2018年10月4日、エアロセンスは、産業用ドローンのためのクラウドサービス「エアロボクラウド」およびGNSS測位機能付き対空標識「エアロボマーカー」を基準点測量に対応したことを発表した。エアロボマーカーで観測したGNSSログデータをエアロボクラウドへアップロードするだけで、基準点測量に必要な一連の三次元網平均計算が自動で実行される(自動化手法について特許出願済み)。この結果、多くの工数を要していた基準点測量の工程の大幅な効率化が期待される。

 エアロボクラウドとは、ドローンでの測量や点検といった業務をサポートするためのクラウドサービスで、大量の撮影データやフライトの管理、点群や3Dメッシュを作成する写真測量処理など一連のワークフローをブラウザだけで簡単に実現できる。
エアロボクラウド: (https://aerobocloud.com/

 エアロボマーカーとは、同社が開発したドローン測量専用の対空標識である。i-Construction基準に沿った測量精度を出すためには、マーカーの位置情報を測量機器で計測し、空撮画像より生成した3Dモデルとの対応処理を行う必要がある。エアロセンスは、GPS測位機能を搭載したエアロボマーカーを開発し、そのマーカー位置情報と3Dモデルとの対応処理を自動化させた。これにより、i-Construction基準に沿ったドローン測量をより簡便にできるようにした。NETIS(新技術情報提供システム)登録技術である。

NETIS(新技術情報提供システム)登録技術

基準点測量に対応

 起工測量や出来形測量において、現場内に基準点を設置し、基準点測量を実施することが公共測量作業規定の準則で定められている。しかし、現場内で測量機器を持ち運ぶことはもちろん、測量後も観測値の入力や多角網の作成など、基準点測量に関連する一連の業務は、測量実施者の負担となっている。

 エアロボマーカーは、これまで UAV測量用対空標識として、現場に設置するだけで標定点を自動計測し、高精度3次元モデルを誰でも簡単に作成できることを目指してきた。そして今回、基準点測量(※)に対応したことで標定点の基準となる基準点の測量も可能となる。同対応により、エアロボマーカーで計測した観測ログをエアロボクラウドへアップロードするだけで、基準点測量に必要な下記の処理がエアロボクラウドにて自動で実行される。

・観測ログのマルチセッション分割
・多角網の生成
・基線解析
・点検計算
・3次元網平均計算(仮定網・厳密網)
・帳票出力(準則にそった手簿、記簿、成果簿、網図、精度管理表)

 また、エアロボマーカー本体については、観測時間が自由に調整可能で、整準台への取り付けできる固定冶具をオプショナルで提供する。エアロボマーカー+エアロボクラウドを使うことで誰でも簡単に基準点測量やUAV測量が可能になり、ワークフローの大部分が自動化されるため、工期全体の生産性が上がることが期待できる。

※2018年10月現在、3級、4級基準点に対応。1級、2級基準点については国土地理院へ測量機器登録後に対応予定。(現在申請準備中)

図1:観測データについて多角網を自動生
図2:調整された新点座標値一覧
図3:各種帳票