ドローンジャーナル

測量業界の省力化に欠かせない存在のドローン

-ドローンの出展が目立った「建設・測量生産性向上展2018(CSPI-EXPO)」-

 8月28日から30日の3日間、千葉県千葉市の幕張メッセで「建設・測量生産性向上展2018(CSPI-EXPO)」が開催された。このCSPI-EXPOは文字通り、建設業界・測量業界における工期短縮や人材不足解消といった、業界が抱える課題解決と生産性向上を支援するハードやソリューションなどが一堂に会した展示会だ。業種としては建設業、測量業という建築土木の分野ではあるが、出展ブースをのぞくとドローンやドローンを活用したソリューションの展示が多く、この業種にドローンが普及していることがわかる展示会となっていた。

Amuse Oneself

 測深が可能な世界初のグリーンレーザーLIDARを披露

 小型・軽量なドローン搭載用LIDAR「TDOT」をリリースしているアミューズワンセルフは、世界初となるグリーンレーザーを使い、陸上だけでなく水面下を同時に測量できる新型LIDARを公開した。このLIDARは、国土交通省が実施する「革新的河川管理プロジェクト」の「陸上・水中レーザードローン」チームとしてアミューズワンセルフが手がけたLIDAR搭載ドローンのひとつ。すでに50台近い稼働実績がある「TDOT PLUS」をベースに、水を透過するグリーンレーザーを採用。河川や港湾をドローンで測深できるだけでなく、グリーンレーサーの水を透過する特性を生かし、雨天での使用も可能としている。2019年のリリースを予定している。

世界初のドローン搭載専用グリーンレーザーLIDARを搭載したマトリス600。従来のTDOT PLUSと外観上の違いはない。

 さらに、同プロジェクトの「全天候型ドローン」として生まれた「GALE」も展示。カーボンモノコックのフレームを持つ二重反転式のオクトコプターで、“GALE=疾風”という名の通り、耐風速20m/sとIP64の防水防塵性能を備えている全天候型ドローンだ。8つのローターを二重反転としたことで小型化を実現。さらにローターアームは折りたたむことが可能で、収納時は600mm四方に収めることが可能だ。また、パワーソースにはDJIのTB47S6個を使用するバッテリー仕様と、ガソリンエンジンによる給電式が選べる。

全天候型ドローンGALE。4方向8本のアームに8つのローターを備えた二重反転式オクトコプターで、長時間の飛行が可能なエンジン仕様も選べる。

CSS技術開発

 ドローン搭載可能なオブリークカメラを開発

 さまざまな測量機器を開発しているCSS技術開発は、ドローンに搭載可能な小型軽量なオブリークカメラ(傾斜カメラ)「HC5020」を披露した。オブリークカメラとは垂直方向だけでなく、斜め方向の写真を同時に撮影することができるカメラで、位置精度や点群の精度を高めるだけでなく、3Dモデルの壁面情報の収集が可能。垂直方向に加えて前後左右の斜俯瞰を撮影する4つのカメラを搭載しながら、極めて小型・軽量に仕立てることでドローンへの搭載を可能としている。同社では2019年1月からこのHC5020を使った測量サービスを始めるという。

垂直+前後左右の斜め方向にカメラを搭載したドローン搭載用オブリークカメラ「HC5020」。同社ではDJIのマトリス600に搭載して測量を行う。

senseFly

 ライカ・ジオシステム傘下のジオサーフがsenseFlyの2機を出展

 今年3月にライカ・ジオシステムの100%出資によって設立されたジオサーフCSは、スイスのsenseFlyの日本総代理店となっており、今回は固定翼ドローン「eBee」と、回転翼ドローン「albris(アルブリス)」を展示していた。「eBee」はウイングスパン110cmの固定翼機で、発泡スチロール製の機体は重量わずか1.1kgしかない。後端のブラシレスモーターで、最大59分の飛行が可能となっており、約1.5km四方の写真測量を約30分で可能としている。2016年から販売を開始しており、すでに約20台の販売実績があるという。価格は仕様によって異なり約300万~500万円となっている。

固定翼ドローン「eBee」。機体背面にはGNSSおよびRTK用アンテナを搭載。下面には20MピクセルのRGBカメラ「senseFly S.O.D.A」と格納しており、必要に応じてParrot Sequoia、thermoMAPに換装できる。

 回転翼の「albris」は重量約1.8kgのクワッドコプターで、機首にチルトアップ/ダウンが可能なセンサージンバル「TripleView」ヘッドを装備しているのが大きな特徴だ。このユニットにはRGBと赤外線カメラを搭載しており、一度に高解像度写真とHDビデオ、サーマル、そして広角のビデオという3つの画像を同時に撮影できる。特にサーマル画像には可視光カメラの画像を重ねたエッジオーバーレイが可能だ。機体には上方を除く5方向にビジュアルセンサーと超音波センサーを備えており、障害物を回避したり、正面にある対象物と一定の距離を取って飛行するとった作業にも利用できる。

albrisのカメラヘッドには、上からフラッシュ(上)、38Mピクセルのメカニカルシャッター付きRGBカメラ(上左)、80×60ピクセルのサーマルカメラ(上右)、ビデオ撮影に使用するヘッドランプ(中央)、640×480ピクセルの視覚センサー「Navicam」と超音波受信機(下左)、超音波送信機(下右)を備えている。

MYZOX

 測機販売大手のマイゾックスが手がける大型ドローン

 測量機器販売大手のマイゾックスはオリジナルドローン製造のサイトテックと事業提携し、測量や物資運搬などに供する大型ドローン「YOROI」の販売元となっている。同社では多くの測量業者や土木建築業者の事務所にカタログを置くなど、強力な販売網を持っているが、来年度のカタログでは新たに取り扱うことになったこのYOROIをはじめ、順次ドローンをそのラインナップに加えていくという。今回展示していたYOROIはサイトテック仕様のものではあったが、今後、マイゾックスオリジナルデザインとし、大きなペイロードを生かして、空中写真測量機器や赤外線カメラ、コンテナ、タンクといったオプションを付けた形で販売していく予定だ。

マイゾックスの大型防水防塵ドローン「YOROI」(写真と実際の製品は異なる)。ロータースパンは1500mm、ペイロードは9kgで、最大飛行時間は約18分となる予定だ。

3DR SiteScan

 進化を続けるクラウドソリューション「SITE SCAN」

 3D Roboticsの製品を扱う芝本産業はクラウドソリューション「SITE SCAN」を全面に打ち出したブースを出展。Site Scan soloをはじめDJIのMavic Pro、Phantom4、Inspire2、Matrice200/210といったドローンを制御する「フィールド」、これらドローンで撮影した写真から点群処理やオルソ作成を行うクラウドベースのWebブラウザソフト「マネージャー」の機能をプレゼンテーションしていた。また、芝本産業では顧客ごとに専任スタッフが導入からデータの活用方法まで支援する「サクセスサポート」(年間30万円)を展開していることを強く訴求していた。

ロゴをはじめブランドのビジュアルイメージを刷新した3D Roboticsの「SITE SCAN」。芝本産業では導入指導を行う「サクセスサポート」を展開している。

ジツタ

 プログラムによる自律航行可能なマルチビーム測深機搭載ドローン

 非GPS環境下で自機位置推定が可能な制御システムをてがけるジツタと農林業関連のシステム開発を行っているビィーシステムのブースでは、ビィーシステム、OKIシーテック、コデンの3社で開発した、可搬ボート型マルチビーム測深機「RC-M1」を展示していた。本機は遠隔操作可能なボートに搭載したマルチビーム測深機としては世界初となるモデルで、自律航行によってオペレーター一人による測量を実現している。GNSSによって自機位置を把握することができ、通信が30秒間連続で途絶えたり、バッテリー残量が20%以下になると、スタート位置に戻ることができる自動回帰機能を備えている。この自動回帰機能は同社が特許を持っているという。

可搬ボート型マルチビーム測深機「RC-M1」。全長1600mm、全幅425mmで、ソナーを含む質量は約29kgとなっている。船底にはソナーの送受波部が設けられている。
ジツタはPhantomのスキッドに取り付けたプリズムを測量用のトータルステーションが自動的に追尾しながらドローンとの距離を測定し、ドローンの位置を推定する非GPS環境下でも飛行可能なドローン誘導システムの飛行展示を行った。

快適空間FC

 三胴船にマルチビーム測深機を装備した小型無人ボートシステム

 福岡でDJIを中心としたドローン販売はレーザー計測、写真測量、測量システム開発などを手掛ける快適空間FCは、小型無人ボートとマルチビームシステムを組み合わせた、自動測深システムを出展。同ボートは全長160cmの三胴船で、船底下にマルチビームシステムを懸架して航行する。40000mAhのバッテリーを搭載し、約2時間の航行が可能で、陸上からの遠隔操作に加えて、プログラムによる自動航行も可能だ。マルチビームシステムと合わせて約30kgとなっており、有人船による作業に比べて大幅な省量化が図れる。

快適空間FCの小型無人ボート搭載型マルチビーム自動測深システム。航行時は船体の左右舷にサイドハルが付く。

NJS

 ビジュアルSLAMで管廊内を自律飛行する

 上下水道のコンサルティング会社NJSは、閉鎖性空間での点検作業に用いるドローン「AirSlider」の2モデルを中心に出展。「AS400」は管径400mm以上の管路を対象にしたドローンで、4つのローターが生み出すダウンウォッシュが管底に当たって浮力を生み出し、機体後方のローターで推進力を得るというスタイルが特徴だ。また、「AS800」は、自律制御システム研究所の小型ドローン「PF-1 mini」をベースにしたもので、管径800mm以上の管路や、配管や送電線を収めた管廊での点検作業に供するドローンだ。自律制御システム研究所が開発した画像処理技術を使用した自己位置・方角推定を行い、安全な飛行を可能としている。

管径400mm以下の管路点検用「AS400」
管廊などの点検に用いる「AS800」