◆MOVIE Watch (毎週金曜日発行:無料)──────── 1998-10-16☆今週のHEADLINE☆─────────────────────────────●MOVIE Watchリアル・ランキング MOVIE Watchがオススメする今週の5本(平均値/ライター別評点)●オススメ封切り情報 『モンタナの風に抱かれて』 モンタナの風が少女と愛馬を癒してゆく…… 『相続人』 原作はジョン・グリシャム。この邦題はネタバレだ! 『カンゾー先生』 終戦直前のドタバタを町医者の視点から描く ○公開作 CHECK 5本! 『学校III』『ワイルド・マン・ブルース』 ほか●MOVIE PADDOCK 出走を待ちわびる新作情報(期待値%つき!) 『ルル・オン・ザ・ブリッジ』  ポール・オースターが描く、不思議で切ないニューヨーク・ラブ・ストーリー 『ガッジョ・ディーロ』  世界14カ国でマスコミの絶賛を受けた、トニー・ガトリフ監督最新作 ほか●映画4人衆 『マーキュリー・ライジング』 歩み寄る心の動きをじっくり追いかけた物語●TOPICS 3D&CGアニメーション『Antz』、2週連続トップ ほか●興行成績ベストテン●REVIEW 『マスク・オブ・ゾロ』 新旧2代ゾロ競演の、胸躍るヒーロー活劇●オススメVIDEO 『恋愛小説家』 いい歳のオジサンをやさしく見守る自分がいたり 『初恋』 映画への純粋な恋心を忘れない監督が描くふたつの初恋 ○CHECK 4本!●BS&CS今週の3本●COLUMN 【世界の終わりとハードとソフト・ワンダーランド(12)】 「新世代3CCD DVカメラ、ソニーDCR-TRV900登場」の巻●THE DAY OF BIRTH●後記                [◆◆◆MOVIE Watchリアル・ランキング◆◆◆]============================================================================    現時点での劇場公開作からピック・アップした、MOVIE Watch独自の        採点による上位5作品。今観るならこれだ!============================================================================  バート・レイノルズがいい味出してる『ブギー・ナイツ』は『L.A.コンフィ  デンシャル』と同点2位、『マーキュリー・ライジング』も5位にランクイン  と慌ただしい動き。『イヤー・オブ・ザ・ホース』終了の来週末はさらに変  化の兆し。             平均値/ライター別評点(5点満点)                  唯  巴  古  冴 1.タイタニック       5.00  5.0  5.0  5.0  5.0 2.L.A.コンフィデンシャル  4.63  4.5  5.0  4.5  4.5 2.ブギー・ナイツ      4.63 5.0 5.0 4.0 4.5 4.イヤー・オブ・ザ・ホース 4.00 4.0  4.0  4.0  4.0 5.マーキュリー・ライジング 3.75 4.0 3.0 4.0 4.0                    [◆◆◆オススメ封切り情報◆◆◆]──────────────────────────────────────『モンタナの風に抱かれて』     モンタナの風が少女と愛馬を癒してゆく……──────────────────────────────────────10月17日より全国東宝洋画系にて公開 '98年/アメリカ/2時間47分 ◇監督・製作・主演:ロバート・レッドフォード ◇原作:ニコラス・エヴァンス ◇出演:クリスティン・スコット・トーマス、サム・ニール ◇配給:ブエナビスタ 乗馬中の突然の事故で親友と片足を失い、心も深く傷ついた少女。母親は娘にかつての快活さを取り戻すために、大けがを負った馬を治療しようと決意する。頼りとするのは「ホース・ウィスパラー(馬にささやく者)」と呼ばれるベテラン・トレーナー、トム・ブッカーだけだ。大自然を舞台にした不倫ドラマだが、監督の関心はもっぱら馬にある。『のら猫の日記』のスカーレット・ヨハンソンが少女を熱演している。 □OFFICIAL SITE  http://www.movies.com/horsewhisperer/index.html  http://www.movies.co.jp/montana/index.html──────────────────────────────────────『相続人』         原作はジョン・グリシャム。この邦題はネタバレだ!──────────────────────────────────────10月17日より全国松竹東急洋画系にて公開 '97年/アメリカ/1時間54分 ◇監督:ロバート・アルトマン ◇脚本:アル・ハイース ◇出演:ケネス・ブラナー、エンベス・デイビッツ、ロバート・ダウニー・ジュニア ◇配給:日本ヘラルド映画 やり手弁護士のリックは、パーティーの夜にひとりの女と出会う。変質狂的な父親に苦しめられているという彼女を、リックは何とか救おうとするのだが……。原作が次々と映画化されるジョン・グリシャムが、はじめて映画用に原作を書き下ろした話題作。舞台は『真夜中のサバナ』と同じジョージア州サバナ。出演者が豪華すぎて、田舎町の事件に見えないのが欠点と言えば欠点。法廷劇を期待するとはぐらかされる。 □OFFICIAL SITE  http://www.tfc.co.jp/hiroba/movie_theater/flash/heir/index.html  http://www.inter-g7.or.jp/g2/cinema/herald/lineup/ginger/home.html──────────────────────────────────────『カンゾー先生』          終戦直前のドタバタを町医者の視点から描く──────────────────────────────────────10月17日より東映系にて公開 '98年/日本/2時間9分 ◇監督・脚本:今村昌平◇原作:坂口安吾 ◇脚本:天願大介 ◇撮影:小松原茂 ◇出演:柄本明、麻生久美子、ジャック・ガンブラン、世良公則、唐十郎、松坂慶子 ◇配給:東映 昭和20年夏。目の前に迫った終戦など知るよしもない庶民の生活は、毎日があわただしい。主人公は肝臓炎撲滅に執念を燃やす町医者・赤城風雨。しかしこの映画の面白さは、彼を取り巻くさまざまな人間たちが、互いのエゴをぶつけ合う様子にある。『うなぎ』で枯れた演出術を見せた今村昌平監督だが、この新作からはかつての重喜劇の香りがほのかに漂ってくる。ソノ子役の麻生久美子が抜群に魅力的。今後に注目。 □OFFICIAL SITE  http://www.toei-group.co.jp/MOVIE/new_mov/kanzo/index.htm============================================================================○公開作 CHECK 5本!============================================================================★=注目作 ★★=見て損はしない ★★★=これは必見! (未)=未見■『学校III』 10月17日より松竹系にて公開 ★★★職業訓練校で出会った中年男女のラブ・ストーリー。シリーズの姿を借りた意欲作。 □OFFICIAL SITE  http://www.shochiku.co.jp/gakko3/index.html■『ワイルド・マン・ブルース』  10月17日より恵比寿ガーデンシネマにて公開 ★★★ウディ・アレンのヨーロッパ演奏旅行を記録したドキュメンタリー。ファンは必見! □OFFICIAL SITE  http://www.flf.com/wild/index.html  http://www.rim.or.jp/~comstock/WMB.htm■『クロスゲージ』 10月17日より銀座シネパトスにて公開 ★★大統領夫人暗殺事件に巻き込まれた主人公が、軍内部の陰謀を暴くアクション映画。 □OFFICIAL SITE  http://www.gaga.co.jp/movies/98most.html■『エデンへの道/ある解剖医の一日』 10月17日よりBOX東中野にて公開 ★★解剖台の上から人間の生と死のドラマが見えてくる、異色のドキュメンタリー映画。 □OFFICIAL SITE  http://www.mmjp.or.jp/BOX/database/eden.html■『フラワーズ・オブ・シャンハイ』 10月17日より松竹洋画系にて公開 ★ホウ・シャオシェン監督の最新作。19世紀末の遊郭を完璧に再現したセットが見事。 □OFFICIAL SITE  http://www.shochiku.co.jp/shochikufuji/shanghai/index.html                           [Written by 服部弘一郎]                        [◆◆◆MOVIE PADDOCK◆◆◆]============================================================================     出走を待ちわびる新作情報を、期待値%つきでお届けします============================================================================──────────────────────────────────────■『ルル・オン・ザ・ブリッジ』12月中旬/シネスイッチ銀座、恵比寿ガーデンシネマ(期待値75%)──────────────────────────────────────名サックス奏者のイジー(ハーヴェイ・カイテル)はある夜、狂人の放った流れ弾にあたり、ミュージシャン生命を絶たれる重傷を負ってしまう。人生に絶望した彼だったが、この事件をきっかけに、いつしか人間らしい優しさに目覚めていく。そんなある日、イジーは見知らぬ男の他殺死体に遭遇し、思わず現場から持ち帰ったブリーフケースの中に、幾重もの箱に厳重にしまわれた小さな石を発見する。その夜、石が不思議な青い光を放ち、宙に浮くのを目の当たりにした彼は、やがて導かれるように女優をめざすひとりの女性、セリア(ミラ・ソルヴィーノ)と出会い、恋に落ちるのだが…。監督・脚本は、『スモーク』のポール・オースター。 □OFFICIAL SITE  http://www.inter-g7.or.jp/g2/cinema/herald/lineup/lulu/home.html──────────────────────────────────────■『ガッジョ・ディーロ』'99年正月/銀座テアトル西友(75%)──────────────────────────────────────幻の歌姫、ノラ・ルカを求めて放浪する青年がたどり着いた場所は、ロマニー(ジプシー)の村だった。そこで彼はロマニーの魂と出会い、自分にとっての愛と真実を発見していくことになる。国境と民族を超えて、音楽と魂とで結びついたよそ者=ガッジョの物語を、『モンド』のトニー・ガトリフ監督が描く。出演はロマン・デュリス(『ドーベルマン』)、ローナ・ハートナー(この作品で'97年ロカルノ国際映画祭主演女優賞受賞)。──────────────────────────────────────■『完全なる飼育』'99年正月/テアトル新宿ほか(65%)──────────────────────────────────────誘拐し、アパートの一室に監禁した少女(小島聖)との「完全なる愛」を育もうとする男(竹中直人)。少女にとって、それは受け入れがたい悪夢であるはずだったが、激しく憎み合いながらも、2人の関係は、時と共に新たな展開を見せていく……。脚本は『午後の遺言状』の新藤兼人、監督は和田勉。渡辺えり子、塚本晋也、泉谷しげるなどの個性派が、がっちり脇を固めている。                         [◆◆◆映画4人衆◆◆◆]============================================================================『マーキュリー・ライジング』 歩み寄る心の動きをじっくり追いかけた物語============================================================================おとり捜査のベテラン、FBIエージェントのアート・ジェフリーズ(ブルース・ウィリス)は、極秘任務の失敗の責任を負い、デスクワークの日々を送っていた。そんな彼の元に舞い込んだのは、両親を殺され失踪した少年の捜索という任務。アートは、程なくその少年サイモン(マイコ・ヒューズ)を発見するが、心に深い傷を負ったサイモンは自分を閉ざしていた。警護付きの病院にサイモンを収容したのも束の間、謎の暗殺者の手が忍び寄っていることに気づいたアートは、間一髪でサイモンを救い、共に逃避行を繰り広げていく……。                                            (満点は★5つ/半は★半分)■アクション・スリルともに控えめながら話のよさに不満ナシ。解かれた暗号をそのまま使うエセ愛国者に感情移入する人がいたら怖いけどいないよね?★★★★☆<唯>■すべてが複雑化する現代。自閉症の子のように自分を堅く守って生きるしかないの?いや、本編は大人たちに「子供たちをよろしく」と言ってるのか。★★★★☆<古>■本筋と違うところでいろいろと考えてしまい、注意が逸れた。特に惹き付けられるものがなかったんだよね。サイモン君が映っているシーン以外は。 ★★★☆☆<巴>■限界ギリギリで持ちこたえられるか否かは、信じられるものの有無で決まる。アート、サイモン、ステイシーの安定感は、十二分に物語を担っていた。★★★★☆<冴> □OFFICIAL SITE  http://www.mercury-rising.com/                            [◆◆◆TOPICS◆◆◆]----------------------------------------------------------------------------★3D&CGアニメーション『Antz』、2週連続トップ----------------------------------------------------------------------------先週末(10月9日(金)~11日(日))の全米興行収入で、ドリームワークスが世界トップレベルの視覚効果技術を誇るPDI社と組んで製作した、3D&CGアニメーション『Antz』が、2週連続のトップを飾った。その映像技術もさることながら、ウディ・アレン、シルベスタ・スタローン、シャロン・ストーンなど大物スターによる声の競演が話題を呼んでいる。ちなみに2位はジャッキー・チェン主演の『Rush Hour』、3位はロビン・ウィリアムス主演で天国の恋を描いた『What Dreams May Come』。----------------------------------------------------------------------------★「1998年しんゆり映画祭」、閉幕----------------------------------------------------------------------------川崎市・芸術のまちづくり推進委員会主催による、市民がつくる映画祭「しんゆり映画祭」は今回で4回目を迎えたが、去る10月11日(日)、盛況のうちに無事幕を閉じた。市民プロデューサーとボランティアの運営によって行われるこの映画祭は、今年も小規模ながらアイディアに満ちたオリジナル・メニューが多数用意された。2001年「かわさき国際映画祭」として独立する「ヤングシネマ」(日本・アジア映画中心)、消えゆく名画座の復興を呼びかける新企画「しんゆり名画座」、身体障害者にも健常者と同様に、映画館で映画を楽しんでもらおうという趣旨で会期中2日間(10月8日(木)、9日(金))設けられ、評価の高かった「バリアフリー・シアター」など、多彩なゲストと観客の協力も受けて、終始アット・ホームな雰囲気の中で行われた。 □「1998年しんゆり映画祭」レポート  http://www.werde.com/movie/festival/1998_shinyuri.html----------------------------------------------------------------------------★「第70回アカデミー短編賞」、受賞作品上映会----------------------------------------------------------------------------今年3月に行われた第70回アカデミー賞で、短編実写賞を受賞した米作品『ビザと美徳』(監督/クリス・タシマ、スーザン・フクダ)が、10月31日(土)に1日9回のスケジュールで上映される。会場はアテネ・フランセ文化センター(03-3291-4339)。料金は、前売800円、当日1,000円。                     [◆◆◆興行成績ベストテン◆◆◆]============================================================================  『プライベート・ライアン』は首位を譲らず、初登場の『マーキュリー  ・ライジング』『マスク・オブ・ゾロ』は2位、3位につけた。上位組が  順位を落とした中で『愛を乞うひと』『あぶない刑事フォーエヴァー』  のがんばりが光る。============================================================================  【配収】 1 →( 1)プライベート・ライアン           ( 3週) 2 初(─)マーキュリー・ライジング          ( 1週) 3 初(─)マスク・オブ・ゾロ             ( 1週) 4 ↓( 2)シティ・オブ・エンジェル          ( 5週) 5 ↓( 3)ムーラン                  ( 3週) 6 →( 6)愛を乞うひと                ( 3週) 7 ↓( 4)アベンジャーズ               ( 2週) 8 ↓( 5)ディープ・インパクト            (17週) 9 →( 9)あぶない刑事フォーエヴァー         ( 5週) 10 ↓( 7)L.A.コンフィデンシャル           (13週) 興行通信社調べ1998/10/10~1998/10/11(銀座・新宿・渋谷3地区代表館集計)                          [◆◆◆REVIEW◆◆◆]============================================================================『マスク・オブ・ゾロ』 新旧2代ゾロ競演の、胸躍るヒーロー活劇============================================================================ 誰もが知る古典的なヒーロー『怪傑ゾロ』を、スピルバーグが現代に蘇らせた。SFX全盛の現代に、あえて剣で戦いを挑むヒーロー像はかえって新鮮に写る。しかもオリジナルの雰囲気は保ちつつ、個人のヒーローではなく、受け継がれていく象徴としての新しいゾロを描き、単なる続編ではない作品に昇華させた。そのため、観客は民衆を守る新旧2人のゾロの活躍を見ることができるばかりでなく、物語にそれぞれのゾロの復讐という要素が加味されたことで浮かび上がる、新たなヒーロー像に目をみはることになる。 アレハンドロとディエゴという2人のゾロを演じるアントニオ・バンデラスとアンソニー・ホプキンスも、観客を魅了する素晴らしい演技を披露している。初めてとは思えない華麗な剣さばきはもちろんのこと、見事な心情の表現が特に印象に残る。たとえば、紳士になりすまして敵役モンテロのパーティに忍び込んだ2人の表情の変化。最初のうちバンデラスを不安げに見守っていたホプキンスの表情は、次第に安堵の色を増し、エレナ(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)とアレハンドロのダンスが終わるころにはほぐれた笑顔に変わる。この微妙な表情の変化を上手に見せるのはさすが、オスカー俳優である。対するバンデラスも負けてはいない。強気の内に緊張を隠したどことなくおどおどした表情から、激しく情熱的なダンスを踊るまでの表情の変化。大立ち回りのアクションだけにとどまらず、これはまさに2人のゾロの競演の物語なのだ。また、心躍らされるアクションシーンの随所に、ユーモアを交えることも忘れてはいない。緊張感の中の程良いコメディ・リリーフ(息抜き)として、雰囲気を和らげる効果を担っている。 誰もがゾロになれるという、スピルバーグが生んだ新しいヒーロー像は、観る者を惹きつけてやまないだろう。                          [Written by 阿子島 力]-------------------------[◆◆◆オススメVIDEO◆◆◆]------------------------       今週は珍しく、ラブストーリーで2作品をオススメ。       秋だから季節がら、じゃなくて、どちらの作品も、       かなり風変わりな恋愛物語だから。----------------------------------------------------------------------------『恋愛小説家』 いい歳のオジサンをやさしく見守る自分がいたり----------------------------------------------------------------------------【データ】'97年/米/2時間18分(10/23発売:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント)監督:ジェイムズ・L・ブルックス 出演:ジャック・ニコルソン、ヘレン・ハント かなりの人間嫌いで、衛生に過敏で、道路や床の継ぎ目を踏めない、中年の男。彼は売れている恋愛小説家。よく食事にいく店で子持ちのウェイトレスに恋をし、同じフロアに住んでいるゲイの飼い犬を無理矢理預けられたときから、彼の中で、外で、何かが変わっていく。主役の小説家を演じるジャック・ニコルソンと相手役のヘレン・ハントは、この作品でともにアカデミー主演男優/女優賞を受賞。とても困った性格の中年男からにじみでてくるやさしさ。男にいま一歩やさしくなれない女が、ただでさえ不器用な男の気持ちに触れていく過程にスリルさえ感じる、絶妙のひととき。----------------------------------------------------------------------------『初恋』 映画への純粋な恋心を忘れない監督が描くふたつの初恋----------------------------------------------------------------------------【データ】'97年/香港/1時間37分(10/23発売:アミューズビデオ)監督:エリック・コット 出演:金城武、リー・ウェイウェイ、カレン・モク 前半と後半で展開するふたつのストーリーと、あいだに割り込むノリノリ監督のコメント、というかギャグというか。しかし最初はうるさいこの監督がだんだんいい味出してきたり。前半は、夢遊病で夜な夜な歩き回る少女(ウェイウェイ)が、自分の頭にビデオカメラをつけて寝たら、翌朝そのカメラに知らない景色と知らない男(金城)が写っていたという話。後半は、うまくいっていたはずの恋に急に怖くなって逃げだしてしまった男が、なんだかんだで時が経ってそれなりに普通の家庭なんか持ってしあわせそうに暮らしているところへ、逃げられたかつての女が現れるという、なんだか怖いシチュエーションの物語。とにかくおかしな監督と、おかしな出会い、おかしな関係の物語の中に、これ以上ないような純な心が発光する奇跡のような作品。----------------------------------------------------------------------------○CHECK 4本!----------------------------------------------------------------------------■『浮き雲』1時間36分/フィンランド(10/23発売:ユーロスペース、日本スカイウェイ)とある中年夫妻が時を同じくして失業。彼らの職探しの過程を、ほのぼのとしながら独特の味つけで描き出す。ハマると心に残り続けるテイストの深い名品。監督:アキ・カウリスマキ 出演:カティ・オウティネン、カリ・ヴァーナネン■『エイリアン4』1時間49分/米(10/23発売:フォックス ホーム エンターテイメント)パート3から200年後。クローン再生技術により、死んだはずの主人公リプリーが、エイリアンの遺伝子を保有しつつ復活。狂気の計画の片棒をかつがされた海賊チームを巻き込み、再び増産されたエイリアンたちとの死闘が始まる。監督:ジャン・ピエール・ジュネ 出演:シガニー・ウィーバー、ウィノナ・ライダー■『U-ターン』2時間4分/米(10/23発売:パイオニアLDC)借金をかかえて砂漠を逃避行中の男。「U-ターン」の標識を通り過ぎて入った奇妙な街で、魅惑の人妻と、彼女の殺しを依頼する夫の板ばさみにあい……。監督:オリバー・ストーン 出演:ショーン・ペン、クレア・デインズ■『マウス・ハント』1時間38分/米(10/23発売:CIC・ビクタービデオ)古い屋敷に乗り込んだ間抜けな兄弟を手玉にとるのはなんと天才ネズミ。特撮を駆使したアニマルコメディ。ドリームワークス作品。監督:ゴア・ヴァービンスキー 出演:ネイサン・レイン、リー・エヴァンス                           [Written by 唯よーじゅ]            [◆◆◆BS&CS今週の3本◆◆◆]                            セレクター:古山 慶---------------------------------------------------------------------------- 10/19(月)『ガキ帝国』 WOWOW(22:00~)----------------------------------------------------------------------------'81年製作。ケンカに明け暮れる不良たちを、井筒和幸監督が当時漫才で人気を博していた紳助竜助を起用して仕上げた作品。本編は、同監督作で青春映画の傑作『岸和田少年愚連隊』にも引けをとらない出来だ。---------------------------------------------------------------------------- 10/19(月)『黒豹のバラード』 SKY MOVIES(深夜3:00~)----------------------------------------------------------------------------ブラック・パワーが西部劇に炸裂した'93年の異色作。何といっても黒人ガンマンたちが主役で、これが格好イイ。白人隊長の仕打ちに耐えかねて軍を脱走した黒人たちが、白人たちに牛耳られていた故郷を救うべく立ち上がる。---------------------------------------------------------------------------- 10/21(水)『デス・ハント』 スター・チャンネル(17:10~)----------------------------------------------------------------------------実話を元にしたC・ブロンソン主演作。男しか出演しない、まさに男くさい映画。北極圏に近い雪山。殺人容疑をかけられた男と、彼を追う騎馬警察隊の隊長との壮絶な戦いを描いた。地味さはあるが、思わず最後まで観ちゃうんだ。                             [◆◆◆COLUMN◆◆◆]============================================================================【世界の終わりとハードとソフト・ワンダーランド(12)】 「新世代3CCD DVカメラ、ソニーDCR-TRV900登場」の巻============================================================================ 東京国際映画祭の噂なんかを聞いたりするとですね、もう秋かぁ、なんて思うわけでして、秋といえば、運動会? 運動会といえば、デジカム? ということで、ソニーが待望の新世代3CCD DVカメラ、DCR-TRV900を出しました。名前にTRVと付いていますから、当然液晶モニター搭載の横型でして、ハンディカムのハイエンド、VX-1000の後継機ではないんですが、何しろ3CCDですから、画質の方はと…えっ? 3CCDって何かって? あら、3CCDをご存じない。お客さん、3CCDゆうたらですね、CCDが3コ付いてるってことですよ、で、画質の方…えっ、CCDって何だ? 困るなぁ、字数オーバーしちゃうでしょ。CCDというのはですね、Charge Coupled Deviceの略でして、光を電気信号に変換する撮像素子のことです。現在は、ほとんどのカメラがCCDを採用してるでしょ。CCDは真空管式の撮像管に比べ感度が高くノイズが少ないし、高集積化によって画素を増やし、解像度を高くできるわけです。で、CCDカメラには、単板式と、輝度信号と色信号を独立させた2板式。それに、R、G、Bの3色をそれぞれ独立させた3板式がありまして、DVの性能をフルに生かすのは、やはり3CCDだと言われてますね。同じソニーのカメラでも単板式と3板式では、画質が明らかに違います。単板式の映像は、輪郭が硬く奥行きが感じられないですね。ふーっ、ですからね、画質にこだわっちゃうユーザーは、3板式のVX-1000を使ってるんですが、まあ、ただ、VX-1000も発売から3年が経過してまして、その間、デジカムは異常とも思える小型化大戦争だったわけです。VX-1000の画質は欲しいけど、もう少し小さければなぁというユーザーの要望、つまり「3CCDの高画質をもっと手軽に」を実現したのが、このTRV900というわけです。そして、VAIO後のデジカムですから、当然パソコンとの親和性も抜群。ソニー独自のニュー・シリコン・メディア「メモリースティック」なるものにも対応してまして、ああッ、ほらっ字数足りなくなっちゃった。だから言ったでしょっての。ということで機能の詳細は次回。 ・Sony Drive  http://www.sony.co.jp/SonyDrive-j.shtml                          [Written by 藤原タカシ]                [◆◆◆THE DAY OF BIRTH(10/17~10/23)◆◆◆]============================================================================10/17 アーサー・ミラー(1915)、リタ・ヘイワース(1918)、岸田森(1939)、    もたいまさこ(1952)10/18 ミリアム・ホプキンス(1902)、チャック・ベリー(1926)、    クラウス・キンスキー(1926)、ジャン=クロード・ヴァン・ダム(1960)、    京野ことみ(1978)10/19 オーギュスト・リュミエール(1862)、ルイ・リュミエール(1862)、    松田洋治(1967)、ジェレミー・ジョーダン(1973)、金子賢(1976)10/20 ベラ・ルゴシ(1882)、ジャン=ピエール・メルヴィル(1917)、    ダニー・ボイル(1956)、山口智子(1964)10/21 -五月みどり(1939)、永島敏行(1956)、渡辺謙(1959)10/22 フランツ・リスト(1811)、カトリーヌ・ドヌーヴ(1943)、    ヤン・デ・ボン(1943)、ジェフ・ゴールドブラム(1952)、松本恵(1982)10/23 ペレ(1940)、サム・ライミ(1959)、伊藤美奈子(1974)▼星座別オススメ映画はwebへのリンクに移行しました。 http://www.cup.com/yoge/tarot/astro/占い協力:TAROT-ASTROLOGY OF THE WEEK▼MOVIE WatchのHP http://www.watch.impress.co.jp/movie/----------------------------◆◆◆ 後記 ◆◆◆----------------------------■怪傑ゾロはやっぱりアラン・ドロンがいい、というと古いといわれる? でも見たのは小学生のころ。一時期チャンバラごっこが「Z」のマーク書きに変わった。 <唯>■自主映画レーベル<プsam@kashi>では、出演してくれる役者さんを募集しています。ちょっとでも興味のある方はanemone@highway.or.jpまでメール下さい。    <藤>■ファンタスティック映画祭のオールナイト&開会式『ヴァンパイア・最期の聖戦』のチケットをゲット!! 31日はホラー漬け。あぁ、嬉しいなー。       <巴>■気まぐれな空模様に翻弄された1週間。秋の映画祭シーズン、夜の急激な冷え込みはあなどれない。楽しかるべき季節、風邪をものともせず駆け抜けたい。   <冴>▼問い合わせ先 ──────────────────────────────movie-watch-info@impress.co.jp    :記事内容 ウォッチ編集部ad-sales@impress.co.jp            :広告関連 インプレス A&Dsales@ips.co.jp  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