石川エナジーリサーチが開発した農薬散布ドローン「アグリフライヤー」に、 プロトラブズの切削加工および射出成形サービスが採用されたことが3月19日(月)に発表された。

 石川エナジーリサーチは、 元本田技術研究所の社員を中心に2010年に設立されたものづくりベンチャー企業である。同社で開発した畑での農薬散布を想定して開発されたバッテリー交換式マルチコプタードローン「アグリフライヤー」は、限られた時間と予算の中での短期開発プロジェクトだった。
製造委託先として様々な候補が上がった中、圧倒的に早く低コストだったのがプロトラブズのオンデマンド製造サービスだ。まず切削加工による試作でプロトラブズの製造品質を確認した後、 最終製品用のパーツの製造においてもプロトラブズの射出成形サービスを利用することが決まった。

 プロトラブズの製造サービスのメリットは、早い納期、そして高いコストパフォーマンスだ。 通常3か月かかっていた金型を使った樹脂製造を3週間で実現している。また、 プロトラブズの金型を使ったパーツ製造は1個から対応しているため、 少ないロットでの製造ができ、 初期コストが通常の約50%に抑えられる。

 これらのメリットに加え、石川エナジーリサーチは、 プロトラブズについて「ICT 技術」と「人的サポート」も高く評価している。
これまで、機体を軽量化するにはパーツレベルで薄肉軽量化するなど精度を高める必要があった。しかし、製品の3Dデータをオンライン上にアップロードするだけで抜き勾配に関する製造性解析が数時間以内に提供されるため、 修正作業を円滑に進めることが可能になった。さらに、必要に応じて解析画面を見ながらプロトラブズのエンジニアから設計に関する細かいアドバイスが提供され、最終工程での手戻りのない開発が実現された。

 同社代表取締役社長の石川満氏は、 「ほとんどのプロセスがオンラインでスピーディに進んでいくプロトラブズのサービスは、 まさに現在のデジタルマニュファクチャリングを象徴している。」と述べている。

 石川エナジーリサーチは現在、 エンジンとモーターの両方を使った「ハイブリット式」のドローンの開発も進めている。 今後は、 農業分野だけでなく、建設現場といった分野で活用できる産業用ドローンの研究開発を積極的に継続していく。さらに、 AIを使った自動運転ドローンの開発も進めていく予定だ。