◆MOVIE Watch (毎週金曜日発行:無料)───────── 1998-9-4

☆今週のHEADLINE☆─────────────────────────────

●MOVIE Watchリアル・ランキング
 MOVIE Watchがオススメする今週の5本(平均値/ライター別評点)

●オススメ封切り情報
 『フラッド』 全国的な大雨と水害に続き、映画館にも大雨洪水警報!
 『クライムタイム』 殺人とユーモアが合体した英国製の新感覚スリラー
  『スプリガン』 大友克洋が総監修した本格派アクション・アニメ
 ○公開作 CHECK 5本!
 『ヒューゴ・プール』『アナスタシア』 ほか

●MOVIE PADDOCK 出走を待ちわびる新作情報(期待値%つき!)
 『ダークシティ』
  異端のビジュアリスト、アレックス・プロヤス監督が放つSFスリラー
 『クジラの跳躍 Glassy Ocean~たむらしげるの世界~』
  絵本を中心に国内外で活躍する、たむらしげるのアニメーション作品 ほか

●映画4人衆
 『アナスタシア』
 ロシア皇女アナスタシアをめぐるアドベンチャー・ファンタジー

●TOPICS
 『スモール・ソルジャーズ』、日本でオリジナル・コミック化 ほか

●興行成績ベストテン

●オススメVIDEO
 『デス・アンド・コンパス』 カッコよすぎる不条理の迷宮へようこそ
 ○CHECK 5本!

●BS&CS今週の3本

●ESSAY
 【映画のノイジオグラフィー ~音響の博物誌(8)】
  アカデミーの音響史(2)マーク・バーガー

●THE DAY OF BIRTH

●後記
                [◆◆◆MOVIE Watchリアル・ランキング◆◆◆]
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    現時点での劇場公開作からピック・アップした、MOVIE Watch独自の
        採点による上位5作品。今観るならこれだ!
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  次の週末あたりから変動があらわれる前に、チェックしておきたい5作品。
  いきなり上位にくい込んでくるような、パンチの効いた新作を待ちながら。

             平均値/ライター別評点(5点満点)

                  唯  巴  古  冴
 1.タイタニック       5.00  5.0  5.0  5.0  5.0
 2.L.A.コンフィデンシャル  4.63  4.5  5.0  4.5  4.5
 2.スウィート・ヒアアフター 4.63 5.0 4.5 5.0 4.0
 4.リーサル・ウェポン4    3.75 3.5 4.0 4.0 3.5
 5.スクリーム2        3.63 4.5 4.0 3.5 2.5

                    [◆◆◆オススメ封切り情報◆◆◆]
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『フラッド』       全国的な大雨と水害に続き、映画館にも大雨洪水警報!
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9月5日より全国東宝洋画系にて公開 '98年/アメリカ/1時間37分 ◇監督:ミカエ
ル・ソロモン ◇脚本:グラハム・ヨスト ◇出演:クリスチャン・スレーター、モ
ーガン・フリーマン、ランディ・クエイド、ミニー・ドライバー ◇配給:東宝東和

 8月末に記録的な豪雨を記録した日本列島を、再び大洪水が襲う! ただしこれは、
映画館のスクリーンの中の出来事なのでご安心を。洪水に襲われて水没する町を再現
した巨大セットの存在感と、その中で繰り広げられる巨額の現金争奪戦で味わうスリ
ルとサスペンスが相乗効果を生んだ、迫力満点の娯楽大作。途中で『タイタニック』
のパロディみたいな場面もあるなど、遊び心もたっぷり。この秋必見映画の第1弾だ。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.hardrain.com/
  http://www.toho-group.co.jp/towa/flood/welcome-j.html
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『クライムタイム』      殺人とユーモアが合体した英国製の新感覚スリラー
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9月5日より公開 '96年/イギリス/1時間57分 ◇監督:ジョルジュ・シュルイツァー
◇脚本:ブレンダン・ソマーズ ◇出演:スティーブン・ボールドウィン、ピート・
ポスルスウェイト、セイディ・フロスト、カレン・ブラック ◇配給:K2
 ―銀座シネパトス 20:40(~22:40)日祝休映

 大ヒット作『ブラス!』で頑固なバンドリーダーを演じていたピート・ポスルスウ
ェイトが、180度方向を変えて連続猟奇殺人鬼に扮したサスペンス・スリラー。テレ
ビの修理屋として働く初老の男が犯した衝動的な殺人と、それに取材したテレビの犯
罪捜査番組「クライムタイム」に出演した若い俳優の不思議な連帯感を描いている。
全編に満ちる奇妙なユーモアのセンスは、イギリス映画の特徴だろうか。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.trimarkpictures.com/trihomevid/library/crimetime.html
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『スプリガン』         大友克洋が総監修した本格派アクション・アニメ
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9月5日より全国東宝系にて公開 '98年/日本/1時間30分 ◇監督・脚本:川崎博嗣
◇脚本:伊藤康隆 ◇原作:たかしげ宙、皆川亮二 ◇出演(声):森久保祥太郎、
相ケ瀬龍史、城山賢、子安武人、玉川紗己子、高野拳磁、鈴木勝美 ◇配給:東宝

 旧約聖書の洪水伝説で有名な「ノアの方舟」が、トルコのアララト山で発掘された。
遺跡調査組織のスプリガン、御神苗優は、アララト山の発掘現場でアメリカの機械化
部隊と壮絶な戦いを繰り広げる。少年サンデーに連載されていた人気漫画を、大友克
洋原作のアニメ映画『MEMORIES』で作画監督とキャラクターデザインを勤めた川崎博
嗣が映画化した話題作だ。大友克洋は総監修とノアの方舟のデザインを担当。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.spriggan.co.jp/
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○公開作 CHECK 5本!
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★=注目作 ★★=見て損はしない ★★★=これは必見! (未)=未見

■『ヒューゴ・プール』 9月5日より銀座シネパトスにて公開 ★★
肩から力が抜けきった大物俳優たちの演技に注目。徹底してホノボノした映画だ。

■『アナスタシア』 全国東宝洋画系にて公開中 ★★★
大言壮語しただけのことはある、20世紀フォックス初の本格派アニメ大作。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.foxjapan.com/anya/
  http://www.toho-group.co.jp/cinema/anasta/welcome-j.html

■『夢翔る人/色情男女』 シネマミラノにて公開中 ★★★
新人スー・チーの初々しい魅力とレスリー・チャンのぶつかり合い。すごく楽しい!
 □大阪国際シネマドリームいずみさの映画祭のページ
  http://www.nifty.ne.jp/fanta/izumisano/sakuhin/vivaerotica/index.htm

■『Jam』 テアトル新宿にてレイト公開中 ★★★
台湾でこんなにシャレた映画が作られていた。日本の映画人もがんばってくれ。

■『チェイシング・エイミー』 9月11日までシネ・アミューズにて公開 ★★★
最初から最後まで感情移入しっぱなしのラブストーリー。最後はすごく切ないぞ。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.iijnet.or.jp/ASMIK/M/Ace/1998/Chasing/index.html
  http://www.viewaskew.com/chasingamy/
                           [Written by 服部弘一郎]

                        [◆◆◆MOVIE PADDOCK◆◆◆]
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     出走を待ちわびる新作情報を、期待値%つきでお届けします
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■『ダークシティ』
11月/渋谷東急ほか全国松竹・東急洋画系(期待値70%)
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時代も場所も、住む者誰もが知らない巨大都市ダークシティ。決して太陽が昇らず、
闇に閉ざされたその街で起こる連続殺人事件。何者かの手によって記憶を消された事
件の容疑者、ジョン・マードックは、疑惑を晴らすため、わずかな記憶の断片を手が
かりにして事件の謎に迫っていくのだが……。『クロウ 飛翔伝説』で脚光を浴びた
異端のビジュアリスト、アレックス・プロヤス監督が放つSFスリラー。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.darkcity.com/
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■『クジラの跳躍 Glassy Ocean~たむらしげるの世界~』
11月上旬/銀座テアトル西友(70%)
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絵本を中心に、イラストレーション・漫画・CD-ROMなど多彩な分野で活躍し、国内外
に多くのファンをもつたむらしげるのアニメーション作品。温かみのあるイラスト
レーションと透き通る3DCGが溶け合う。併映は『銀河の魚』『ファンタスマゴリア』。
 □『銀河の魚』紹介ページ
  http://www.sony.co.jp/ProductsPark/Professional/HDsoft/video/00QW-9054.htm
l
 □『ファンタスマゴリア』紹介ページ
  http://www.synergy-j.co.jp/titles/titles/phantas.html
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■『ラヴ・ゴーゴー』
12月上旬/ユーロスペース(75%)
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台北の小さなアパートに住むパン屋のアシェン、ミュージシャン志望のシュウ、太め
で夢見る乙女のリリー、さまざまなタイプの人々に訪れるさまざまなタイプの「愛の
時」を描いていく。主要な登場人物すべてにキラリと光るエピソードを配し、それら
が絶妙に絡み合っていくラストに注目。『熱帯魚』でデビューしたチェン・ユーシュ
ン監督最新作。出演はタン・ナ、チェン・ジンシン、リャオ・ホェイチェン、シー・
イーナン。

                         [◆◆◆映画4人衆◆◆◆]
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『アナスタシア』
 ロシア皇女アナスタシアをめぐるアドベンチャー・ファンタジー
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1916年、王政300年を祝う宴にわいていたロシアのロマノフ一族。王によって追放さ
れ一族に恨みをもつ悪漢ラスプーチンは、悪魔に魂を売り渡して手に入れた魔力で一
族に呪いをかけ、召使いの少年の手引きで皇太后と共に宮殿を脱出した皇女アナスタ
シアを残して一族は死に絶え、皇太后とアナスタシアも生き別れになってしまう。
10年の歳月を経て、アナスタシア─子供の頃の記憶を失った孤児のアーニャ─は、
「パリで会いましょう」と刻まれたネックレスを手がかりに、自分を愛してくれた
家族探しの旅に出るのだが……。
                                            (満点は★5つ/半は★半分)

■アメリカもアニメはどんどん作って勉強してほしい。だからサントラ出したいから
といってミュージカルで間を持たせるのはもういい加減にしてくれ。★☆☆☆☆<唯>

■本当にアニメ? と疑いたくなる画の素晴らしさ。特に主人公たちの動き、ダンス
シーン等はもう実写だね。まるで昔のミュージカル映画を観る感じ。★★★☆☆<古>

■細かな動作、一連の流れに難あり。それにしても、ディミトリが話している間ずっ
とジョン・キューザックが頭に浮かんでしまったのはわたしだけ? ★★★☆☆<巴>

■本人を彷彿させる生き生きとした魅力を、キャラクターに吹き込んだメグ・ライア
ン。リズ・キャラウェイの歌声も、アナスタシアに命を与えて。  ★★★☆☆<冴>
 □OFFICIAL SITE
  http://www.foxjapan.com/anya/
  http://www.toho-group.co.jp/cinema/anasta/welcome-j.html

                            [◆◆◆TOPICS◆◆◆]
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★『スモール・ソルジャーズ』、日本でオリジナル・コミック化
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全米でヒットしたフィギュア・アクション映画『スモール・ソルジャーズ』(監督/
ジョー・ダンテ、声の出演/トミー・リー・ジョーンズ)が、12月中旬から全国東宝
洋画系で公開されるのを機に、日本で初めてのオリジナル・コミック化が進められる
ことになった。これは、「ポケモン」の仕掛人である久保雅一氏が指揮をとり、上山
道郎氏によってコミック化されるもので、小学館の月刊誌11月号(10月15日発売)か
ら毎月50ページずつ3回にわたって連載される(連載終了後、1月には単行本にまとめ
られる)。また、キャラクターグッズやフィギュア、雑貨、衣料品、文具、ゲーム
(プレイステーション/PC版)などの発売も、今秋から大々的に展開されるもよう。
 □Small Soldiers
  http://www.freezone.com/small-soldiers/
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★『ディープ・インパクト』、興収60億円突破
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6月20日に公開された『ディープ・インパクト』は、初日から10週目の週末(8月22日
~24日)までの66日間で398万8千人を動員し、興行収入は60億円を突破する大ヒット
となっている。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.deep-impact.com/
  http://www.shochiku.co.jp/uip/deepimpact/index.html
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★『ムトゥ・踊るマハラジャ』、快記録
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6月13日から渋谷のシネマライズで公開されたインド映画『ムトゥ・踊るマハラジャ』
は、8月26日までの75日間で興収1億円を突破、1日3回のみの上映にもかかわらず、
現在も好調な伸びをみせている。
 □OFFICIAL SITE
  http://Raging-Thunder.com/02kaminari_ichiba/03.ticket_market/03.ticket_mar
ket/mutuh/muthu_order1.html
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★ジャリリ監督の2作品公開
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現在のイランとイラン人の生活を、子供を通して描いているイランのアボルファズル
・ジャリリ監督の2作品が、11月中旬から銀座シネ・ラ・セットで公開される。ジャ
リリ監督はこれまでに8本の長編劇映画を発表しているが、ヴェネチア映画祭での受
賞など海外での評価が高い反面、作品の社会的テーマが問題となり、本国イランでは
すべての作品が上映禁止になっている。今回公開されるのは、少年院でたくましく無
邪気に生きる少年たちを描いた『かさぶた』と、両目を見開いたまま横たわる全身マ
ヒの妹の治療法を探す少年を描いた『7本のキャンドル』の2作品。

                     [◆◆◆興行成績ベストテン◆◆◆]
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  『アナスタシア』が初登場2位。アニメ作品には珍しく、平均鑑賞年令は
  やや高めか。夏休みならではの出足を確保した1、3、5、7、10位は、先週
  と同位置にピッタリつけている。
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  【配収】
 1 →( 1)ディープ・インパクト            (11週)
 2 初(─)アナスタシア                ( 1週)
 3 →( 3)GODZILLA/ゴジラ              ( 8週)
 4 ↓( 2)スクリーム2                 ( 3週)
 5 →( 5)仮面の男                  ( 4週)
 6 ↓( 4)リーサル・ウェポン4             ( 5週)
 7 →( 7)TAXi                    ( 3週)
 8 ↓( 6)L.A.コンフィデンシャル           ( 7週)
 9 ↑(11)機動戦艦ナデシコ/スレイヤーズごうじゃす  ( 4週)
 10 →(10)ポケットモンスター・ミュウツーの逆襲    ( 7週)

 興行通信社調べ1998/8/29~1998/8/30(銀座・新宿・渋谷3地区代表館集計)

-------------------------[◆◆◆オススメVIDEO◆◆◆]------------------------
     先週に引き続いて登場のアレックス・コックス。しかし、こ
     ちらは正真正銘のコックス世界。マニアックながらオススメ。
     頭を空っぽにした上で……、いや、見たら空っぽになるかも。
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『デス・アンド・コンパス』 カッコよすぎる不条理の迷宮へようこそ
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【データ】'97年/米/1時間39分(9/5発売:バップ)
監督・脚本:アレックス・コックス 出演:ピーター・ボイル、ミゲル・サンドバル

 耽美・怪奇・不条理の文学の系譜とともに日本でもファンの多い、ボルヘスの世界
を映像化。それがあの、疾走する酔っぱらい監督、アレックス・コックスの手による
となれば、わかろうがわかるまいが見ておくべき。連続殺人事件を直観と連想と瞑想
で読み解きながら犯人を追う刑事は、自宅で座禅を組んでリラクゼーション。哲学的
な問いかけを物理的に消化するかのような理不尽なスピード感。ボルヘスの幻想とア
レックス・コックスの天才的迷走がまさに歴史に残る融合を見せる。
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○CHECK 5本!
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■『スポーン』1時間38分/米(9/11発売:東宝)
妻との再会のために地獄から蘇ったというスポーンが、悪の軍団と戦うアメリカ産コ
ミックの映画化。
監督:マーク・デッペ 出演:マイケル・J・ホワイト、マーティン・シーン

■『女刑事RIKO 聖母の深き淵』1時間39分/日本(9/11発売:東映ビデオ)
子守警部補、緑子。幼い息子を育てつつ殺人事件の捜査をする未婚の母。
監督:井坂聡 出演:滝沢涼子、風間トオル、永沢俊矢、大杉漣、麻生祐未

■『MIND GAME マインドゲーム』1時間48分/日本(9/11発売:大映)
青年の内面に隠れた人格がセラピストを蝕むサイコサスペンス。
監督・脚本・出演:田口浩正 出演:柏原崇、田辺誠一、鈴木保奈美、竹中直人

■『バニシング・サブウェイ』1時間28分/米=アルゼンチン
(9/5発売:アルバトロス)
地下鉄で列車が突如行方不明。高速で暴走する列車を運転する謎の科学者と、複雑な
地下鉄網の中を捜索する科学者の対決。
監督:グスタボ・モスケーラ 出演:ギレルモ・アンゲレーリ、ロベルト・カナルギ

■『鉄と鉛』1時間37分/日本(9/11発売:東映ビデオ)
中年の探偵を狙うやくざ、そしてさらなるトラブル、アクションとバイオレンス。
監督・脚本:きうちかずひろ 出演:渡瀬恒彦、宮崎光倫、竹中直人、平泉征
                           [Written by 唯よーじゅ]

             [◆◆◆BS&CS今週の3本◆◆◆]
                           セレクター:長谷川未来
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 9/7(月)『スケアクロウ』 NHK衛星第2(20:00~)
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刑務所帰りの中年男と船乗りをやめた青年が、ヒッチハイクをしながら町から町へ旅
をする。土ぼこりと70年代の空気に男のむさ苦しさが加わって味わい大アリ。主演は
ジーン・ハックマンとアル・パチーノ。ベルボトムがまぶしいでございます。
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 9/9(水)『高校教師』 WOWOW(13:30~)
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どこか影のある高校教師が生徒と関係をもってしまう、まあ、言ってしまえばよくあ
る話。しかし、引退してしまったアラン・ドロンの作品となれば見ない手はない。賭
けトランプの仲間の中にジャンカルロ・ジャンニーニの顔も。勉強どころじゃありま
せん。
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 9/9(水)『シャンプー』 SKY CINEMA(23:00~)
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有能な1人の男性美容師が心と体の赴くままに女性と関わってしまう。モテモテで選
び放題の状態はいつまで続くのだろうか……。テクニカラーの色彩がサイケな音楽や
ファッションに溶けていて多面体な輝きのある映画。ポール・サイモンが音楽担当。

                            [◆◆◆ESSAY◆◆◆]
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【映画のノイジオグラフィー ~音響の博物誌(8)】
 アカデミーの音響史(2)マーク・バーガー
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 今回はマーク・バーガー。彼がチキンを食べるとマーク・チキン・バーガーになっ
てしまうが、それは些細なことだ。むしろ『ライトスタッフ』(1983年/フィリップ
・カウフマン監督)と『アマデウス』(1984年/ミロス・フォアマン監督)でたて続
けにアカデミー音響賞を取った彼の音響はいったいどういうものだったのかというこ
とのほうが重要だろう。
 『ライトスタッフ』は音速の壁に挑戦するパイロットと、アメリカ初の宇宙飛行士
となった男たちの物語である。音響の特色といえば、当然ジェット機やロケットの音
ということになりそうだし、一方『アマデウス』は音楽家の凡人サリエリが回想する
天才モーツァルトの物語。モーツァルトの名作が波乱に富んだ音楽家の人生を彩ると
ころだ。
 しかしこの2作の印象がどこかフラットなことに気がつかされた。ジェット機の轟
音もあれば、宇宙飛行士の煩悶もある。モーツァルトの曲もあれば、凡人音楽家の苦
悩もある。いくらでもドラマを盛り上げることができるのに、どこか平坦な、それで
いてビーンと低く横たわる感動がある。人間の人生を主題とした映画の作り方という
ことなのだろうが、他に何かあるのかもしれない。
 『ライトスタッフ』に、空軍基地近くのパイロットたち行きつけの「パンチョの
店」という酒場が出てくる。この酒場が火事で燃えてしまう。パイロットの1人が馬に
乗って焼け跡を見にきたとき、かつてこの店で流れていたとおぼしき古めかしいピア
ノの音楽がかすかに流れる。その静かな間合いに消火された後を示す水滴の音が聞こ
える。パイロットの妻がやってきて、パイロットという職業への不安を夫に打ち明け
ながら「昔話を生きがいにする男は我慢ならない」などと話す。
 ここに記憶を均質化しようとする意志が読める。音響もそのように設計されたので
はないか。記憶の遠近感を均質に保つための音響。『アマデウス』でサリエリの頻繁
な追想が、モーツァルトの楽曲によって橋渡しされるのもこのためだろう。『ライト
スタッフ』の終盤、格納庫で反響するパイロットの声に続いて、沈黙のトンネルから
大歓声の歓迎会にいたる宇宙飛行士のパレード、そして歓迎会のショーの音が薄らい
でいくと、格納庫から出発したパイロットの墜落した爆音。遠近感を消失させる音響。
こちら側とあちら側、もしくは過去から現在への起伏を平坦にならすかのような構造
を組み込んで2度の音響賞を獲得したのがマーク・バーガーの音響設計ということに
なる。といっても2度の音響賞は彼ばかりではない。『ターミネーター2』『ジュラ
シック・パーク』のゲーリー・サマーズ、『愛と哀しみの果て』『ラスト・オブ・モ
ヒカン』のクリス・ジェンキンズ、『スター・ウォーズ帝国の逆襲』『レイダース』
のビル・バーニー、『キャバレー』『エクソシスト』のロバート・ニュードソンらが
いる。というわけで次回はロバート・ニュードソン。
                            [Written by 竹本穣]

                 [◆◆◆THE DAY OF BIRTH(9/5~9/11)◆◆◆]
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 9/ 5 ジョン・ケイジ(1912)、ヴェルナー・ヘルツォーク(1942)、
    フレディ・マーキュリー(1946)、マイケル・キートン(1951)、
    草刈正雄(1952)、中村トオル(1965)、吉野公佳(1975)

 9/ 6 オットー・クルーガー(1885)、市毛良枝(1950)

 9/ 7 バディ・ホリー(1936)、ダリオ・アルジェント(1940)、長渕剛(1956)

 9/ 8 ドヴォルザーク(1841)、デビッド・アークェット(1972)、
    秋本祐希(1976)

 9/ 9 クリフ・ロバートソン(1925)、ロジャー・ウォーターズ(1943)、
    エリック・セラ(1959)、ヒュー・グラント(1960)

 9/10 山田康雄(1932)、ライアン・フィリップ(1975)、斉藤由貴(1966)、
    有沢妃呂子(1972)

 9/11 オー・ヘンリ(1862)、リー・リチャードソン(1926)、
    ブライアン・デ・パルマ(1940)、泉ピン子(1947)、
    クリスティ・マクニコル(1962)、涼風真世(1960)、
    ヴァージニア・マドセン(1963)、ハリー・コニック・Jr.(1967)

▼星座別オススメ映画はwebへのリンクに移行しました。
 http://www.cup.com/yoge/tarot/astro/
占い協力:TAROT-ASTROLOGY OF THE WEEK

▼MOVIE WatchのHP
 http://www.watch.impress.co.jp/movie/

----------------------------◆◆◆ 後記 ◆◆◆----------------------------
■1か月ぶりの映画の日、なんだかんだいって先月と同じく『仮面の男』に列ができ
てた。『スクリーム2』は4人で\1200だから、新作+人気順で次はそうなるのか。<唯>

■アントニオ・バンデラス主演の『マスク・オブ・ゾロ』。まだ観ていないんだけれ
ど、予告編でヒロインの美しさに一目惚れ。う~ん、知的かつ色っぽい!   <巴>

■疲れ気味のあなたに、『アナスタシア』で主人公(歌声はリズ・キャラウェイ)が
旅立ちに歌う『ジャーニー・トゥ・ザ・パスト』を。勇気がわいてきます。  <冴>

▼問い合わせ先 ──────────────────────────────
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