エアロセンスが開発・製造・販売しているAEROBOR Marker(エアロボマーカー:GPS搭載対空標識)を活用したAEROBOR測量2.0(AEROBOR(産業用日本製ドローン)、AEROBORマーカー、AEROBORクラウド(高速データ処理クラウドソフト)のパッケージサービス)とAEROBO点検サービスが、JX金属の事業所での物流管理や建屋点検の業務にて、技術・実地検証を実施した。

AEROBOソリューションの実証実験

 AEROBOソリューションを今回導入したJX金属の山野井氏から話を伺った。

JX金属技術本部情報システム部主席技師山野井隆氏

新技術の導入に向けて 業界トップとしてIT技術を強化

 JXでは会社全体として、積極的にAI・IoTなどの新しい技術の本格導入を目指し、実証実験を進めている。今後のIoT社会に向けた企業競争力強化を目的に設備の自動化やRPA、ワークフローを活用した業務の効率化はもちろん、世の中の変化にあわせ、新技術の検討・開発・実証実験を実施し、積極的に導入を推進していく。

現場の声 ニーズは常に現場にあり

 JX金属は、銅を中心とした上流の「資源開発」から、中流の「金属製錬」および下流の「電材加工」「環境リサイクル」までの一貫した事業を展開しているため、多岐にわたる多種多様な業務がある。その中でもドローン導入を検討している例として、現場の原料の物量把握の精度向上や建屋の点検等が挙げられる。現在、物量管理については現場で積み上げた原料やスラグなどを人が測量しているが、積み上げた山の細かな凸凹までは測量することができない。また、建屋点検については足場を設置し人が点検しているが、コストや時間がかかってしまう。

AEROBOソリューション導入背景 決め手は現場目線

 上記の課題を検討する上で、ツールとしてドローンに目をつけた。親会社からの紹介で一度話をきいてみたところ、IoT技術を利用した完全自動飛行に強い魅力を感じた。また、構造物の計測や飛行機の点検等、ベンチャーながらも実績があり、技術的な開発も着実に進められており、導入するに至った。数社検討したが、打ち合わせを進めるなかで、現場目線で会話が出来ると感じたのが実証実験に踏み切った決め手であると述べた。

物流管理や建屋点検業務での使用事例

実証実験での結果:課題も明確に

 新技術の導入には、3つの段階がある。「Step1:技術検証段階」、「Step2:実地検証段階」、「Step3:運用検証段階」だ。約1年にわたり、JX金属の大分と関東の事業所で実証実験を実施し、Step1と2ができたと考えた。完全運用ができるようになるまでまだまだ検証は必要だが、結果は非常に有益であった。物量管理では空撮により詳細な形状まで捉えられることで物量管理の精度が上がり、建屋点検では足場設置コストや時間の削減につながることが確認できた。今後ドローン導入を検討している方もいると思うが、自動化がなされている部分がほとんどのため便利で安心できる一方、対象物の形状により、飛行方法を変えたり、画像解析の手法を検討する必要があること、天候や磁場等の環境要因を気にしなければいけない点、準備の手間などがあることを理解したという。

エアロセンスへの期待:センシングが肝、ドローンはツール

 ドローン関連技術は日進月歩なため、確実に時代の波にのってほしい。世界的に飛行技術自体は成熟していると思うが、センシングについてはまだまだ多くの可能性がある。エアロセンスは「空(エアロ)から様々なデータをセンシング(センス)したい」という趣旨のネーミングときいた。これからさらに出番が増えるだろう、と述べた。