◆MOVIE Watch (毎週金曜日発行:無料) ─────────1998-4-3 ●HEADLINE―――――――――――――――――――――――───――――――― [特別企画] ●DELA WEB始動第1弾! ベストテン総括作品コメントで、いいたいこといってます。 [MOVIE PADDOCK] ●出走を待ちわびる新作情報(期待値%つき!) 現代に蘇る『オースティン・パワーズ』 アン・リー最新作『アイス・ストーム』 ほか [オススメROAD SHOW] 見るも痛快なサヨクおちょくりコメディ◆『革命の子供たち』 和泉聖治は邦画界の良心だ!◆『大安に仏滅!?』 黒澤明の傑作娯楽時代劇!!◆『隠し砦の三悪人』 ●CHECK12本! [映画4人衆] 『ポストマン』──とてつもなく贅沢な、時間とお金の使い方 [TOPICS] ◆日活、(株)チームオクヤマを新設 ほか [ザ・ランキング] ●アカデミー賞効果あり『タイタニック』『グッド~』が復活 [オススメVIDEO] 『Lie lie Lie』──詐欺だけどホントに仕事、アブナイけどなんだかワクワク ●CHECK3本! [BS&CSチェック] 今週はこの3本! [COLUMN] 【城戸朱理のシネマ・クローゼット(5)】──松田優作にはMA-1がよく似合う [THE DAY OF BIRTH] ──●特別企画●── >>>読者・ライターズベストテン総括企画<<< >>DELA WEB始動第1弾!<< ベストテン総括作品コメントで、いいたいこといってます。 今すぐチェック! http://dela.cup.com/watch/special/1997best_all.html ──●MOVIE PADDOCK●── 出走を待ちわびる新作情報を、期待値%つきでお届けします。 ■『オースティン・パワーズ』 夏休み/シネセゾン渋谷ほか(期待値75%) ────────────────────────────────────── あるときはファッション・フォトグラファー、またあるときは巨大な国家犯罪に立ち 向かう英国諜報員。'60年代にあらゆる女性を魅了した、オースティン・パワーズが 再び現代に蘇る! 主演は『ウェインズ・ワールド』のマイク・マイヤーズ。 ・OFFICIAL SITE http://www.shag.net/ ■『アイス・ストーム』 初夏/銀座テアトル西友ほか全国(85%) ────────────────────────────────────── '70年代コネティカット州の郊外、幸せに見える2組のエリート家庭は、心の空疎感、 孤独感に苛まれていた。触れたもの全てを凍らせてしまう“アイス・ストーム”の夜、 物語はクライマックスを迎え……。アン・リー監督、ケビン・クライン主演最新作。 ■『内なる傷痕』 5月下旬/シネ・ヴィヴァン・六本木でレイトショー(80%) ────────────────────────────────────── ゴダールの再来といわれたフィリップ・ガレル監督がニコ(音楽/主演)と共に世界 各地の砂漠や雪原でロケを敢行。美しい映像の中に、2人の激しい感情と才能が火花 を散らすさまを描く、フィリップ・ガレル'70年代幻の最高傑作。 ■『愛の破片』 6月13日/BOX東中野(70%) ────────────────────────────────────── 映画作家・オペラ演出家として高名なヴェルナー・シュレーターが、パリ近郊の修道 院に愛する歌手たちを集め、壮麗な歌声と対話によって、人生最大の神秘“愛と死” の本質を解き明かす……。耽美な映像と天上的な歌声のドキュメンタリーエッセイ。 ■『孤独の絆』 初夏/新宿シネマミラノ(75%) ────────────────────────────────────── 好景気にわくアメリカ。取り残された貧民層の人々が暮らす島に、兄の殺人の罪を被 り、6年の服役を終えて帰ってきた青年ジョーイ(ティム・ロス)。変貌した街、孤 独の中でも現実を直視し、人間性を失わずに生きていくことの大切さを描く。 ──●オススメ ROAD SHOW●── 情報誌には山ほど映画が載ってるけど、本当に面白い映画はどれだろう……? そんな疑問に答える耳寄り情報。この週末はこれさえ見れば大丈夫! ────────────────────────────────────── 見るも痛快なサヨクおちょくりコメディ◆『革命の子供たち』 ────────────────────────────────────── 4月4日より公開 '96年/オーストラリア/1時間43分 ◇監督・脚本:ピーター・ダ ンカン ◇出演:ジュディ・デイビス、サム・ニール、F・マーリー・エイブラハム、 ジェフリー・ラッシュ、リチャード・ロクスバーグ ◇配給:シネマテン ―シネ・アミューズ (土日10:10)12:05/14:20/16:35/19:00(~21:00) 豪州共産党の熱心な党員ジョーンが書いたファンレターにソビエト共産党の職員た ちが感激。彼女はソ連に招かれてスターリンとベッドイン。オーストラリアに戻った 彼女は、「英雄の落しだね」に共産主義の英才教育を施すのだが……。冷戦が終わり、 ソ連が解体してわかったのは、共産主義が壮大な虚構であったという事実。この映画 は、それを徹底的にギャグにしている。映画館で爆笑できることを約束します。 ────────────────────────────────────── 和泉聖治は邦画界の良心だ!◆『大安に仏滅!?』 ────────────────────────────────────── 4月4日より全国東映系にて公開 '98年/日本/1時間47分 ◇監督:和泉聖治 ◇脚 本:布勢博一 ◇出演:橋爪功、吉行和子、酒井美紀、金子賢、林知花、村松達雄、 左とん平、中村梅雀、京本政樹、清水ミチコ、草村礼子、伊藤かずえ ◇配給:東映 『お日柄もよくご愁傷さま』で日本の典型的家族像を描いた和泉聖治監督が、同じ スタッフ、キャストと再び組んで作ったホームドラマの佳作。苦労してマイホームを 建てた頃には、子供たちはそれぞれ独立。田舎の父親を引き取れば、環境が変わって ボケはじめる。しかも大事な家は、手抜き工事の欠陥住宅だった! 『新・サラリー マン専科』や『Lie lie Lie』で芸達者なところを見せた中村梅雀が、今回も大活躍。 ────────────────────────────────────── 黒澤明の傑作娯楽時代劇!!◆『隠し砦の三悪人』 ────────────────────────────────────── 4月3日より銀座・並木座にて公開 '58年/日本/2時間6分 ◇監督・脚本:黒澤明 ◇脚本:菊島隆三、小国英雄、橋本忍 ◇音楽:佐藤勝 ◇出演:千秋実、藤原釜足、 三船敏郎、藤田進、上原美佐、志村喬、三好栄子 ◎キネマ旬報ベストテン2位 ―並木座 隠し砦の三悪人 11:20/15:10/19:00 姿三四郎 13:45/17:35 個人的には黒澤映画のベスト3に入れたい娯楽時代劇の傑作。シネマスコープの迫 力を、これほど感じさせるモノクロ映画は他にあまりない。三船敏郎が馬を走らせな がら、馬で逃げる敵の武者3人を次々と切り伏せる場面の大迫力。音を立てて燃え上 がる炎に、踊りと歌の輪がかぶさる火祭りの場面。クライマックスで藤田進が「裏切 り御免!」と叫んで馬を走らせる場面の躍動感。この映画は何度見ても絶対おもしろ い! ●CHECK12本! ★=注目作 ★★=見て損はしない ★★★=これは必見! (未)=見てません ■『MIND GAME』 4月4日より全国松竹洋画系にて公開 多重人格の青年が心の奥に凍結した記憶を、カウンセラーが引き出そうとするが……。 ■『プープーの物語』 4月4日よりテアトル新宿にてレイト公開 鈴木清順の助監督をしていた渡辺謙作監督のデビュー作。女ふたりのロードムービー。 ■『堕ちてゆく女』 4月3日よりシネ・ヴィヴァン・六本木にて公開 ★ 見るものを戦慄させずにはおかない男と女の泥沼関係。不愉快な映画と大評判! ■『サブダウン』 4月4日より銀座シネパトスにて公開 (未) 試写を見そびれたので僕も劇場で見ます。結構面白いという噂の潜水艦映画。 ■『世界中がアイ・ラヴ・ユー』 4月7日より早稲田松竹にて公開 ★★ ウディ・アレンのミュージカル映画。同時上映の『誘惑のアフロディーテ』も傑作! ■『タイタニック』 全国東宝洋画系にて公開中 ★★★ アカデミー賞11部門受賞で客足も絶好調。夏までのロングランが決定した模様。 ■『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』 全国松竹東急洋画系にて公開中 ★★ 主演のマット・デイモンの新作『レインメーカー』が待機中。若手注目株です。 ■『フェイス/オフ』 全国松竹東急洋画系にて公開中 ★★★ この映画の後は、しばらく映画を見なくてもお腹いっぱいでいられます。 ■『オスカー・ワイルド』 シネスイッチ銀座他にて公開中 ★★ ワイルドの恋人を演じているジュード・ロウが、各方面で注目を浴び始めたぞ! ■『フル・モンティ』 シャンテ・シネ他にて公開中 ★★ ロングラン中の男性ストリップ映画。アカデミー賞効果でさらにロングランは確実。 ■『ブラス!』 4月17日までシネ・ラ・セットにて公開 ★★ 一時は映画館の前に長蛇の列ができた人気映画も、いよいよ4月中旬でおしまい。 ■『アードマン・コレクション』 4月9日までシネ・ラ・セットにて公開 ★★ クレイアニメ『ウォレスとグルミット』を生み出した工房の短編集。レイト公開。 [Written by 服部弘一郎] ──●映画4人衆●── ────────────────────────────────────── 『ポストマン』──とてつもなく贅沢な、時間とお金の使い方 ────────────────────────────────────── 2013年。戦争の壊滅的被害を受け、人々は独裁者率いる残忍な軍隊の圧制に、悲惨な 生活を余儀なくされていた。そんな彼らの前に、ある日1人の男が現れる。食事と寝 床ほしさに偽りの「ポストマン」を名乗るが、成り行き任せで引き受けた郵便配達人 の仕事が、人々の心に希望の灯をともし、いつしか彼自身をも変えていくことになる ……。 (満点は★5つ) ■「名」もなき男のある嘘が、何のよりどころもなく不安に生きる人々に伝染し、や がては「実」になる。彼が無信の中の「信」を発見するまでの物語。★★★★☆<渡> ■過去のケビン映画のかっこよさゲなシーンをやたらめったら切り貼りして、大作ち っくなヒーローものを作ってしまうその度胸に、ある意味、感服? ★☆☆☆☆<巴> ■あのー、人を3時間も座らせるからには普通もう少し中身があるのでは。だらだら 時間かけて見せたかったのが手紙渡すガキ? 馬術? しかも2回? ★☆☆☆☆<唯> ■無為無策が幸いすることもある。が、それも創り手の中に粉砕不可能な核あってこ そ。コスナーには見事なまでに、ない。いいのかこんなに赤裸々で。☆☆☆☆☆<冴> ・OFFICIAL SITE http://www.thepostman.com/frmain.html ──●TOPICS●── ◆日活、(株)チームオクヤマを新設 ────────────────────────────────────── 日活は、映像作品の企画製作を目的とした新会社「(株)チームオクヤマ」を3月30 日付で設立、代表取締役会長には日活代表取締役社長の中村雅哉氏、代表取締役社長 には奥山和由氏が就任する。今回の新会社設立は、新たな企画製作チームを設け、日 活の企画製作能力をアップさせる目的のほか、奥山氏のノウハウ、チャンネルを十二 分に生かすため、日活の組織に組み込まずスピーディーで小回りの利く組織で、時代 に則した映画を製作することを目的としたもの。日活としては、国内外で実績と豊富 な人脈をもつ奥山氏が、未来の映画界に新風を吹き込める人材として期待を寄せてい る。 ◆『アンジェリク~はだしの女侯爵』5月1日公開 ────────────────────────────────────── 『アンジェリク~はだしの女侯爵』(キネティック配給)が、5月1日から19日まで、 銀座セゾン劇場で初公開される。'60年代のフランス公開時には約350万人を動員した 大河歴史ロマンで、究極の愛のバイブルといわれている。今回は5本シリーズのうち 第1作の上映。原作の『アンジェリク』は、日本でも講談社から全26巻の文庫本とし てロングセラーとなり、木原敏江のコミック版(秋田書店刊)、宝塚の舞台版でも知 られる。映画上映期間中は、劇中に登場する17世紀フランスのルイ14世時代の料理を 現代風にアレンジした「太陽王の晩餐会」(ホテル西洋・銀座内「パストラル」)と 映画鑑賞券のセット(16,000円/税別)も提供される。 ◆ジョセフ・ロージー監督特集開催 ────────────────────────────────────── 『唇からナイフ』『エヴァの匂い』のジョセフ・ロージーは、かつてハリウッドの赤 狩りでヨーロッパに亡命し、3つの偽名を使ってまで映画を撮り続けた人物。『リン グ』の中田秀夫監督が5年の歳月をかけ、その家族、俳優、スタッフなどの証言をも とに、これまで語られることのなかったロージーの人物像を浮き彫りにしたドキュ メンタリー『ジョセフ・ロージー/4つの名を持つ男』を完成、5月上旬からユーロ スペースで連続レイト公開されることになった。今回は『ジョセフ・ロージー/ハ リウッドの灯は遠く』と題して、新作ドキュメンタリー映画『ジョセフ・ロージー /4つの名を持つ男』(製作/秀作工房、監督中田秀夫)、亡命後初めて本名をクレ ジットすることが許された記念作品『非情の時』(イギリス映画、主演マイケル・ レッドグレイブ、アン・トッド)、『エヴァの匂い』の3本を公開する。 ──●ザ・ランキング●── アカデミー賞発表後の週末だけに、『タイタニック』と『グッド~』の復活が 目立つ。それでも『フェイス~』『ドラえもん』は固定層が支え、順位譲らず。 『銀河鉄道999~』が2週連続でジリジリと上昇しているのも気になる。大作系 のない来週の予想順位は、タイ→ビーン→グッド→トゥモロー→フェイス。 【配収】 1 ↑( 2)タイタニック (15週) 2 ↓( 1)ビーン ( 2週) 3 ↑( 5)グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち ( 4週) 4 →( 4)フェイス/オフ ( 5週) 5 ↓( 3)トゥモロー・ネバー・ダイ ( 3週) 6 →( 6)ドラえもん・のび太の南海大冒険 ( 4週) 7 初(─)フラバー ( 1週) 8 ↑(10)銀河鉄道999 エターナル・ファンタジー ( 4週) 9 ↓( 7)ウルトラマンティガ&ウルトラマンダイナ( 3週) 10 ↓( 9)マウス・ハント ( 4週) 興行通信社調べ 1998/3/28~1998/3/29(銀座・新宿・渋谷3地区代表館集計) ──●オススメVIDEO●── ◇今週は軽妙でイイ感じの秀作邦画です。イチ押しです。◇ ◇監督は『12人の優しい日本人』の中原俊。トヨエツも ◇ ◇鈴木保奈美も佐藤浩市もうまいことハマってて◎。 ◇ ────────────────────────────────────── 『Lie lie Lie』──詐欺だけどホントに仕事、アブナイけどなんだかワクワク ────────────────────────────────────── 豊川悦司が演じるのは自称三流の詐欺師。ヤバいことをくり返して殺されかけて、 昔の友人の波多野(佐藤浩市)のところに転がり込んで、また新たなハッタリでひ と儲けを企んで。そんな男の詐欺人生に巻き込まれて、180度ちがう世界に足を踏み 入れた人間嫌いの波多野の前に現れたのは、会社に嫌気が差していたやり手の編集 者・美咲(鈴木保奈美)だった。と、話だけでもおもしろい。妙に胸が躍る。痛快。 三者三様の心の洗い方があって壮快。雰囲気ピッタリの主題歌は、最近注目のBonnie Pinkが歌っている。 【データ】'97年/日本/2時間3分(4/10発売:ポニーキャニオン) 監督:中原俊 脚本:伊丹あき/猿渡学 原作:中島らも「永遠も半ばを過ぎて」 ●CHECK3本! ■『ラブ・アンド・ウォー』1時間54分/米(4/10発売:東宝ビデオ) 若き日のヘミングウェイが戦時下に愛した看護婦(サンドラ・ブロック)の物語。 ■『ロシアン・ゴッドファーザー』1時間44分/仏(4/10発売:東北新社) 劇場公開タイトル『ラヴィアン・ローズ』。ロシアン・マフィアの愛と死と……。 ■『マグニチュード 明日への架け橋』1時間30分/日本(4/10発売:東宝ビデオ) 大地震災害下の人間ドラマ。出演は緒方直人、薬師丸ひろ子、高橋恵子ら。 [Written by 唯よーじゅ] ──●BS&CSチェック●── ◆今週はこの3本! セレクター:長谷川未来 ────────────────────────────────────── 4/3 (金)『アデルの恋の物語』 WOWOW(19:05~) ────────────────────────────────────── 大詩人ビクトル・ユゴーの次女アデルの悲恋物語。恋い焦がれた男を求め、すべてを 投げ出して追いかける女を、当時19歳のイザベル・アジャーニが演じて、主役級のカ ンロク。フランソワ・トリュフォーの美意識は大画面で見ることをオススメ。 ────────────────────────────────────── 4/9 (木)『太陽と月に背いて』 NHK衛星第2(20:05~) ────────────────────────────────────── 詩人ランボオとベルレーヌの認められない恋。純粋ゆえに自らをも苦しめる真の芸術 家をレオナルド・ディカプリオが演じる。日常「お耳にかかれない」ような言葉の嵐 が全編を覆う。デビッド・シューリスが主演を喰っているといえなくもない。 ────────────────────────────────────── 4/10(金)『ボビー・デアフィールド』 スター・チャンネル(午前9:00~) ────────────────────────────────────── アル・パチーノ主演の'77年作品。花形F1レーサー、ボビー・デアフィールドと、不 治の病に冒されたクレイジーな女リリアンの恋。'70年代後半に好評だった山口百恵 の「赤い」シリーズを彷彿とさせる。実生活でも恋人同士だった2人の演技も見物。 ──●COLUMN●── ────────────────────────────────────── 【城戸朱理のシネマ・クローゼット(5)】──松田優作にはMA-1がよく似合う ────────────────────────────────────── ===松田優作は本物の映画人だった=== 1989年11月6日。松田優作の突然の死は、映画ファンに衝撃を与えた。リドリー・ スコット監督の『ブラック・レイン』に出演し、これからはアメリカ映画からもオ ファーがあるだろうと思われていただけに、その早すぎる死が惜しまれてならない。 その松田優作の唯一の監督作品が『ア・ホーマンス』。ヤクザの抗争に優作が演じ る素性の知れない流れ者「風さん」がからむ単純なストーリーなのだが、カメラワー クといい、決して饒舌にならない静けさに満ちた展開といい、実に見応えのあるフィ ルムだ。実は流れ者はレプリカントだったという設定なのだが、誰が何の目的で作っ たのかは、結局明らかにされない。この荒唐無稽さが、逆にひどく映画ならではとい う感じがしておもしろい。松田優作という人は、俳優としても、メガホンを取っても、 本当に映画というものがわかっている人だったんだなあと、あらためて思う。 ===存在感があるからこそ、シンプルな服が映える=== 『ア・ホーマンス』で松田優作が着ているのが、MA-1。ナイロン(ポリアミド)地 に中綿が入ったシンプルな形の米空軍のフライト・ジャケットだ。MA-1は'50年代後 半からエアフォースに採用されたが、街着として注目されたのは、スティーブ・マッ クィーンが遺作となった『ハンター』で着用してからだった。 現在米軍が採用しているのは、機内火災に耐えられる耐熱アラミド繊維のCWU-45/P というモデルだが、MA-1はいまだにストリートでは人気があって、ディテールが違う 初期型のものにはプレミアがついているし、レプリカも製造されている。 もともと、機能性だけを重視した実用品だけに、シンプルこの上ないが、それを松 田優作のように存在感がある人が着ると実に似合う。それにしても、今、松田優作が 生きていたら、どんな演技と作品を見せてくれただろうか。生きていてほしかった。 [Written by 城戸朱理] ──●THE DAY OF BIRTH(4/4~4/10)●── 4/ 4 エリック・ロメール(1920)、アンドレイ・タルコフスキー(1932)、 アンソニー・パーキンス(1932)、クレイグ・T・ネルソン(1946)、 アキ・カウリスマキ(1957)、ジェニファー・リンチ(1968) 4/ 5 スペンサー・トレイシー(1900)、ベティ・デイビス(1908)、 グレゴリー・ペック(1916)、ロジャー・コーマン(1926) 4/ 6 バリー・レビンソン(1942)、ポーリーナ・ポリスコバ(1965)、 宮沢りえ(1973) 4/ 7 アラン・J・パクラ(1928)、イアン・リチャードソン(1934)、 フランシス・フォード・コッポラ(1939)、ラッセル・クロウ(1964) 4/ 8 桃井かおり(1952)、萩原流行(1953)、ロビン・ライト・ペン(1966)、 パトリシア・アークェット(1968)、遠藤久美子(1978) 4/ 9 ジャン・ポール・ベルモンド(1933)、デニス・クエイド(1954)、 本多俊之(1957) 4/10 ティム・マッコイ(1891)、デルフィーヌ・セイリグ(1932)、 スティーブン・セガール(1952)、ピーター・マクニコル(1954)、 木村佳乃(1976) ◆星座別オススメ映画はwebへのリンクに移行しました。 占い協力:TAROT-ASTROLOGY OF THE WEEK http://www.cup.com/yoge/tarot/astro/ ────────────────────────────────────── ▼編集部からのお知らせ このメールは、インプレスダイレクトのポイントアップシステムのメンバーの方で、 弊社からの新刊情報や無料の電子メール新聞などの送付を希望された方と、新たに MOVIE Watchを申し込まれた方にお届けしています。料金は一切かかりませんのでご 安心ください。 なお、有料化も検討中ですが、その際には改めてご案内いたします。このまま有料 に移行することはありませんので、ご安心ください。 ▼問い合わせ先 ────────────────────────────── movie-watch-info@impress.co.jp :記事内容 ウォッチ編集部 ad-sales@impress.co.jp :広告関連 インプレス A&D sales@ips.co.jp :配信先等 インプレス販売 ▼購読申込・購読中止・配信先変更 ───────────────────── ──購読申込 下記のURLから案内にしたがってお申し込みください。 ◎ http://www.ips.co.jp/tana/watch.htm#muryo ──購読中止、配信先変更 下記のURLから、ポイントアップシステムのメンバーIDとパスワードを入力して、案 内にしたがって、中止・変更をしてください。なお、メンバーID等が不明なときは、 sales@ips.co.jpまでご連絡ください。 ◎ http://www.ips.co.jp/pointup/fpchg.htm ────────────────────────────────────── 発行人 塚本慶一郎/編集長 井芹昌信 発行 株式会社インプレス 〒102-0075 東京都千代田区三番町20 編集:デラ・ジャパン株式会社(紺野美樹、服部弘一郎、唯洋樹、菊池朋子) Life Watch編成:深栖篤匡/村田敦史 Copyright(C) 1998 Impress Corporation. 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