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SuicaとPASMOについて

統合してほしい、エリアを広げてほしい、割引やポイントの拡充。などなど満足度は高くない。

 3月18日に、関東地方の私鉄でICカード乗車券「PASMO」が導入され、JR東日本が2001年11月に導入した「Suica」との相互利用が可能になった。これにより関東地方のほとんどの鉄道やバスに1枚のICカード乗車券で乗れるようになったわけだが、利用状況はいかがだろうか。Impress Watchとgooリサーチが合同で調査した。

 今回の調査は、gooリサーチでは東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・群馬県・栃木県・茨城県の居住者に限定し、Watchでは地域を限定せずに実施した。Watch読者における、この7都県の居住者の割合は、59.61%だった。

 まず「Suica」と「PASMO」の知名度だが、Watch読者・gooリサーチともに両方とも知っている人が約90%に達し、宣伝活動は成功したといえるだろう。とくに「PASMO」のサービス開始前後はテレビや新聞で宣伝合戦の様相となり、「Suica」は利用者の囲い込み、「PASMO」は新規や乗り換えユーザーの獲得が白熱した。その結果としての勢力図はいかに。


あなたは「Suica(スイカ)」、または「PASMO(パスモ)」を知っていますか。 (n=11,837)
[Impress Watch]
あなたは「Suica(スイカ)」、または「PASMO(パスモ)」を知っていますか。 (n=1,090)
[gooリサーチ消費者モニター]

 「Suica」または「PASMO」のいずれかが使用可能なエリアに居住している人の所有状況は、Watch読者では「Suica」のみ持っている人が約57%、「Suica」と「PASMO」両方を持っている人が17.5%と、「Suica」を持っている人が約74%にもなった。gooリサーチでは「Suica」のみ持っている人が約53%、「Suica」と「PASMO」両方を持っている人が約12%と、「Suica」を持っている人が約65%だった。JR東日本は4月に、「Suica」の発行枚数が2,000万枚を突破したと発表したが、今回の調査でも「Suica」の普及度の高さが裏付けられたといえるだろう。

 3月に登場した「PASMO」はというと、Watch読者で「PASMO」のみ持っている人が約9%、「Suica」と「PASMO」両方を持っている人が17.5%なので、「PASMO」を持っている人は約26%だった。gooリサーチでは「PASMO」のみ持っている人が約9%、「Suica」と「PASMO」両方を持っている人が約12%なので、「PASMO」を持っている人は約21%だ。

 しかし「PASMO」は、2007年度末までの想定発行数を500万枚としていたということで、サービス開始時に400万枚の在庫を用意していたが、開始から1カ月たたないうちに発行枚数が300万枚を突破し、8月まで発行を定期券に限定せざるをえない事態になった。あまりに見通しが甘いとしかいいようがなく、せっかくのシェア拡大の機会を逃すことになってしまった。

あなたはSuicaまたはPASMOを持っていますか。 (n=7,520)
[Impress Watch]
あなたはSuicaまたはPASMOを持っていますか。 (n=978)
[gooリサーチ消費者モニター]

 所有する「Suica」と「PASMO」の種類は定期券が多いが、記名式では「PASMO」のほうが上回った。「Suica」はこの春から記名式の「My Suica」を導入したが、認知度が高いとはいえない。一方「PASMO」は登場時からラインアップに記名式と無記名式が両方が用意されているため、紛失しても再発行される記名式を選ぶ人が多いのだろう。

 今回の調査でもっとも注目していた質問項目は、「Suica」と「PASMO」のどちらでも定期券を作ることができる人が、どちらを選んだかである。

 「Suica」定期券を持っている人で「PASMO」でも定期券を作ることが可能な人は、Watch読者・gooリサーチともに60%弱だ。またその逆で、「PASMO」定期券を持っている人で「Suica」でも定期券を作ることが可能な人は、Watch読者では約33%、gooリサーチでは40%弱だった。

あなたの通学・通勤経路では、PASMOでも定期券を作ることができますか。 (n=2,438)
[Impress Watch]
あなたの通学・通勤経路では、PASMOでも定期券を作ることができますか。 (n=218)
[gooリサーチ消費者モニター]

あなたの通学・通勤経路では、Suicaでも定期券を作ることができますか。 (n=1,261)
[Impress Watch]
あなたの通学・通勤経路では、Suicaでも定期券を作ることができますか。 (n=114)
[gooリサーチ消費者モニター]

 どちらの定期券でも作成可能なのに「Suica」を選んだ人の理由では、Watch読者では「携帯電話内蔵型にしたいから」が、「最寄りの交通機関が発行しているから」と「切り替えが面倒だから」を上回った。デジタル機器に関心が高いWatch読者の特性があらわれているといえよう。また、「PASMO」定期券を選んだ人は、乗車ポイントを評価しているようだ。そして「PASMO」が携帯電話に対応していない不満が自由回答で多かった。

あなたがSuica定期券を作った理由を教えてください。 (n=1,435)
[Impress Watch]
あなたがSuica定期券を作った理由を教えてください。 (n=125)
[gooリサーチ消費者モニター]

あなたがPASMO定期券を作った理由を教えてください。 (n=415)
[Impress Watch]
あなたがPASMO定期券を作った理由を教えてください。 (n=45)
[gooリサーチ消費者モニター]

 クレジットカードからのチャージ利用は、Watch読者は半数弱、gooリサーチでは約37%で、過半数には至っていない。オートチャージついては自由回答でかなりの不満が寄せられており、多くは対応するクレジットカードを自由に選べるようにしてほしいというもの。「Suica」や「PASMO」のオートチャージを利用するために新規にクレジットカードを契約するのが不満という声が多かった。

あなたはSuicaやPASMOにクレジットカードからチャージをしていますか。(n=6,270)
[Impress Watch]
あなたはSuicaやPASMOにクレジットカードからチャージをしていますか。(n=728)
[gooリサーチ消費者モニター]

 「Suica」と「PASMO」は、対応店舗で電子マネー決済が可能だが、Watch読者とgooリサーチの両方で「ときどき利用している」人がもっとも多かった。自由回答での要望で、対応店舗が少ないという不満が多く、とくに対応するコンビニを増やしてほしいという要望が目立っていた。

あなたはSuicaやPASMOで電子マネー決済を利用していますか。(n=6,270)
[Impress Watch]
あなたはSuicaやPASMOで電子マネー決済を利用していますか。(n=728)
[gooリサーチ消費者モニター]

 「Suica」と「PASMO」共通で目立った要望としては、3社以上にまたがった利用形態の場合でも1枚の定期券にできるようにしてほしいというもの。これについてはかなりがっかりさせられた人も多いだろう。とくに郊外から都心に通勤する人は、私鉄+JR+地下鉄という利用形態はかなり多いので、1枚にまとめようとすると従来の磁気式定期券しか選べないのだ。

 チャージ方法についての改善要望が多い。2万円の限度額が低すぎる、チャージできる場所が少ない、などだ。とくに「Edy」のチャージ限度額5万円と比べて低いという声が目立つ。

 「PASMO」を持っている人はバスの利用が多いようだが、バスカードと違って割引面で有利ではないという不満が多い。「Suica」と「PASMO」の両方とも、割引や還元というサービス精神が、海外のICカード乗車券と比べてかなり低い。海外では、ICカード乗車券と普通の乗車券で運賃に差額が設定されていることが多く、ソウルやロンドンではICカード乗車券でないとかなり不利になる制度になっている。

 そしてもっとも多かった意見が、「統合」だ。少なくとも「Suica」と「PASMO」は統合して1種類に、さらにJR西日本の「ICOCA」や関西私鉄の「PiTaPa」などとも統合してほしい、全国1枚でなんでも乗れるように、などだ。ICカードは複数枚を重ねた状態だと読みとりエラーが発生しやすいという物理的特性があるため、統合の要望が多いのは当然だろう。だが日本は交通機関の私企業による運営がほとんどで、世界的に見ても複雑である。これを調整して統一するのはかなりむずかしいだろう。しかし利用者の便利さを第一に考えて、ぜひ検討していってほしいと思う。

 「PASMO」が登場したことで、関東では1枚のICカード乗車券を使って、いちいち切符を買わずにキャッシュレスでほとんどの電車やバスに乗れるようになった。さらに「Suica」ならJR西日本の「ICOCA」対応区間でそのまま使えるようになったし、携帯電話内蔵型もある。便利になったし、切符を買う手間や時間は節約できる。しかしいまひとつお得感が感じられない。「Suica」と「PASMO」の宣伝合戦を見ていたら、利用者の奪い合いに一所懸命で、サービス内容をよくしようという姿勢が感じられない。

 デポジット金額が必要なのは、ICカード乗車券では世界標準だった。ところがアメリカのボストンでは地下鉄とバスにICカード乗車券を最近導入し、未チャージ状態のカードを無料で配布している。ついにデポジット無料というモデルが登場したわけだ。しかも通常の切符よりも割り引かれた運賃が適用される。

 ICカード乗車券は、普及してしまえば発行枚数はほとんど増えていかないだろう。だからといって、このサービスを漫然と運営しないでほしい。利用可能エリアの拡大、チャージ方法の改善、プレミア付加、セキュリティ強化など、要望はまだまだ多いのだ。日本のICカード乗車券は、残念ながら海外のものと比べて優れているとはいいがたい。発行枚数だけでなく、サービス内容も世界に誇れるように進化していってほしい。





 Impress Watchでの調査は4月18日16時から4月25日16時にかけてImpress Watchの読者を対象にインターネット上で行い、11,837の回答があった。 gooリサーチでの調査はImpress Watchと同じ期間、gooリサーチの消費者モニターを対象にインターネット上で行い、1,090の回答があった。

<主な属性>
性別
[Impress Watch]
性別
[gooリサーチ消費者モニター]

年齢
[Impress Watch]
年齢
[gooリサーチ消費者モニター]

職種
[Impress Watch]
職種
[gooリサーチ消費者モニター]


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2007/05/16
Impress Watch編集部

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