夏テレビ特集

【特別企画】

2010夏テレビ総括!!
3D、LED、高画質はあたりまえ!?
この夏、「買い」なテレビはどれ?

2010年夏のトレンドを概観する

バックライトに白色LEDを採用し、さらなる高画質&省電力をうたったテレビが続々登場(画像はLEDのイメージ模型)
センサーによる各種自動画質調整や省エネなども各社が採用(写真はAQUOS SE1のムーブセンサー&照度センサー)
今春~今夏にかけて一気に花開いたのが3D対応。各社、専用のメガネを用いるフレームシーケンシャル方式を採用している(画像はAQUOS用)

省エネ&クリーンという時代の要請で、液晶テレビではバックライトにLED(発光ダイオード)を使ったLEDモデルが急速に普及している。LEDバックライトは従来のCCFL(冷陰極管)バックライトと比べると少ない電力で高い輝度が得られるため、省エネを実現しやすいのが大きなメリットだ。また、LEDは廃棄の際に有害な鉛などを出さない環境負荷の低いデバイスでもある。

画質から見ると、部分的に点滅できるのがLEDならではの特徴で、LEDバックライトをエリア単位で制御して点滅させることで高いコントラストを得るなどの高画質化も実現している。さらに、シャープやSONYのテレビではLEDバックライトを点滅制御することで、3D映像のクロストーク(残像による二重写り)を低減する工夫も凝らされている。

デザインから見ると、LEDはスリムな構造であるためテレビを超薄型にしやすい、というメリットも挙げられる。

メーカーを問わず、薄型テレビの高画質化技術は高度に進化しているが、更なる高画質を目指したチャレンジも続いている。東芝や日立、三菱などの上位モデルは超解像技術を採用。これは、DVDや地デジ(1440×1080ドット)など解像度がフルハイビジョン(1920×1080ドット)以下の映像ソースをフルハイビジョンに解像度アップする技術である。また4原色を用いたシャープの「クアトロン」液晶のように、独自の次世代液晶パネルを採用することで更なる高画質化を図る、というアプローチもある。

輝度および色温度センサーによって視聴環境に最適な画質にする自動調整機能は全社が採用している。これは高画質と省エネを両立させる機能で、定番といって良い機能になった。省エネでは、視聴者が席を立つとセンサーが感知して画面を消すソニーの「人感センサー」のような独自のアイデアも見受けられる。

3D(三次元)映像への対応も大きなトレンドである。4月にパナソニック、5月にソニーが3Dテレビを発売、7月にはシャープの3Dモデルが発売予定で、その他のメーカーも秋以降に3Dモデルを投入すると予想される。上位モデルへの買い換えを検討しているならば、将来性のある3Dは外せない機能といえるだろう。

3Dの表示は各社ともにフレームシーケンシャル方式を採用。これは左目と右目の視差ある映像を120分の1秒毎に交互に表示し、これを液晶シャッター付きのメガネで見ることで立体感を感じさせる方式である。

というように基本原理はどのメーカーも同じだが、高画質化にはアプローチの差がある。3D表示では、明るさを確保しつつ、クロストークを低減することが高画質化に繋がる。このために、パナソニックはプラズマパネルの応答性の高さを活用、ソニーは早くから実現していた4倍速技術を進化させ、シャープは応答性の高い新世代の液晶パネルを採用するなど各社が独自のノウハウを活かして3Dを実現している。

録画機能内蔵も大きなチェックポイントである。レコーダーを立ち上げる手間とタイムラグなしで録りたい時に即録画でき、テレビリモコンで録画再生の操作ができるなど、「録画テレビ」ならではの利便性が魅力だ。テレビの使い勝手を広げる、という意味で録画機能は、やはりあったほうがベターだろう。

録画する記録メディアがチェックポイントで、東芝とシャープは外付けHDD(別売)へ録画、日立は内蔵HDDとデジタル録画対応のリムーバブルHDD「iVDR-S」を採用、ソニーの録画モデルは内蔵HDD録画、三菱とパナソニックはHDD+BDの本格レコーダー機能を内蔵している。

録画テレビ、特に内蔵HDDタイプは主に録って見て消すタイムシフト用途に向いているが、日立のリムーバブルHDD「iVDR-S」はライブラリ保存にも対応。東芝やパナソニックの録画モデルは、自社の対応レコーダーにダビングしてライブラリ保存も可能だ。また、三菱とパナソニックはHDD+BDドライブも内蔵しているので、本格的なライブラリ保存やBD鑑賞が楽しめる。

録画機能の充実度と操作のシンプルさは相反するので、タイムシフトだけで良いのか、それとも残したいのか、といった用途をよく考えて選びたい。

録画テレビのトレンドとしては、32インチ以下のプライベート向きのテレビにも録画機能を搭載したモデルが増えてきた。リビングだけでなく、自分の部屋でも手軽にタイムシフト録画が楽しめる点が新しい。

4原色技術で大きくブレイクスルーを果たしたシャープ「AQUOS」

3Dに対応する「LV3」。「FRED」と呼ばれる独自の液晶配線技術を採用。写真はLC-60LV3
3D非対応だがそれ以外はLV3相当の「LX3」。写真はLC-52LX3
薄型スタイリッシュモデルの「XF3」写真はLC-52XF3

シャープの新AQUOSシリーズは、同社独自の次世代液晶技術を積極的に採用することで、大きなブレイクスルーを実現した野心作といえるだろう。

新シリーズは、3D対応のLV3シリーズ、2D上位モデルLX3シリーズと、2DスタイリッシュモデルXF3シリーズをラインアップし、全モデルが独自の4原色「クアトロン」パネルを採用しているのが大きな特徴である。

従来のテレビは赤・緑・青(RGB)の3原色でカラー映像を表示しているが「クアトロン」はこれに黄(Y)を加えた4原色を採用することで色の再現性を高めている。

シアン(青緑色)や黄色などの中間色の表現力を効率よくアップできるのが「クアトロン」のメリットで、今までのテレビでは難しかったトランペットの金属感や、ひまわりの濃い黄金色など、黄色系統がビビッドに表現できる。また、青い空やエメラルドグリーンの海といったシアン系のカラーも鮮やかで純度が高い。色表現の鮮やかさは、誰もが一目見てわかるレベルでアピール力がある。さらに4原色液晶は、斜め線のギザギザを滑らかにして解像感を上げる超解像的な機能「フルハイプラス」も実現している。

新シリーズにはUV2A液晶などの独自技術も採用されている。UV2A液晶の大きな特徴は、その明るさと応答速度の速さにある。液晶面で光を遮るスリットとリブをなくすことで、従来比約20%以上の高開口率(明るさ)を実現。同時にバックライトの光漏れも低減し、従来比1.6倍以上という高コントラストも実現している。同時に応答速度も4ms以下に高速化されている。「クアトロン」の黄画素の追加も、見た目の明るさ感を向上させるのに貢献している(黄色の波長は眼に明るく感じられるため)。

3D表示では、画面の明るさの確保とクロストークの低減が課題となるが、本シリーズの液晶の明るさと応答速度の早さは3D表示に最適といえるだろう。

LV3シリーズとLX3シリーズは、直下型の白色LEDバックライトを採用するとともに「スキャニングLEDバックライト」を採用。これは白色LEDを横に4分割し、上から下にスダレ状にスキャン点灯する方式で、3Dのクロストークや残像感の低減に効果を発揮する。なお、2DモデルXF3シリーズはエッジライト型の白色LEDを採用している。

また、2D映像を疑似3D化する「2D-3D変換」機能もしっかり搭載し、3Dを手軽に楽しめる。

録画やネットなどのトレンド機能もしっかり搭載していて、使って楽しいエンタテインメントなテレビに進化している。LV3シリーズとLX3シリーズはUSB HDDへの録画に対応。東芝REGZAシリーズと同様に、市販のUSB HDDを外付けしてタイムシフト録画が楽しめる。手軽な録画機能であるが、自動録画に対応するなど実用性は高い。3D対応で、なおかつ録画もできるテレビは、現状ではLV3シリーズのみで「3D機能だけでなく録画機能もほしい」という人に勧められるだろう。

ネット機能は「アクトビラ・ビデオ・フル」や「ひかりTV」、「Yahoo! JAPAN」などに対応するほか、DLNAクライアント機能もサポートしている。このほか富士フイルムの3Dデジカメの3D静止画表示(LV3シリーズ)や、AQUOS携帯のテレビ画面表示などユニークな独自機能も装備している。

というように、オンリーワンの液晶技術と、トレンド機能を網羅した多機能さが新AQUOSシリーズの大きな魅力といえるだろう。

さらに進化した映像エンジンやゲーム対応 東芝「REGZA」

プレミアムLEDモデルと銘打たれたZ1シリーズ。写真は55型の55Z1
こちらは外付けHDD録画に対応したミドルクラスのRE1シリーズ写真は42型モデル

東芝REGZAの最新夏モデルは、プレミアムLEDモデルとしてZ1シリーズ、ミドルクラスのRE1シリーズ、パーソナルなHE1シリーズが追加されている。これらすべてのモデルにLEDバックライトが採用されている点が大きな特徴だ。

LEDバックライトは白色のエッジライト型で、Z1シリーズとRE1シリーズの37V型以上は、エリア分割(縦に複数分割、横に二分割)によるバックライト制御に対応し、コントラストの高い映像を実現している。また同シリーズの37V型以上は光沢のあるクリア液晶を採用している。

上記の全モデルで視野角の広いIPS液晶を採用している点も注目したい。特に26V型以下の小型モデルが上下から見ても見やすいIPS液晶になった点は評価できる。

映像回路はワンチップ化が図られ、名称も従来の「メタブレイン」から「レグザエンジン」に変更されている。同エンジンのCPUのクロック周波数を333Mhzから533Mhzにアップし、さらにZ1シリーズでは、このCPUを2個搭載した「レグザエンジン Duo」を採用し、高度で高速な処理を実現している。システム処理速度の向上は、EPGの起動の速さや、後述するゲームモードの機能向上などで実感できる。

東芝が得意とする超解像技術は、第四世代の「レゾリューションプラス4」に進化。従来の「再構成型超解像」にプラスして、CELL REGZAに採用されている「自己合同性型超解像」を新たに採用している。これはより滑らかで解像感のあるな輪郭を作る技術で、斜め線のギザギザの低減などに効果を発揮する。

さらにZ1シリーズでは、デジタル放送のデコード時に、フレーム毎に圧縮ノイズの量を予測して最適な超解像処理を行う処理も行い、高精細でノイズ感の少ない映像を実現している。

お家芸のHDD録画機能もさらに強化され、全モデルにHDD録画機能を採用している。Z1シリーズは外付けLAN/USB HDD、RE1シリーズは外付けUSB HDD、HE1シリーズは内蔵または外付けUSB HDDへの録画に対応。また、Z1シリーズでは、2番組同時録画と自動チャプター機能「おまかせチャプター」も採用されている。

ゲームプレイ時の表示タイムラグを短縮する「ゲームダイレクト2」機能も上記の全モデルに搭載。1080p/720p/480pゲーム入力の遅延時間を約1.2フレームにまで短縮すると同時に、従来機にはなかったゲーム画面のスケーリングと超解像処理も実現している。このため、延滞を気にせずに全画面で高画質なゲームプレイを楽しめる。また、PSP(プレイステーション・ポータブル)の映像を全画面表示する「ポータブル・ズーム」モードでも超解像処理が有効だ。

上記全モデルがDLNAに対応し、下位モデルや小型モデルを含めて、全モデルがDLNAの外部LANダビングに対応している。このため将来的には、テレビのHDDに録画したタイトルを対応レコーダーなどにLANダビング可能になると予想できる。

また、DLNAはWindows7の”play to”コマンドをサポートし、PCの操作だけで動画再生や静止画、音楽などの配信が可能になった。

Z1シリーズ(55V型、47V型)はオーディオ性能も進化している。前向きの2WAYアンダースピーカーで明瞭感と定位感のあるサウンドを実現。オーディオ回路は2WAYでフラットな特性が得られるリンクウィッツ・ライリー型の音声フィルターとマルチアンプ駆動というテレビとしては贅沢な構成を採用。

Z1シリーズでは、テレビ周囲の音空間を立体的に捉えて音場補正を行うReal Sound Lab社の「CONEQ」補正技術も採用している。従来の音場補正は1点を基準に行っていたが、CONEQでは400ポイントの球面立体空間での音響測定を元にイコライジングを行う。このため家族など複数の人が異なったポジションで聞いても違和感のない音場が実現できるのがメリットだ。

全体的に見ると、上位Z1シリーズは画質、機能ともに円熟の域にあり完成度が高い。下位モデルや小型モデルでは機能の底上げが図られていて、RE1やHE1シリーズのコストパフォーマンスの高さも魅力といえるだろう。

3D一番乗りのプラズマを擁す パナソニック「VIERA」

世界初のフルハイビジョン3Dプラズマテレビ「VIERA VT2」。写真は最大サイズの65型モデル

パナソニックの「VIERA」シリーズは、プラズマモデル、液晶モデル、録画対応モデルなどラインアップの豊富さが特徴だが、中でも注目されるのはなんと言っても、世界初のフルハイビジョン3Dプラズマテレビとして4月に発売された「VIERA VT2」シリーズだろう。VT2シリーズのラインアップは4月発売の54V型、50V型、5月発売の65V型、58V型に加え、7月末には手頃な画面サイズの46V型と42V型も追加される。

3D表示は、左眼と右眼の映像を液晶シャッターメガネを通して交互に見るフレームシーケンシャル方式を採用。

この方式では、画面の明るさとクロストークの少なさ(応答性の高さ)の両立が望まれる。同社ではまず、プラズマの発光効率(明るさ)の向上を図り、VT2シリーズでは、発光効率を09年同社プラズマ比で約2倍(07年同社プラズマ比で約4倍)に高めるとともに、予備放電なしでも発光を可能にした新開発の「フル・ブラックパネル」を搭載。これによりネイティブコントラストで500万対1を実現している。

応答性の向上については、インパルス発光方式のプラズマはもともと高い応答性を備えているが、さらに残光時間の短い新「高密度蛍光体」や、新発光制御方式などの採用によって残像を抑え、クロストークの少ない見やすい3D映像を実現している。また、3Dメガネのシャッターの開閉動作を発光にあわせて最適化することでもクロストークの低減を図っている。

こうした基本性能の高さは、3Dだけでなく2D表示にも有効で、2D表示時には従来比で約2倍の豊かな階調表現が可能だ。

また、7月末発売予定の46V型、42V型3Dモデルは、2D映像を疑似3D化する「2D-3D変換」機能も搭載し、より多くのコンテンツで3Dを手軽に楽しめる。

このほか、同社ハリウッド研究所のノウハウを活かした色再現技術「ハリウッドカラーリマスター」や視聴環境をセンサーで検知し、映像をシーン毎に制御する「オートモード」など、同社テレビの高画質技術を結集している。

ネット機能は「アクトビラ・ビデオ・フル」のほか「Youtube」動画をストリーム視聴できる点がポイントだ。DLNA「お部屋ジャンプリンク」機能も搭載し、手軽にホームネットワークを構築できる。また、オプションの「コミュニケーションカメラ」をUSB接続すれば、インターネット経由の音声・ビデオ通話サービス「Skype」にも対応できる。

3D対応のBDレコーダー「ブルーレイDIGA」とのリンクはもちろん、同社のビデオカメラやデジカメ、ドアホン、センサーカメラなど豊富な機器と連携できるのは、総合AV機器メーカーならではのメリットといえるだろう。

3D対応のVTシリーズのほか、HDDとBD(ブルーレイ)ドライブを搭載した2D録画モデルR2Bシリーズ(7月上旬発売予定:37V型、32V型)も注目モデルである。本機は、2番組同時録画や自動録画機能、オートチャプターなど多くのフレンドリー機能を搭載。HDD録画に加えて、BDへの録画、ダビングやBD/DVD再生機能も搭載しているので、レコーダーなしでライブラリ保存や、BD/DVD再生も楽しめる。同社レコーダーのノウハウを録画テレビにリファインした親切で高機能な録画テレビといえるだろう。

ラインナップの多彩さや「3Dレディ」で間口が広い ソニー「BRAVIA」

3D標準対応の「LX900」シリーズ
あとから機器を買い足すことで3D視聴が可能な「3Dレディ」もでる「HX900」シリーズ

パナソニックに続いて3Dテレビの市場に参入したソニーは、豊富なラインナップで勝負をかける。3D対応のLX900シリーズのほかに、3DにアップグレードできるHX900シリーズとHX800も用意され、ユーザーニーズにあった選択肢の多さが特徴となっている。

LX900シリーズは、3D機能を装備し、3Dメガネと通信を行う赤外線トランスミッター(送信機)を内蔵した3D本格対応モデルである。46V型、40V型のほか、60V型と52V型も7月に発売予定だ。

液晶パネルは3D対応の4倍速フルハイビジョン液晶で、エッジライト型の白色LEDバックライトを搭載。液晶パネルと前面ガラスとの間に新開発の樹脂を入れて一体化した「オプティコントラストパネル」を採用し、外光の反射や映像光の拡散を低減し、高いコントラスト感と色彩感を実現している。4倍速液晶に対応した「モーションフロープロ240Hz」駆動回路を採用し、残像感の少ない映像を実現している。さらにコンテンツによって、より残像感の少ないモーションフロー「クリア1」「クリア2」モードもマニュアル設定できる。

3D表示の基本原理はパナソニックと同じフレームシーケンシャル方式を採用。4倍速液晶のフレームの多さを活かして映像を二度書きするフレームを作り、このフレームに合わせてLEDバックライトを点滅させることでクロストークを抑えた見やすい3D映像を実現している。3Dメガネは照明器具からのフリッカーを防ぐ機能を装備。メガネは幅などの調節が可能で、普通のメガネの上からでも装着できる。標準で3Dメガネが2個同梱されているのはファミリーに嬉しい仕様。オプションでスモールサイズの3Dメガネが選べる点も親切だ。2D映像を疑似3D化できる「2D-3D変換」機能も装備していて、より多くのコンテンツで3D感覚を楽しめる。

映像回路はより進化した「ブラビアエンジン 3」を採用し、高い解像感と低ノイズを両立させた高画質な映像を実現している。

リモコンは無線方式で死角の少ない縦型「おき楽リモコン」を採用し、リモコン背面には「アクトビラ」視聴の決済に使える電子マネー「FeliCa」機能も装備している。ネット機能も豊富で、Wi-Fi機能を内蔵し、「アクトビラビデオ・フル」のほか、YoutubeやU-NEXTの動画もストリーム視聴できる。テレビの子画面でネット情報が得られるアプリケーション「アプリキャスト」にも対応している。また、DLNA「ソニールームリンク」もサポート。同社の3D対応BDレコーダーのほか、同社のビデオカメラやデジカメなどとも連携できる。

省エネ機能では、人がいなくなると音だけ残して画面を消す「インテリジェント人感センサー」を採用。従来の人感センサーに加えカメラを搭載し、動き検出と顔認識によって前後6メートルのエリアで人の動きを感知する。「標準」モードのほか「省エネ優先」や「視聴優先」モードで、目的に最適な省エネ制御を行う。さらに、子供が至近距離で視聴しようとすると画面を消してアラームを鳴らす「近づきアラーム」機能や、人の配置を感知して最適なAV環境に調整する「ポジションコントロール」機能など、インテリジェントなセンサー機能に進化している。

HX900シリーズ(7月発売予定)はハイエンドの「最高画質&3Dレディ」モデルという位置づけで、52V型と46V型がラインアップされている。4倍速のフルHD液晶は、エリア駆動に対応した直下型の白色LEDを採用し、高コントラストな映像を実現している。「3Dレディ」で、背面の「3Dシンクロ端子」に別売のトランスミッターを外付けし、別売のメガネを用いると3Dテレビにアップグレードできるしくみだ。映像回路は「インテリジェントイメージエンハンサー」と「インテリジェントMPEGノイズリダクション」を採用した新開発の高画質回路を搭載。ネット機能は、別売のUSB Wi-Fiアダプターで行うしくみだ。

HX800シリーズ(7月発売予定)は46V型と40V型がラインアップされた普及タイプの「3Dレディ」モデルである。HX900シリーズと同様に、別売のトランスミッターと3Dメガネで3Dテレビにアップグレードできる。白色LEDバックライトはエッジ型で、画面を縦に数分割、横に2分割することでエリア駆動に対応している。液晶は光沢タイプの「クリアブラックパネル」を採用し、深い黒を表現している。ネット機能は、別売のUSB Wi-Fiアダプターで行う。

「3Dレディ」モデルは、とりあえず2Dテレビとして購入して、後で数万円で3Dテレビにアップグレードできる点が魅力といえるだろう。3Dテレビとしては比較的小型な40V型から選べる点も実情に合ったラインアップで、買いやすく後々まで楽しめる3D対応テレビといえそうだ。

HDDもBDも入ったオールインワンならコレ 三菱電機「REAL」

HDD/BDレコーダーの機能がそのまま利用できるのがウリの「BHR400」シリーズ

三菱電機の液晶テレビ「REAL」シリーズも録画機能の充実を図っている。7月に発売された録画機能内蔵の「REAL BHR400」シリーズは、HDDとBD録画の両機能を内蔵した”オールインワン”の録画テレビで、26V型、32V型、40V型、46V型の4機種でラインナップの充実が図られている。また、HDDが従来の320GBから500GBに容量アップされている。

BHR400シリーズの46V型、40V型は、エッジライト型の白色LEDバックライトを搭載し、前面フィルターには、光沢処理を施したフルHD倍速の「DIAMOND PANEL」を採用している。

BHR400シリーズの最大の特徴は、同社のHDD内蔵BDレコーダーをそのまま内蔵した、といっても良い本格的な録画機能である。外付けのBDレコーダーを購入しなくても、テレビ単体で「録る」「見る」「残す」に活用できる多機能さが魅力といえるだろう。

多機能な割に外見は意外にシンプルで、BDドライブのトレイは前面下にスマートに収納され、オールインワンを感じさせないシンプルなフォルムにデザインされている。

録画の基本性能はレコーダーと同じで、デジタル3波チューナーを2基搭載し、2番組同時録画を実現している。録画モードはDRモードのほか、H.264記録のAF、AN、AEモードも選べる。最長時間のAEモードは、従来機の5.5倍から8倍記録に変更され、500GBHDDに約360時間の録画が可能だ。

EPGの録画予約はシンプルで録りたい番組を選択すると即予約できる。この場合の録画モードはデフォルトでDRモードになるが、詳細設定でモードの変更もできる。

自動録画も重宝する機能で、これはユーザーの録画歴などから好みを解析してオート録画してくれる親切機能である。自動録画のモードは、必ず録りたい番組を録ってくれる「安心型」と、知らない番組を録ってくれる「発展型」が選べるなど、なかなかよく考えられている。

再生リストは、従来の壁紙部分を省いた全画面表示に変更され、長いタイトル名などが読みやすい。再生機能も充実していて、録画番組の本編またはCM部分だけを自動再生する「オートカットi」や、スポーツ番組などのハイライトを自動再生できる「見どころ再生」や「シーン検索再生」など、同社レコーダー並みの便利な再生機能を搭載している。

編集やダビング機能も同社のBDレコーダーと同等で、タイムシフトだけでなく、BDへのダビングとライブラリ保存にも充分に対応できる。BDへのダビングのほか、DVDへハイビジョン記録できるAVCREC録画も可能だ。もちろんDVDやBD-ROMの再生も楽しめる。

また、USB端子とSDカードスロットを装備し、ハイビジョンビデオカメラからのAVCHDムービー取り込みにも対応している。

アクトビラはストリーム視聴のほか「アクトビラ・ダウンロード」にも対応し、HDDにダウンロードしたセルタイトルはBDなどへのダビングが可能だ。

リモコンは「見る」「録る」など目的別に大きなボタンがついた理解しやすいユニバーサルリモコンを採用。同社お馴染みのテレビが振り向く「オートターン」機能のほか、高齢者に聞きやすい「声ハッキリ」機能、音量を自動調整する「おすすめ音量」などのオーディオ親切機能も継承している。

BHR400シリーズ以外の上位モデルは、新DIATONEスピーカーを搭載したMZW300シリーズなど、オーディオ性能の高さが特徴で、テレビ単体でサウンドを楽しみたい人に勧められる。

なお三菱電機は、今夏に3D対応の75V型レーザーテレビ(半導体レーザーを光源にしたDLPリアプロジェクションテレビ)を国内で発売し、秋にはHDD+BD録画機能を内蔵した3D対応の液晶テレビを発売予定、とアナウンスしている。

完成度の高い録画&ネット機能 日立「Wooo」

超解像対応のハイエンドモデル「XP05」シリーズ。写真はプラズマ50型のP50-XP05
ローエンドモデルの「H05」シリーズはDLNA対応が光る

日立製作所の薄型テレビWoooは、ハイエンドの「XP05」シリーズから、ミドルクラスの「HP05」シリーズ、エントリーの「H05」シリーズまで、豊富なラインナップが用意されている。シリーズ中でも、2番組同時録画など最新機能にリニューアルされたXP05シリーズが注目モデルといえそうだ。

XP05シリーズは50V型、46V型、42V型のプラズマモデルに加え、37V型、32V型の液晶モデルも用意されている。同社のプラズマは以前から深みのある黒の再現力を追求していて、XP05シリーズでは黒の表現力をよりいっそう高めている。プラズマパネルと前面フィルターを一体化させることで内部反射を防いだ「フルHDダイナミック・ブラックパネル2」を新採用し、500万対1の高コントラストを達成。また、液晶モデルにはフィルターに光沢処理を施した広視野角の「新IPSα」パネルを新たに採用し、艶のある黒と色表現を実現している。

XP05シリーズは、超解像技術「ピクセルマネージャー」を新たに採用している。これはソース映像の高域成分(細かいディテール)を復元処理することで、DVDや地デジなどの映像をフルハイビジョンに高解像度化する機能である。超解像効果はオートのほか5段階のマニュアル調節も可能。斜め方向の解像度アップにも効果がある点が特徴だ。さらに、近景だけを強調することでより立体感のある超解像処理を実現している。また親子画面表示では、低解像な親または子画面だけを超解像処理することも可能だ。

明るさと色温度センサーによって視聴環境を感知し、コンテンツのジャンルに最適な画質に自動調整する「インテリジェント・オート画質2」も採用している。コンテンツのジャンル判別に「アニメ」が加わり、アニメのベタ塗り線画に最適な映像処理を行えるようになった。また前記の「ピクセルマネージャー」と連携して自動調整できるように進化している。

Woooシリーズは録画テレビの老舗で、その流れを受け継ぐXP05シリーズの録画機能も完成度が高い。最大の特徴はダブル録画で、地上デジチューナーを3基、BS/CSチューナーを各2基搭載することで、地デジ視聴中のデジタル放送2番組同時録画を実現している。

録画メディアは内蔵の320GB HDDに加え、iVDR-S(デジタル放送録画対応のリムーバブルHDD)を着脱して録画できる。iVDR-Sは著作権保護に対応しているため、内蔵HDDとiVDR-S間のコピー・ムーブも可能で、タイムシフトだけでなく、ライブラリ保存用の超大容量メディアとしても活用できる。

録画モードはTSモードのほか、TSEモード(2倍 MPEG-2)、TSX4モード(4倍)、TSX8モード(8倍)、超長時間TSX(24倍)モードも採用している。TSXモードはH.264記録で、TSX8モードを使えば320GBの内蔵HDDに約256時間録画できる。ダブル録画対応で、ワンタッチタイマーなどの録画操作が改良されている。

EPG(電子番組表)は高解像度で一覧性が高く、好みのジャンルを色分け表示も可能。画面下に操作説明やオンラインヘルプをわかりやすく集約している。同時間帯に2番組の予約が可能で、予約したした番組には赤丸のチェックマークがついて、新聞のテレビ欄に赤鉛筆でマーキングするような感覚で録画予約が可能だ。

録画したタイトルの一覧には同社の伝統機能「ワケ録」画面を採用。これは録画タイトルをジャンルや未試聴などのフォルダに分けて管理できる再生リストである。アクトビラからダウンロードしたコンテンツやSDカードの写真などもシームレスに選べる。番組名フォルダをワンタッチで作れるほか、同じ番組を二度録ると番組名のフォルダが自動生成され分類されるなど、実用的な再生リストといえる。

XP05シリーズはオーディオ機能も進化している。従来は下向きだったスピーカー開口部を前面に向け、開口率をアップすることで、こもりのないクリアで定位感のあるサウンドを実現している。また、立体球面空間の測定を元に音声補正を行うReal Sound Lab社の音響補正技術「CONEQ」も新採用している。これらの音響補正は、映画の台詞の明瞭さなどに効果が感じられる。音場の補正は「通常」モードのほか、高齢者に聞きやすい「聴覚補正」モード、テレビを壁かけした際に壁への反射を考慮した「壁掛」モードも選べる。

XP05シリーズのGUIやリモコンは、NPO法人CUD(Color Universal Design)による認証を受けた見やすい表示を採用し、表示色やサイズ、文字をより分かりやすくしている。また、リモコンは操作面にカーブがついているため押しやすい。

XP05シリーズのネット機能はトップレベルといって良いだろう。テレビで最初に「アクトビラビデオ・ダウンロード」に対応し、内蔵HDDへのダウンロード保存ができる。内蔵HDDに保存したセルコンテンツをiVDR-Sにコピーすることも可能だ。また「テレビ版Yahoo!JAPAN」の「動画チャンネル」視聴にも対応している。

DLNA機能は受け側のクライアントだけでなく、テレビで唯一、発信側のサーバーにもなれるのが大きな特徴だ。このためコンテンツの受信だけでなく、本機で録画した番組を他のDLNA対応WoooシリーズやPCに配信することもできる。

エントリーモデルWooo H05シリーズは、19V型などの小型パーソナルモデルも選べ、録画機能レスであるがDLNAに対応しているので、ホームネットでクライアント用テレビとして活用できる。リビングに置いたXP05シリーズをサーバーにして、寝室にある小型のH05シリーズに録画番組を配信して視聴する、といった使いこなしも便利そうだ。

レコーダーに迫る録画機能がWoooシリーズの特徴で、今回のダブル録画対応によって、さらに完成度がアップした。高度なネット機能もXP05シリーズの魅力で”いろいろできる”本格派の録画テレビが欲しい、というニーズに応えてくれるモデルといえるだろう。

(Reported by 増田和夫)