2019年2月25日、スペースリンクは、リアルテックファンド、Drone Fund、加賀電子、 および元デンソー専務取締役(電気電子情報分野担当)の加藤 光治氏を引受先とする第三者割当増資を実施したことを発表した。今回の増資による調達額は1.3億円、累計資金調達額は9.5億円となった。
 同社は今回の調達資金をもとに、急速充電と大容量を両立した革新的エネルギーデバイス「グリーンキャパシタ(TM)」の量産開発を加速していく、としている。

従来のエネルギーデバイスを凌駕するグリーンキャパシタの性能

 キャパシタは、急速な充電を得意とし、自動車や再生可能エネルギー分野などで補助電源等として活用されているエネルギーデバイスである。
 同社は、独自のナノカーボン制御技術によってカーボンナノチューブとグラフェンをキャパシタに活用した「グリーンキャパシタ」を開発した。従来のキャパシタの特徴である急速充電能力を維持したまま、キャパシタの弱点であったエネルギー密度(単位重量あたりの蓄電容量)を5~10倍となる100Wh/kgへと飛躍的に向上させることに成功した。グリーンキャパシタはその特性上、今後のさらなる高容量化も可能である。また、不燃性の電解液を活用することで極めて高い安全性を持たせており、リチウムイオン電池の最大の課題の一つである発火リスクがなく、形状の自由度も高いという利点もある。さらに、強靭な構造を持つカーボンナノチューブを活用することで繰り返しの使用による劣化がほとんど無く、長期間の利用が可能となりランニングコストの低減にも繋がる。

技術的ブレイクスルーにより、飛躍的に拡大するキャパシタの活用用途

 グリーンキャパシタの製品化により、これまでキャパシタが使用されてきた補助系の電源だけでなくメイン電源として活用することが可能となり、様々な分野におけるバッテリーの課題を解決することでイノベーション創出に貢献する。
 例えば、グリーンキャパシタを活用することで、スマートフォンやタブレット端末の1分以内の超短時間充電、ロボットやドローン、EVなどの充電時間を大幅に短縮することで稼働率が飛躍的に向上、ウェアラブルデバイスのワイヤレス短時間充電による利便性や発火リスクが無いことによる安全性の向上などが実現可能となる。

今後の展望

 量産開発を加速し、2021年に量産販売開始、並行してさらなる高度化開発を進めるという。現在、同社では基礎研究から技術実証までが完了し、現行バージョンのグリーンキャパシタについては、2021年中の量産販売開始を目指して、量産開発を加速している。大規模量産によりコストはリチウムイオン電池相当もしくはそれ以下を見込んでいる。既に、ロボットや自動車分野など様々なユーザーに対してユースケースに応じた実証用カスタマイズサンプルを提供し、高い評価を受けている。
 また、現行バージョンのグリーンキャパシタの早期量産販売開始への取り組みと並行して、エネルギー密度をさらに高める高度化開発を行い、最終的にはリチウムイオン電池や全固体電池に代わる夢のエネルギーデバイスの実現を目指していく、としている。