・パルトロ
ウ)。米国大使の側近として華やかなキャリアをもつ彼女には、無名だが才能ある画
家のデイビッド(ヴィゴ・モーテンセン)という愛人がいた。事業の失敗で破産寸前
のスティーブンは密かに真相を探り嫉妬に苦しむが、嫉妬はやがて憎悪へと変わり、
妻の遺産目当ての殺人計画へと発展していくのだった……。
                                            (満点は★5つ/半は★半分)

■翻案というのもおこがましい、ヒッチコックの足下の埃にも及ばない、ヒネリのな
い話。不用な場面の浮遊に全身弛緩。グウィネスの頑張りで星追加。★☆☆☆☆<唯>

■M・ダグラスは作品の選び方を知っている、なのに……。キャスティングにミスは
ない。特にマイケルはイイ。でも脚本と演出がねぇ……悲劇だね。 ★☆☆☆☆<古>

■主演の2人がやけにサスペンスタッチで作品を盛り上げてはいたんだけど、結局ハッ
とさせられることがなかった。肝心の脚本の出来がイマイチ。   ★★★☆☆<巴>

■複雑な心理の絡み合いに謎めいた雰囲気をもたらすためか、深読みできなくもない
中途半端なセリフや表情が多すぎる。想像力をフルに駆使して疲労。★★☆☆☆<冴>

 □OFFICIAL SITE
  http://www.aperfectmurder.com/
  http://www.warnerbros.co.jp/movie/dialM/index.htm

                            [◆◆◆TOPICS◆◆◆]
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★「第11回東京国際映画祭」、直前見どころチェック!
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日本で最大級を誇る映画の祭典・第11回東京国際映画祭がいよいよ10月31日(土)、
東京・渋谷で開幕を迎える。オープニングを飾るのは、話題のVFX超大作『アルマゲ
ドン』、クロージングにはブラッド・ピット主演の『ジョー・ブラックをよろしく』
と、映画ファンなら興奮を隠せない作品が目白押し。ケビン・クライン、ジョーン・
キューザック、マット・ディロンらがどうにもこうにも笑わせてくれる『イン&アウ
ト』、ピレ・アウグスト監督がリーアム・ニーソン、ジェフリー・ラッシュ、ユマ・
サーマンを配して奇跡の愛を描く『レ・ミゼラブル』など、充実したラインアップの
特別招待作品群。サイコ・スリラーの傑作として評判も上々の、ブライアン・シン
ガー監督作『ゴールデン・ボーイ』を筆頭に秀作ぞろいの「コンペティション」部門
では、各作品の監督・出演者が終映後のステージに登場し、観客の質問にも答えてし
まうティーチ・インがある。中でも今、英国でイキの良さを発揮しているガイ・リッ
チー監督作『ロック・ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ(原題)』、サン
ダンス映画祭で観客賞を受賞したクリス・エア監督作『スモーク・シグナルズ』など
は要注目。ほかにも、良質なアジア映画を特集する「シネマプリズム」部門の『ダス
ト・オブ・ダスト』は、イラン本国内外を問わず7年間上映禁止になっていた幻の傑
作との呼び声も高く、期待大だろう。とはいえ、現時点でやはり気になるのは『アル
マゲドン』。マイケル・ベイ監督はじめ、ブルース・ウィリス、リブ・タイラー、ベ
ン・アフレックら豪華キャストが大挙来日する鳴り物入りのこの作品、少しだけ見ど
ころに触れておくと、まず圧巻なのが、隕石がミサイルのように街に降り注ぐさま。
製作費の面からみても、今世紀最後の規模に達するVFX(視覚効果)技術の粋がたま
らない。松田聖子が30秒ほど出演しているのも見逃すな。そして何より、石油採掘現
場で働くどうしようもないお馬鹿な男たちが、命がけで仕事を完遂する姿、これがイ
イ! 笑いあり、感動あり、これぞ華々しいオープニングにふさわしい作品だ。

 □「第11回東京国際映画祭」
  http://www.tokyo-filmfest.or.jp/
 □各部門上映作品とチケット速報
  http://www.werde.com/movie/festival/1998_tiff.html
 □特別招待作品 OFFICIAL SITE 情報
  http://www.werde.com/movie/festival/1998_tiff.html#SPECIAL
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★協賛企画も盛り沢山
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協賛企画の筆頭、熱烈な固定ファンを擁する「ジャックスカード東京国際ファンタス
ティック映画祭'98」。オープニングは、ホラー・キング、ジョン・カーペンター監
督初の吸血鬼もので、なおかつウエスタンの『ヴァンパイア/最期の聖戦』。クロー
ジングは、昨年空前のインド映画ブームを巻き起こした『ムトゥ 踊るマハラジャ』
にも主演したインドのスーパースター、ラジニカーント最新作『アルナーチャラム踊
るスーパースター』。<ダークサイド・オールナイト・闇のカーニバル>で上映さ
れる『カルミーナ』、<ワーナー映画75周年記念スペシャル>の『燃えよドラゴン
ディレクターズ・カット25周年記念版』(主演の故ブルース・リーの妻であるリン
ダ・リーも来日し花を添える)が注目度大。ベストセラー作家アリス・ホフマン原作
のラブ・ファンタジー『プラクティカル・マジック(原題)』や、日程の後半に登場
する、ロックンロール・チャンバラ・ムービー『シックス・ストリング・サムライ』、
ハリウッド進出を果たしたジェット・リー主演のチャイニーズ・ウエスタン『ワン
ス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ&アメリカ』も挙げておきたい。
「英国映画祭」は第1部を終え、第2部に突入。ひときわ目立つのは、グラム・ロック
のポップスターを描いた『ベルベット・ゴールドマイン』。ロバート・カーライル主
演の『フェイス』あり、心暖まる感動作『フェアリーテイル』あり、配給が決まって
いないため、この機会を逃すと国内では二度と観られない可能性もある、巨匠ジョ
ン・プアマン監督の『ザ・ジェネラル』あり、と、実に充実したラインアップだ。
「英国映画祭」プロデューサー、中島康雄氏イチ押しの『マーサ・ミーツ・ボーイ』
も見逃せない。一種独特の暗さが伴うことの多い英国映画だが、こちらはひたすら明
るいラブ・コメディ。本国ではマスコミ、観客から絶大なる支持を受けた作品だ。
「カネボウ国際女性映画週間」は<世界の女性監督><女性プロデューサー特集>
<日本の女性監督>の3部構成。『早池峰の賦』『第7官界彷徨 尾崎翠を探して』
『わたしがSuki』など、日本においてはまだまだ少ない女性監督の作品にも触れてみ
よう。

 □「ジャックスカード東京国際ファンタスティック映画祭'98」
  http://www.nifty.ne.jp/fanta/tokyo/index.htm
 □「英国映画祭」情報
  http://www.werde.com/movie/festival/index.html#UK

                      [◆◆◆興行成績ベストテン◆◆◆]
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  『ダイヤルM』は初登場2位。『ダイヤルMを廻せ!』('54)のリメイク
  と銘打った作品だけに、観客層も『ダイヤルMを~』をよく知る世代が
  多くを占めていた。『ムーラン』『カンゾー先生』が順位を上げたほか
  は、ほぼ安定した推移を見せている。
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  【配収】
 1 →( 1)プライベート・ライアン           ( 5週)
 2 初(─)ダイヤルM                  ( 1週)
 3 →( 3)マスク・オブ・ゾロ             ( 3週)
 4 ↓( 2)学校lll                   ( 2週)
 5 ↓( 4)マーキュリー・ライジング          ( 3週)
 6 ↑( 8)ムーラン                  ( 5週)
 7 ↓( 6)モンタナの風に抱かれて           ( 2週)
 8 ↓( 5)シティ・オブ・エンジェル          ( 7週)
 9 ↑(10)カンゾー先生                ( 2週)
 10 ↓( 7)相続人                   ( 2週)

 興行通信社調べ1998/10/24~1998/10/25(銀座・新宿・渋谷3地区代表館集計)

-------------------------[◆◆◆オススメVIDEO◆◆◆]------------------------
       こんな激しいラブストーリーはひさびさ、とさえ感じ
       た本物、『シーズ・ソー・ラヴリー』。それもそのは
       ず、脚本は愛の大家、ジョン・カサヴェテスの遺稿。
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『シーズ・ソー・ラヴリー』 強く育つということがどんなに大事か
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【データ】'97年/米=仏/1時間36分(11/6発売:アスミック)
監督:ニック・カサヴェテス 出演:ショーン・ペン、ロビン・ライト・ペン

 ときどき別人になるほど荒れてしまう、病んだ男(ショーン・ペン)と、そんな男
に泣かされ通しでも「元に戻った」ときの優しさの深さゆえにか縁が切れない女(ロ
ビン・ライト・ペン)。しかし運命はふたりのあいだに長い時間の別れと、複雑な再
会を与える。女のもとへいつの間にか訪れた幸福な家庭、それは娘と、よき夫(ジョ
ン・トラボルタ)とのあいだに築かれていた。再会は当然ながら大きな波紋、いや、
波風をたてるのだが……。とにかく強烈のひと言につきる愛情の爆発。そしてこんな
にも複雑なのに、絡まりながらももつれることのない、芯の太い心の糸。そのおかげ
でからりと、自分まで強くなれたような気がする。ショーン・ペン、ジョン・トラボ
ルタの協力を得てジョン・カサヴェテスの遺稿を息子ニックが映画化。まさに蘇った
情熱。
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○CHECK 5本!
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■『ケス』1時間51分/英(11/1発売:ワーナー・ホーム・ビデオ)
イギリスの炭坑の町で暮らす15歳の少年と、餌づけしたハヤブサとの交流を描く。
一昨年、30年の時を経て公開された、今や名匠とうたわれるケン・ローチの名作。
監督:ケン・ローチ 出演:デビッド・ブラッドレー、コリン・ウェランド

■『スフィア』2時間14分/米(11/1発売:ワーナー・ホーム・ビデオ)
深海で発見された謎の宇宙船の調査をする科学者チーム。時空を越えて航行したその
宇宙船の中には、知性と超能力をもった巨大な球体(スフィア)があった。某SFの名
作の設定を匂わせる原作はマイケル・クライトン。
監督:バリー・レビンソン 出演:ダスティン・ホフマン、シャロン・ストーン

■『スターシップ・トゥルーパーズ』1時間9分/米
(11/6発売:ブエナ ビスタ ホーム エンターテイメント)
SFの人気古典『宇宙の戦士』の翻案。巨大昆虫のCGがおみごとな戦争活劇。
監督:ポール・ヴァーホーヴェン 出演:キャスパー・ヴァン・ディーン

■『SECOND IMPACT セカンドインパクト』1時間35分/米
(11/6発売:イメージファクトリー・アイエム)
インド・パキスタン間で核が使用され、アメリカでは難民をめぐって人種問題が…。
バリー・レビンソン製作総指揮の近未来サスペンス。日本未公開作品。
監督:ジョー・ダンテ 出演:ボー・ブリッジス、ジェイムズ・アール

■『ネイビー・ストーム』1時間29分/米(11/6発売:アート・キャップ)
世界中の海が汚染された近未来。水と浄化装置の支配をめぐる反乱軍事アクション。
日本未公開作品。
監督:デビッド・プライアー 出演:ブリジット・ニールセン、マティアス・ヒューズ
                           [Written by 唯よーじゅ]

            [◆◆◆BS&CS今週の3本◆◆◆]
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 11/1(日)『霧の中の風景』 NHK衛星第2(深夜0:00~)
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幼い姉弟が顔も知らない父を探して旅立つ。2人は人々との出会いの中で、世界を学
び人生を知る。難解な作品が多いテオ・アンゲロプロス監督作としては比較的なじみ
やすい。姉弟の姿を見るだけで胸がつまる人も少なくないだろう。
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 11/3(火)『グロリア』 WOWOW(22:00~)
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プエルトリコ人一家が惨殺されるが、事件前に1人の中年女がその家族から子供を預
かったことで開始される、マフィアの執拗な追跡劇。オールロケのリアリティーは最
高。N.Y.インディーズ映画の父、ジョン・カサヴェテス監督作。シャロン・ストーン
主演でリメイクが決定している。
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 11/5(木)『地球に落ちて来た男』 CS-WOWOWシネプレックス(23:00~)
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英国映画祭クロージング作品の『ベルベット・ゴールドマイン』同様、グラム・ロッ
カー映画のモデル、デビッド・ボウイ主演作。地球に不時着した宇宙人が、今にも滅
ぼうとしている故郷へ帰ろうとするのだが……。

                             [◆◆◆COLUMN◆◆◆]
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【映画は音楽だ(10)】
 ミニマルでソリッドなサウンド、寒くなってきた夜に聴く2枚
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◆『トゥルーマン・ショー/オリジナル・サウンドトラック』
(BMGジャパン/BVCM-31008/税抜価格\2,427)

 米国版「なすび」だと公開前から騒がれ、試写会も大盛況との話を聞く。またジ
ム・キャリーがそれまでのコメディ主体からシリアス俳優へと脱皮したと評判のこの
作品、サウンドトラックのほうもシリアスめな内容。全体の音楽を担当するのはパー
クハード・ダルィッツだが、このサントラで重要な役割を果たしているのが、フィリ
ップ・グラス。21曲中7曲もフィーチャーされている。グラスといえば、ミニマル・
ミュージックの作曲家として有名だ。サウンドトラックとしては、マイケル・ナイマ
ンのほうが有名になってしまっているが、その世界では彼に勝るとも劣らない人であ
る。今回はグラスを敬愛するピーター・ウィアー監督の要望によりこのセレクション
が実現したようだ。オリジナル3曲に、過去の作品(『プワカッツィ』『アニマ・ムン
ディ』『ミシマ』)からの引用が4曲。僕自身初めて聴くものなのだが、過去の曲と思
えない新鮮なサウンド。宗教音楽を感じさせるところもまた面白い。

◆『フラワーズ・オブ・シャンハイ/オリジナル・サウンドトラック』
(フレイヴァー・オブ・サウンド/TFCC-87602/税抜価格\2,427)

 トニー・レオンと羽田美智子主演の歴史劇。2本現代劇が続いたので歴史物として
は約5年ぶりとなるホウ・シャオシェン監督作品。個人的な趣味としては彼のゆった
りとしたリズムは歴史劇にこそ本領を発揮すると思う。日本びいき、いや日本がホ
ウ・シャオシェンびいきなのだろう、『非情城市』以来日本のスタッフが製作に加
わっているが今回もそうである。サウンドトラックは、長らく担当していた立川直樹
に変わって半野喜弘。知らないのも無理はない、彼は映画音楽のヒトではなく、ヒッ
プホップ/ドラムンベース系のサウンドクリエイターとして知られているアーティス
トなのだから。といってもホウ監督のサントラ盤がクラブサウンドに彩られているわ
けではない。生楽器とサンプリングが同居した美しい旋律や中国の打楽器をモチーフ
にしたようなサウンド、さらに現代音楽を思わせる部分など、ホウ監督映画のイメー
ジにぴったりとはまっていよう。
                           [Written by 大竹利実]

               [◆◆◆THE DAY OF BIRTH(10/31~11/6)◆◆◆]
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10/31 ロビン・ムーア(1925)、浜木綿子(1935)、富山敬(1938)

11/ 1 大村崑(1931)、いかりや長介(1931)、服部克久(1936)、
   ラリー・フリント(1942)

11/ 2 ルキノ・ヴィスコンティ(1906)、バート・ランカスター(1913)、
    馬渕晴子(1936)、平田満(1953)、今村雅美(1979)

11/ 3 チャールズ・ブロンソン(1921)、河原崎健三(1943)、柄本明(1948)、
    ドルフ・ラングレン(1959)

11/ 4 池内淳子(1933)、西田敏行(1947)、マシュー・マコノヒー(1969)、
    山本未来(1974)

11/ 5 ヴィヴィアン・リー(1913)、アート・ガーファンクル(1941)、
    サム・シェパード(1943)、ブライアン・アダムス(1959)

11/ 6 マイク・ニコルズ(1931)、グレン・フライ(1948)、伊原剛志(1963)、
    イーサン・ホーク(1970)、小田茜(1978)

▼星座別オススメ映画はwebへのリンクに移行しました。
 http://www.cup.com/yoge/tarot/astro/
占い協力:TAROT-ASTROLOGY OF THE WEEK

▼MOVIE WatchのHP
 http://www.watch.impress.co.jp/movie/

----------------------------◆◆◆ お詫び ◆◆◆----------------------------
MOVIE Watch10月23日号の興行成績ベストテンのデータを10月16日号のまま掲載してし
まいました。読者の皆様方には深くお詫び申し上げます。
----------------------------◆◆◆ 後記 ◆◆◆----------------------------
■来週は東京はじめ多くのところで映画の日。お忘れなく。そういう自分が、前から
楽しみにしておきながら、よく「何か忘れてるぞ」と思いつつ当日夜を迎える。<唯>

■映画祭真っ最中の時期に、都内某所でコッソリ『HOME』という舞台をやるヤツらが
いる。11/7,8 Soul Beat Ave. 詳しくは k_furuyama@mail.goo.ne.jp へ。   <古>

■『ダークシティ』の予告編が気に入った。独特の雰囲気があって、音楽も好み。
ジェニファー・コネリーの、変わらぬ美しさにもカンドー。若いよなぁ。   <巴>

■今週末の渋谷はお祭り騒ぎ。でも、意外なところで意外な1本が、静かにあなたを
待っているかもしれない。お気に入りの1本と素敵な出会いがありますように。 <冴>

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