◆ＭＯＶＩＥ Ｗａｔｃｈ （毎週金曜日発行：無料）─────────1998-10-9
☆今週のHEADLINE☆─────────────────────────────
●MOVIE Watchリアル・ランキング
MOVIE Watchがオススメする今週の5本（平均値／ライター別評点）
●オススメ封切り情報
『がんばっていきまっしょい』 これが今年の日本映画ベスト・ワンだ
『ブギーナイツ』 '70年代のポルノ映画界を舞台にした正統派の青春映画
『マスク・オブ・ゾロ』 伝説のヒーローが大活躍する西洋チャンバラ活劇
○公開作 CHECK 5本！
『マルセイユの恋』『北京のふたり』 ほか
●MOVIE PADDOCK 出走を待ちわびる新作情報（期待値％つき！）
『イン＆アウト』 '90年代の傑作カミングアウト・コメディ
『出発』 伝説の映画作家、イェジー・スコリモフスキ監督作品 ほか
●映画4人衆
『アベンジャーズ』 優雅で過激なパズルを完成させるのはあなた
●TOPICS
松竹、『日本沈没』をリメイク ほか
●興行成績ベストテン
●オススメVIDEO
『卓球温泉』 万人のマドンナからひとりの女へ変わるときのまぶしさ
『ドーベルマン』 心拍数増大～ブレーキ不在のスーパーバイオレンス
○CHECK 3本！
●BS＆CS今週の3本
●COLUMN
【映画は音楽だ（9）】
もうすぐ公開終了だけど……。フランスの最先端音楽、今と昔
●THE DAY OF BIRTH
●後記
[◆◆◆MOVIE Watchリアル・ランキング◆◆◆]
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現時点での劇場公開作からピック・アップした、MOVIE Watch独自の
採点による上位5作品。今観るならこれだ！
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映画ファンを存分に楽しませてくれた『L.A.コンフィデンシャル』も
終了間近。ランキングを大きく左右しそうな作品も目白押しとあって、
今週末以降のランキングは様変わりの予感。
平均値／ライター別評点（5点満点）
唯 巴 古 冴
1.タイタニック 5.00 5.0 5.0 5.0 5.0
2.L.A.コンフィデンシャル 4.63 4.5 5.0 4.5 4.5
3.イヤー・オブ・ザ・ホース 4.00 4.0 4.0 4.0 4.0
4.リーサル・ウェポン4 3.75 3.5 4.0 4.0 3.5
5.スクリーム2 3.63 4.5 4.0 3.5 2.5
[◆◆◆オススメ封切り情報◆◆◆]
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『がんばっていきまっしょい』 これが今年の日本映画ベスト・ワンだ
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10月10日より公開 '98年／日本／2時間 ◇監督・脚本：磯村一路 ◇原作：敷村良
子 ◇出演：田中麗奈、清水真実、葵若菜、真野きりな、久積絵夢、中島朋子、松尾
政寿、森山良子、白竜、桜むつ子、松尾れい子、本田大輔、大杉蓮 ◇配給：東映
―新宿東映パラス2 11:40/14:00/16:20/18:40（～20:50）
22年前の四国・松山を舞台に、女子高校生5人が作ったボート部の奮闘ぶりを描い
た青春映画。とりたてて大きなドラマもない普通の高校生活の中から、何ものにも
代えがたい青春の断片を切り取る繊細な演出に感激してしまう。既製品の感動を大安
売りする映画が多い中で、この映画のように淡々と物語を積み重ねながら、観客を心
の底から感動させる映画は少ない。今年の日本映画の中でもトップクラスの作品だ。
□OFFICIAL SITE
http://home.bell1.matsuyama.ehime.jp/wnn-c/c/ganba/index.html
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『ブギーナイツ』 '70年代のポルノ映画界を舞台にした正統派の青春映画
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10月10日より全国東宝洋画系にて公開 '97年／アメリカ／2時間35分 ◇監督・脚本
：ポール・トーマス・アンダーソン ◇出演：マーク・ウォルバーグ、バート・レイ
ノルズ、ジュリアン・ムーア、ヘザー・グラハム ◇配給：GAGA
ブルース・リーにあこがれる落ちこぼれ高校生エディは、巨大なイチモツを買われ
てポルノ映画のスーパースターに。だが突然の大きな成功は彼の慢心と増長を生み、
同時にポルノ映画業界もビデオに押されて姿を変えてゆく。主人公の栄光と挫折、喜
劇と悲劇が隣り合わせの人生模様を、きらびやかなファッションとディスコ・ミュー
ジックに乗せて描く人間ドラマ。モチーフはキワモノっぽいがテーマは普遍的なのだ。
□OFFICIAL SITE
http://www.gaga.co.jp/movies/98boogie.html
http://www.boogie-nights.com/
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『マスク・オブ・ゾロ』 伝説のヒーローが大活躍する西洋チャンバラ活劇
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10月10日より全国東宝洋画系にて公開 '98年／アメリカ／2時間17分 ◇監督：マー
ティン・キャンベル ◇音楽：ジェームズ・ホーナー ◇出演：アントニオ・バンデ
ラス、アンソニー・ホプキンス、キャサリン＝ゼタ・ジョーンズ ◇配給：SPE
無声映画の時代から何度も映画化されている『怪傑ゾロ』が、アントニオ・バンデ
ラス主演で現代によみがえった。悪漢に妻を殺され娘を奪われた初代ゾロが、彼を慕
う若者を二代目ゾロに鍛え上げるというひねったストーリー。「正義は必ず勝つ！」
という古風なテーマを、ダイナミックかつスピーディーに描ききった。アイデア満載
のチャンバラシーンには、胸が高鳴り、手に汗を握ること必至。デートに最適です。
□OFFICIAL SITE
http://www.spe.sony.com/movies/zorro/index.html
http://www.toho.co.jp/cinema/mask/welcome-j.html
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○公開作 CHECK 5本！
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★＝注目作 ★★＝見て損はしない ★★★＝これは必見！ （未）＝未見
■『マルセイユの恋』 10月10日よりシネ・ラ・セットにて公開 ★★
古い港町マルセイユの路地裏に住む人々が、中年カップルの恋を応援する人情劇。
□OFFICIAL SITE
http://www.t3.rim.or.jp/~c-quanon/NEW_MOVIE/MARIUS/MARIUS.html
■『北京のふたり』 10月10日より恵比寿ガーデンシネマ他にて公開 ★★
異国で無実の罪に問われても、公平な裁判を受けるのは難しい。ましてや中国では。
□OFFICIAL SITE
http://www.redcorner.com/
■『マーキュリー・ライジング』 10月10日より全国松竹東急洋画系にて公開 ★★
ブルース・ウィリスが自閉症の少年を連れて、政府の秘密組織から逃げるサスペンス。
□OFFICIAL SITE
http://www.mercury-rising.com/
■『友情の翼』 10月10日よりシネマ・カリテにて公開 ★★
第二次大戦中のアイルランドにあった捕虜収容所を舞台にした、異色の戦争映画。
■『イヴの秘かな憂鬱』 10月10日よりSPACE PART3にて公開 ★
テーマはセックス。フェミニストの論文が原作だけに、硬派で理屈っぽい仕上がり。
□OFFICIAL SITE
http://www.pioneer.co.jp/pldc/movie-LD/eve/
[Written by 服部弘一郎]
[◆◆◆MOVIE PADDOCK◆◆◆]
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出走を待ちわびる新作情報を、期待値％つきでお届けします
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■『イン＆アウト』
'99年正月／銀座テアトル西友・シネセゾン渋谷ほか（期待値80％）
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結婚式を3日後に控えた人気教師ハワード。教え子の映画スターが、オスカー受賞ス
ピーチで「先生はゲイだ」とブチ上げたからさあ大変。マスコミの過熱報道で、一躍
ゲイ能人にのし上げられた彼は、全米が注目する中、結婚式当日を迎えるのだったが
……。『リトルショップ・オブ・ホラーズ』のフランク・オズ監督と、『トゥルーマ
ン・ショー』の製作チームが結集、ケビン・クライン、ジョーン・キューザック、
マット・ディロン等そうそうたるメンバーで贈る傑作カミングアウト・ムービー。
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■『出発』
'99年1月14日／渋谷PARCO SPACE PART3にてレイトショー
大阪テアトル梅田・名古屋シネマテークほか順次全国公開（75％）
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ベルギーの街並みを疾走するポルシェ。途切れることなく流れるクリスチアーヌ・ル
グランのシャンソンと、クシシュトフ・T・コメダのジャズ。『男性・女性』のジャ
ン＝ピエール・レオーとカトリーヌ＝イザベル・デュポール演じる恋人たちが彷彿と
させる、'60年代終わりのパリとヌーヴェルヴァーグの記憶……。'60年代前半、ロマ
ン・ポランスキーと共にポーランド新世代の旗手として鮮烈に登場し、J・L・ゴダー
ルにも絶賛された伝説の映画作家、イェジー・スコリモフスキ監督作品。1967年ベル
リン国際映画祭グランプリ、国際批評家大賞を受賞している。
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■『マイ・スウィート・シェフィールド』
'99年正月／銀座シネ・ラ・セット、大阪シネマアルゴ梅田（70％）
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北イングランドのシェフィールドで、失業中のレイが見つけた仕事は、3カ月間で24
キロにわたる鉄塔群を塗り上げるというハードなものだった。陽気な仲間たちと共に
ヨークシャーの荒れ地を塗り進むにつれ、レイは仲間の1人、紅一点の旅人ジェリー
と互いに惹かれ合うようになる……。『フル・モンティ』で注目を集めた若手脚本家、
サイモン・ボーフォイの手による、愛すべき町に暮らす愛すべき人々の物語。監督は
サム・ミラー、出演はピート・ポスルスウェイト（『ブラス！』『ユージュアル・サ
スペクツ』）、レイチェル・グリフィス（『ベスト・フレンズ・ウェディング』『ミ
ュリエルの結婚』）ほか。
[◆◆◆映画4人衆◆◆◆]
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『アベンジャーズ』 優雅で過激なパズルを完成させるのはあなた
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局地的な天候異常が続くイギリス。政府極秘諜報機関"ミニストリー・シークレット
・サービス"は、気象学者のエマ・ピール（ユマ・サーマン）に調査を依頼したが、
何者かによって研究所が襲われ、地球を傘のように覆って外界からの攻撃を防ぐ目的
で研究中の「反物質」が爆破されてしまう。監視カメラに写った犯人らしき人物はエ
マ・ピールにうりふたつ。"ミニストリー・シークレット・サービス"のエージェント、
ジョン・スティード（レイフ・ファインズ）がエマと組み事件の解明に乗り出すが、
浮かび上がったのは、機関の元職員で優秀な科学者のグループ、"ブロリー"の会長、
サー・オーガスト・デ・ウィンター（ショーン・コネリー）の世界征服の陰謀だった
……。
（満点は★5つ／半は★半分）
■ショーン・コネリーの影が薄かったのがファンとしては残念。でも残るふたりのハ
マリ具合は収穫。ユマ・サーマンのナイス後ろ姿に星半分追加。 ★★★★☆<唯>
■変な映画。オシャレ感覚が話に機能しないし、話が宙に浮いているから人物たちが
何をやっても感情移入できない。でもそれも含めて変に英国的？ ★★半☆☆<古>
■確かにオシャレだし。ある種贅沢だし。決して、つまらなかった訳ではないのだけ
ど、楽しむためのスイッチを意識的に押さないとならないのがね。 ★★半☆☆<巴>
■想像力が試されている感じ。受け身でいる限り、スクリーンでたたみかけられる迷
路のような画の隙間にはまってしまう。あなたのノリが映画を救う？★★半☆☆<冴>
□OFFICIAL SITE
http://www.warnerbros.co.jp/movie/avenger/index.htm
http://www.the-avengers.com/
[◆◆◆TOPICS◆◆◆]
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★松竹、『日本沈没』をリメイク
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松竹は、小松左京原作で'73年に配収20億円のヒットとなった『日本沈没』を、『日
本沈没─1999』（大森一樹監督）のタイトルで再映画化することを発表した。日本沈
没の日に展開されるさまざまな人間ドラマを描くこの作品は、総製作費12億円をかけ
て年内に製作開始、来年12月の全国松竹系公開を目標にしている。全編CG合成のスペ
クタクルシーンには、コンピューター・エンターテイメントの専門家、光吉俊二氏、
マルチメディア・プロデューサー、大原伸一氏の協力を得るもよう。
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★新藤兼人監督最新作、『生きたい』が完成
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新藤兼人監督（86）が原作、脚本も手がけた『生きたい』（日本ヘラルド映画配給）
がこのほど完成した。同作品は、監督自身の入院体験も交えて描かれる、現代の「姥
捨て伝説」。喜劇の中に人生を謳いあげる笑いと涙の意欲作で、老人ホーム入りを拒
む父（三國連太郎）と娘（大竹しのぶ）の姿を通して、"老い"を取り巻く、現代社会
のさまざまな問題が浮き彫りになっていく。'95年の『午後の遺言状』以来となる同
作品は、有楽町スバル座ほかにて、来春早々の公開が予定されている。
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★松本零士漫画家生活45周年記念、オリジナル・ビデオ・アニメ製作決定
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バンダイビジュアルは、松本零士漫画家生活45周年記念オリジナル・ビデオ・アニメ
『ハーロック・サーガ／ニーベルングの指環─ラインの黄金─』の製作を発表した。
この作品は、リヒャルト・ワグナーの戯曲「ニーベルングの指環」にヒントを得て、
松本零士自身が執筆した原作を映像化したSF大河アニメ。ワグナーの楽曲をはじめ、
全編を彩る音楽をモスクワで収録、エイベックス・グループが初めてクラシックを手
がけることになる。原作・総設定／松本零士、監督／竹内啓雄、音楽／和田薫、主題
歌プロデューサー／井上鑑、歌／小田木望、声の出演／山寺宏一、池田昌子、関俊彦
ほか。
[◆◆◆興行成績ベストテン◆◆◆]
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上位3本は先週と変わらず。初登場の『アベンジャーズ』は4位。先週8位
だった『愛を乞うひと』は6位に浮上する大健闘ぶり。主演のアントニオ・
バンデラスが来日するなど、プロモーションにも力の入った『マスク・
オブ・ゾロ』とブルース・ウィリスの新作『マーキュリー・ライジング』
が公開される今週末の行方が楽しみ。
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【配収】
1 →（ 1）プライベート・ライアン （ 2週）
2 →（ 2）シティ・オブ・エンジェル （ 4週）
3 →（ 3）ムーラン （ 2週）
4 初（─）アベンジャーズ （ 1週）
5 ↓（ 4）ディープ・インパクト （16週）
6 ↑（ 8）愛を乞うひと （ 2週）
7 →（ 7）L.A.コンフィデンシャル （12週）
8 ↓（ 5）仮面の男 （ 9週）
9 ↓（ 6）あぶない刑事フォーエヴァー （ 4週）
10 ↓（ 9）アナスタシア （ 6週）
興行通信社調べ1998/10/3～1998/10/4（銀座・新宿・渋谷3地区代表館集計）
-------------------------[◆◆◆オススメVIDEO◆◆◆]------------------------
温かさか激しさか。ジンと熱く心にしみとおるオスス
メは『卓球温泉』。心臓に悪いくらい猛烈な刺激が
ほしい人は『ドーベルマン』をどうぞ。
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『卓球温泉』 万人のマドンナからひとりの女へ変わるときのまぶしさ
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【データ】'98年／日本／1時間50分（10/17発売：大映）
監督：山川元 出演：松坂慶子、牧瀬里穂、蟹江敬三
別にケンカしてるわけでもないのに、夫とも息子とも会話のない日常をおくる専業
主婦の園子（松坂）。ある日ラジオの身の上相談でDJ（牧瀬）にそそのかされてフワ
リと家出を決行。行き先は、かつて卓球を通じて美しい思い出を刻んだ旅館。
そして、そこはいまひとつ集客に悩む温泉街でもあった。ただの気晴らしの家出で、
すぐに帰るつもりが、ふと見つけた卓球台と地元の旅館の青年との出会いから、園子
自身もその周りも何かが変わっていく。身の上相談での「わたし、主婦をやる前は女
だったんですよね」という園子の問いかけが、じわりと奥の奥までしみこんで、泣け
るほどまでに生きてくる。
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『ドーベルマン』 心拍数増大～ブレーキ不在のスーパーバイオレンス
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【データ】
'97年／仏／1時間45分（10/21発売：コムストック、テレビ東京、ポニーキャニオン）
監督：ヤン・クーネン 出演：ヴァンサン・カッセル、モニカ・ベルッチ
超小型ミサイルのような改造マグナムで輸送車や銀行を襲う男、通称「ドーベルマ
ン」（ヴァンサン・カッセル）。彼を追うフランス警察の背後で「取り調べ＝拷問」
という倫理感ゼロの警視が勝手に動きまわり、ドーベルマンとの対決へと暴走する。
おそれも遠慮もない激しいバイオレンス描写にもかかわらず、見終わると妙な壮快感
すらある。それは、悪人たちもまた（人は殺すくせに）愛する者を命がけで愛すると
いう、利己的な中の一片の真実と、極悪の中で「超極悪」が裁かれる地獄的正義を、
ヴァンサン・カッセルの長いマツゲの憎めない目が物語るからだろう。
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○CHECK 3本！
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■『てなもんや商社』1時間37分／日本（10/21発売：松竹ホームビデオ）
中国出張するハメになったOLの奮戦ぶりを描いた、元気になれそうなコメディ。
監督：本木克英 出演：小林聡美、チェン・コーナン、渡辺謙、桃井かおり
■『SADA』2時間12分／日本（10/21発売：松竹ホームビデオ）
昭和史に残る女、男を情事の末に殺し、局部を切り取ったという阿部定の半生。
監督：大林宣彦 出演：黒木瞳、椎名桔平、片岡鶴太郎、嶋田久作
■『上海グランド』1時間36分／香港（10/21発売：ポニーキャニオン）
30年代の上海を舞台にアクションとともに描かれる、男たちの対立と友情。
監督：ツイ・ハーク 出演：アンディ・ラウ、レスリー・チャン、ニン・チン
[Written by 唯よーじゅ]
[◆◆◆BS＆CS今週の3本◆◆◆]
セレクター：歩知
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10/11（日）『エビータ』 WOWOW（13：00～）
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20世紀中頃のアルゼンチンを舞台に、貧困の中から這いあがり、大統領夫人にまで上
り詰めたエバ・ペロンの壮絶な人生を描いたミュージカル映画。サントラは聞きごた
え十分。出演はマドンナ、アントニオ・バンデラスほか。
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10/13（火）『喝采の陰で』 SKY CINEMA（15：00～）
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前妻の子、2度目の妻の連れ子と共に4人で生活する劇作家。家族との愛情と苦闘を、
優しさいっぱいに描いた作品。『クレイマー・クレイマー』にも似た本作の主人公は
なんと、あのアル・パチーノ。恐くないパチーノもいい。
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10/15（木）『アラン・ドロンのゾロ』 NHK衛星第2（20：00～）
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「ゾロ」といえば、イイ男が黒マスクで悪漢を倒すヒーローもの。イイ男が顔を半分
隠してミステリアスな魅力で活躍するからカッコイイのだ。主演はアラン・ドロン。
今週末公開の『マスク・オブ・ゾロ』では、アントニオ・バンデラスが演じている役
どころ。ドロン VS バンデラス、イイ男の軍配はどっちにあがるかチェック。
[◆◆◆COLUMN◆◆◆]
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【映画は音楽だ（9）】
もうすぐ公開終了だけど……。フランスの最先端音楽、今と昔
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◆『アンナ／オリジナル・サウンドトラック』
（マーキュリー・ミュージックエンタテインメント／PHCA-1060／税抜価格\2,427）
'66年にフランス国営放送によりTV映画として制作されたがフィルムはないといわれ、
長らく幻とされていたフレンチ・ミュージカル『ANNA』。それがこの秋劇場公開され
たのも凄いが、そのサントラ盤も、本国においても貴重盤とされていた音源だ。作曲
はすべてセルジュ・ゲンスブール。この作品では出演も果たしている。しかしゲンス
ブールはこの頃、'60年代後半から'70年代にかけてが本当にイイ。再発されたブリ
ジット・バルドーとのTV映画サントラも同じくイイ出来だし。しかしその後、後期に
なるとロリータおやじ然としてしまうのだが。このサントラの魅力は、主演女優であ
るアンナ・カリーナが16曲中7曲もヴォーカルをとっていること。それからもうひと
つ、このCDのイイところ。それは昔のLPレコードのようにボール紙で出来たジャケに
CDを挟み込む体裁になっているところ。どうしてこういうCDがもっと増えないのかな？
◆『TAXi／オリジナル・サウンドトラック』
（エピック／ESCA-7316／税抜価格\2,400）
リュック・ベッソンが製作と脚本を務めたということで話題を集めた、カーチェイ
ス・アクションのフランス映画。ところでこのサントラは映画にも増してスゴい。フ
ランスの音楽といっても日本では未だ「フレンチ・ポップス」か「シャンソン」。し
かし、かの地でのヒップホップの浸透度はすごいらしい。この作品で全面的に関わり、
自らの曲も収録されている"IAM（アイアム）"はフランスでもトップの人気を誇るグ
ループだ。しかもどの曲もアンダーグラウンドでとてもハードコアなラップ。これは
日本でも時々報道されるフランスの人種問題にも絡んで生み出されてきたものであろ
う。ただし収録曲はフレンチ・ラップだけではなく、日本のクラブシーンでも人気の
UKソウルディーバ、デニ・ハインズも2曲収められている。ところで、この1枚には実
際、画面上では流れない曲が半分近く入っている。でもそのことで、このアルバムが
フレンチ・ラップのショウケース的に聴くことが出来るものになっているのも事実。
[Written by 大竹利実]
[◆◆◆THE DAY OF BIRTH（10/10～10/16）◆◆◆]
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10/10 ウィリアム・フォレスト（1902）、ジャニス・カーター（1913）、
セロニアス・モンク（1917）、羽仁進（1928）、
ジェシカ・ハーパー（1949）、風見しんご（1962）、佐藤仁美（1979）
10/11 麻丘めぐみ（1955）、ジョーン・キューザック（1962）、
星野有香（1972）、金城武（1973）
10/12 ルチアーノ・パヴァロッティ（1935）、江原真二郎（1936）、
ともさかりえ（1979）
10/13 伊藤大輔（1898）、イヴ・モンタン（1921）、
ドゥシャン・マカヴェイエフ（1932）、ポール・サイモン（1941）、
大和田獏（1950）、ジョン・ローン（1952）、金田明夫（1954）、
クリス・カーター（1957）、松嶋菜々子（1973）、鳥羽潤（1978）
10/14 リリアン・ギッシュ（1893）、ロジャー・ムーア（1927）、
ラルフ・ローレン（1939）、トーマス・ドルビー（1958）、永作博美（1970）
10/15 江波杏子（1942）、タニヤ・ロバーツ（1954）
10/16 オスカー・ワイルド（1854）、大山のぶ代（1936）、
ティム・ロビンス（1958）、エルザ・ジルベルシュタイン（1969）、
土屋久美子（1969）
▼星座別オススメ映画はwebへのリンクに移行しました。
http://www.cup.com/yoge/tarot/astro/
占い協力：TAROT-ASTROLOGY OF THE WEEK
▼MOVIE WatchのHP
http://www.watch.impress.co.jp/movie/
----------------------------◆◆◆ 後記 ◆◆◆----------------------------
■秋、映画館によって体感温度がまちまちの季節。服装は調節が利くようにしたいな
と。暑いとちょっとのハズミで眠くなるし、寒いと映画どころじゃなくなるし。<唯>
■東京国際映画祭が近づいてきた。なにが楽しみって、やっぱりそれはホラーオール
ナイト！ このために（わざわざ）田舎から親友が遊びに来るのだー。 <巴>
■広い秋空の下、エマ・ピールのように颯爽とJAGUAR E-TYPEをぶっ飛ばせたら気持
ちいいだろうなあ。……でも、国内じゃ無理か（苦笑）。 <冴>
▼問い合わせ先 ──────────────────────────────
movie-watch-info@impress.co.jp ：記事内容 ウォッチ編集部
ad-sales@impress.co.jp ：広告関連 インプレス Ａ＆Ｄ
sales@ips.co.jp ：配信先等 インプレス販売
▼購読中止・配信先変更 ──────────────────────────
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内にしたがって、中止・変更をしてください。なお、メンバーID等が不明なときは、
sales@ips.co.jpまでご連絡ください。
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発行人 塚本慶一郎／編集人 井芹昌信
発行 株式会社インプレス
〒102-0075 東京都千代田区三番町20
編集：デラ・ジャパン株式会社（紺野美樹、服部弘一郎、唯洋樹、菊池朋子）
Copyright(C) 1997-1998 Impress Corporation.
MOVIE Watchに掲載された記事を許可なく転載することを禁じます
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