◆MOVIE Watch (毎週金曜日発行:無料)─────────1998-6-26

☆今週のHEADLINE☆─────────────────────────────

●MOVIE Watchリアル・ランキング
 MOVIE Watchがオススメする今週の5本(平均値/ライター別評点)

●オススメ封切り情報
 『レインメーカー』 グリシャム原作ものでは最高の出来! さすがコッポラ
 『普通じゃない』 ダニー・ボイル流の最新スクリューボール・コメディ
  『不夜城』 香港の才能を招聘して、日本映画界は東洋のハリウッドになれるか?
 ○公開作 CHECK 5本!
 『コレクター』『アパッショナート』ほか

●MOVIE PADDOCK 出走を待ちわびる新作情報(期待値%つき!)
 『ブギーナイツ』 '98年アカデミー賞3部門ノミネートの話題作
 『しあわせになろうね』 ヤクザ解散劇にみる「しあわせになりたい」思い
 ほか

●映画4人衆
 『大いなる遺産』
 光と音と色彩とに縁取られた、人と人との不思議な結びつき

●TOPICS
 日本最大規模のマルチプレックス・シアターが、札幌に登場 ほか

●興行成績ベストテン

●REVIEW
 『ディープ・インパクト』
 極限状態で浮かびあがる、人間の本質への果敢な挑戦

●オススメVIDEO
『この森で、天使はバスを降りた』
 傷心の天使にはさらなる使命が待っていた
 ○CHECK 4本!

●BS&CS今週の3本

●COLUMN
 【映画は音楽だ(6)】
 夏休み映画の前にロングラン・ムービーをチェック!

●THE DAY OF BIRTH

●後記

                [◆◆◆MOVIE Watchリアル・ランキング◆◆◆]
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   今週末時点での劇場公開作からピック・アップした、MOVIE Watch独自の
         採点による上位5作品。今観るならこれだ!
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   長い間上位をキープしていた『ガタカ』『東宮西宮』もそろそろ終盤。
   未見の方は劇場での見納めを忘れずに。ロングランの『タイタニック』
   に挑む、勢いをもった作品の登場が待ち遠しい。

             平均値/ライター別評点(5点満点)

                 唯  巴  渡  冴
 1.タイタニック      5.00    5    5    5    5
 2.ガタカ         4.50    5    4    4    5
 3.初恋          4.00    4    4    4    4
 4.東宮西宮        3.88    4    4  3.5   4
 5.追跡者         3.63 3.5  4  4  3

(圏外上位) 絆<きずな> 不夜城 レインメーカー

                    [◆◆◆オススメ封切り情報◆◆◆]
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『レインメーカー』 グリシャム原作ものでは最高の出来! さすがコッポラ
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6月27日より全国松竹東急洋画系にて公開 '97年/アメリカ/2時間15分 ◇監督・
脚本:フランシス・フォード・コッポラ ◇出演:マット・デイモン、クレア・デー
ンズ、ジョン・ボイト、ダニー・グローバー ◇配給:GAGA、ヒューマックス

 ハリウッドでもっとも人気のある小説家、ジョン・グリシャムの「原告側弁護人」
を、『グッド・ウィル・ハンティング』のマット・デイモンを主役に映画化。『ロミ
オ+ジュリエット』のクレア・デーンズが、暴力亭主に悩まされる人妻役を好演する
ほか、ダニー・デビート扮する弁護士助手、ミッキー・ローク扮する悪徳弁護士、ロ
イ・シャイダー演じる大企業の社長など、出演者が超豪華。文句なしの大推薦作だ。

 □OFFICIAL SITE
  http://www.therainmaker.com/
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『普通じゃない』 ダニー・ボイル流の最新スクリューボール・コメディ
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6月27日より全国洋画系にて公開 '97年/アメリカ/1時間43分 ◇監督:ダニー・
ボイル ◇脚本:ジョン・ホッジ ◇出演:ユアン・マクレガー、キャメロン・ディ
アス、ホリー・ハンター、デルロイ・リンドー ◇配給:20世紀フォックス

 昨今の軽薄な男女関係に業を煮やした神様が、「運命的なカップル」の誕生を計画。
ビル掃除の仕事をしているロバートと社長令嬢のセリーンは、地上に降りた天使たち
の画策で衝撃的な恋に落ちるのか? フランク・キャプラ作品を思わせる古典的なス
クリューボール・コメディを、『トレインスポッティング』のダニー・ボイル監督が
今風にアレンジ。ホリー・ハンターとデルロイ・リンドーが演じる天使たちが最高!
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『不夜城』 香港の才能を招聘して、日本映画界は東洋のハリウッドになれるか?
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6月27日より全国松竹東急洋画系にて公開 '98年/日本/2時間2分 ◇監督・脚本:
李志毅 ◇脚本:野沢尚 ◇原作:馳星周 ◇出演:金城武、山本未来、椎名桔平、
郎雄、曾志偉、周海媚、修健、永沢俊矢、谷原章介 ◇配給:アスミック・エース

 映画王国ハリウッドの強さは、外国の才能を積極的に招く点にある。そんな戦略に
ならい、閉鎖的な日本映画界に風穴を開けることになるであろう作品が、歌舞伎町の
中国系マフィアを描いた『不夜城』だ。『月夜の願い』『世界の涯てに』で映画ファ
ンを熱狂させた李志毅(リー・チーガイ)監督、若手で人気ナンバー1の金城武など、
数多くの香港映画のスタッフや俳優たちが参加。この作品で、日本映画は変わるぞ。

 □OFFICIAL SITE
  http://www.toei.co.jp/movie/new_mov/fuya/index.htm
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○公開作 CHECK 5本!
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★=注目作 ★★=見て損はしない ★★★=これは必見! (未)=未見

■『コレクター』 6月27日より全国東宝洋画系にて公開 ★★
連続女性誘拐事件を捜査するモーガン・フリーマン。アシュレイ・ジャッドも素敵!

■『アパッショナート』 6月27日よりシネマスクエアとうきゅうにて公開 ★★
キム・ロッシ=スチュアートの無垢な美青年ぶりが魅力。共演はアンナ・ガリエナ。

■『愚か者 傷だらけの天使』 6月27日よりシネ・ヴィヴァン六本木にて公開 ★
昨年公開された『傷だらけの天使』のプレストーリー。鈴木一真がカッコいいぞ。

■『ボスニア』 6月27日より中野武蔵野ホールにて公開 ★
昨日までの親友同士が、今日は殺し合いを演じる内戦の悲劇。実話をもとに映画化。

■『ボディ・カウント ヤバい奴ら』 6月27日よりシネマミラノにて公開 ★
美術品強盗の仲間割れに巻き込まれた、女性ヒッチハイカーが取った行動は?
                           [Written by 服部弘一郎]

                        [◆◆◆MOVIE PADDOCK◆◆◆]
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     出走を待ちわびる新作情報を、期待値%つきでお届けします
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■『ブギーナイツ』 今秋/シャンテ・シネ、シネマ・カリテ(期待値85%)
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1977年、ロサンゼルス郊外サン・フェルナンド・ヴァレーのナイトクラブで、1人の
少年エディ・アダムスがポルノ映画監督ジャック・ホーナーにスカウトされ、一夜に
してスター街道を駆け上がる。しかし、その栄光も'80年代の到来と共にかげりを見
せて……。'98年アカデミー賞3部門ノミネート作品。監督はポール・トーマス・アン
ダーソン、出演はマーク・ウォールバーグ、バート・レイノルズほか。
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■『しあわせになろうね』 今秋/丸の内シャンゼリゼ(70%)
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「しあわせになりたい」「人生をやりなおしたい」─誰もが一度は考えるそんな願い
を、ヤクザの解散劇になぞらえて描き出す極上のエンターテインメント。出演は渡瀬
恒彦、哀川翔、有森也実ほか。村橋明郎監督作品。
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■『CUBE』 9月上旬/シネ・ヴィヴァン・六本木(80%)
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ある日突然、男女6人がたくさんの部屋の集合体で作られた巨大な立方体の密室に閉
じこめられて……。閉ざされた空間の中で浮かび上がる「人間の弱さ」を描いて、ト
ロント映画祭で最優秀デビュー賞を受賞、サンダンス映画祭で圧倒的な支持を得たカ
ナダの新鋭ヴィンチェンゾ・ナタリ監督、初の長編作品。
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■『グランド・コントロール/乱気流』 7月18日/銀座シネパトス (75%)
                   8月 8日/大阪・天六ホクテンザほか
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嵐吹き荒れるフェニックス上空。今にも接触事故を引き起こしかねない状況で、旅客
機をコントロールするのは管制官のみ。しかし、通信不能、誘導不能の緊急事態が発
生し……。『乱気流/タービュランス』から1年を経て、さらにパワーアップしたパ
ニック度。リチャード・ハワード監督作品。出演はキーファー・サザーランド、ロ
バート・ショーン・レナードほか。

                          [◆◆◆映画4人衆◆◆◆]
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『大いなる遺産』
光と音と色彩とに縁取られた、人と人との不思議な結びつき
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フロリダの小さな町で、絵の才能に恵まれた10歳の少年フィンは、姉のマギー、その
ボーイ・フレンドのジョーと共に暮らしていたが、脱獄囚ラスティグ(ロバート・デ
ニーロ)や町の富豪ディンズムア夫人(アン・バンクロフト)、その姪エステラとの
出会いが、フィンの運命を思わぬ方向に導いていく。美しく成長したエステラ(グ
ウィネス・パルトロウ)に思いを寄せる青年フィン(イーサン・ホーク)。彼の気持
ちをはぐらかしたまま、ある日突然、エステラはヨーロッパへ旅だってしまい……。
                                           (満点は★5つ/半は★半分)

■大いなるストーリーだけなぞっていくので精一杯だったのか、心境の変化のプロセ
スは「使用前・使用後」みたいな、時間を感じない場面展開の連続。★★半☆☆<唯>

■あらゆる偶然は必然である。その繰り返しにより、人は答えへと導かれる。ありふ
れた出来事も奇妙な出来事も、すべては運命の輪郭を描く色、色。 ★★★☆☆<古>

■主役2人のシーンはとても綺麗。でも肉体を感じない。そのせいか同化できず、た
だの自己中心女&自己陶酔男に見えてしまった。残念だけど。   ★★半☆☆<巴>

■エピソードとエピソードを巧みに繋いでいく音楽の使い方は、運命のページをめく
る、繊細で衝動的な指先のよう。クレメンテの絵で目が覚める思い。★★★☆☆<冴>

 □OFFICIAL SITE
  http://www.filmzone.com/foxmovies/greatexpectations/

                            [◆◆◆TOPICS◆◆◆]
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★日本最大規模のマルチプレックス・シアターが、札幌に登場
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大津市、金沢市に続き、UCIジャパンによる日本で3番目のマルチプレックス・シア
ター「パラマウント・ユニヴァーサル・シネマ11」が、6月20日に札幌市のサッポロ
ファクトリー一条館内にオープンした。サッポロファクトリーは明治時代初期にで
きたビール工場で、後にショッピングセンター、飲食店街などの総合施設に再開発
されており、今回、一条館内の2~5階に11スクリーンが新設された。座席数は11ス
クリーン合わせて2,741席。各スクリーンには身体障害者用シートも設けられ、一般
興行のほかにファーストショー、レイトショー、レディスデー、映画サービスデー
などの割引制が採用されている。
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★松竹映画塾、夏の特別講座を開催
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松竹の鎌倉映画塾ではこの夏、映画・ビデオ製作に関心のある人を対象にしたサマー
ワークショップ「この夏、松竹で映画をみんなで撮ろう!」を実施する。撮りっぱな
しビデオを編集したい人、ドキュメンタリー作品に挑戦したい人、ドラマ作りに取り
組みたい人などを募集中で、参加者は大船撮影所の施設や機材を利用して本格的な作
品に挑戦することができる。募集人員は50名、開催期間は8月18日から30日まで。募
集要項は以下のとおり。

 応募資格:映画を好きな人、プロ・アマ、学歴、年令不問。グループ参加が原則。
内容説明会:7月25日(土)、8月8日(土)(松竹本社)
      8月9日(日)(大船撮影所内・鎌倉映画塾)
 選考方法:プラン・シナリオをみて内容説明会の席上で面接決定。
  参加費:グループで1本の映像作品を作る場合、
      (1)ビデオ作品(15分)基本製作費25万円
      (2)フィルム作品(15分)基本製作費50万円
      個人参加(スタッフを希望)する場合5万円
      撮りだめビデオ編集仕上げ(15分)5万円基準
 応募方法:応募要項を無料で送るので請求する。
 応募締切:8月14日(金)必着
  送付先:〒247-0056 鎌倉市大船6-1-1 松竹大船撮影所内鎌倉映画塾
問い合わせ:電話/0467-48-4193 FAX/0467-48-6191(ワークショップ担当)
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★第34回淀川長治映画塾、開催
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アテネ・フランセ文化センター(03-3291-4339)主催の第34回淀川長治映画塾が、7
月18日(土)午後1時半から「クルーゾから南北まで」と題して行われる。1959年新
東宝作品、中川信夫監督『東海道四谷怪談』の上映と、鶴屋南北とアンリ=ジョル
ジョ・クルーゾ(『恐怖の報酬』)の関連性などの講話が予定されている。

                     [◆◆◆興行成績ベストテン◆◆◆]
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 1位、2位を新作が独占。『ディープ・インパクト』は、30分前でも立ち見が
 出る盛況ぶり。『ジャッカル』も健闘したが1位に大きく差をつけられた。
 『プライド~』は4位に再浮上。来週以降の『タイタニック』にも注目。
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  【配収】
 1 初(─)ディープ・インパクト            ( 1週)
 2 初(─)ジャッカル                 ( 1週)
 3 ↓( 1)タイタニック                (27週)
 4 ↑( 6)プライド 運命の瞬間            ( 5週)
 5 初(─)大いなる遺産                 ( 1週)
 6 ↓( 2)追跡者                   ( 2週)
 7 ↓( 3)絆<きずな>                ( 3週)
 8 ↓( 5)恋愛小説家                 (11週)
 9 →( 9)ブルース・ブラザース2000          ( 4週)
 10 ↓( 4)ラストサマー                ( 4週)

 興行通信社調べ1998/6/20~1998/6/21(銀座・新宿・渋谷3地区代表館集計)

                             [◆◆◆REVIEW◆◆◆]
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『ディープ・インパクト』
極限状態で浮かびあがる、人間の本質への果敢な挑戦
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 人は別れ(何かの終わり)に際し、他者と自分との関係性に初めて気付くものらし
い。そこで人は何を思い、どのように行動するものなのか。前作『ピースメーカー』
で骨太のアクションを展開し、手堅い監督デビューを果たしたミミ・レダーが、SFX
超大作の枠組みの中で、人間と人間のドラマを描くことに果敢に挑戦した意欲作であ
る。
 巨大彗星が地球に突っ込んでくるという危機的状況で、生存が保証される避難用
シェルターには人数制限がある。生存できるか否かは抽選で決められ、年配者には抽
選に参加する権利さえ与えられない。そこにたたみかけられる家族や恋人との別れ。
観る者は思わず、登場人物に自分や親しい者たちの姿を重ねて涙してしまうのだ。
 だが、それは純粋に物語に感動して流される涙ではないだろう。そもそもこの物語
には、同じ人間として納得することのできない点が多々残されているのである。愛す
る者を置き去りにしてでも、シェルターに入って人は生き延びようとするだろうか。
万にひとつ、残されているかもしれない生存の可能性に賭けることなく、迫り来る津
波を、海辺でただ待つだろうか。小高い丘に逃げおおせた人々は、わずかな波をかぶ
るでもなく助かっているというのに。
 それぞれの立場で(願うらくは愛する者のために行動するようであってほしい)、
可能な限り危機を回避しようとするのが人間ではないだろうか。そして、描くべきは
その過程であり、渦中にある人々の感情のうねりではないのか。筆者には、作品の終
盤で一気に押し寄せる津波が、観る者のそういった思いもろとも、未解決のうちに洗
い流してしまっているような気がしてならないのである。
                           [Written by 古山 慶]
 □OFFICIAL SITE
  http://www.deep-impact.com/

                         [◆◆◆オススメVIDEO◆◆◆]
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    映画館でもたしかにちらほらと泣いてる人はいました。『この森で、
    天使はバスを降りた』。でも「泣くぞ」と意気込んで見るよりは、
    作品のドライな面とウェットな面の狭間でジンときて下さい。
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『この森で、天使はバスを降りた』 傷心の天使にはさらなる使命が待っていた
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【データ】'96年/米/1時間56分(7/3発売:東和ビデオ)
監督:リー・デビッド・ズロートフ 出演:アリソン・エリオット

 刑期を終えてもまだ若いバーシー。彼女は見知らぬ片田舎で新しい人生を始めるた
め、その町へやってきた。予想していたとはいえ、好奇の目に満ちた人々と、気難し
い雇い主。それでもめげずにサバサバと、あるいは健気に、町の人間にも仕事にも徐
々に慣れていく彼女。しかし雇い主には秘密があった。その秘密が元で思わぬ展開が
……。保守的な田舎町に一石が投じられたときに起こる奇跡、それが例えば理不尽な
犠牲の上であっても、天使は少しずつ、明るいほうへと導いてくれるものなのかも。
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○CHECK 4本!
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■『ボーマルシェ 革命前夜』1時間40分/日本(7/3発売:オンリー・ハーツ)
『フィガロの結婚』の原作者で政治家でもある男の生きざまを描く。

■『ブレード刀』1時間45分/香港(7/3発売:エスピーオー)
殺人者たちに右腕を奪われた男が、復讐のため片腕の猛特訓を開始する。

■『スリーピー・ヘッズ 証拠隠滅』1時間26分/日本
(7/3発売:イメージファクトリー・アイエム)
オールN.Y.ロケの日本映画。仲間の死体をかついで右往左往する若者の物語。

■『スキナー』1時間30分/米(7/3発売:マクザム)
サム・ライミの弟、テッド・ライミ主演。女の肌を求める殺人鬼の姿を描く。
                           [Written by 唯よーじゅ]

                         [◆◆◆BS&CS今週の3本◆◆◆]
                            セレクター:松岡洋子
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 6/27(土)『さらば箱舟』 MOMOチャンネル(深夜1:00~)
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寺山修司の感性が描く傑作。これをテレビで見てしまってよいのか!? という疑問は
あるが……。バブルで世の中が浮き足立つもっと前、この才能、この作品を生み出し
た日本こそ真に豊かだったといえるのではないだろうか。山崎努、小川真由美を筆頭
に、原田芳雄、石橋蓮司、蘭妖子、果ては三上寛と、アングラファンでなくても涙モ
ノの俳優陣も魅力。
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 6/28(日)『フェノミナン』 WOWOW(13:00~)
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優しいことが取り柄の平凡な男ジョージ。誕生日に不思議な光を目撃した瞬間から、
彼は大天才へと変貌していく。ダンスもアクションもぬきで楽しませてくれる俳優・
トラボルタの魅力に驚く。恋人役のセジウィックも泣かせてくれる、せつないラブ・
ファンタジー。
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 6/30(火)『CURE/キュア』 シネマジャパネスク(14:00~)
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被害者の胸にXの文字が刻まれる連続殺人事件を追う刑事(役所広司)と容疑者(萩
原聖人)の静かな闘い。黒沢清監督の描くサイコ・サスペンス。ヒタヒタと迫ってく
る恐怖感。なるべくなら誰かと肩寄せ合って見たい。萩原の、病的ないやらしさを感
じさせる演技は絶品。

                             [◆◆◆COLUMN◆◆◆]
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【映画は音楽だ(6)】
夏休み映画の前にロングラン・ムービーをチェック!
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◆『ガタカ/オリジナル・サウンドトラック』
(東芝EMI/VJCP-25384/税抜価格\2,548)

 ハリウッドらしからぬスタイリッシュな異色SF映画として評価の高い作品であるが、
サウンドトラックもハリウッドらしからぬマイケル・ナイマン。かつてはピーター・
グリーナウェイ監督の一連の作品を手掛け、いわゆる通好みの作曲家であり、現代音
楽家としても知られた人であったが、『ピアノ・レッスン』のヒットによりブレイク
してきた。この辺の流れをみて同じ現代音楽出身の坂本龍一に似たものを感じるのは
私だけだろうか。さて、このサントラ、グリーナウェイ作品のころに比べると、前衛
的な色は薄くなっているが、ミニマル・ミュージックをもとにしたシンプルなフレー
ズのリフレインは健在。全24曲で大半が2分前後の小品を集めた本作は自身のバンド
ではなく、ロスアンゼルス・フィルム・オーケストラによるもの。このことでより一
層"サントラ"っぽく聞かせてくれる。なお、1曲だけシューベルトの作品が含まれて
いるが、'95年の作品『キャリントン』でも1曲だけ使用されているのは何故だろう。

◆『フル・モンティ/オリジナル・サウンドトラック』
(BMGジャパン/BVCF-1569/税抜価格\2,548)

 お正月映画でありながら、いまだにロングランをしているこの作品は単館界の『タ
イタニック』と呼びたい。今元気な英国映画を象徴しているような作品だが、サント
ラだけでもイケる内容となっている。'60年代から'80年代までのディスコやダンス
チューン中心にちょっとダサめにセレクトされているのが英国の地方都市を感じさせ
てくれ、そこがまたイイのである。Mピープル(実際の作品中では少ししか流れない)
が唯一最近のアーティストである以外は、マッチョおやじのトム・ジョーンズや懐か
しのドナ・サマー、シスター・スレッジ、さらに'60年代R&Bシンガーのウィルソン・
ピケットまで。極め付けはアイリーン・キャラが歌う「フラッシュダンス」のテーマ。
'95年ヴァージョンであるのに、オリジナルとほとんど変わっていないというダサさ。
名作『コミットメンツ』に通じるダサ田舎さ、これがまた愛おしくなる1枚である。
                           [Written by 大竹利実]

                 [◆◆◆THE DAY OF BIRTH(6/27~7/3)◆◆◆]
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 6/27 ラフカディオ・ハーン(1850)、ヘレン・ケラー(1880)、
    イザベル・アジャーニ(1955)、トニー・レオン(1962)、
    ジェイソン・パトリック(1966)、越智静香(1971)

 6/28 キャシー・ベイツ(1948)、セルゲイ・ボドロフ(1948)、
    遠藤憲一(1961)、ジョン・キューザック(1966)、
    メアリー・スチュアート・マスターソン(1966)、水野美紀(1974)

 6/29 倍償千恵子(1941)

 6/30 ヴィンセント・ドノフリオ(1959)、モニカ・ポッター(1971)

 7/ 1 山本圭(1940)、ダン・エイクロイド(1952)、五代高之(1956)、
    リブ・タイラー(1977)、高岡由香(1977)

 7/ 2 ヘルマン・ヘッセ(1877)、浅丘ルリ子(1940)、若松武(1950)、
    小柳ルミ子(1952)、佐藤亜里香(1974)

 7/ 3 ケン・ラッセル(1927)、ローラ・ブラニガン(1957)、
    トム・クルーズ(1962)、森下涼子(1973)

▼星座別オススメ映画はwebへのリンクに移行しました。
 http://www.cup.com/yoge/tarot/astro/
占い協力:TAROT-ASTROLOGY OF THE WEEK

----------------------------◆◆◆ 後記 ◆◆◆----------------------------
■某映画館さま、食べ物持ち込みOKなのはいいんだけど、毎回休憩の度に掃除して下
さいね。あと食べる人、映画始まってからカサカサ袋の音をたてないようにね。<唯>

■音楽シーンでは10~15年周期でリバイバルがくる。一旦ダサく聴こえたのが新鮮に
なる時期か。『ピンク・フラミンゴ』もこの夏、10年ぶりに復活!      <実>

■たま~にちょぴっと話をする程度だった知り合いが、実は映画好きだったというこ
とが判明。一気に盛り上がってしまった。なんだかちょっと嬉しいな。    <巴>

■同じうたや映像が、ストレートに飛び込んでくる時とそうでない時とがある。前者
に出くわした瞬間は逃すなかれ。またひとつ、心に届けられるものがあるから。<冴>

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発行人 塚本慶一郎/編集人 井芹昌信
発行 株式会社インプレス
〒102-0075 東京都千代田区三番町20
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