ドローンジャーナル

ハッセルブラッドを冠したMavic 2 Proと初のズームドローンMavic 2 Zoomが登場

-DJIコンシューマー向けドローンとしては“フラッグシップ”という位置づけにふさわしい機能と性能-

 8月23日、DJIからMavic Proの新作が発表され、「Mavic 2 Pro」と「Mavic 2 Zoom」の2モデルがデビューした。Mavic Proは2016年秋に登場して以来まもなく2年がたとうとする中、次期モデルの噂がささやかれるなど全世界のユーザーが待ちわびたモデルだ。7月半ばにも発表されるのではないかという噂から1カ月余りでの発表となったのは、「発表と同時に発売を行うための準備に時間を要したから」(DJI関係者)だという。

Mavic 2を手にプレゼンテーションを行うDJI Japanの中村佳晴氏。
2000万画素1インチセンサーカメラを搭載する「Mavic 2 Pro」。
DJI初の24-48mm光学ズームカメラを搭載する「Mavic 2 Zoom」。

 2年ぶりとなるMavic Proの新作。4つのローターを折りたためるという基本的なスタイルやデザインをほとんど変えないモデルチェンジとなった。サイズはごくわずかに大きくなり、重量が約740gから約900gへと増加するなど、若干ファットになった印象だ。ただ、ウォームグレーのカラーリングや、ローターアームの折りたたみパターン、バッテリーをはじめとした各部のレイアウトなどは変わらない正常進化だといえる。

 大きな目玉は今作から“Pro”と“Zoom”の2モデルが用意されたということ。Proはカメラユニットが有効画素数20Mピクセルの1インチCMOSとなり、F2.8~11の可変絞りが新たに採用されたのがハイライトだ。1インチというセンサーサイズは、先代Mavic Proの1235万画素1/2.3インチCMOSセンサーに比べて約4倍の面積があり、受光素子当たりの面積が約1.4倍に拡大したことで、14EVとダイナミックレンジが拡大。さらに、スゥエーデン生まれの高級カメラブランド「Hasselblad(ハッセルブラッド)」の冠が与えられ、同社独自の「HNCS(Hasselblad Natural Color solution)」という技術を搭載し、細部まで忠実な色再現性を実現しているという。

Hasselbladの冠が与えられた 「L1D-20c」カメラ。2000万画素、1インチCMOSセンサー、絞りF2.8-11と数字的にはPhantom4 Proのカメラと同じだが、焦点距離28mmとやや画角が狭い。

 もうひとつの目玉がズームレンズを備えたMavic Pro Zoomだ。こちらに搭載されるのは、有効画素数1200万画素の1/2.3インチCMOSセンサーに、35mm判換算24mmから48mmの焦点距離をもつ2倍ズームレンズを組み合わせたDJI初の機体搭載ズームカメラだ。Mavic Pro Zoomではこの光学2倍ズームレンズに加えて、デジタル2倍ズームを組み合わせることで、24mmから96mmのシームレスな4倍ズームを実現している。また、このズーム機能を生かして、中心被写体のサイズはそのままに、周囲の背景のパースを大きく変化させる撮影技法「ドリーズーム」を「クイックショット」機能に追加。ズームレンズを生かした“パララックス”効果と合わせてドローンによる新しい映像表現が楽しめる。

24-48mmF2.8-3.8という光学2倍ズームレンズと1200万画素1/2.3CMOSセンサーを組み合わせるMavic 2 Zoomのカメラユニット。一見すると先代に似た印象だが、カメラの支持が片側支持ちから左右両側支持となっている。
【パララックス効果】
ズームレンズの望遠側を利用することで、被写体と背景の距離が縮まる圧縮効果が生まれる。ズームを望遠側にして機体を左右に動かせば、被写体の後ろで背景が大きく動くパララックス効果が得られる。
【ドリーズーム】
ドリー(カメラを載せた台車)の代わりにMavic 2を前後させながら、中心被写体の大きさを変えずにズームイン・アウトを行うドリーズーム。ズーム操作とドリー操作の連携が難しい技術だが、Mavic 2では画像認識と機体制御でそれを実現。背景が大きく変化する面白い映像表現が可能になる。

 カメラ機能として注目したいのは「ハイパーラプス」機能だ。長時間、数秒から数十秒という間隔をあけて撮影を行い、あとでそれを動画に仕立てることで、ダイナミックな時間の流れを表現するライムラプス撮影が可能となった。自分で操縦して撮影する「フリー」、自動的に被写体を中心に円を描きながら撮影する「サークル」、指定した方向を目指して自動的に直進しながら撮影する「コースロック」、さらに実際に飛行した経路を記録して、それを再現して撮影する「ウェイポイント」の4モードが選べる。

 また、面白いのは「48MP超解像度写真」機能だ。Mavic 2 Zoomのセンサーは有効画素数1200万画素だが、ズームの望遠端で9枚の写真を撮影し、それを自動的に合成して4800万画素相当の高解像度写真として記録することが可能。実際に撮影した写真を見ても9枚をつなげたとは思えない仕上がりで、1200万画素1ショットの写真に比べて、遠くの景色をはるかに細かく描写することができる。さらに、Mavic 2では新たに8GBの内部ストレージを搭載。万が一マイクロSDカードを忘れても、機体のみで撮影した映像の記録が可能だ。

1200万画素そのままで撮影した4000×3000ピクセルの写真。細部を拡大してみるとピクセルによるジャギーがよくわかる。
48MP超解像度写真機能で撮影した8000×6000ピクセルの写真。通常の撮影に比べて4倍の解像度が得られる。

 こうしたカメラの進化と同時に、機体の機能や性能も引き上げられている。Mavic Pro Platinumから採用された、ESCの正弦波ドライバーとウイングレット付きプロペラにより、より静かな飛行を実現。また、従来は前方と下方のみだったビジュアルセンサーによる周囲の障害物検知機能には、後方のデュアルビジュアルセンサー、左右のシングルビジュアルセンサー、さらに上方に赤外線センサーが追加された。これらのセンサーからの情報を駆使して、APAS(高度操縦支援システム)が、適切な飛行経路を導き出しながら障害物を避けた飛行を可能としている。

ローターはFOC正弦波ドライバーを採用したESCと8743低ノイズプロペラの組み合わせで低ノイズを実現。プロペラはMavic Pro Platinumの8331プロペラとシルエットが異なる。
【Opening Flight】
正弦波ドライバーとノイズ低減プロペラにより、飛行時のノイズは耳に付く音が少ない穏やかなものとなった。
Mavic 2では障害物検知機能が全方向に対応。機体後面の上下に2つのビジョンセンサー、さらに後方左右に一つずつのビジョンセンサーと、上面に赤外線センサーを装備。機体下面にはビジョン+赤外線センサーに加えて、低照度でも下方センサーを有効にするLED補助ライトが追加されている。
【APAS】
全方向の障害物検知が可能になり、より安全な飛行を実現するAPAS。3Dマップを生成しながら最適なフルートを飛行する。これは後進などでも有効だ。

 同時にこのAPASを担保にしたインテリジェントフライト機能もさらに進化を遂げている。例えば画面上で指定した被写体を自動的に追尾するアクティブトラックは“2.0”に。従来のメインカメラに加えて2個の前方ビジョンセンサーを駆使することで、リアルタイムに3Dマップを生成することが可能となった。これにより、最大速度72km/hという高速追尾や、被写体が一時的に障害物に隠れてしまっても、その先の動きを予測して追従する軌道予測、3Dマップをもとに障害物を回避しながら飛行することが可能となった。

【ActivTrack1】
障害物検知機能を駆使して、自動的に障害物を避けながら被写体を追尾するアクティブトラック2.0。
【ActivTrack2】
軌道予想機能によって被写体が遮蔽物に隠れても、その動きを予測して自機の位置と方向を決めて追従を続けることが可能になった。

 また、バッテリーは、3830mAhから3850mAhとわずかに容量が増えただけだが、空気抵抗を19%減らした機体デザインやESC制御によって、最高速度こそ72km/hと前作と変わらないものの、最大飛行時間は31分に伸びている。さらに機体と送信機間の伝送はDJI Gogglesに対応したOcuSyncに対応しているが、Mavic 2では「OcuSync2.0」に進化。従来、日本仕様の最大伝送距離は4kmであったが、今作では5kmとDJI史上最長距離に伸長するのと合わせて、伝送遅延も160~170msが120~130msへと改善している。

送信機のデザインはおおむね前作と変わらないが、Mavic Airの送信機で好評だった、取り外し式のスティックを新たに採用。外したスティックはグリップを開けた部分に収納できるようになっている。また、S(スポーツ)、P(ポジション)、T(トリポッド)のモード切り替えスイッチが増設されている。

 DJIの発表によるMavic 2の特徴は下記のとおり。

・Hasselblad 「L1D-20c」カメラ(Mavic 2 Pro)
・28mmF2.8-11可変絞り
・2000万画素1インチCMOSセンサー
・HNCS(Hasselblad Natural Color System)技術搭載
・10bit Dlog-M
・4K 10bit HDR
・光学2倍ズームレンズ搭載カメラ(Mavic 2 Zoom)
 ・24-48mmF3.5-4.8
 ・1200万画素1/2.3インチCMOSセンサー
 ・位相差検出+コントラスト検出ハイブリッドオートフォーカス
 ・ドリーズーム機能
 ・4800万画素超解像度写真機能

・OcuSync2.0採用(日本において最大伝送距離5km)/1080p動画伝送
・最大飛行時間31分
・全方向障害物検知
・ハイパーラプス(フリー/サークル/コースロック/ウェイポイント)
・拡張HDR写真撮影
・ハイパーライト(低照度高画質化機能)
・H.265コーデック搭載
・OcuSync2.0採用
・空気抵抗約19%削減
・最大飛行時間31分
・FOC正弦波ドライブESC+低ノイズプロペラ
・アクティブトラック2.0搭載

 Mavic 2はすでに販売が始まっていて、「Mavic 2 Pro」が18万9000円、「Mavic 2 Zoom」が16万2000円。気になるProとZoomのどちらに人気があるかという点については、「感覚としては半々」(DJI関係者)だという。また、前作では機体と予備バッテリーなどがセットになった「Fly More Combo」というセットが用意されていたが、Mavic 2ではアクセサリーのみをパッケージにした「Fly Moreキット」を3万9000円で販売。これはバッテリー2個と充電ハブ、カーチャージャー、プロペラ1基分、専用多目的ショルダーバッグがセットになっている。

左からFly Moreキット、Mavic 2 Zoom、Mavic 2 Proのパッケージ。

 また、Mavic 2の発売に合わせてDJIでは新たに「DJI CARE REFRESH」という保障プランをスタート。このアフターサービスプランに加入すると、12か月以内に墜落や水没で故障した場合、2回まで定額で新品もしくは新品同様の機体と交換してくれるというものだ。Mavic 2の場合、費用は1万7000円で、1回目の交換費用は1万5000円、2回目は1万8000円となっている。このサービスは順次他のモデルにも適用される。

Mavic 2の発売に合わせて新たにスタートした保証プラン「DJI CARE REFRESH」。