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☆今週のHEADLINE☆─────────────────────────────

●MOVIE Watchリアル・ランキング
 MOVIE Watchがオススメする今週の5本(平均値/ライター別評点)

●オススメ封切り情報
 『アベンジャーズ』 見るほうにも、気持ちのゆとり&洒落っ気が必要です
 『エベレスト』 無慈悲で気まぐれで神々しい世界最高峰の素顔
 『リバース』 同じ失敗は繰り返される。されど失敗は成功の母である
 ○公開作 CHECK 5本!
 『エクセス・バゲッジ/シュガーな気持ち』『イノセントワールド』 ほか

●MOVIE PADDOCK 出走を待ちわびる新作情報(期待値%つき!)
 『187』 黒人教師ガーフィールドと荒んだ生徒たちの心の邂逅
 『あ、春』 『夏の庭』以来4年ぶりの相米慎二監督作  ほか

●映画4人衆
 『プライベート・ライアン』 戦場のリアリティーがスクリーンの上をひた走る

●TOPICS
 「第11回東京国際映画祭」、開催 ほか

●興行成績ベストテン

●REVIEW
 『Four Fresh! 98』 映画美学校が製作・配給を手がけた4作品

●オススメVIDEO
 『ケビン・スペイシー 告発弁護人』 多様な正義の坩堝にも溺れなかった男
 ○CHECK 5本!

●BS&CS今週の3本

●COLUMN
 【城戸朱理のシネマ・クローゼット(9)】 ボンドのスーツはイタリア製!?
 
●THE DAY OF BIRTH

●後記

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   先週末、ダントツ1位で興行成績ベストテンになぐり込みをかけた
   『プライベート・ライアン』は、惜しくも6位でランクインならず。
   いろいろなタイプにマッチした作品が公開される今週末の行方や
   いかに!?
             平均値/ライター別評点(5点満点)

                  唯  巴  古  冴
 1.タイタニック       5.00  5.0  5.0  5.0  5.0
 2.L.A.コンフィデンシャル  4.63  4.5  5.0  4.5  4.5
 3.イヤー・オブ・ザ・ホース 4.00 4.0  4.0  4.0  4.0
 4.リーサル・ウェポン4    3.75 3.5 4.0 4.0 3.5
 5.スクリーム2        3.63 4.5 4.0 3.5 2.5

                    [◆◆◆オススメ封切り情報◆◆◆]
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『アベンジャーズ』     見るほうにも、気持ちのゆとり&洒落っ気が必要です
──────────────────────────────────────
10月3日より全国松竹東急洋画系にて公開 '98年/アメリカ/1時間29分 ◇監督:
ジェレマイア・チェチック ◇脚本:ドン・マクファーソン ◇出演:レイフ・ファ
インズ、ユマ・サーマン、ショーン・コネリー ◇配給:ワーナー

 原作は'60年代にテレビ放映され、世界中で大人気となったものの、なぜか日本で
はさっぱり人気が出ないままポシャった英国製スパイ・コメディ。絵に描いたような
英国人の伊達男と、絵に描いたようなセクシー美女が、絵に描いたような悪党と、絵
に描いたようなスパイ活劇を演じ、絵に描いたような勝利を収める物語だ。ノリはほ
とんど「タイム・ボカン」シリーズ。真面目な人は怒ってしまいかねない痛快作だ。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.warnerbros.co.jp/movie/avenger/index.htm
  http://www.the-avengers.com/
──────────────────────────────────────
『エベレスト』          無慈悲で気まぐれで神々しい世界最高峰の素顔
──────────────────────────────────────
10月3日より公開 '98年/アメリカ/46分 ◇製作・監督:グレッグ・マクギリブレ
イ ◇製作・撮影:デビッド・ブリーシャーズ ◇音楽:ジョージ・ハリスン ◇出
演:エド・ヴィエスチャーズ他 ◇配給:フィルミック・ヴィンヤード
 ―東京アイマックス・シアター 12:00/14:20/16:40/19:00

 ヒマラヤ山脈にそびえる世界最高峰エベレストに、アイマックスの大型カメラを持
ち込んだドキュメンタリー映画。最近は装備も近代的になり、登頂も楽になったので
は……、というのはまったくの素人考え。幾度も登頂を経験したベテランの登山家た
ちも、急激な天候変化であっという間に命を落とすのがエベレストだ。この映画の撮
影中も、他の登頂隊が遭難死している。エベレストは今も神々の住む領域なのだ。
 □SONY MUSIC ONLINE JAPAN MOVIE PAGE "Everest"
  http://www.sme.co.jp/Movie/IMAX/Everest/index.html
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『リバース』       同じ失敗は繰り返される。されど失敗は成功の母である
──────────────────────────────────────
10月3日より公開 '97年/アメリカ/1時間34分 ◇監督:ルイス・モーニュー
◇脚本:フィリップ・バジャー、ロバート・シュトラウス ◇出演:ジェームズ・ベ
ルーシ、カイリー・トラビス、シャノン・ウィリー ◇配給:ギャガ・コミュニケー
ションズ
 ―銀座シネパトス 11:30/13:20/15:10/17:00/18:50(~20:30)

 突然目の前で起こった殺人事件に巻き込まれた女刑事が、政府の秘密研究所にある
タイムマシンで過去に戻り、事件を未然に防ごうと奮戦する。ところが、戻ったのは
わずか20分前。女刑事が事態を丸く収めようとすればするほど、事件はますますエス
カレートしてしまう。はたして彼女は人々を救うことができるのか? 同じ時間を何
度も繰り返す傑作ラブ・コメディ『恋はデジャ・ブ』のサスペンス版のような作品。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.gaga.co.jp/movies/98revers.html
 □STORY
  http://www.werde.com/movie/new/reverse.html#STORY
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○公開作 CHECK 5本!
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★=注目作 ★★=見て損はしない ★★★=これは必見! (未)=未見

■『エクセス・バゲッジ/シュガーな気持ち』
                 10月3日より松竹セントラル3にて公開 ★★
太ってもかわいいアリシア・シルバーストーン主演のスクリューボール・コメディ。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.spe.sony.com/movies/excessbaggage/index.html

■『イノセントワールド』 10月3日よりシネ・アミューズにて公開 ★
異父兄と旅する女子高生が、父をたずねて三千里……。伊藤かずえが意外な好演。
 □OFFICIAL SITE
  http://www1.sphere.ne.jp/there-s/innocent/index.htm

■『ピガール』 10月3日よりユーロスペースにてレイト公開 ★★
パリの歓楽街ピガール地区に住む人々を、ドキュメンタリー・タッチで描いた問題作。

■『プライベート・ライアン』 全国東宝洋画系にて公開中 ★★★
スピルバーグの作品中でもベスト3に入る傑作。戦争と人間の真実に迫る2時間50分。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.toho.co.jp/cinema/ryan/welcome-j.html

■『愛を乞うひと』 全国東宝系にて公開中 ★★★
暴力に理屈はいらない。愛情にも理屈はいらない。原田美枝子の演技がすべてを語る。
 □OFFICIAL SITE
  http://toho-group.co.jp/movie/aikou/welcome-j.html
                           [Written by 服部弘一郎]

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■『187』
11月下旬/松竹セントラル2ほか全国松竹洋画系(期待値80%)
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代理教師としてロサンゼルスの高校に赴任してきた黒人教師ガーフィールド(『パル
プ・フィクション』『ジャッキー・ブラウン』のサミュエル・L・ジャクソン)。か
つて不良生徒に刺され、心身共に深い傷を負いながらも教育に情熱を傾け続ける彼が
ハイスクールで見たものは、暴力とドラッグに自己表現を託すしかない、心の荒んだ
生徒たちだった……。「187」とは、カリフォルニア州の刑法で殺人罪の条項番号に
あたり、殺人を示すスラングとして使われている。ケヴィン・レイノルズ監督作。
──────────────────────────────────────
■『あ、春』
12月19日/テアトル新宿(65%)
──────────────────────────────────────
『夏の庭』以来4年ぶりの相米慎二監督作。今の時代を生きる哀しみ、家族のはかな
さ、人間のしなやかさを描き、今までとは一風変わった作品に仕上がっている。出演
は、佐藤浩市、斉籐由貴、山崎努ほか。
──────────────────────────────────────
■『モーテルカクタス』
今冬/キネカ大森(75%)
──────────────────────────────────────
モーテルカクタス407号室。閉鎖的な異空間で、哀しみや孤独感の中繰り広げられる
若いカップルたちの倦怠感、別れ、再会……。韓国の新鋭パク・キヨン監督と、撮影
のクリストファー・ドイル(『恋する惑星』『ブエノスアイレス』)によって描き出
されたオムニバス・ストーリー。出演は、チョン・ウソン(『クミホ/千年愛』『上
海グランド』)、ジン・ヒギョンほか。

                         [◆◆◆映画4人衆◆◆◆]
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『プライベート・ライアン』 戦場のリアリティーがスクリーンの上をひた走る
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1944年6月6日、第二次大戦下のフランス・ノルマンディの海岸、オマハビーチに上
陸を試みたジョン・ミラー大尉(トム・ハンクス)率いる米第2レンジャー大隊C中
隊。ドイツ軍の未曾有の抵抗にあい、地獄の戦場をくぐり抜けた彼らに与えられた
新たな使命は、3人の兄を戦闘で一度に失った、生死不明の第101空挺師団所属ジェー
ムズ・ライアン2等兵(マット・デイモン)を救出せよという過酷なものだった……。
                                            (満点は★5つ/半は★半分)

■戦闘シーンは手に汗握ったが結局戦争エンタメで終わる。問題提起はいいけど『七
人の侍』の「農民への還元」などには及ばず「死」の空しさも蒸発。★★★半☆<唯>

■この残酷さは戦場の真の光景とも言えるが、実はそれ以上にスピルバーグは残酷だ
ということ。だって彼はエゲツないこと大好きなホラー監督なんだ。★★★★☆<古>

■戦闘シーンのこだわりはスゴイの一言。大作・力作。でも、視覚への刺激は強かっ
たものの、心への刺激は受けなかった。求めてはいけなかったの? ★★★半☆<巴>

■臓腑に染み入る生々しさを長時間追いかけねばならなかった観客の視点は、各々が
堪えられるギリギリの位置で固定され、ドラマにすら揺れなくなる。★★半☆☆<冴>

 □OFFICIAL SITE
  http://www.toho.co.jp/cinema/ryan/welcome-j.html

                            [◆◆◆TOPICS◆◆◆]
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★「第11回東京国際映画祭」、開催
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9月28日、財団法人東京国際映像文化振興会主催「第11回東京国際映画祭」記者会見
が、多数の報道陣・関係者が詰めかける中、東京會館ロイヤル・ルームにて大々的に
行われた。会見は、自主企画である「東京国際映画祭」全般に関するものと、協賛
企画である「ジャックスカード東京国際ファンタスティック映画祭'98」、「カネボ
ウ国際女性映画週間」、今回初登場の「英国映画祭」、「シネマプリズムビデオプ
ログラム」、「インターナショナル・フラワーアレンジメント・フェアー'98」に
関するものの2部構成で行われ、実施概要、新企画、さらには来日予定者(『ジョー
・ブラックをよろしく』(原題 "Meet Joe Black" )に出演したブラッド・ピット
も訪日が見込まれている)などが発表された。1部冒頭、岡田茂氏(「東京国際映画
祭」実行委員長)が語った「映画とは、国境のない言葉である」という一言が象徴
するように、今年も様々な国の作品(去年同様アジア作品が目立つ)が寄せられ、
協賛企画のほうでも、それぞれの特徴が生かされた企画上映が多数用意されている。
10月31日(土)(「英国映画祭」のみ10月24日(土)初日)から11月8日(日)の
開催期間9日間で、160本余りの上映が予定されている。

 □「第11回東京国際映画祭」
  http://www.tokyo-filmfest.or.jp
 □上映会場・スケジュール速報
  http://www.werde.com/movie/festival/tiff_schedule.html
 □「ジャックスカード東京国際ファンタスティック映画祭'98」
  http://www.niftyserve.or.jp/fanta/tokyo/index.htm

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★『ラッシュアワー』、2週連続全米1位
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ギャガ・ヒューマックス配給で、来春国内公開が予定されている『ラッシュアワー』
(原題"Rush Hour"/クリス・タッカー、ジャッキー・チェン主演)が、9月18~20日
のオープニング3日間で3,100万ドルを記録、『プライベート・ライアン』『タイタ
ニック』のオープニング記録を上回る好調なスタートを切った。2週目に入っても首
位を譲らず、名実共に、ジャッキー・チェンのハリウッド本格進出第1作となった。
 □OFFICIAL SITE "Rush Hour"
  http://www.lycos.com/rush/index.html
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★『QUEEN VICTORIA/至上の恋』、公開決定
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「第11回東京国際映画祭」の協賛企画、「英国映画祭」への出品が予定されている
『QUEEN VICTORIA/至上の恋』(原題"Mrs.Brown")が、来春、文化村ル・シネマ
で公開されることになった。大英帝国女王ヴィクトリアと、スコットランド出身の
従僕ジョン・ブラウンの純愛を描いたこの作品で、主演のジュディ・デンチはアカ
デミー賞主演女優賞にノミネートされたほか、ゴールデングローブ賞、シカゴ映画
批評家協会賞、イギリス・アカデミー賞などで主演女優賞を獲得している。

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                     [◆◆◆興行成績ベストテン◆◆◆]
============================================================================
   『プライベート・ライアン』が2位以下を大きく突き放しての首位。
   座席数4ケタ規模の劇場でも、立ち見が出る盛況ぶり。ディズニーの
   『ムーラン』は3位、原田美枝子が母娘二役を演じて圧倒の『愛を乞
   うひと』も8位と健闘している。
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  【配収】
 1 初(─)プライベート・ライアン           ( 1週)
 2 ↓( 1)シティ・オブ・エンジェル          ( 3週)
 3 初(─)ムーラン                  ( 1週)
 4 ↓( 2)ディープ・インパクト            (15週)
 5 ↓( 4)仮面の男                  ( 8週)
 6 ↑( 8)あぶない刑事フォーエヴァー         ( 3週)
 7 ↓( 5)L.A.コンフィデンシャル           (11週)
 8 初(─)愛を乞うひと                ( 1週)
 9 →( 9)アナスタシア                ( 5週)
 10 ↑(11)スクリーム2                 ( 7週)

 興行通信社調べ1998/9/26~1998/9/27(銀座・新宿・渋谷3地区代表館集計)

                          [◆◆◆REVIEW◆◆◆]
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『Four Fresh!'98』 映画美学校が製作・配給を手がけた4作品
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 映画美学校が製作・配給を手がけた『Four Fresh!'98』(9月26日から2週間、渋谷
のユーロスペースにてレイトロードショー上映中)。2作品ずつ各1週間の上映予定で
組まれたプログラムのうち、10月2日まで上映されているのが古澤健の『怯える』と
松本知恵の『はるのそら』の2作品だ。古澤健はこれまでにもPFFで脚本賞を受賞する
など、4人の中では唯一映画作りの経験をもつ26歳。一見ごく平凡な主人公の元に、
彼がかつて繰り返していた通り魔事件の様子を収めたビデオテープが送られてきたと
ころから事件が始まる。主人公はビデオを楯に、通り魔を続けるよう強制されて……。
すでに失われつつある日常と非日常の境界、その曖昧さが世情を反映したストーリー
を通じて、読後感のように残るところが観客の興味をそそるのではないだろうか。今
回唯一、女性監督の作品『はるのそら』。デザイン事務所に勤める主人公と恋人の日
常を、我々の多くが漠然と抱いている閉塞感も含めてそのままに映し出した監督の目
線が清々しい作品。2人のケンカのシーンなど、何気ないところでふっと笑ってしま
えるリアルさが全編にあふれている。
 10月3日から9日まで上映されるのは伊藤晋の『死臭のマリア』と稲見一茂の『鼻の
穴』。アパートの隣室に空き巣に入ろうとして、主人公は突発的に隣人の女を殺して
しまう。隣を訪ねてくる彼女の妹を何とかだましながら日を過ごしていくものの、死
体は腐臭を放ち始め……。鬱々とした主人公が最後にとった行動は、果たして彼の罪
の意識を救うものであったのか。『死臭のマリア』のラストは、監督が自らに問いか
けているようにも見える。
 『鼻の穴』を撮った稲見一茂は、4人の中で最も若い22歳。赤い玉をめぐって翻弄
される3人が置かれた状況、その不条理についていけるかどうかが好き嫌いをはっき
り分けそうな作品だが、ストーリー説明を拒むような大胆な場面展開にセンスが表
れている。
                           [Written by 塚田恭子]

-------------------------[◆◆◆オススメVIDEO◆◆◆]------------------------
     ケビン・スペイシーの初主演作が登場。その後のどの作品よ
     りも貫禄があるのではないかと思われる堂々の演技は、ファ
     ンなら必見。作品そのものももちろんオススメ。
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『ケビン・スペイシー 告発弁護人』 多様な正義の坩堝にも溺れなかった男
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【データ】'91年/米/1時間45分(10/7発売:マクザム)
監督:ジョン・デヴィッド・コールズ 出演:ケビン・スペイシー

 『セブン』『ユージュアル・サスペクツ』で十分な存在感を確立しながらも、それ
ら代表作の影をも薄めんばかりに、新作で次々と新しい渋さを見せるケビン・スペイ
シーの初主演作品。19世紀の終わりのシカゴ、鉄道会社の顧問弁護士だった実在の男、
クラレンス・ダロウ。組合のスト潰しのために会社が行った不正、その結果の惨事に
直面したダロウは鉄道会社に辞表を出し、組合の指導者に会う。社会には資本家と労
働者の正義がぶつかりあい、団結したかに見えた労働者同士の正義さえも多様に渦巻
いていた。法律で人の命を救うべしという自分の信じる道を頑固に突き進み、挫折や
裏切りに傷つきながらも己の理想を全うした名弁護士の人生を、今とはまた全然違う
ずんぐりむっくりスタイルのケビン・スペイシーが文字どおり堂々と演じきる。
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○CHECK 5本!
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■『裸足のトンカ』1時間53分/仏(10/9発売:アスミック)
走ることに野性的素質を持った少女を発見した、陸上競技の名選手。少女に基礎から
教えこむうちに芽生える愛情。
監督・主演:ジャン・ユーグ・アングラード 出演:パメラ・スー

■『名探偵コナン 14番目のターゲット』1時間34分/日本(10/9発売:東宝)
主人公の可愛さで大人の女性ファンをゲットしたアニメ『名探偵コナン』の劇場版第
2作。お約束ながらいろいろな秘密も明かされるためファン必見。
監督:こだま兼嗣 声:高山みなみ、山崎和佳奈、神谷明、茶風林

■『大安に仏滅!?』1時間47分/日本(10/9発売:東宝)
ようやくマイホームを手に入れたサラリーマン一家。長女はまもなく結婚。ところが
その家は欠陥住宅だった!?。「ホーム・トラブル・コメディー」なる騒動記。
監督:和泉聖治 出演:橋爪功、吉行和子、酒井美紀、金子賢、斉藤陽子

■『ゴッド・アーミー 復讐の天使』1時間23分/米(10/9発売:東映ビデオ)
『ゴッド・アーミー 悪の天使』の続編。天使と悪魔の戦いと、悪の天使の子を身ご
もった女性の恐怖を描く。日本未公開作品。
監督:グレッグ・スペンス 出演:クリストファー・ウォーケン

■『イン・ゴッズ・ハンズ』1時間37分/米
(10/3発売:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント)
伝説の波を求め旅する青年たち。名サーフィン選手が多数出演。X-JAPANのYOSHIKIが
音楽に参加。日本未公開作品。
監督:ザルマン・キング 出演:マット・ジョージ、マティ・ルー
                           [Written by 唯よーじゅ]

            [◆◆◆BS&CS今週の3本◆◆◆]
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 10/4(日)『ファングルフ 月と心臓』 WOWOW(10:00~)
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パリを訪れたアメリカ人青年。飛び降り自殺を図った美女を助けたことから、その女
性に恋してしまう。しかし、それは恐怖への入り口だった。秀作『ミュート・ウィッ
トネス』の監督、アンソニー・ウォラーが描いた狼人間の物語。
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 10/7(水)『スローターハウス5』 CSN1ムービーチャンネル(21:00~)
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『プライベート・ライアン』公開中、ということでこれ。第二次世界大戦に出征し、
戦後は実業家で成功した主人公。彼には、過去、現在、未来を行き来する能力があっ
た。しかし常に戻る過去とは、彼が遭遇した無差別爆撃の現場だった……。戦争を映
画的に語るとこうなる、いい例といえるだろう。
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 10/8(木)『ジーザス・クライスト・スーパースター』 NHK衛星第2(20:00~)
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イスラエルの砂漠。バスが停まる。バスから降りた人たちが、なんと砂漠にセットを
組み始める。「え?」と思って見ていると、おもむろに歌い踊り出すのであった……。
イエス・キリスト最後の7日間をロック・ナンバーで語ったミュージカルの異端作。

                          [◆◆◆COLUMN◆◆◆]
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【城戸朱理のシネマ・クローゼット(9)】
 ボンドのスーツはイタリア製!?
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★対ハリウッドのイギリスの秘密兵器といえば……

 ハリウッド映画が世界市場を制してしまった現状の中、それこそ対ハリウッド的な
スタイルでいまだに健闘している007シリーズは立派。今やこの映画には、イギリス
の威信がかかっているのでは、と思わせる。
 『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』では、東西冷戦の終結とともになくなってしま
った敵国に代わって、メディアの帝王、カーヴァーが悪役に。この男、何ともイマジ
ネーションが豊かで、中国とイギリスの間で戦争を起こさせ、その様子を独占報道し
ようと企む。それを阻止しようとするのが、007、ジェームス・ボンドという物語。
 とにかく、派手。のっけから兵器密売市場に潜入したボンドは、戦闘機を盗んで兵
器を破壊するが、こんなことはシュワルツェネッガーでさえオシマイのほうでしか
やらないぞ。その上、高層ビルからのダイブありと、まさにハリウッドばりのジェッ
トコースター感覚。見終わった後、あまり印象に残らないのもいつもと同じか(笑)。

★ボンドのスーツはイタリア製!?

 ボンドといえば、ダンディでプレイボーイ。わが国の「背広」の語源となったサ
ヴィル・ロウの一流テーラーで入念に仕立てられたスーツに身を包み、といった設
定。英国はMI6の諜報員なのだから、英国製スーツは当然と思っていたら、なんと
ピアース・ブロスナンが『ゴールデン・アイ』でボンドを演じるときから、スーツ
はイタリア製になっていた。
 しかも、アルマーニといったデザイナーによるモーダ系ではなく、職人気質に裏
打ちされたクラシコ・イタリアの雄、ベルベスト社のもの。クラシコ・イタリアは
19社から構成され、ハンドワークを生かした男性用の高級ファッションを提供する。
昨今の日本の若い男性の、3つボタンのスーツにワイドカラーのシャツ、太めに結
んだネクタイといったスタイルも、クラシコ・イタリアをお手本にしたもの。英国
で生まれたメンズ・スーツも、今やベーシックはイタリア、のようだ。
 この作品ではロジャー・スポティスウッド監督がスピーディで巧みな演出を見せ
てくれるが、これもイタリア風の軽妙さを加味した結果、だろうか。
                            [Written by 城戸朱理]

                 [◆◆◆THE DAY OF BIRTH(10/3~10/9)◆◆◆]
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10/ 3 ジュリアン・デュヴィヴィエ(1896)、ネイヴ・キャンベル(1973)、
    白竜(1952)、石田ゆり子(1969)、真木蔵人(1972)

10/ 4 バスター・キートン(1895)、チャールトン・ヘストン(1924)、
    スーザン・サランドン(1946)

10/ 5 西岡徳馬(1946)、やしきたかじん(1949)、ボブ・ゲルドフ(1951)、
    黒木瞳(1960)、ガイ・ピアース(1967)、ケイト・ウィンスレット(1975)

10/ 6 松田美由紀(1961)、エリザベス・シュー(1963)

10/ 7 室田日出男(1937)、ボビー・ブラウン(1969)、井筒森介(1972)

10/ 8 三田佳子(1941)、ジャン・ジャック・ベネックス(1946)、
    田口浩正(1967)、マット・デイモン(1970)、中山エミリ(1978)

10/ 9 ジョン・レノン(1940)、マイケル・パレ(1959)、
    ショーン・レノン(1975)

▼星座別オススメ映画はwebへのリンクに移行しました。
 http://www.cup.com/yoge/tarot/astro/
占い協力:TAROT-ASTROLOGY OF THE WEEK

▼MOVIE WatchのHP
 http://www.watch.impress.co.jp/movie/

----------------------------◆◆◆ 後記 ◆◆◆----------------------------
■ノルマンディーはホントいいとこ。コタンタン半島が最高オススメだけど、その先
のシェルブールは上陸作戦時に完全破壊された街。壊れた建物がまだ残ってた。<唯>

■マイケル・ダーナの音楽が印象的な、アン・リー監督の新作『アイス・ストーム』。
ラスト、ボロボロ涙が溢れて仕方なかった。でもなぁ、辛すぎるよ。     <巴>

■たとえ好みは分かれても、観客を3時間近くスクリーンに惹き付けて離さないのは
スピルバーグだからこそ。表現の礎を着実に築いてきた人に感服。      <冴>

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