黒つぶれ、白とびの不安なし! 見たままの景色を写し出すHDR

カメラを新調したいけど、どれを選んだらいいか分からない……。
持っているカメラの機能がいまいち分からない……。
そんな女子カメの皆さん。
実は、いろ〜んなカメラに、いろ〜んな便利で素敵な機能があるんです!
ご存知でしたか?

見えているのに写真に写らない……!?

 人間の目はとてもよくできていて、明るいところも暗いところも同時にきちんと見えていますよね? でも、写真に撮ると、撮りたかったはずのものの明るいところが真っ白だったり、暗いところが真っ暗だったり……そんな経験ありませんか?

 今回は、そんなときにぜひ使って欲しい機能「HDR」についてご紹介します。

HDRモードを搭載している、パナソニックのハイエンドデジタルコンパクトカメラLUMIX LX7

HDRモードを使うと、写真が見た目に近づきます

 実は、人間の目に実際に見える“明るいところから暗いところまでの幅”と、カメラが感じることのできる幅はかなり違っています。

 本当はそこに見えているものがあっても、撮った写真で真っ白に写ってしまっている部分を“白とび”しているといい、逆に真っ黒に写ってしまっている部分を“黒つぶれ”と呼びます。この“白とび”してしまう直前から、“黒とび”してしまう直前までの、カメラが同時に写すことのできる明暗の差を「ダイナミックレンジ」といいます。

 「HDR」はハイ・ダイナミック・レンジの頭文字を取ったもので、ダイナミックレンジを広くとり、白とびのない明部と黒つぶれのない暗部を同時に再現できるようになる機能です。本来は、ちょうどいい明るさの標準露出で撮影した写真、そして明るい部分がしっかり写っている写真、さらに暗い部分が写っている写真を合成して作り上げるのがHDR合成という写真技法なのですが、最近では、これをシャッターを押すだけでカメラがやってくれるという機能があるんです。


HDRを選択し、あとはシャッターを押すだけ!

 難しいことはひとまず置いて、実際にHDR機能を使って撮影してみました。なお、今回使用するLX7では、クリエイティブコントロールモードの一つとして用意されており、[P](プログラムAE)や[A](絞り優先AE)などのほかのモードと一緒に利用することはできません。

LX7ではモードダイヤルをパレットの絵の部分(クリエイティブコントロールモード)に合わせる
クリエイティブコントロールのなかに、ハイダイナミックという項目があり、それを選択する

 HDRは、明るいところ、暗いところが同時に存在する明暗差(コントラスト)の高いところでの撮影に威力を発揮します。


【HDR不使用】
明るいところと陰の部分を両方フレーミングし、プログラムオートで撮影
【HDR使用】
同じ場所、同じ時間をHDRで撮影。全体的に明るさが増している

 上の2枚の写真を比較してみましょう。

 HDRを使わずにプログラムオートで撮影した写真では、明るい空に露出を合わせて撮影すると、陰の部分のディテールが見えにくく、黒っぽくなっています。でも、HDR機能を使って撮影すると、全体に明るさが増し、空の色もより青く、陰の部分の砂利も再現されます。

 HDRは、このように、明るいところ、暗いところの両方をバランスよい明るさで写しだしてくれる機能です。


【HDR不使用】
早咲きの桜を逆光で、プログラムAEに設定して撮影
【HDR使用】
桜の部分がふんわりと明るくなった

 プログラムオートでの撮影でも、空は青く、桜もピンク色に再現されていますが、よく見ると、桜の花びら同士が陰を作ってしまい、黒くなっています。HDRで撮影すると、桜の花びらのピンク色が明るく再現され、桜の部分全体がふんわりと明るくなっているのが分かります。
す。


【HDR不使用】
陽が落ち始めたころ、提灯の点光源を入れてプログラムオートで撮影
【HDR不使用】
全体的に明るさが増し、ディテールも再現されている

 点光源の多い場所で夕暮れどきに、奥の建物をメインの被写体として撮影した写真では、プログラムオートだと空が真っ白になってしまいます。HDRモードで撮影すると、全体的に明るさが増し、提灯の赤い光も残しながら建物などのディテールも再現。プログラムオートでは白かった空の青さも深くなり、実際に見ていた状態に近くなっています。


明暗差のある難しい状況にはHDRを!

 屋内、屋外を問わず、明るいところ、暗いところが混在する難しい光の状況のときには、ぜひ「HDR」を使ってみて下さい。これまで真っ白になってしまったり、真っ黒になってしまったりしていた部分に、しっかりとディテールが写し出され、本来写したかったものをしっかりと写真のなかに収めることができますよ!



(2013/3/15)
笠井里香

1973年生まれ。自由奔放な3歳男児に育てられつつ、カメラ系の本を中心にフリーランスとして活動中。高校時代から20年超、カメラをただひたすらに愛しており、フィルムカメラをメインに、日々さまざまなカメラをとっかえひっかえしながら、カメラライフを満喫中。愛機は10年来の相棒、CONTAX T3。