ぼくらの自由研究室

野球歴約30年のオッサンが、ミズノが開発したハイテクボール「MAQ」を投げてみた

子どものころの夢はなんでしたか?

最近の小学生や中学生の間では、将来なりたい職業で「ユーチューバー」が人気のようですが、私の夢は「プロ野球選手」でした。小学校の卒業文集に東京ドームでサヨナラホームランを打つことを誓っています。まあ、当然ですが夢は叶うこともなく、しがないサラリーマンをやっているわけですが……。それでも、中学・高校と野球部を続け、卒業後すぐに草野球チームをつくって20年以上経ちます。ここ3~4年はまともに参加できていませんが、下手の横好きであっても、ずっと野球を続けています。

そんな草野球好きなオッサンであるわけですが、先日開催されたウェアラブルEXPOで、気になっていたアイテムを体験してきました。野球好きならご存じかもしれませんが、ミズノと愛知製鋼が共同開発した野球ボール回転解析システム「MAQ(マキュー)」です。

野球ボール回転解析システム「MAQ(マキュー)」

これまでは“感覚”だったものを数値化する「MAQ」

この「MAQ」は、硬式球と同じ仕様(質量・バランス・材質)でボールに専用センサーを内蔵。投げたボールのデータを取得し、専用アプリと連動させることで、そのボールの回転数や回転軸、速度などが分析できるスグレモノ。しかも、ツーシーム、フォーシーム、カーブ、フォークなど複数の球種にも対応。

「MAQ(マキュー)」のしくみ

メジャーリーグで活躍する上原投手が、130km後半~140km前半のストレートで強力な打者をバンバン抑えられるのは、「ストレートの切れ」と言われていますね。野球に詳しくないとピンとこないと思います。簡単にいえば、ボールの回転数が多いこと。

プロ野球選手の回転数と球速

これまではスピードガンでスピードは計測できましたが、そのボールの回転数などは計測できず感覚的なものでした。ですが、いまはメジャーリーグでは、ピッチャーが投げたボールの回転数や角度、リリースポイントのズレなども正確に測定できる「トラックマン」という測定器を全30球団が本拠地のスタジアムに設置しています。計測したデータを分析し、ピッチャーの好不調を見極めたり、投球フォームの調整をしたりするわけです。

そして、この「MAQ」もトラックマンと同じように、「伸びのあるストレート」や「切れのある変化球」といった球種や球質の科学的な解析に期待が寄せられています。根性論中心の練習経験者からすると、科学的な分析のもとで練習するというのは、ムダに疲れずに効率的に練習できてうらやましい限りです。また、指導者はその大量のデータをきちんと分析・理解しないといけなくなるので、旧型タイプの指導者は苦労しそうですね。

「MAQ」を投げてみた! その結果は?

人だかりができていた「MAQ」体験ブースで、3球ですが実際に投げてみました。ボールを手にした感触は硬式球そのもの。久しぶりの感覚です。

いざ、投球体験へ!
久しぶりの硬式球の感触

「回転数いいですねえ。経験者ですか?」と言われたり、まわりから「おぉ~」と声が上がるかな、なんて考えながら一球目を投げてみます。

…………あれ? 72km/h? きちんと計測できなかった? 「MAQ」壊れてない? とか思いつつ、2球目はリリースポイントを気にしながら投げてみます。

「ナイスボール!」

ブースの担当者が声をかけてくれます。「よしよし、今度はきちんと計測できているだろう」と思い、計測結果をチェックしてみると、球速73.64km/h、回転数17.26rpsという文字が……。「ナイスボール!」というのもストライクゾーンの的にキレイに当たったという理由のようです。まさか、本当に70km台しか出ていないのか!? ピッチャーじゃなかったけど、高校時代は120km弱は出ていたのに……。若干パニック気味でラストの3球目へ!

これがベストボールという悲惨な結果に…

…………71km/h? あれ? 遅くなってる? どうやら「MAQ」は最初からきちんと計測していたようです。硬球投げるの高校以来だし、準備運動もせずにいきなり投げたし、ここ数年はしっかり野球していないし、ギャラリーがいてちょっと緊張したし、忙しくて睡眠不足だし、給料上がらないし、とかイロイロ言い訳を探しても、これが現実。猛烈な劣化。なんと、小学4年生レベルという結果……! 今年一番のショック!! 本気でへこみました。

まさかの小学4年生レベル……

今年はしっかりトレーニングしてリベンジしたいと思います。ともあれ、この「MAQ」はガチンコ野球選手だけでなく、草野球レベルでもチームに1個あると、楽しんだり、ショックを受けたり、間違いなく盛り上がると思います。ちなみにボールの想定価格は2万円、充電器が1万5,000円で、この春に発売予定となっています。草野球好きの人はぜひ試して(ショックを受けて)みてください!

右が通常の硬球、左が専用充電器と「MAQ」

清水英行