ドローンジャーナル

JUIDA、「ドローンポート登録制度」をスタート

“ドローン物流元年”始動に向けた、インフラ普及と整備の一環として

 3月23日(金)、Japan Drone 2018開催中の幕張メッセで、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は、ブルーイノベーション、長野県伊那市とともに、「ドローンポート登録制度」の概要について発表した。この制度は、物流をはじめとした拠点間を結ぶ長距離の目視外飛行などで、ドローンの離発着、充電を行うドローンポートを設置するポート運営者と、ドローンを飛行させるポート利用者の間に入って、マッチングや設置のための必要なサポートを行うサービスだ。

ドローン利用者とポート運営者の間に入る調整役

ドローンポート登録制度について説明する鈴木真二JUIDA理事長。

 2015年秋に官民協議会で「3年以内にドローンを使った荷物配送を目指す」という政府指針が出ており、2018年は“レベル3”、つまり無人地帯での目視外飛行の利活用として、離島、山間部でのドローンによる物流の実現を目指している。そんなことからJUIDAとしては2018年を“物流ドローン元年”と提唱している。発表会の冒頭で鈴木真二JUIDA理事長は、「レベル3の飛行による物流ドローンの実現には、①技術的要素、②運用方法の検討、③環境整備という三つが必要」だと話す。このうち二つ目の運用方法の検討というのは、昨年12月にJUIDAが会員向けに発表した「無人航空機による物流に関するガイドライン」で、今回のドローンポート登録制度はこの三つ目の環境整備にあたる。

 説明の中で鈴木理事長はドローンによる物流を行うためには“空の道”、つまり空路と“空の駅”ドローンポートが必要だと話す。すでにJUIDAでは昨年、ブルーイノベーションと長野県伊那市と共同で、ドローン物流の実証実験を三回実施。このときにドローンポートを設置したのは伊那市となっていたが、今後、こうしたドローンポートを設置して運営する自治体や企業、土地所有者に対して、整備のノウハウ提供と運営のサポートを行うのがドローンポート登録制度だ。また、ドローンポートを利用する側は、どこでどのようなドローンポートが利用できるかを探したり、実際に運用する際に手続きが必要となる。こうした利用者側のサポートを行うのも同制度である。

 具体的には、ドローンを飛行させたい利用者がポート運営者に対して申し込みを行い、その許可を与えるといった手続き面を、JUIDAのドローンポート登録システム上で行う。また、運営者がドローンポートを設置する際のサポートや、利用者が空路開設をする際の飛行申請などのサポートは、今後この制度に参画するパートナー企業が担う。また、空路の直下にあたる住民への対応や、ドローンポートの設置に関する行政上の手続きなどの支援は、参画する自治体が行うことになっている。

ドローンポート登録制度は、ポート利用者、ポート運営者、パートナー企業と自治体の間で機能する。

 また、ドローンポート登録制度が提供するのは基本機能と応用機能に分かれている。基本機能はドローンポートの登録と、その利用可否の状況を利用者側に提供すること、さらにポート利用の際の料金の決済代行であり、この部分はJUIDAが担うこととなっている。応用機能は、空路を設定する場合の警察や地域との調整、空路を利用するための申請代行、さらにドローンポート本体の設置、そしてコンサルティングとなっていて、こちらはブルーイノベーションが担う形になるという。

基本機能と応用機能に分かれているドローンポート登録制度。
登録制度の事業推進主体がJUIDAとなり、運用とコンサルティングがブルーイノベーション、そしてドローンポートの設置や空路の設定の支援は長野県伊那市が行う。

 今回のドローンポート登録制度の要素のひとつとなるのが、実際にドローンが離発着するドローンポートだ。このシステムはブルーイノベーションが開発を行っていて、伊那市で行われた実証実験でも使用されている。GNSS下のフライトでも位置の誤差は約数m~十数m出るため、自動航行で正確にドローンポートに離発着することができない。そこで、ドローンポートにパターンを描き、それをドローンのカメラで捉えて認識し、正確にポート上に着陸できるようにしているのが特徴だ。また、人の侵入を検知する機能や、風況を監視する装置も設けて安全性を確保している。

ドローンポートの運用面をサポートするブルーイノベーションの熊田貴之代表取締役社長。
Japan Drone 2018のブルーイノベーションのブースで展示されたドローンポートのプロトタイプ。ヘリパッド上の図形を認識して、誤差数十cmの着陸が可能だ。
ヘリパッドの隅にはレーザーによる進入検知センサーが設けられていて、人がヘリパッド上に侵入すると、ドローンに着陸を中断するように指示する。
ヘリパッドの脇には風向風速計が設置され、常に風況を監視している。

 昨年行われた実証実験に参画した長野県伊那市の白鳥孝市長は、「伊那市は11年前の市町村合併で、中山間地が広がり東京23区より広い市域となった。高齢化が進行する中で山奥の集落が多く、買い物や病院に行くのに困る人が増えている。ただ、伊那市はその中心に天竜川が流れていて、その支流がそんな集落につながっている。昔なら水運ということになるが、その川の上にドローンを飛ばして物を運ぶことで“空の水運”として利用できる。これを“伊那アクアスカイウェイ”と呼んでいるが、今後はドローンポート登録制度を使ってさらにこれを充実させていきたい」と話した。

中山間地の多い伊那市にとってドローンは地域課題を解決してくれるという白鳥孝伊那市長。

 今回発表されたドローンポート登録制度は、今年秋ごろ目途にベータ版を提供する予定で、価格はベータ版として無料ということをJUIDAでは想定している。そして平成30年度中に、全国100拠点の登録を目指しているという。