シャープがLEDの開発に取り組み始めたのが1968年。それから今日まで40年以上もの年月にわたって研究開発を積み重ね、光の技術を培ってきたからこそ、他の電機メーカーに先駆けて普及価格帯でのLED電球を市場に投入できたわけだが、このところ競合する各メーカーが追従するようにこぞってLED電球を市場に送り出してきている。

 このような状況にあって、シャープがトップブランドの信頼をゆるぎないものにしている背景には、なんといってもその商品力にあるといえるだろう。一般的に電球というと、いちばん普及しているサイズの電球が、口金サイズE26というタイプで、形もいわゆる昔からの「電球型」のものと、それより小さいE17というサイズの2種類が、家庭で使用される電球の一般的なサイズだ。シャープでも今年からE17タイプのLED電球を新たに市場に送り出した。また予定では3月末にボール電球タイプのLED電球を発売することになっており、サイズ・形状的にはこれでラインナップが揃うことになる。

 LED電球には光の色の違いで2タイプがあるが、従来の白熱電球に近いタイプの「電球色」と蛍光灯の光に近い「昼白色」が用意されている。これは競合各社もほぼ同様の商品展開を行っている。しかし、シャープではひとつの電球で電球色から昼白色、そしてその中間の色の光までコントロールできるという調色・調光モデル(DL-L60AV)、がラインナップされているのだ。これは競合メーカーにはない魅力的な商品だ。

 今回の実験では、この調色・調光モデルのLED電球(DL-L60AV)を使って、家庭のさまざまな場所で試してみるとともに、それぞれの場所では電球色と昼白色のどちらを選ぶといいのか、という観点からケーススタディを行った。

 家屋内の場所や家屋の構造などよっては、調光や調色機能が不要な場所もあると思われるので、各々の場所に最適な光のタイプが分かったら、調光器対応のタイプ(調光するには別途調光器が必要)を選ぶとか、光のタイプだけを選択するなど、ユーザーの使用環境と照らし合わせながら、選択する参考にしていただければと思う。

小形電球タイプ

新たに発売になったコンパクトなE17口金タイプ。昼白色相当のDL-J40AN、電球色相当のDL-J40AL。どちらも調光器に対応している

一般電球タイプ

一般電球タイプには、スタンダードモデルの昼白色相当と電球色相当、調光器対応モデルの昼白色相当と電球色相当、そして調色・調光モデルの3タイプがある

ボール電球タイプ

3月末発売予定のボール電球タイプ。口金はE26なので、天井のダウンライト、ペンダントライトとその用途は多彩。見た目にもスタイリッシュな電球だ

では、まずは家の入り口である玄関、エントランスから、LED電球に変えてその変化や効果を見てみよう。

 わが家の玄関は、天上に埋め込み式の照明が2灯、そしてペンダント型の照明器具が備え付けられている。 3ヵ所どれもE26の口金なので、LED電球に交換してシミュレーションしてみることができた。使用したのはDL-L60AVという調色・調光モデルのLED電球だが、交換してみると、これまで使っていた60Wの電球よりも明るい気がする。おそらくこれはLED電球が直下照度に強い配光特性ためだと思われる。ちなみに白熱電球は全光束といって、電球を中心にあらゆる方向に対して明るくなるが、LEDの光の場合は直下方向を明るくするのに適している性質のためだ。電球色と昼白色の比較を見ていただければ一目瞭然だが、色の好みについては意見が分かれても、明るさについては申し分ないことがわかるだろう。

 
【昼白色】
明るさを優先するなら「昼白色」のLED電球。家族の「ただいま!」の声も明るくなりそうだ)
 
【電球色】
暖かく迎えるなら、「電球色」のLED電球。家族のほっとした笑顔を明るく照らしてくれる)

 LED電球の長所は、なんといっても省電力と長寿命なわけだが、LED電球の電気代を見てみると、7.5Wの一般電球タイプのスタンダードタイプのもので、6時間使用した場合、約1円という経済性の高さだ。外灯はさておき、玄関の電球を6時間点けておけるとすれば、夜間のほとんどの時間点けておけるわけだから、防犯の面でも大いに役立つのではないだろうか。また、調光器対応モデルで明るさを抑えればさらに経済的であるし、1灯あたりの明るさを求めないのであれば、4.1Wタイプ(DL-L401N/L401L)を使用すれば、24時間点灯しても電気代は1円になるので検討する価値は大いにある。

 さらに、電球自体の寿命は点灯時間40,000時間という長寿命だから、毎晩約6時間点灯するご家庭では、一度交換したら20年近く交換換しなくてよくなる計算だ。高いハシゴがなくては電球が交換できないような吹き抜けの天井のお宅なら、ぜひご検討して欲しい商品だ。実はわが家では玄関の電球を1年ともたずに交換していたのだが、数ヵ月に一度とはいえ、面倒なことだった。切れるたびに販売店に買いに行かなくてはならないし、夜点けようとしたのに点かないというのは不便でありストレスだ。これから10年以上交換不要ということは、ほぼ永遠に解放されるのと同じだからほっとする。

 また、LED電球は虫が好んで寄ってくる波長の光を出さないので、外灯などの屋外照明にも最適ということも見過ごせないメリットだろう。

 帰宅した家族やお客様を明るく迎えたい場所だから、省電力でずっと点けておけるLED電球はベストな選択。ということが、実感できた。

 次はリビングルームを、LED電球に交換して試してみよう。

 読者貴兄はリビング、と聞いて何をする場所だと連想するであろうか。多くの人が家の中で過ごす時間でいちばん長いと回答するのがリビングルームだろう。正確には寝室ということになるのだろうが、眠っている時間は照明は点けてはおかないので、照明の下で過ごす時間が長いのがリビングルームとなるはずだ。

 リビングは、住居の中でもいちばん多目的な空間だ。お客様をおもてなしたり、家族が団らんの場としてくつろいだり、静かに1日の疲れを癒すなど、住む人それぞれがさまざまな時間帯に、いろいろな目的で集まる場所だから、ここの照明にだけはこだわりたいという人も多いのではないだろうか。

 わが家でも広さでいうと10畳程度のリビングだが、天井には4灯の埋め込み式の照明と、中央のペンダント式のライトには3灯の電球が入っているが、照明を落として過ごしたいときなどには、スタンド式のライトを補助的に使うなど、時々に応じて組み合わせていた。今回このシミュレーションで使ったのは、調光と調色ができるモデルなのだが、それが自在にコントロールできるとなると、意外なほど便利だ。シャープのLED電球がいちばん家のなかで活躍するのがリビングなのだと実感できた。

 わが家の場合、昼間でも照明を使っているのだが、昼でも夜でも「昼白色」で照らすと、均一でムラのない光で快活な雰囲気を演出しできる部屋全体に広がり感をもたせ、さわやかな印象を与える部屋を演出できる。それに対し、夜などに落ち着いた雰囲気を演出には「電球色」の暖かい光は最高だ。実際にリモコンを操作して光を変えると、その度に部屋の雰囲気が変わる。これを目の当たりにすると、驚きと同時に感激すら覚える。この便利さは実際に目で確認しなくては分からないのだが、ぜひ体験してほしい。誰もが電球の概念が変わるといっても過言ではないはずだ。

 
左:電球色、右:昼白色。同じリビングで電球色と昼白色とを比べてみた
このリモコンで調色・調光をコントロール。各々7段階で変えられる

 リビングの照明は、そこで何をするかという目的にあった空間を創造するための大切な要素でもある。たとえば、本や雑誌を読んでいるときはできるだけ明るい光が必要だし、見たかったDVDやテレビ番組にどっぷり浸りたいときは最低限の照明に抑え、画面に集中できる状況が理想的だ。

 そこで、どんな状況でもお望みの光を簡単に選ぶことができる電球としてぜひ試して欲しいのがシャープの調色・調光モデルのLED電球(DL-L60AV)だ。電球色と昼白色を設定できるだけでなく、便利なことに両方の中間色も5段階設定することができ、さらに7段階の明るさから選べるので、その時々に求める状況や気分に応じて最高のリビング環境を演出できるというわけだ。

 リラックスしたいとき、ゆっくりくつろぎたいときは、温かな色味の電球色。家族や仲間みんなで集まる時は明るい昼白色というように、自在に設定できるのはシャープの調色・調光モデルのLED電球ならではの大きなメリットだ。

 また、秋や冬など肌寒い季節は温かな雰囲気を醸し出す電球色を設定し、夏の暑い時期は昼白色で涼しげに爽やかさを演出する、というように季節によって照明を使い分けて快適に生活できるというのも魅力だ。

 結論としては、7段階7種の光のコンビネーションを創造できる調色・調光モデルのLED電球はリビングでは大活躍する、ということだ。

 
本や雑誌を読むときは、やはり昼白色の光が断然読みやすくなる
 
電球色はおちついた雰囲気になり、リラックスするのに向いている

 ダイニングの照明にペンダントライトを使っている家庭は多いが、白熱電球をつかっていると夏期などは電球自体の発する熱で光や照明器具をうっとうしく感じたことはないだろうか。また、大人数で食卓を囲むときは明るさが第一だが、夫婦二人で静かに食事を楽しむ、などというときには、直接光の照明に変えられたらと思った経験は誰しもあるだろう。このように季節や気分によって照明に求めるものも変わってくるが、その度に電球自体を交換する、などというユーザーはまさか存在しないはずだ。しかし、これが同じひとつの電球ですべて解消できるとしたらどうだろう。これを実現したのが調色・調光モデルのLED電球(DL-L60AV)だ。光の色が変えられるとさまざまな料理も美味しそうに見せることができるわけだが、実際の料理を置いて、照明を変えて実験してみた。

   
【昼白色】
サラダのグリーンを見ると、「昼白色」も再現性は高いが食欲をそそる肉の色、という観点から見ると分が悪い
 
【中間色】
ローストビーフで見え方を試してみたところ、肉がいちばん美味しそうに見えるのは「中間色」という結果になった
 
【電球色】
特別な日や、ワイングラスを傾けながら、という時には「電球色」が気分を演出してくれる

 まず、食卓の照明の基本だが、日本の家庭では、和食・洋食・中華料理と、いろいろなお料理が食卓を賑わせる。材料や調理法がどうあれ、どんなお料理でも美味しそうに見せようとするならば、まず部屋全体を明るくして、さらに食卓を周囲より明るく照らすと、より美味しさ感がアップするという。また、明るさとは別に、もうひとつおいしく見せるポイントになるのが光の演色性だ。これは自然光を基準にして、色の見え方が自然に近いと「演色性がよい」といい、不自然な時に「演色性が悪い」と表現される。演色評価指数(Ra)を用いて評価され、自然光と同じ色の見え方をする場合にRa=100となる。一般に白熱電球の演色性は高く、Ra=100。自然の色を再現することに優れるとともに、陰影がはっきりつくので立体感が生まれ、温もりある印象を与えてくれる。これに対して普通の蛍光灯の光はRaが65~85だが、全体に涼しげですっきりとした印象を与え、拡散光で陰影が出にくい光なので料理やテーブル全体を明るく見せることができ、素材の色や美味しさを鮮やかに再現するので繊細な技が光る和食に向いたあかりなのだそうだ。今回の実験で使用したシャープの調色・調光モデルのLED電球で、電球色から昼白色まで7種類の光にコントロールして撮影した料理の写真をみていただければおわかりだと思うが、光の色の違いで見た目はこんなにも異なる。  肉の色、野菜の色、食器の色、そして周囲のクロスの色、テーブルの木目の色。同じモノがそれぞれこんなに違って見えるのである。確かに色の見え方には個人の好みもあるので、これが絶対という正解はないのだが、肉料理では中間色の光で見るといちばん食欲をそそるのではないだろうか。

 ダイニングルームでの結論は、お料理を美味しく見せることにかけてなら蛍光灯も白熱電球も及ばないLED電球。 調色・調光モデルなら料理や気分に合わせてライティングを楽しめる。

 つまり、どんなメニューもおいしく照らすことができて、熱を持たず、わずかな電力で真下を明るく照らしてくれるのがLED電球なのだ。

フードコーディネーターの照明アドバイス

「光の色が選べるLED電球なら、さまざまなお料理の美味しさが引きたちます」

フードコーディネーター 岡原ヤスコ

人間は料理を舌で味わうより先に、目で味わっているので照明もお料理の重要なポイントなんです。食卓の灯りには、料理を美味しく見せるための照明と、料理を楽しむ雰囲気を演出するための照明があると思います。雰囲気づくりには蛍光灯の光よりも電球色の照明は適していますし、黄色系の食材を美味しそうに見せることができるのでレストランなどでも多用していますが、お料理によっては向かないこともあります。今回、昼白色から中間色、電球色と調色を変えられるLED電球の光で見え方を試してみて、光のタイプによって、同じお料理でも見え方が変わることに驚きました。お肉料理をおいしそうに見せるなら、中間色。ディナーの雰囲気を演出するなら電球色の光を選ぶのがオススメという結果になりましたが、お料理に応じて照明を変えられると、食卓も今まで以上に明るく楽しくなりますね。

 外出していて、頬がやけに赤いお化粧をしていたり、顔全体を白く塗っている女性を見かけることがある。なぜそこまで塗る?と疑問に思うことがあったのが、派手な化粧が好きな人なのだろうと勝手に納得していた。しかし、今回実験してみて、それが照明のせいかもしれないということがわかった。

 ドレッサーの前で、モデルさんにメイクしてもらい、電球色と昼白色、両方のLED電球を試し、その状況を撮影したのがこの写真だ。電球の光の色を変えるだけで顔の肌色をはじめ、服の色などこんなに印象が変わるのだ。というのも、白熱電球などの光は、赤が映えて見えない光色なのだ。だから肌に赤系の化粧を施してメイクを白熱電球の照明下でみると、赤が不足して見えるというのだ。そして、白熱電球の照明でメイクし、自然光で撮影したのがこの写真だ。チーク(頬紅)も、アイシャドウも、口紅も、赤色が目立ちすぎて「おてもやんメイク」になってしまうのだ。

 
昼白色と電球色、照明をかえるだけで表情も着ているものの印象もまったく違うものに感じられる
 
肌の色も、背景の白い壁もこれだけ違ってみえる。メイクが照明と大いに関係することがひと目でわかる
濃すぎたメイクの失敗例。電球色でメイクをして昼間の自然光で見るとこうなってしまう

 もし、外出先が白熱電球でライトアップされたレストランでデート、などというときには白熱電球の光の下でメイクして出かける、というのもいいかもしれないが、やはり外出先の光とメイクする場所の照明は近づけておくというのが理想なのではないだろうか。

 となると、お化粧する場所の照明にもっとも適しているのは調色モデルのLED電球ということがおわかりになるのではないだろうか。電球色から昼白色までの光をリモコンで簡単にコントロールできれば、同一のメイクを室内で見たとき、屋外に出たときの見え方をシミュレーションできるのだから。

 もし、メイクする場所が外光も入ってくる窓際などにあるのなら、昼白色は必要なくなるから電球色のLED電球に交換するといいだろう。すでに蛍光灯などが備え付けられている場所なら、クリップライトや卓上ライトのような照明器具で補助的に光を当ててやるという方法もある。

 幸いというか、シャープではこの春、E17という口金サイズの小さい電球のLED電球を発売した。家庭用のクリップライトやスタンドライトなどは、このE17サイズの電球を使っていることが多いので、ぜひこちらも検討してほしい。

 パウダールームでの照明実験での結論。同じメイクでも光が違えば、見え方が変わる。

 自然なメイクをめざすなら、調色・調光モデルのLED電球。

メイクアップアーチストの照明アドバイス

「外出先のあらゆる照明環境を再現できるから、メイクのチェックに調光タイプのLED電球は最適です。」

ヘア&メイクアップ TOM

お出かけ先で鏡を見て、いつもの化粧品なのにこんな色だったかしらノと思った経験が、女性の方ならあるのではないでしょうか。 屋外の自然光と室内の人工的な光とでは色の見え方が違うので、こんなことが起きることもあるんです。メイクをするときの照明は、顔全体がはっきり見えるよう、正面から照らすのが理想的です。蛍光灯は若干青みがかった肌に見えてしまうと言われています。蛍光灯の下で見た肌色のままその肌に合わせて肌つくり(ベースメイク)をしてしまうと、自然光にあたった際に少し元気がなさそうというか具合が悪そうに見えてしまったりするかと思います。白熱電球では赤みが弱まって見えてしまうので、メイクが濃くなってしまいがちです。この辺に気をつけていただけるといいですね。いい一日のスタートを切るために、お化粧する場所の照明を見直してはいかがでしょう。もちろん、オススメは、調色・調光モデルのLED電球です。

 今回の実験を終えてまず感じたことは、照明としてのLED電球の光は、白熱電球や蛍光灯と比較しても長所ばかりが目についたということだ。

 まず、光源として視覚に入ってきたとき、白熱電球や蛍光灯ほど眩しくないように感じられた。こういうと光量が少ないのではないかと思うだろうが、決してそうではない。照度は十二分に高いのだ。

 そして、なんといっても筆者が感動さえ覚えたのは、ひとつの電球で電球色から昼白色まで光の色を7段階に操作できるという、調色・調光タイプのLED電球の存在だ。これにはこれまでの電球の概念を打ち破られた気分だ。つまり、これは電球というより電球型の新時代の照明機器なのだ。これまで、電球はその部屋の目的や醸し出したい雰囲気で選んでいたので、この部屋やこの電球と決めたら、その光でしか照明することができなかったが、これからは目的や気分で変えることができるのだから、いろいろな楽しみ方ができるというものだ。また、なにより調光だけでなく調色がリモコンで操作できるというのは便利この上なく快適なのだ。できることなら家じゅうの電球を全部、この調色・調光モデルに変えたいとさえ思っている。

 最後に、どこまで電気代を節約できるのか、その省エネ効果を計算してみよう。わが家が白熱電球を使っていたのは、外灯、玄関および玄関ホールに合計5灯、そしてダイニングルームに1灯、リビングに3灯、サニタリースペースとバス、トイレに各ひとつ。それぞれE26タイプの60W電球を使っており、それ以外のキッチンや子供部屋などは蛍光灯を使っている。バストイレは1日の点灯時間が合計でも1時間以内だから除外するとして、玄関エントランスとリビングを1日8時間、ダイニングを2時間点灯させるとこれまでの年間電気料金は、28,610円という計算だ。これをLED電球に替えると、3,974円になる(※1kWh=22円で計算)。なんと年間で24,736円も「浮く」ことになる。月で換算すると、毎月2384円かかっていた電気代が331円で済み、毎月2,000円以上安くなる計算だ。

 さらに、LED電球の寿命である40,000時間が経過するには、わが家での計算のように毎日必ず8時間休みなく点灯するとしても14年近くかかることになる。実際には夏場は8時間も点灯させる必要もないし、外出や旅行で点灯しない日もあるから、実際はもっと長持ちするであろう。そう考えると、14年毎月これだけ節約すると、344,904円もの出費が抑えられることになる。

 次に電球の購入費を見てみよう。これまでの白熱電球の寿命は1,000時間だったので、LED電球の寿命である40,000時間が経過するまでには、白熱電球は40個必要になる。白熱電球が1個120円として、購入金額の合計は4,800円だ。2010年2月時点で、シャープのLED電球の販売価格は3,000円代だから、遙かにおトクだ。

 イニシャルコストもランニングコストも安くなり、交換の手間もいらなくなり、まさにLED電球はエコに適ったこれからの電球といえるだろう。

 シャープでは、E26のスタンダードモデル、調光器対応タイプ、そして調色・調光タイプに加えて小形のE17が市場に投入された。そして3月末には、E26のボール電球タイプも発売される予定というから、電球にスタイルを求めるユーザーも見過ごせないと思う。

 特に、光源としての電球が視界に入るペンダントライトなどでは昔ながらの電球型のものよりも、ボール電球タイプの方が形的にも見映えはいい。天井のダウンライトなど、すでにスイッチに調光器が付いている箇所に使えるというのも利点だ。

 機能的にも、エコの観点から考えても、そしてデザインを見ても、LED電球は今年ますます注目を集める商品だ。この分野で最先端の商品を送り出し続けるシャープの展開が楽しみだ。

監修:東京家政学院大学 現代生活学部生活デザイン学科教授 杉本 茂

「LED電球の灯りは生活を演出する」

日本人は光の演出が不得意である。陰影礼賛のような伝統があるにもかかわらず。LED電球は、環境に対するやさしさや経済性で評価されがちだが、本来の魅力は、その空間の演出力にある。

このLED電球は、光の強さを変化させるだけでなく、リモコン1つで、昼白色から電球色への変化を楽しむことができる。忘れていた光をあつかうことの楽しさを実感できる。

太陽の光の中のような華やいだ空間。落ち着いた色が演出する落ち着いた空間。1つの空間を1つの電球で多様に変化させることができる。

実用的には、化粧やファッション・コーディネートを確認や、調理の時に素材の色を確認など、その演色性の高さを活用できる。一方、食卓をその食事にふさわしい空間に演出することができる。

LED電球は価格的にまだハードルが高いが、その演出力には大きな価値がある。

今回の記事でこれを実感していただければ幸いである。

[Text by 鬼塚光一郎]