FINANCE Watch
コラム 瓦版一気読み~「切り札」のカードは何か?

  情報は時とともに劣化する・・・

  【1面トップ】
  ●釣った魚にエサ(カネ)は・・・
  きのうの各紙1面トップは森首相の退陣の時期を予想する記事で埋めつくされていたが、きょうは読売1紙が続報。それによると、森総理は昨夜、自民党幹部と料亭ではなく都内のホテルで会談し、引き続き政権運営への意欲を示すとともに、来年度予算の年度内成立に全力をあげる考えを強調、協力を求めたという。

  「辞任」問題を一蹴したかのような発言にも受け取れるが、「自民党内は予算案が衆院を通過する予定の来月上旬の首相辞任表明を念頭に水面下で各派の調整が続いた」(読売)。

  ◇その退陣の引き金にもなっているのが、KSD疑惑と外務省機密費横領事件。産経は「村上議員のパーティー券をKSDが、8,000万円で一括購入」していたことを取り上げている。一方、毎日は松尾元室長の口座残高の一覧表を入手「24もの銀行口座を管理していた」疑いがあると報じている。その残高が3億7,587万円余りにのぼるのはびっくりするが、名義をみると「知人女性」関連が9口座に対して、「元妻」はわずか1口座、こんなところにも「釣った魚にはエサをやらない」松尾元室長のせこい一面を垣間見ることができる。

  ◇朝日は、「自虐的」などと韓国や中国から批判が出ていた新しい中学歴史教科書の検定にあたって、政府は対外的な配慮から「政治介入しない」方針を固めた記事を取り上げている。

  ◇奈良県法隆寺の五重塔の心柱を年輪代法で測定したところ「伐採されたのは594年と確定できた」と、奈良国立文化財研究所の発表記事を東京が1面トップで掲載している。これまで、日本書紀の記述や発掘調査結果から、「670年の火災に遭い再建された」と言う見方が主流を占めていただけに、この矛盾をめぐっての波紋が広がりそうだ。

  ◇金融機関の不良債権処理が急がれる中、金融庁が銀行に資産から不良債権を切り離す最終処理を促すため、公的資金を注入した銀行の債権放棄ルールを見直し、中途半端な処理に歯止めをかける方針(日経)。

  一方、不良債権処理に関連して、経済産業省が金融庁に対して金融機関の不良債権を業種別に公表するよう求めていることがわかった。金融庁と経済産業省、国土交通省が発足させた連絡会議の場で方針を固めたもの(産経)。業績悪化で債権の不良化が進んでいるとの懸念も高まっており、業種毎に開示することで透明性を高め、借り手側の構造改革につなげて、金融システム不安をぬぐい去ることが欠かせないと判断したためたが、全銀協の西川善文会長は「不良債権の最終処理が遅れていることはない」と否定している。

  【経済・IT】
  ●各種カードのポイントは?
  KDDI(9431)が、携帯電話を使った電子チケット事業に乗り出す(日経)。利用者は携帯電話でコンサートなどのチケットを予約、クレジットカードで支払いを済ませ、バーコードをダウンロードする。これを携帯電話機のメモリーに蓄積、入場する際に画面上に呼び出してバーコード読み取り機に提示するだけで、会場に入れるという便利なシステムだ。これならうっかりチケットを忘れて入場できないということはない。慌てん坊サンには好都合だが、もっとも携帯をなくしたらすべてオジャン。

  ◇一方、IC(集積回路)カード型電子マネー「モンデックス」を運営する日本モンデックス推進協議会は、利用者がインターネット経由で金融機関などの加入口座からカードで入金できるサービスを、4月にも国内で初めて本格的に実用化する(毎日)。財布代わりのICカードに手軽にお金を入金、補充できるようになることで使い勝手が向上し多くの利用者が獲得できると期待しているという。だが、消費者の立場からすれば、クレジットカード同様に使い過ぎが心配?

  ◇カードはカードでも登録した客がためた「ポイント」に応じて、ギフトカードや航空券、各種の商品をプレゼントする、いわゆるポイントサービスが、脚光を浴びている、と産経が報じている。「ビックカメラ」のようなカメラ専門店では13%にアップするなど、ポイントサービスも激化しているそうだ。産経の記事では触れていないのが残念だが、個人的に気になるのがトヨタ自動車(7203)が4月から発行する「トヨタカード」。その中身は乞うご期待・・・。

  【トピック】
  ●若者はネットでダイエット
  外食を減らしてインターネット――。総務省が発表した昨年の単身世帯収支調査結果で、IT革命を反映した1人暮らしの若者のライフスタイルが浮き彫りになった(産経)。衣食関係が減少した反面、パソコンなどの教養娯楽用耐久消費財が増加した。もっとも、平均消費支出も前年比マイナス。貧乏は父さんばかりではなく、単身者にまで及んでおり、あの「独身貴族」も死語になってしまったようだ。

  NTT(9432)の今年度決算で税引き後利益が5,030億円、当初より大幅に上方修正される見通し(読売)。半額バーガーをかじりながら、ネットに夢中になる若者の姿が目に浮かぶ。

  [メディア批評家 増山広朗]

■URL
・瓦版一気読み バックナンバー 2月
http://www.watch.impress.co.jp/finance/kawaraban/2001/02.htm

2001/02/21 09:15