◆MOVIE Watch (毎週金曜日発行:無料)─────────1998-9-25

☆今週のHEADLINE☆─────────────────────────────

●MOVIE Watchリアル・ランキング
 MOVIE Watchがオススメする今週の5本(平均値/ライター別評点)

●オススメ封切り情報
 『プライベート・ライアン』 スピルバーグこそ黒澤明の正統な後継者だ!
 『愛を乞うひと』 原田美枝子の鬼婆ぶりにマジで鳥肌が立つ!
 『犬、走る/DOG RACE』 アウトローの世界をキュートに描いた崔洋一の最新作
 ○公開作 CHECK 5本!
 『生きない』『ラスト・ウェディング』 ほか

●MOVIE PADDOCK 出走を待ちわびる新作情報(期待値%つき!)
 『インフィニティ/無限の愛』 マシュー・ブロデリック初監督作品
 『精霊の島』 1950年代のレイキャヴィクで生きる家族の物語 ほか

●映画4人衆
 『シークレット/嵐の夜に』 分かち合う傷の痛みが、絆を深める哀しさ

●TOPICS
 映画美学校製作・配給『FOUR FRESH!』公開 ほか

●興行成績ベストテン

●オススメVIDEO
 『マッド・シティ』 ねじ曲げられる真実と、踊る街に怒る
 ○CHECK 4本!

●BS&CS今週の3本

●ESSAY
 【映画のノイジオグラフィー ~音響の博物誌(9)】
 アカデミーの音響史(3)ロバート・ニュードソン

●THE DAY OF BIRTH

●後記

                [◆◆◆MOVIE Watchリアル・ランキング◆◆◆]
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    現時点での劇場公開作からピック・アップした、MOVIE Watch独自の
        採点による上位5作品。今観るならこれだ!
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  新作本数が控えめだった先週末だが、『イヤー・オブ・ザ・ホース』が
  3位にランクイン。ニール・ヤング&クレイジー・ホースへの惚れ込み
  ようが、如実に反映されたジャームッシュの画に観る者までワクワク。

             平均値/ライター別評点(5点満点)

                  唯  巴  古  冴
 1.タイタニック       5.00  5.0  5.0  5.0  5.0
 2.L.A.コンフィデンシャル  4.63  4.5  5.0  4.5  4.5
 3.イヤー・オブ・ザ・ホース 4.00 4.0  4.0  4.0  4.0
 4.リーサル・ウェポン4    3.75 3.5 4.0 4.0 3.5
 5.スクリーム2        3.63 4.5 4.0 3.5 2.5

                    [◆◆◆オススメ封切り情報◆◆◆]
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『プライベート・ライアン』     スピルバーグこそ黒澤明の正統な後継者だ!
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9月26日より全国東宝洋画系にて公開 '98年/アメリカ/2時間50分 ◇監督:ステ
ィーブン・スピルバーグ ◇脚本:ロバート・ロダット ◇出演:トム・ハンクス、
トム・サイズモア、エドワード・バーンズ、マット・デイモン ◇配給:UIP

 リアルな戦場描写が話題になったスピルバーグの最新作。戦闘シーンのリアリズム
とダイナミズム、がっちりした人間ドラマの厚みは、黒澤明の『七人の侍』を思い出
させる。実際『七人の侍』からの引用と思われるシーンもたくさんあるのだが、スピ
ルバーグはそれを単なる引用や物マネにはせず、きちんと自分の演出技術の中で消化
している。天国の黒澤明も、異国で育った弟子の成長ぶりに目を細めているだろう。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.toho.co.jp/cinema/ryan/welcome-j.html
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『愛を乞うひと』          原田美枝子の鬼婆ぶりにマジで鳥肌が立つ!
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9月26日より全国東宝系にて公開 '98年/日本/2時間15分 ◇監督:平山秀幸
◇原作:下田治美(角川文庫) ◇脚本:鄭義信 ◇出演:原田美枝子、中井貴一、
野波麻帆、小日向文世、熊谷真実、國村隼、小井沼愛、牛島ゆうき ◇配給:東宝

 10数年に渡り、我が子に理不尽な暴力を振るい続けた母親と、暴力を受けながらも
母を愛そうとし続けた娘……。暴力描写がとにかく凄まじい。母親に娘が殴られるシ
ーンは、思わず映画館から逃げ出してしまいたくなるほどだ。終戦直後~昭和30年代
までを再現した美術セットは見事。娘を演じた子役たちも素晴らしいが、母と娘を一
人二役で演じた原田美枝子は、本年度の映画賞で女優賞を総なめにすることだろう。
 □OFFICIAL SITE
  http://toho-group.co.jp/movie/aikou/welcome-j.html
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『犬、走る/DOG RACE』   アウトローの世界をキュートに描いた崔洋一の最新作
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9月26日より公開 '98年/日本/1時間50分 ◇監督・脚本:崔洋一 ◇脚本:鄭義
信 ◇原案:丸山昇一 ◇出演:岸谷五朗、香川照之、冨樫真(新人)、遠藤健一、
李涛、張春祥、絵沢萠子、岩松了、國村隼、大杉漣 ◇配給:シネカノン
 ―シネ・アミューズ 11:35/14:00/16:25/18:50(~20:55)

 汚職刑事、韓国人やくざ、上海マフィア、不法就労の中国人……。新宿歌舞伎町の
裏社会で生きる人間たちを、『月はどっちに出ている』の崔洋一&鄭義信がリアルに
描いたアクション・コメディ(?)。正規の許可を取らずにゲリラ的に撮影したとい
うロケシーンは、ヒリヒリした本物の迫力に満ちている。大杉連のとぼけたチンピラ
ぶりと、真面目刑事・香川照之の転落ぶりは、ロケーションに負けない面白さがある。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.toei-video.co.jp/data/frame98/dograce_index.html
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○公開作 CHECK 5本!
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★=注目作 ★★=見て損はしない ★★★=これは必見! (未)=未見

■『生きない』 9月26日よりテアトル新宿にて公開 ★★★
自殺志願のバス旅行をダンカン主演で描くコメディ。ロカルノ映画祭で特別賞を受賞。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.office-kitano.co.jp/contents/MOVIE/iki.html

■『ラスト・ウェディング』 9月26日よりシネスイッチ銀座にて公開 ★★
病気の女性とその恋人に、友人たちが結婚式をプレゼント。実話をもとにしたドラマ。

■『ベル・エポック』 9月26日よりシャンテ・シネ他にて公開 ★★
20代半ば過ぎの主人公たちが、仕事と友情と恋の間で悩む物語。感情移入度100%。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.toho.co.jp/movie/belle/welcome-j.html

■『ムーラン』 9月26日より全国東宝洋画系にて公開 ★★
中国に伝わる少女戦士の物語をアニメ映画化。大規模な戦闘シーンは迫力満点!
 □OFFICIAL SITE
  http://www.disney.co.jp/movies/

■『大怪獣東京に現わる』 9月26日より松竹系にて公開
日本の誇る2大怪獣が琵琶湖で激突! 同時上映は『岸和田少年愚連隊・望郷』。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.shochiku.co.jp/cinema/daikaiju/index.html
                         [Written by 服部弘一郎]

                        [◆◆◆MOVIE PADDOCK◆◆◆]
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     出走を待ちわびる新作情報を、期待値%つきでお届けします
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■『インフィニティ/無限の愛』
11月13日/新宿シネマ・カリテ(レイトショー)(期待値70%)
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若き科学者リチャード(マシュー・ブロデリック)と芸術を愛好する知的な女性アー
リーン(パトリシア・アークエット)。2人はパーティー会場で出会い、激しい恋に
おちる。しかし、アーリーンが結核に冒されてしまい、リチャードは周囲の反対を押
し切って彼女と結婚し、その最期を看取る決心をする……。マシュー・ブロデリック
初監督作品。今世紀最高の頭脳をもったノーベル物理学者、リチャード・ファインマ
ンの自伝に基づき、マシューの母、パトリシア・ブロデリックが脚本を手がけている。
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■『精霊の島』
12月下旬/渋谷ユーロスペース(75%)
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1950年代のレイキャヴィクで、米軍が残していったバラックに住みついた人々。予知
能力をもつカロリナとその夫トマスは、米兵と再婚してアメリカに渡る娘ゴゴ、その
後を追うように旅立った孫のバディを見送る。やがて、アメリカにかぶれて舞い戻っ
たバディだったが、その振る舞いは周囲に不協和音をもたらし、カロリナの予言が
思わぬ形で現実となっていく……。『春にして君を想う』のフリドリック・トール
・フリドリクソン監督最新作。
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■『プリーチング』
11月中旬/銀座シネパトス(60%)
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SMが違法とされるイギリスで、フェティスト弾圧のために嫌々ながらSMクラブに潜入
したピーター。しかし、女王タニヤに魅せられて、自らも、次第にフェティストたち
の世界に溺れていくのだった。主演のグィネヴィア・ターナーが強烈なカリスマ的存
在感で圧倒し、強烈なビートの効いたクラブ系ミュージックに乗って、世紀末的パ
フォーマンスが展開される。スチュワート・アーバン監督のイギリス映画。

                         [◆◆◆映画4人衆◆◆◆]
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『シークレット/嵐の夜に』 分かち合う傷の痛みが、絆を深める哀しさ
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広大で肥沃な大農場を所有するラリー・クック(ジェイソン・ロバーツ)には3人の
娘がいた。長女ジニー(ジェシカ・ラング)、次女ローズ(ミシェル・ファイファ
ー)は家族と共に農場の敷地内にそれぞれの家をもち、三女キャロライン(ジェニフ
ァー・ジェイソン・リー)は街の弁護士に。ある日、ラリーは娘たちに農場を譲るこ
とを提案するが、農場だけが生き甲斐の父の身を案じて反対したキャロラインに腹を
立て、ジニーとローズの2人に土地を譲ってしまう。しかし、生き甲斐を失ったラリー
は次第にジニーとローズを憎むようになり……。
                                            (満点は★5つ/半は★半分)

■視点の面白さも微妙に描けていて評価したいけど、あまりに正攻法な演出に音楽も
ピッタリなもんで眠気が。邦題はテーマに合ってて原題より○では?★★★☆☆<唯>

■葛藤って体力が必要なんで、体力が有り余っている人は本遍に挑戦しよう。姉妹と
父の葛藤ドラマだが、本遍と観客の葛藤ドラマという側面もある。 ★★半☆☆<古>

■そのことがその人にとって幸せなことなのか、それとも哀しいことなのかは別にし
て、「怒りを支えとして生きていく人」に対しては興味がある。  ★★★★☆<巴>

■なぜにここまでと、思わず腕組みをしたくなる根の深さ。大地に根差す人の心のし
がらみは、根を掘り起こすまで解きほぐされることもないのか。  ★★半☆☆<冴>

 □OFFICIAL SITE
  http://www.gaga.co.jp/movies/98secret.html

                            [◆◆◆TOPICS◆◆◆]
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★映画美学校製作・配給『FOUR FRESH!』公開
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国内外を問わず、秀作映画の紹介に努めてきたアテネ・フランセ文化センターとユー
ロスペース、この2つの共同企画により昨秋開講したのが映画美学校(映画技術美学
講座から改称)だ。映画を作るための学校として、黒沢清、青山真治ら映画監督をは
じめ、現役で活躍中の映画スタッフが講師を務める同校の最大の魅力は、劇場公開を
想定して映画作りを指導している点だろう。"自分の作りたい映画"を製作するため、
受講生は1人ひとり企画・プロット・シナリオを用意。その中から講師陣によって選
ばれた優秀作品4本が、『FOUR FRESH!』と題して、ユーロスペースにてレイトロード
ショー公開される。上映作品は、9月26日(土)~10月2日(金)が『怯える』『はる
のそら』、10月3日(土)~9日(金)が『死臭のマリア』『鼻の穴』。連日21:00
より1回上映で、料金は一般1,000円、学生900円。後日、あらためてレポートをお届
けする予定(Reported by 塚田恭子)。
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★「1998年しんゆり映画祭」、開催
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川崎市民ボランティアスタッフが主体となって企画・運営等を行う、市民参加型の映
画祭、「1998年しんゆり映画祭」(主催/川崎市 芸術のまちづくり推進委員会)が
10月7日(水)~ 10月11日(日)、ワーナー・マイカル・シネマズ新百合ヶ丘他にて
開催される。オープニング特別企画として『カンゾー先生』(今村昌平監督)『萌の
朱雀』(仙頭直美監督)、クロージング特別企画として『青春神話』『河』(台湾の
若き巨匠、蔡明亮監督)を、各作品監督を会場に迎えて上映(上映前・合間に座談会
あり)するほか、「映像が語る女性像」「伝説の名画座」など、充実した企画が多数
用意されている。また、身体障害者向けのバリアフリーシアターも設けられ、映画祭
事務局まで電話で申し込めば、川崎市内主要駅からの送迎バスや会場での車イス介助
・イヤホンガイドの利用も可能(10月3日(土)締切)。
詳しくは、しんゆり映画祭事務局まで。
連絡先 TEL:044-959-5042 E-mail:ayane@pop07.odn.ne.jp
 「1998年しんゆり映画祭」
  http://www3.justnet.ne.jp/~siff/
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★『リング2』、'99年1月23日全国東宝系にてロードショー決定!
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今年1月に公開され、4週間で100万人を動員する大ヒットとなった『リング/らせん』
の続編にあたる『リング2』の脚本が一般公募となったのは記憶に新しいが、その表
彰式を兼ねた『リング2』製作発表記者会見が、9月22日(火)帝国ホテル「桜の間」
で行われた。会見は2部形式で、第1部の脚本受賞表彰式では、選考委員の角川歴彦
(『リング2』製作総指揮)、原正人(同プロデューサー)、中田秀夫(同監督)、
鈴木光司(『リング/らせん』原作者)、第2部ではこの4人に加えて、西野文男(配
給/東宝代表)、主演の中谷美紀、佐藤仁美も迎え、会場は延べ100人のTV、雑誌記
者の異様な期待感に包まれた。詳細は、下記URLへ。
  http://www.werde.com/movie/interview/ring2.html

                     [◆◆◆興行成績ベストテン◆◆◆]
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 先週と同じ顔ぶれで、作品ごとの若干の変動に留まった。上位3作品は譲らず
 定位置。『仮面の男』『L.A.コンフィデンシャル』『タイタニック』が再浮上
 で頑張っている。いよいよ今週末に公開を控えた『プライベート・ライアン』
 が大変動をもたらすか。上位の動きに期待したい。
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  【配収】
 1 →( 1)シティ・オブ・エンジェル          ( 2週)
 2 →( 2)ディープ・インパクト            (14週)
 3 →( 3)フラッド                  ( 3週)
 4 ↑( 5)仮面の男                  ( 7週)
 5 ↑( 7)L.A.コンフィデンシャル           (10週)
 6 →( 6)スプリガン                 ( 3週)
 7 ↑( 9)TAXi                    ( 6週)
 8 ↓( 4)あぶない刑事フォーエヴァー         ( 2週)
 9 ↓( 8)アナスタシア                ( 4週)
 10 ↑(11)タイタニック                (40週)
 興行通信社調べ1998/9/19~1998/9/20(銀座・新宿・渋谷3地区代表館集計)

-------------------------[◆◆◆オススメVIDEO◆◆◆]------------------------
     ダスティン・ホフマンとトラボルタの共演というだけでも興味
     ある『マッド・シティ』。どちらもいい感じだけど、トラボル
     タの演技は同情のあまり他人と思えなくなるウマさ。
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『マッド・シティ』 ねじ曲げられる真実と、踊る街に怒る
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【データ】'97年/米/1時間55分(10/2発売:ワーナー・ホーム・ビデオ)
監督:コスタ・カブラス 出演:ダスティン・ホフマン、ジョン・トラボルタ

 街の博物館に解雇の取り下げを頼みにきた、人のいい元警備員(ジョン・トラボル
タ)。だが、ものの弾みで元同僚の警備員を射殺してしまい、見学にきていた子供た
ちを人質に立てこもることになってしまう。たまたま居合わせたTVキャスター(ダス
ティン・ホフマン)が、自分の手柄と命の保証が最優先ながらも、マスコミのイメー
ジによって同情を誘い、犯人の命を救う方向で努力するのだが、メディアをめぐって
渦巻くエゴが犯人の運命を悲劇的に導いていく。すべてを俯眼できる観客は誰が悪い
とか犯人がかわいそうとか判断したりできるが、現実世界で我々は、映画の中でテレ
ビの情報に振り回され一喜一憂する無責任な市民のひとりとどう違うのか、そこまで
考えて見たりすると余計にもどかしくなるので、助手レポーター役のミア・カーシュ
ナーのかわいさに注目してお口直しをするもお忘れなく。
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○CHECK 4本!
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■『トゥー・デイズ』1時間44分/米(10/2発売:ゼアリズ)
ある殺人をめぐって10人の男女が繰り広げる、エゴとエロスの騒動。豪華俳優陣の共
演が話題。監督は『タービュランス』のジョン・ハーツフェルド。
出演:ジェイムス・スペイダー、ダニー・アイエロ、チャーリズ・セロン、
エリック・ストルツ、テリー・ハッチャー、ジェフ・ダニエルズ

■『アサシンズ』2時間10分/仏=独(10/2発売:日本コロムビア)
老いた暗殺者の跡をつごうとする青年と少年の関係を『憎しみ』の監督が描く。
監督・脚本・主演:マチュー・カソヴィッツ 出演:ミシェル・セロー

■『BLUE FAKE ブルー・フェイク』1時間34分/日本
(10/2発売:徳間ジャパンコミュニケーションズ)
探偵の綾香(有森)とエチカ(椋木)は、ある女性を探す依頼を受けるが、当の女性
が交通事故で死亡。その後なおも綾香は依頼者の男(山本)に近づくのだが……。
監督:出馬康成 出演:有森也実、椋木美羽、山本シュウ、黒沢あすか

■『プレイヤー』1時間49分/米(10/2発売:HRS FUNAI)
父の不倫、家庭崩壊。少女の憎しみと哀しみを描くサスペンス。音楽(歌)にレイ・
チャールズ、ルイ・アームストロングら。日本未公開。
監督:キャシー・レモンズ 製作・出演:サミュエル・L・ジャクソン
                           [Written by 唯よーじゅ]

            [◆◆◆BS&CS今週の3本◆◆◆]
                            セレクター:松岡洋子
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 9/28(月)『麻雀放浪記』 シネマジャパネスク(11:30~)
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麻雀の世界に生きるどうしようもなくヤクザでかっこいい男達と、そんな男達に惚れ
る女の姿を描いた和田誠の初監督作品。主演の真田広之をはじめ、鹿賀丈史、高品格
ら俳優陣のパワーがモノクロの画面からあふれてくる。最近なかなか見られない骨太
な映画。
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 9/29(火)『101』 スター・チャンネル(21:00~)
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ご存知ディズニーの『101匹わんちゃん』の実写版。当然主役は101匹のワンちゃんた
ちだが、"動物モノ"とあなどるなかれ、主役達の毛皮を狙う敵役クルエラ演じるグレ
ン・クローズが最高に楽しい。しかし本当に101匹もいるのだろうか。数えてみるの
も一興。
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 9/30(水)『父の祈りを』 CSN1ムービーチャンネル(21:00~)
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爆弾テロ事件の犯人として無実の罪に問われたアイルランド人親子。何事にもなげや
りな態度を示す息子と頑固に闘い続ける父親の、監獄の中での葛藤を描く。息子役ダ
ニエル・デイ・ルイスと父親役ピート・ポスルスウェイトの競演は見もの。ベルリン
映画祭金熊賞受賞作品。

                          [◆◆◆ESSAY◆◆◆]
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【映画のノイジオグラフィー ~音響の博物誌(9)】
 アカデミーの音響史(3)ロバート・ニュードソン
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 今回はロバート・ニュードソン。彼の顔が面長だったとしてもロバと似ると損とい
うのは失敬な話なのだが、『キャバレー』(1972年/ボブ・フォッシー監督)におい
て、これは失敗ではないのかという音がある。ライザ・ミネリ扮するサリーが歌う
キャバレーの楽団の音量が大きいのだ。ナチスの影を落とすベルリンの頽廃的なイ
メージを取り出すには、もっとキャバレーの淀んだ空気、音の濁りを選択するはずで
あろう。しかし、ここでの楽団はあくまでもクリアだ。当然ながら、映画音楽と劇中
音楽とは違う。ここでの劇中音楽には、まさしく映画音楽の役割を兼ね備えようとい
う意志が見える。ブロードウエイ出身のボブ・フォッシーが、ミュージカルの様式を
リアルさの中で見いだそうとした試みかもしれない。失敗ではないかと思われた音響
は、これまでのハリウッド・ミュージカルに見られた画面外の映画音楽を、いかに画
面内の劇中音楽として刷り込ませるかという課題に対する解答であったといってもい
いだろう。
 こうしたどこか映画史的な圧力から解き放たれたロバート・ニュードソンは、翌年
『エクソシスト』を担当するにあたって、存分に暴れ回る。するはずがない音の現実
味。これは単に効果云々とは次元の違う音響なのだ。"特殊メイクの神様"といわれた
ディック・スミスの手腕から、オカルト映画の嚆矢となりながらも、当時のセンセー
ショナルな印象から同一視されがちなホラー映画とは、文脈の違う性質であるという
ことを覚えておくべきだろう。恐怖を煽る思わせぶりな音響というには、あまりにも
冷たくドライな音質に耳を傾ければよい。
 冒頭、イラクで遺跡を発掘している老神父が悪魔の石像を見ている所で、喧嘩を始
める犬の声の不自然に肉迫した反響からはじまり、ワシントンに住む女優の家の屋根
裏のノイズ、デミアン神父につきまとうノイズ(ジェット音、地下鉄音、イタリア語
のラジオ)、多重人格の悪魔(男のダミ声、オモチャ声、逆さ英語)に加えて、12音
階の無機的な音楽など、それぞれの音響がクールなたたずまいをみせて、オカルト映
画に品性を備わせることに成功した。
 この功績によって2度目の音響賞を得たロバート・ニュードソンだが、その上さら
に3度受賞したのが次回のフランクリン・ミルトンである。
                             [Written by 竹本穣]

                 [◆◆◆THE DAY OF BIRTH(9/26~10/2)◆◆◆]
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 9/26 T・S・エリオット(1888)、ジョージ・ガーシュウィン(1898)、
    フィリップ・ボスコ(1930)、オリビア・ニュートン・ジョン(1948)、
    リンダ・ハミルトン(1956)、佐藤藍子(1977)

 9/27 ミート・ローフ(1951)、アンディ・ラウ(1961)、岸谷五朗(1964)、
    大路恵美(1975)

 9/28 エド・サリバン(1901)、マルチェロ・マストロヤンニ(1924)、
    フランク・ラティモア(1925)、アンディ・ウォーホル(1928)、
    ブリジット・バルドー(1934)、J・T・ウォルシュ(1944)、
    ジェフリー・ジョーンズ(1947)、ジョン・セイルズ(1950)、
    シルビア・クリステル(1952)、ミラ・ソルヴィーノ(1967)、
    仙道敦子(1969)、渡辺美奈代(1969)

 9/29 ミケランジェロ・アントニオーニ(1912)、ジェリー・リー・ルイス(1935)、
    林隆三(1943)、山下容莉枝(1964)

 9/30 トルーマン・カポーティ(1924)、マーク・ボラン(1947)、
    エリック・ストルツ(1961)、東山紀之(1966)、
    モニカ・ベルッチ(1968)、早瀬美里(1977)

10/ 1 ウォルター・マッソー(1920)、フィリップ・ノワレ(1930)、
    ジャン・ジャック・アノー(1943)、一色彩子(1958)

10/ 2 スティング(1951)、クライヴ・バーカー(1952)

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----------------------------◆◆◆ 後記 ◆◆◆----------------------------
■減りゆく名画座。何の因果か台風の吹き荒れる中、銀座並木座の最後の日をカメラ
に収めてきました。映画はやっぱり満員で辞退。もし復活を期するなら……。 <唯>

■『シークレット』に関しては、重そうでもあるし、実は観るまでまったく興味がな
かったのだけれど、さすがに2大女優の火花バチバチ演技には圧倒された。   <巴>

■好きなもの、心惹き付けられるものを追い続ける強い気持ちは、いつしかその対象
とのハーモニーを奏で始める。波長の一致が同じビートを刻むんだろうな。  <冴>

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