◆MOVIE Watch (毎週金曜日発行:無料)─────────1998-9-18

☆今週のHEADLINE☆─────────────────────────────

●MOVIE Watchリアル・ランキング
 MOVIE Watchがオススメする今週の5本(平均値/ライター別評点)

●オススメ封切り情報
 『イヤー・オブ・ザ・ホース』 これぞロック魂! 永遠の不良中年万歳!
 『裏町の聖者』 日本の漫画を『不夜城』の監督が香港で映画化
 ○公開作 CHECK 5本!
 『雨上がりの駅で』『Heavenz/ヘブンズ』 ほか

●MOVIE PADDOCK 出走を待ちわびる新作情報(期待値%つき!)
 『フェイス』
  "OLD-STYLE FACE(昔かたぎ)"を貫く主人公レイをロバート・カーライルが好演
 『恋の秋 <四季の物語>』
  エリック・ロメールの<四季の物語>シリーズ最新作 ほか

●映画4人衆
 『シティ・オブ・エンジェル』
  理屈を超えた何かをつかみとろうとする者たちの、潔い勇気

●TOPICS
 「レスリー・チャン ナイト」、開催 ほか

●興行成績ベストテン

●REVIEW
 『CUBE』 カナダの新鋭ヴィンチェンゾ・ナタリによる、通好みの1編

●オススメVIDEO
 『PERFECT BLUE』 特撮にまさるアニメの不思議な現実感と陶酔感
 『グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち』 癒しと友情の純なる理想形
 ○CHECK 5本!

●BS&CS今週の3本

●COLUMN
 【世界の終わりとハードとソフト・ワンダーランド(11)】特別編
 「巨星、墜つ。クロサワ死しても黒澤イズムは死なず」の巻

●THE DAY OF BIRTH

●後記

                [◆◆◆MOVIE Watchリアル・ランキング◆◆◆]
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    現時点での劇場公開作からピック・アップした、MOVIE Watch独自の
        採点による上位5作品。今観るならこれだ!
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   秋の一番手『シティ・オブ・エンジェル』がランクイン。大きめの
   スクリーンで、劇場の空間ごと楽しみたい作品が目白押しの季節、
   到来。少し早めに座席を確保して、予告編チェックも忘れずに。

             平均値/ライター別評点(5点満点)

                  唯  巴  古  冴
 1.タイタニック       5.00  5.0  5.0  5.0  5.0
 2.L.A.コンフィデンシャル  4.63  4.5  5.0  4.5  4.5
 3.リーサル・ウェポン4    3.75 3.5 4.0 4.0 3.5
 4.スクリーム2        3.63 4.5 4.0 3.5 2.5
 5.シティ・オブ・エンジェル 3.25 3.5 3.5 3.0 3.0

                    [◆◆◆オススメ封切り情報◆◆◆]
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『イヤー・オブ・ザ・ホース』     これぞロック魂! 永遠の不良中年万歳!
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9月19日より公開 '97年/アメリカ/1時間47分 ◇監督・撮影・出演:ジム・ジャ
ームッシュ ◇製作総指揮:バーナード・シェイキー、エリオット・ラビノウィッツ
◇音楽・主演:ニール・ヤング&クレイジー・ホース ◇配給:アスミック
 ―シネマライズ (土日祝10:40)12:55/15:10/17:25/19:40(~21:40)

 ジョニー・デップ主演の異色ウェスタン『デッドマン』で組んだジム・ジャームッ
シュ監督とニール・ヤングが、再び組んだ音楽ドキュメンタリー。今回の主役はニー
ル・ヤング本人と彼のバンド "クレイジー・ホース"。バンド結成から30年の歩みを
秘蔵の映像や演奏シーンで綴った、じつにカッチョイイ映画なのだ。バンドのメンバ
ーたちの不敵な面構えには、ジャームッシュもかすんで見える。音楽ファンは必見!
 □OFFICIAL SITE
  http://www.octoberfilms.com/yearofthehorse/index.html
  http://www.iijnet.or.jp/ASMIK/M/Asmik/1998/Horse/index.html
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『裏町の聖者』          日本の漫画を『不夜城』の監督が香港で映画化
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9月19日より公開 '95年/香港/1時間39分 ◇製作・監督・脚本:リー・チーガイ
◇原作:史村翔、ながやす巧「Dr.クマヒゲ」 ◇出演:トニー・レオン、アンディ
・ホイ、アレックス・トゥ、ラウ・チンワン ◇配給:エース・ピクチャーズ
 ―キネカ大森 11:45/13:45/15:45/17:45/19:45(~21:30)

 黒澤の『酔いどれ天使』や勝新太郎の『酔いどれ博士』に連なる、下町の貧乏医者
と人々の交流を描いた物語。歌舞伎町を舞台に『不夜城』を撮ったリー・チーガイ監
督が、日本の人気漫画を香港に翻案して撮った下町人情もの。香港ではお正月の顔見
世映画として公開されたため、出演者は超豪華だ。香港映画ファンには「あの人が、
こんなところに!」という驚きでいっぱいの作品に仕上がっている。要チェックだ。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.iijnet.or.jp/ASMIK/M/Ace/1998/Mack/index.html
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○公開作 CHECK 5本!
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★=注目作 ★★=見て損はしない ★★★=これは必見! (未)=未見

■『雨上がりの駅で』 9月19日より銀座テアトル西友にてレイト公開 ★
アルツハイマー病の老人を尾行する少女の旅。主演はアーシア・アルジェント。

■『Heavenz/ヘブンズ』 9月19日より新宿ジョイシネマ2他にて公開
クラブDJの世界を描いた青春映画。主演は加山雄三JR.の山下徹大。★はなし。

■『CUBE』 シネ・ヴィヴァン・六本木にて公開中 ★★★
密室に閉じ込められた6人の男女の脱出大作戦。ビジュアルセンス抜群のサスペンス。
 □OFFICIAL SITE
  http://cubethemovie.com/index2.html

■『スライディング・ドア』 有楽町スバル座他にて公開中 ★★★
人生の「もし……」を体験できる、パラレル・ラブ・ストーリー。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.toho-group.co.jp/cinema/sliding/welcome-j.html
 □MOVIE Watch
  http://www.watch.impress.co.jp/movie/guide/sliding/sliding.htm

■『ボンベイ』 9月25日まで銀座テアトル西友にて公開 ★★★
歌あり、踊りあり、涙あり、笑いあり。現代インド版「ロミオとジュリエット」。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.theatres.co.jp/cinemabox/contents/special/bonbay/index.html
                           [Written by 服部弘一郎]

                        [◆◆◆MOVIE PADDOCK◆◆◆]
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     出走を待ちわびる新作情報を、期待値%つきでお届けします
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■『フェイス』
11月下旬/恵比寿ガーデンシネマ(期待値75%)
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舞台はロンドンのイーストエンド。5人の武装強盗団が、綿密な計画のもと造幣工場
に押し入るが、手にした金は意外なほど少なく、その分け前も何者かに盗まれてし
まう……。様々な事情から犯罪に走ってしまった男たちの向こう側に見える人生を、
『司祭』のアントニア・バード監督がリアルに描く。『トレインスポッティング』
『フル・モンティ』のロバート・カーライルが、理想と現実、友情と信念の間で揺
れながら"OLD-STYLE FACE(昔かたぎ)"を貫く主人公レイを好演。
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■『恋の秋 <四季の物語>』
11月下旬/日比谷シャンテシネ2(70%)
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南仏ローヌ渓谷でワインを作るマガリを再婚させようと、親友イザベル、女子大生の
ロジーヌがお膳立てした2人の男性が、美しい秋の午後、マガリの前に現れて……。
エリック・ロメールが10年前に始めた<四季の物語>シリーズ最新作。出演はマリー
・リヴィエール、ベアトリス・ロマン、アレクシア・ポルタルほか。
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■『ヴァンパイア/最期の聖戦』
今秋/丸の内ピカデリー2ほか 全国松竹・東急洋画系(65%)
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20世紀末のアメリカで、人に紛れて生息するヴァンパイアたちを見つけ出して一掃す
る傭兵集団「チームクロウ」。しかし、永遠に滅びることのない力をもった黒い十字
架を求めて、600年の時をさまよう最強のヴァンパイア、魔鬼ヴァレックにはすべて
の武器が通用しない……。自分の宿命と人類の運命を背負い、今、聖戦士ジャックが
ヴァレックとの最終決戦に挑む。SF・ホラーの鬼才、ジョン・カーペンター監督最新
作。主演は『コンタクト』のジェームズ・ウッズ、『ツイン・ピークス』のシェリル
・リー。

                         [◆◆◆映画4人衆◆◆◆]
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『シティ・オブ・エンジェル』
 理屈を超えた何かをつかみとろうとする者たちの、潔い勇気
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ロサンゼルスの街で、遠い昔から人々の営みを静かに見つめ続ける天使、セス(ニコ
ラス・ケイジ)。彼が天国へと導いていった患者の死に苦しみ、自分を責め涙する心
臓外科医、マギー(メグ・ライアン)。セスはマギーに寄り添い、彼女の苦しみを癒
そうとするうちに、人間である彼女に恋をしてしまう。耐えきれず、姿を現したセス
に戸惑うマギーもまた、いつしかセスへの抑えようのない想いに気付いていき……。
                                            (満点は★5つ/半は★半分)

■天使の胸毛。『マイケル』もだけど、アメリカ人の天使のイメージってそれでいい
の? もともとどうでもいいのかな。MEG RYAN可愛いから映画は○。★★★半☆<唯>

■N.ケイジは頑張った。天使である時の息が詰まりそうに切ない表情と、人間になっ
た時の表情対比が最高。しかし、天使が多すぎると思うのだが。  ★★★☆☆<古>

■とにかくハリウッドなラブ・ストーリー。たとえシワがあろうとも、メグ・ライア
ンはやはり魅力的。彼女だからこそ、天使が恋をしても納得。   ★★★半☆<巴>

■"感じたい"天使のセスが感じられなかった時間の重さを思えば、ラストで波にもま
れて"感じまくっている"何かを、もっともっと共有したかった。  ★★★☆☆<冴>

 □OFFICIAL SITE
  http://www.city-of-angels.com/
  http://www.warnerbros.co.jp/movie/angel/index.htm

                            [◆◆◆TOPICS◆◆◆]
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★「レスリー・チャン ナイト」、開催
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『夢翔る人・色情男女』が公開中のレスリー・チャン。ファンにはたまらない特別企
画「レスリー・チャン ナイト」(主催/講談社『TOKYO1週間』)が、10月10日(土)、
17日(土)の両日、池袋のテアトルダイヤで開催される。21:10開場/21:30開映、
料金は2,500円均一(当日18:30より整理券付当日券発売)。来場者全員に生写真が
プレゼントされ、レスリー・グッズ大放出の抽選会、新作予告編大会も行われる。

<第1夜(Vol.1)> 10月10日(土)
21:30~23:10 『上海グランド』('97年)
23:30~ 1:40 『花の影』('96年)
 2:00~ 3:00 予告編大会・お楽しみ抽選会(Vol.1)
 3:20~ 5:06 『君さえいれば 金枝玉葉』('94年)

<第2夜(Vol.2)> 10月17日(土)
21:30~23:10 『楽園の瑕』('94年)
23:30~ 2:22 『さらば、わが愛 覇王別姫』('93年)
 2:40~ 3:40 予告編大会・大抽選会(Vol.2)
 4:00~ 5:46 『金玉満堂 決戦!炎の料理人』('95年)
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★「第6回山形国際ドキュメンタリー映画祭」、応募作品の受付開始
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1999年10月19日から25日まで、山形市内の市民会館・映画館などで開催される「第6
回山形国際ドキュメンタリー映画祭」の応募作品の受付が開始された。応募を受け付
けるのは「インターナショナル・コンペティション部門」と「アジア・プログラム部
門」。応募作品の出品料は無料、作品は2分の1インチのVHSビデオでコピーし、作品
概要、作品解説(日本語または英語)、スチール写真(異なる種類3枚以上)、会話
とナレーションの完全台本(外国作品の場合はその日本語訳または英語訳)の3点を、
同映画祭東京事務所(〒162-0825 東京都新宿区神楽坂6-42 喜多川ビル4F TEL:03
-3266-9704、FAX:03-3266-9700)に送る。各部門により応募条件・期間が異なってい
るので、詳細は東京事務所に確認のこと。
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★「パリの横顔」シリーズ、第3弾開催
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10月17日(土)から30日(金)まで、渋谷文化村ル・シネマ1、2で「パリの横顔」シ
リーズ第3弾、「味覚の街パリ」が開催される。この企画は、東京都・パリ市友好都
市提携記念事業の一環として行われてきたもので、第3回の今年は「食」をテーマに、
新旧の名作(『獅子座』('59)、『最後の晩餐』('73)、『ギャルソン!』('83)
など)約30本が上映される。

                     [◆◆◆興行成績ベストテン◆◆◆]
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  『シティ・オブ・エンジェル』がダントツの1位。キャスト、ストーリー、
  サントラと、3拍子そろった作品の集客力が如実に反映された。ファン待望
  の『あぶない刑事フォーエヴァー』は4位。『ディープ・インパクト』も再
  浮上で底力をみせている。
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  【配収】
 1 初(─)シティ・オブ・エンジェル          ( 1週)
 2 ↑( 3)ディープ・インパクト            (13週)
 3 ↓( 1)フラッド                  ( 2週)
 4 初(─)あぶない刑事フォーエヴァー         ( 1週)
 5 ↓( 4)仮面の男                  ( 6週)
 6 ↓( 2)スプリガン                 ( 2週)
 7 ↓( 6)L.A.コンフィデンシャル           ( 9週)
 8 →( 8)アナスタシア                ( 3週)
 9 ↑(10)TAXi                    ( 5週)
 10 ↓( 9)スクリーム2                 ( 5週)

 興行通信社調べ1998/9/12~1998/9/13(銀座・新宿・渋谷3地区代表館集計)

               [◆◆◆REVIEW◆◆◆]
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『CUBE』 カナダの新鋭ヴィンチェンゾ・ナタリによる、通好みの1編
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 ヴィンチェンゾ・ナタリ監督。カナダ映画界から新世代の才能の登場である。カナ
ダなんてはるかカナタ、映画界なんてあったの? とお考えの方もいらっしゃるかも
しれないが、ニューウェーブ・ホラーの巨匠『ザ・フライ』『クラッシュ』のデビッ
ド・クローネンバーグや、アート志向の、いわばヒーリング映画作家として静かな人
気を集めている、『エキゾチカ』『スウィート・ヒアアフター』のアトム・エゴヤン
もまた、カナダ出身なのである。
 寒い季節が長く、家に閉じこめられている時間が長いカナダだけに、孤立感や寂寥
感が強く漂っていることや、英語圏であると同時にフランス語圏でもある土地柄ゆえ
か、アメリカ映画的な肉体性と、ヨーロッパ映画的な精神性とが巧みに融合している
ことなどが彼らの作品の特長としてあげられようが、これはそのまま、この新鋭ヴィ
ンチェンゾ・ナタリ監督作にもピタリと当てはまるといっていいだろう。
 ある日突然、理由もなく冷たい鋼鉄でできた正立方体(=CUBE)の迷宮に閉じこめら
れた人間たちが、必死の思いで脱出行を試みる。彼らを死に至らしめるため迷宮のあ
ちこちに仕掛けられたトラップを抜けて、果たして彼らは無事に脱出することができ
るのか? 底なしの不安と恐怖が、見る者の心をジワジワと締め付ける。
 出口を求めてあがく彼らの姿は、そのまま、閉塞的な現代社会の中でサバイバル・
ゲームを続けている我々の姿とも重なってくるし、いくつもの機械的なトラップを仕
掛けながらも、最大のトラップは人間の心理であるという視点には説得力がある。
 密室劇は、ともすれば映画的奥行きがなくなって画面が単調になったり、展開にメ
リハリがつけにくかったりデメリットが大きいのだが、ナタリは、美術的な映像セン
スとキャラクター重視の演出で、見事にそれを克服してみせている。低予算を逆手に
とって、ひとつのセットとわずかな登場人物のみで戦略的に撮り上げられた傑作であ
る。内容空疎なアクション大作や、血のりの量を競うスプラッター映画に食傷気味の
方にオススメしたい、通好みの1編だ。
                            [Written by 松村清志]

-------------------------[◆◆◆オススメVIDEO◆◆◆]------------------------
     今週のオススメはアニメ。といっても、この作品はもはや、
     ジャンルではなく単なる製作手法という意味での「アニメ」。
     だって、「ビデオ撮影」ってジャンルじゃないでしょう?
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『PERFECT BLUE』 特撮にまさるアニメの不思議な現実感と陶酔感
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【データ】'97年/日本/1時間22分(9/25発売:東北新社)
監督:今敏 声:岩男潤子、松本梨香、新山志保、大倉正章、辻親八

 オタク中心に大人気の3人組を抜けてソロになったアイドル。しかしラストステー
ジのあとからイヤな雰囲気、出来事、殺人事件。そしてインターネットにはファンが
勝手につくった彼女のホームページ……。もともとは予算の都合でアニメになったと
いう経緯もあるだけに、実写でもいけそうな正統派サスペンスストーリー。しかしさ
すが日本。アニメならではの演出も十分に活かし、夢や妄想と現実の混在をうまく描
いている。江口寿史デザインのキャラクターも、「『老人Z』かい」とかいいながら
なんだかついハマってしまう。
 □パーフェクトブルー
http://www.parco-city.co.jp/perfectblue/
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『グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち』 癒しと友情の純なる理想形
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【データ】'97年/米/2時間7分(9/21発売:松竹ホームビデオ)
監督:ガス・ヴァン・サント 出演:マット・デイモン、ベン・アフレック

 数学に際だった才能を見せる青年(マット・デイモン)は、しかし少年期のトラウ
マをかかえて人間関係に苦しんでいた。彼の精神を救うべくカウンセリングを引き受
ける精神医をロビン・ウィリアムス。マット・デイモンと共同脚本のベン・アフレッ
クも親友役を好演。心の氷が溶け、友情の絆が締まりゆくさまをストレートに純粋に
描き出す。映像を引き立てる秀逸な音楽はダニー・エルフマン。
 □松竹 グッド・ウィル・ハンティング
http://www.shochiku.co.jp/shochikufuji/good-will-hunting/index.html
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○CHECK 5本!
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■『桜桃の味』1時間38分/イラン(9/22発売:ユーロスペース、日本スカイウェイ)
手伝いを求めている自殺志願の男。とある老人との出会いで少しずつ何かが変わって
いく。監督は『オリーブの林をぬけて』などのA・キアロスタミ。
監督:アッバス・キアロスタミ 出演:ホユマン・エルシャルディ

■『ラストサマー』1時間40分/米
(9/25発売:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント)
『スクリーム』のケヴィン・ウィリアムスン脚本によるホラー。真夜中の事故。死体
も始末し、事件は4人だけの秘密のはずだった。ところが1年後、彼らのもとへ謎の
手紙が届く……。
監督:ジム・ギルスピー 出演:ジェニファー・ラヴ・ヒューイット

■『アミスタッド』2時間35分/米(9/25発売:CICビクタービデオ)
19世紀、奴隷船アミスタッド号で起きた反乱を題材に、裁かれる黒人たちの運命と、
アメリカの正義を描く。
監督:S・スピルバーグ 出演:モーガン・フリーマン、アンソニー・ホプキンス

■『F(エフ)』1時間42分/日本(9/21発売:松竹ホームビデオ)
鷺沢萌原作の映画化。世界的バレエダンサーとOLとのラブストーリー。
監督:金子修介 出演:羽田美智子、熊川哲也、戸田菜穂、村上里佳子、野村宏伸

■『ラブ&ポップ』1時間54分/日本(9/23発売:キングレコード)
東京・渋谷で白昼展開する女子高生たちのさまざまな体験。全編デジタルビデオによ
る実験的なアングルや撮影が話題。
監督:庵野秀明 出演:三輪明日美、希良梨、工藤浩乃、浅野忠信、森本レオ
                           [Written by 唯よーじゅ]

             [◆◆◆BS&CS今週の3本◆◆◆]
                            セレクター:古山 慶
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 9/19(土)『愛に迷った時』 WOWOW(深夜2:55~)
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秋深まり、で、ガラにもなくラブ・ストーリーの本編を。夫の浮気をきっかけに愛を
見つめ直す女性にジュリア・ロバーツ。夫はデニス・グエイド。監督は『ギルバート
・グレイプ』のラッセ・ハルストレムだから心地よい映画になってます。
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 9/23(水)『トラブル・イン・マインド』 シネフィル・イマジカ(19:10~)
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秋といえば食欲。ハングリー?!ってことで、ハングリーな都会で生きる1組の男女と、
そこで生きるロクデナシたちの人間模様を描いたアラン・ルドルフ監督作。秋は、人
生の落ちこぼれたちにとって、むしろ不安な季節なんだよ。
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 9/23(水)『絞首刑』 日本映画専門チャンネル(深夜2:00~)
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秋の海もよい。海、渚と連想すれば大島渚監督にたどり着くこともある。死刑囚であ
る韓国人少年の絞首刑が失敗したことから起きる死刑制度の矛盾や差別問題を、皮肉
たっぷりに描いたドタバタ問題作。ATG製作第1回目の作品。

                         [◆◆◆COLUMN◆◆◆]
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【世界の終わりとハードとソフト・ワンダーランド(11)】特別編
「巨星、墜つ。クロサワ死しても黒澤イズムは死なず」の巻
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 悲報の3日前、偶然にも『生きる』('52/東宝)をレンタルして見ていた。学生の
時に一度だけ見たその映画をなぜか急に見たくなったのだ。
 死んだように生きていた市役所の市民課長が、死に直面し本当の「生」を取り戻す
というストーリーである。志村喬演じる事なかれ主義を通していた市民課長・渡辺は、
生きているうちに少しでも人の役に立とうと、以前から苦情の出ていた下水溜まりに
公園を作ることを決意する。いや、市民のためだけではなく、自分の人生の証をそこ
に作るためでもあった。が、公園建設に動き出すと、役所の腐ったシステムと理不尽
な権力が渡辺を押し潰そうとする。それでも、渡辺は執念で公園を完成させる。そし
て、雪の舞うその公園のブランコで静かに死を迎えるのだ。
 死への恐怖に打ち勝つためには、今を「生きる」しかない。どう生きるかは、自分
の死に様をヴィジョンすることに他ならない。映画監督に限らずクリエイターなるも
の常に「死」とのタイムレースである。生きているうちに最高の作品を作り上げたい
と誰しもが考え、走り続けている。だが、映画なんていうものは、方程式のない幾何
学である。数式化できない要素の塊である映画を作り続けることは、非常に困難だし
苦悩をももたらす。「世界のクロサワ」でさえ、『どですかでん』('70 四騎の会)
の公開1年後、61歳の時に自殺を図っている。しかし、幸いにも未遂で終わったその
後、『デルス・ウザーラ』から遺作となった『まあだだよ』まで6本の作品を撮り上
げ、次回作2本のシナリオも書き上げていたという。まさに生涯現役を通した「世界の
クロサワ」に、もし死に場所を選べたとしたら、渡辺が公園のブランコで死を迎えた
ように、次回作の最終カットを撮り終えたディレクターチェアを選んだに違いない。
 ルーカスやコッポラがクロサワの子供なら、僕たちは逆輸入の三世ってとこだが、
それでも黒澤イズムは脈々と息づいている。クロサワ死すとも黒澤イズムは死なず、
である。黒澤映画に似ているというタケちゃんの次回作、期待せずにはいられない。
                            [Written by 藤原タカシ]

                 [◆◆◆THE DAY OF BIRTH(9/19~9/25)◆◆◆]
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 9/19 小野寺昭(1943)、ジェレミー・アイアンズ(1948)

 9/20 ソフィア・ローレン(1934)、村井国夫(1944)、五十嵐淳子(1952)、
    マギー・チャン(1964)、鈴木砂羽(1972)、
    アーシア・アルジェント(1975)、安室奈美恵(1977)

 9/21 H・G・ウェルズ(1866)、チコ・ハミルトン(1921)、
    レナード・コーエン(1934)、スティーブン・キング(1947)、
    ビル・マーレイ(1950)、松田優作(1950)、
    イーサン・コーエン(1957)、椋木美羽(1976)

 9/22 岡田眞澄(1935)、アンナ・カリーナ(1941)、ニック・ケイブ(1957)、
    緒形直人(1967)

 9/23 ジョン・コルトレーン(1926)、レイ・チャールズ(1930)、
    ブルース・スプリングスティーン(1949)、井上晴美(1974)、
    鈴木杏樹(1969)

 9/24 フリオ・イグレシアス(1943)、羽田美智子(1968)

 9/25 ウィリアム・フォークナー(1897)、マイケル・ダグラス(1944)、
    マーク・ハミル(1951)、クリストファー・リーブ(1952)、
    マイケル・マドセン(1959)、ウィル・スミス(1968)、清水美砂(1970)


▼星座別オススメ映画はwebへのリンクに移行しました。
 http://www.cup.com/yoge/tarot/astro/
占い協力:TAROT-ASTROLOGY OF THE WEEK

▼MOVIE WatchのHP
 http://www.watch.impress.co.jp/movie/

----------------------------◆◆◆ 後記 ◆◆◆----------------------------
■私のイメージだとやっぱり天使は両性具有なわけよ。『ベルリン天使の詩』の天使
たちだって、反体制で長髪だったわけじゃないでしょ? え? そうなの?  <唯>

■自主映画レーベル<プsam@kashi>では、出演してくれる役者さんを募集しています。
ちょっとでも興味のある方はanemone@highway.or.jpまでメール下さい。    <藤>

■アカデミー外国語映画賞受賞の『キャラクター/孤独な人の肖像』。まさにタイト
ル通りといった感のある作品。父親役のヤン・デクレールがとにかく凄いっす。<巴>

■今思うに、『シティ・オブ・エンジェル』の予告編はとてもよくできていた。勘ど
ころを的確に押さえた職人技は光る。手がけた方々にエールを送りたい気持ち。<冴>

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