【レビュー】新生活にピッタリなノートPC
オールマイティに作業をこなせる
Lesance NB 8-S3539-SP-V2

(2013年2月18日)

 入学や就職を控え、今年の春から新生活を迎える人も多いはずだが、そこで必需品となるのがPCだ。すでにPCを持っていて、一つの節目としてPCを買い換えたい人もいるだろう。また、今まで自分専用のPCを持っておらず、これを機に手に入れたいと思う人も多いはずだ。一人暮らしをはじめる人だけでなく、親元から通学・通勤を考えている人も必見。メールやインターネットの閲覧、レポートやプレゼン資料の作成などのほか、音楽や映画の鑑賞、動画の編集など、マルチメディア処理もこなし、1台あればいろいろな作業で使うことができる。そんな新生活にピッタリなノートPCを紹介しよう。

Windows 8を搭載したLesanceシリーズのノートPC。非常にコストパフォーマンスが高く低価格でありながらオールマイティに作業をこなすことができる。

パソコン工房のLesance

 ここで紹介するLesance(レサンセ)は、パソコン工房が販売する、リーズナブルかつコストパフォーマンスの高いモデルを擁するシリーズだ。余計なプリインストールアプリなどは用意されていない、ストイックなショップPCである。そのLesanceシリーズのLesance NB 8-S3539-SP-V2[Windows8プリインストール](以下Lesance NB)(直販価格:42,980円)をお借りすることができたので紹介していこう。

 Lesance NBは15.6型の液晶パネルを搭載したノートPC。このサイズの大型ノートPCは、可搬性がありつつ、性能/使い勝手のバランスが良いところがキモだ。

15.6型の大きめ液晶パネルが採用されている。解像度は1,366×768。この解像度は、Windows 8アプリで二つのアプリケーションを並べて利用することのできる「スナップ」の要項を満たした仕様。

 モバイル向けのノートPCと違い、頻繁に外に持ち出すよりは、自宅や職場の中で利用されることが多いが、デスクトップPCよりも可搬性と設置の自由度があるというのがノートPCならではの強み。たとえば、自宅の中に限った話でも、気分によってリビングや自室、書斎に移動したり、地面に置いて寝転がりながら使うこともできる。ビジネス用途の場合には、会議室に運んでプレゼンといった程度の移動であれば、とくに移動を苦にすることもないだろう。また、利用しないときには液晶パネルを閉じてしまっておくことができる。なんならブックスタンドにでも立てかけておくこともできるため、一人暮らしにおいての机上の省スペース化にもなる。

 また、小型化と引き替えに性能面や使い勝手で制約があるモバイル向けのノートPCと違い、CPUの性能や画面サイズ等が十分で、使い勝手が高いのがありがたい。大きめの液晶パネルとともに、変則ながら10キーも用意されたキーボードを搭載しており、表計算ソフトなど数字キーを多用するシーンで重宝する。キーピッチは広く作られているので、タイピングはしやすい。

 CPUは最新のインテル Core i3-3110M プロセッサーを搭載。従来の製品よりも省電力性能が高くなり、ワットあたりのパフォーマンスを高めた設計だ。据え置きで考えた場合にあまり省電力性能を気にすることはないだろうが、パフォーマンスが高いのは大歓迎。2つのCPUコアが搭載されており、Intel Hyper-Threading Technologyによって一つのコアが擬似的に2コアとして扱われるため、システム上ではあわせて4コアとして認識され、同時に多数のタスクを処理することができる。4コアで単純に4倍の性能! というわけではないが、さまざまな処理を同時にしていても、PCの動きがモタつくことが少なくなるため、快適に作業を行なうことができる。GPUはCPU内蔵のIntel HD Graphics 4000を採用。フルHD動画の再生も支援機能でスムーズに可能なほか、3Dゲームを遊ぶこともできなくはない。ゲーム性能についてはのちほど実際にチェックしてみたい。

 そのほかの装備も充実している。もちろんコストを抑えるため、高価な装備品はないが、必要にして十分な機能を持っていると言ってよいだろう。

波模様の入った天板。天板だけでなくパームレストなど、全体的にこの波模様で統一されたデザインだ

低コストを重視しながらも、性能と使い勝手を高めた装備品

 PCの快適な動作に密接に関係するメモリは、4GBモジュールが1枚搭載されており、通常の利用では十分な量だ。これでも足りないと思ったら、メモリスロットはもう一つ空いているため、4GBモジュールを自分で購入して最大8GBにすることもできる。

4GBモジュールが1枚搭載済み。スロットが一つ空いているので、もう1枚追加することも可能だ。右上に写っているのはCPUのCore i3-3110M

 ストレージには5,400rpmで容量が500GBのHDDが搭載されている。速度性能だけで言うならSSDのほうが高いが、SSDは容量あたりの単価がHDDの十数倍以上。容量が大きいHDDはSSDとは違ったメリットもある。

500GB HDDを搭載。回転数は5,400rpmとパフォーマンス重視の製品ではないが、容量は500GBもあるため、容量不足に悩まされることは少ないだろう

 通信機能もBluetoothやWiMAXといった特別な装備はないが、1000BASE-Tの有線LANとIEEE802.11b/g/nの無線LANが搭載されている。どちらも現在ではスタンダードなネットワークとの接続方法で、必要にして十分な機能と言える。

 側面のインターフェースを見るとUSB端子が3つ、外部モニター接続用のD-Sub15ピンとHDMIポート、SDカードリーダー、光学ドライブ、マイクとオーディオの端子、有線LANのコネクタを確認できる。USBポートのうち2つは最新規格のUSB 3.0ポートで、対応した製品であれば、さらに高速なデータ転送が可能だ。たとえば外付けHDDであれば、内蔵HDDと同程度の速度で利用することができる。D-SubかHDMIポートに外付けモニターを接続すればマルチモニターも可能で、作業領域を広げることができる。SDカードリーダーが付いているのも意外と便利で、デジカメやHDカムなどのデータを直接PCに取り込むのに重宝する。

本体右側面には、オーディオ端子とUSB 2.0のポート、DVDスーパーマルチドライブが用意されている 本体左には外部映像出力用のD-Sub 15ピン、HDMIのほか、有線LAN、USB 3.0ポートが二つ、SDカードスロットを備えている

 光学ドライブはDVDスーパーマルチドライブで、音楽CDはもちろんDVDも再生可能。DVD±R/RWにDVD-RAMといったDVDメディアに対応しており、書き込みも可能だ。アプリケーションのインストールはもちろん、編集した動画の保存や配布、システムやデータのバックアップとして利用することができる。

本体右側に内蔵されているDVDスーパーマルチドライブはDVDやCDメディアの読み書きが可能。データの保存やバックアップに利用するとよいだろう

 キーボードは、テンキー部分が横3列になったちょっと特殊なタイプだが、上述したとおり10キー付きのフルキーボードだ。アイソレーションタイプで、キーとキーの隙間はフレームで覆われており、スタイリッシュなイメージがある。アイソレーションキーボードによく見られるプチプチとしたキータッチで、キーピッチもある程度確保されているため、打ちづらさを感じることはなかった。ただ、やはり独自配列の特殊な10キーに関しては少し慣れが必要なようだ。

10キー付属のフルキーボード。アイソレーションタイプでキーとキーの隙間はフレームが入っている ちょっと特殊な配置の10キー部分。通常の10キーでは、「-」と「+」、「Enter」が数字のキーよりも1列右に配置されるが、特殊な並びになっている
トラックパッドは少しへこんでおり、広めで使いやすい。ボタン部分は少し奥行きが小さいため、慣れるまではボタンを押したつもりがトラックパッドを触っていたという誤動作を引き起こすことが多かった

 電源としてはACアダプタのほか、4,400mAhのバッテリが採用されており、駆動時間は仕様上で3時間20分となっている。持ち歩くことの少ないこのサイズのノートPCでは十分な容量だ。また、ACアダプタは意外と小型で、可搬性を重視していない製品と言いつつ、持ち運ぶには楽に感じた。

4,400mAhの容量を持ち、バッテリ駆動時間は3時間20分。短く感じるかもしれないが、モバイル用途で使わなければ、十分だ

 最後に、持ち運びを重視しない15.6型のノートPCのためそれほど重要ではないが、サイズは幅が約274mm、奥行きが約250mm、厚みは約34.1mm(最薄部で約14mm)となっている。重量はバッテリ込みで約2.4kg。このサイズのノートPCとしては比較的軽量で、たまに出先に持ち出すくらいなら問題なさそうだ。

Windows 8を搭載。最低限のアプリケーションも用意されている

 さて、それでは実際にLesance NBを使ってみよう。キーボード右上に用意された電源ボタンは、青色LEDが組み込まれており、電源ON時には青く光るようになっている。OSにWindows 8を採用しているため、起動時間は非常に短く、わずか十数秒でPCが利用可能な状態になった。

 少し詳しく言うと、Windows 8では以前のOSに比べて起動の内部プロセスが効率化されており、従来OSでは、高速を謳うPCでも10秒ちょっと、一般的な製品では新品の状態でも20秒〜30秒程度の時間が必要だった。電源を入れてから短時間で使えるようになるというのは割とうれしい部分だ。

プリインストールされているWindows 8のスタート画面。去年10月に発売されたばかりのOSで、最新世代のPCの性能を引き出すことができる

 コストのかかる有料アプリケーションは入っていないため、スタート画面はさびしいものだが、実のところ最低限のアプリケーションは用意されている。それが「Norton Internet Security」と「Kingssoft Office 2012」の二つだ。この二つのアプリケーションは両方とも体験版で、Norton Internet Securityが90日間、Kingssoft Office 2012は30日間の無料利用期間が設けられている。

 Norton Internet Securityは名前からも分かるとおり、インターネットに接続する際には必需品となるセキュリティ強化用のアプリケーションだ。インターネットの閲覧時やメールの受信の際に、PCにとって有害なウイルスなど、マルウェアの侵入を防ぐことができる。Kingssoft Office 2012はMicrosoftのOfficeシリーズと互換のあるビジネススイートで、文書の作成、表計算、プレゼンテーション機能などがセットになったもの。いずれもプランによって機能は違ってくるが、インターネット経由で簡単に正規購入版に変更できるので、必要であれば購入してしまうのもよいだろう。もちろん、別のベンダーが提供するセキュリティソフトや本家MicrosoftのOfficeシリーズを購入するのもよい。また、無料で使えるセキュリティソフトや、Microsoft Office互換の「OpenOffice.org」や「LibreOffice」といったビジネススイートもネット上からダウンロードして利用することができるので、コストをかけたくない人にはそういう選択肢もある。

90日間の体験期間の付いたセキュリティソフトがプリインストールされている。そのまま購入して使い続けることもできる Microsoft Officeシリーズと互換のあるオフィススイートの体験版も付属している。こちらの試用期間は30日間

 コストダウンのために、余分なアプリケーションがプリインストールされていないという触れ込みで売られているが、完全なPC初心者にソフトウェアがまったく付属していないという状態ではお勧めできない。そのあたり、最低限の用意はしてくれているわけだ。

 PCの動作としては最新世代のミドルレンジプラットフォームを使っているだけあって、きびきびとした動作をしてくれる。複数のアプリケーションを同時に使っても、大きく動作速度が落ちることもなかった。価格を考えると非常にコストパフォーマンスに優れた製品と断言してよいだろう。

比較的処理能力を要求する3Dゲームを試してみる

 ここでちょっと試してみたのが、3D性能だ。このLesance NBに搭載されているCPUのCore i3-3110Mには、Intel HD Graphics 4000と言う、意外と強力なグラフィックス機能が搭載されている。Intel Core i3-3110Mは、Intelの第3世代 Coreシリーズの製品で、開発時のコードネームはIby Bridgeと呼ばれていた。先ほど書いたように、ワットあたりのパフォーマンスを向上させた製品でもあるが、もう一つの特徴が、先代のSandy Bridgeと呼ばれていた製品よりもグラフィックス機能が大幅に強化されている点だ。Core i3-3110Mに搭載されているIntel HD Graphics 4000は、最新3Dゲームでも利用されているDirectX 11という機能にも対応しているため、動作させるという目的だけであれば動かすことができる。もちろん、性能が足りなくて使えない可能性もあるが、ここで一つゲームを動作させて確認してみることにしてみた。

 インストールしたのはCall of Duty Black OPSⅡというゲームで、一人称視点のシューティングゲーム。比較的新しいゲームで、今もネットワーク対戦で人気があるタイトルだ。しかし、3D系の激しい動作を要求するゲームであるため、PCの性能が高くなければ操作が思うようにいかず、それが足かせとなってゲームを楽しむことができない。ある程度のPC性能が要求されるゲームタイトルだ。

 インストールしてゲームを起動してみたところ、既定の設定では動作が重く、ゲームを楽しむのは難しそうだった。そこで、画面解像度は変えずにグラフィック描画クオリティの設定を低くしたところ、平均30fps(Frame par Secondの略で、1秒間に画面を何回描画できるかの数値)程度での動作を確認することができた。本来なら40fpsは欲しいところだが、30fpsでもゲームにはなる。また、ある程度処理能力の必要な最新の3Dの一人称視点シューティングがプレイできるということも分かった。

画像に関して美麗とはいかないが、本機の性能でも、とりあえずプレイできることは確認できた

ライトユーザーなら十分な性能でコストパフォーマンスが高い

 3Dをバリバリに駆使した最新のゲームをプレイするには性能が足りないが、メールの読み書きやインターネット閲覧、画像や動画などの編集まで、幅広い作業をそつなくこなす性能を持ったノートPC。それがLesance NBだ。最新プラットフォームを最大限に活かせるWindows 8を搭載し、それほど負荷の高いものでなければゲームまでこなすことができるため、これ1台で必要なPCの作業のほとんどをこなすことが可能だ。価格も42,980円と4万円を少し上回る程度で、新生活をはじめる際の物入りな状況では、財布に優しいのもうれしいところ。低価格でも一人前の作業をこなせる新生活の強いパートナーになってくれるだろう。

 なお、パソコン工房では、Lesance NBを購入する際のオプションとして「EMOBILE LTE」への加入プランもあり、こちらは月額約5,500円でモバイルインターネットが利用できるというもの。回線にLTEを利用しており、場所にもよるが、十分高速にインターネットを利用できるだろう。このオプションを選択するとPCの購入価格から33,000円が値引きしてもらえる。ここで紹介したLesance NBなら、たったの9,980円で購入することができるわけだ。最近の一人暮らしの若い方、とくに学生は携帯電話が普及しているため、自宅に電話回線を引かない人も多いらしいが、インターネット用の回線工事の必要もないEMOBILE LTEとLesance NBの組み合わせは、そんな生活様式の新入生や新社会人にピッタリかもしれない。

(山本倫弘)

URL

パソコン工房
http://www.pc-koubou.jp/
パソコン工房 Lesance NB 8-S3539-SP-V2 [Windows8プリインストール]
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