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インターネットや電話を使ったオンライン自動車保険販売が注目されている。インターネットを使うことで、手軽に自分で保険料を見積りを行うことができ、補償や事故後の対応サービスなど商品比較も様々な角度から分析できる利便性のほか、これまでのような店舗展開による代理店販売に比べて保険料が割り引かれる点などがその背景だ。
●インターネット完結型が主流へ
これまでのオンラインによる自動車保険販売は、Webサイトで見積もり・商品比較が行えるものの、実際に契約するためには資料請求を行い、送付資料・契約書に署名、捺印して送り返すといった仕組みがほとんどであった。しかし、現在では書類のやり取りを行わずに契約がWebサイト上で完結する方式が主流になってきている。
こういった契約の手続きは「実際に契約を希望する実在の本人が、契約内容を了承した上で契約する」という点を確認できるかが問題となり、現物の書類による受け渡し、つまり署名・捺印が契約書になされることでそれを確認するという方式が取られてきた。そのため、インターネット上で契約を完結させることはまったくできなかった。
しかし各社とも本人確認や契約者保護の仕組みをいろいろと考え出し、インターネット販売(通信販売)における「特約」というかたちで金融監督庁から認可を受けてこれを実現させている。
この「書類の受け渡しを行わなければならない」という点は、保険契約だけでなく証券や証書を扱うときには必ず必要になるので、例えばオンライン証券で口座を開設する場合などは現在でも実物書類のやり取りを行っている。その意味では、自動車保険においてペーパーレスで契約が完了するのは画期的といえる。
●インターネットのメリットと課題
インターネットを利用した場合、保険料は概ね2,000~3,000円程度割引される。この割引は、基本的に過去の事故が多いなど顧客のリスク要因で決定されるわけではなく(保険料そのものについてはリスクによって変わる)、あくまでも人件費や事務処理のシステム化など企業努力によるもので、まさにITを活用した産業としてのスケーラビリティを顧客に還元するかたちとなっている。
さらに、ペーパーレス契約ができるという点もコストカットに寄与しており、インターネットの即時性という特徴も生かしているといえよう。
保険料の決済・支払いは、クレジットカードや銀行引き落とし、コンビニ決済など他のインターネットを利用した電子商取引と同様の仕組みが使えるケースがほとんどだ。
一方、インターネットを利用した自動車保険の申し込み・契約で難点なのが、利用できないケースがあること。まったくの新規で加入する場合をはじめ、セカンドカー、法人車両、自動車の型式がWebサイト上で確認できない場合などがこれにあたる。特に、新規加入者やセカンドカーを認めていない点をがっかりするユーザーは多く、これが認められればインターネットを通じた自動車保険販売市場が飛躍的に伸びるだろう。
●今後のサービスにも注目
保険料についてはもちろん各社競争はしているものの、熾烈な引き下げ競争はほぼ一巡した感があり、それよりは新商品の開発や付加価値であるインターネット上のコンテンツ・サービスに注力していく傾向が強くなっているようだ。
具体的には、車の運転や保険の知識、難解な保険・金融用語の解説など学習・教育的なコンテンツや、ゲーム、クイズ、顧客毎の専用Webページ提供などがある。電子メールや携帯電話を通じた情報配信を積極化させるところや、無料HPサービスを予定しているところまで登場してきた。
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