FINANCE Watch
コラム 瓦版一気読み~「名誉ある撤退」ズバリ予想

  情報は時とともに劣化する・・・

  【1面トップ】
  ●森サン「オソマツ」初めて陳謝
  カウントダウンもいろいろあるが、1国の総理が退陣するのを指折り数えるのも情けない話である。きょうの各紙は森首相の引き際のタイミングを占う予想記事で埋めつくされている。

  きのうの衆院予算委員会で「ゴルフ場にそのままい続けたことは判断の誤りだったので、深く反省している」と初めて陳謝(朝日)したことで、「名誉ある撤退」(東京)の時期が焦点になってきた。

  読売は予算案が衆院を通過する見通しの3月2日直前に、「森首相が自発的に辞意を表明することで事態収拾を図るべきだとの声が橋本派や公明党を中心に強まっている」と報じれば、毎日も予算案が衆院を通過する「来月初め」をヤマ場としている。ただ、産経は、予算関連法案の処理のメドがつく「4月上旬」の線が強まるとみている。いずれにせよ、Xデーへの条件が整いつつあることは間違いない。

  興味深いのは、読売が夏の参院選で立候補を予定している与党議員に緊急アンケートしたところ、45人の回答者のうち、「退陣不要」と答えたのはわずか4人だけ。いや4人もいたので、参考までに実名をあげると、釜本邦茂、松村竜二、魚住汎英、吉川芳男の各議員。

  ◇金融庁が生保破綻時に、利回り保証をしていない実績配当保険を全額保護することを検討している、と日経が取り上げている。

  昨年秋に破綻した千代田生命の再建支援企業に米大手のAIGを選ぶことに決めた(毎日)り、同じく破綻した大正生命は、大和生命とソフトバンク(9984)グループが設立した子会社が支援することで合意(読売)するなど、外資も含めた生保業界の再編の動きは活発化している。

  【経済・IT】
  ●東証の株(評価)が上がっても・・・
  証券会社の会員組織で「お役所以上にお役所的」と言われる東証(東京証券取引所)が、年内にも株式会社へ移行することがほぼ確実になった(読売)。

  東証の組織形態のあり方を検討している特別委員会が中間報告をまとめたもので、「非営利団体」から利益を追求する「株式会社」化することで、取引コストの低減を目指すという。世界的に「高コスト体質」と投資家からも批判の声が高まっていただけに、「使い勝手のよい」市場になるのは朗報だ。東証の株(評価)が上がっても、肝心の株価は?

  ちなみに、きのうの株価の終値は昨年来の安値を更新した。

  ◇バブルリゾートと呼ばれた宮崎市のテーマパーク「シーガイア」がついに息切れ(毎日)。破綻した長崎屋とともに、メーンバンクの第一勧業銀行が見捨てたころから不死鳥のわけにはいかず、再建の道は険しいと思われていた。日経によると支援先としては、「シェラトン」や「ハイアット」グループなど米国の大手ホテルチェーンの名前があがっているという。バブル期には経営不振の米国ホテルを日本企業が相次いで買収、ひんしゅくを買ったことがあったが、10年過ぎると逆転現象が起こるとは・・・。

  ◇年度末の決算期を前に業績を下方修正する企業が相次いでいるのは再三報じているが、NEC(6701)も連結経常利益が当初予想を下回る2,000億円程度にとどまる見通し。半導体市況の悪化やパソコン事業の低迷が響いているという(日経)。

  ◇決算で深刻なのは自業自得の光通信(9435)と三菱自動車工業(7211)。光通信は、2月中間期に不良債権を一括処理して特別損失を約500億円計上、初の最終赤字となる見通し(日経)。一方の三菱は今期の税引き後赤字が2,000億円を上回る予測(読売)。「負の遺産」の処理を一気に進めて、帳簿上はすっきりさせるつもりだろうが、先週には追加リコールを発表、ユーザー離れは一段と加速している。その対策のほうが最優先では?

  【トピック】
  ●ソニー、学生人気も断トツ
  来春に就職予定の大学生らを対象にした就職人気企業ランキングが、民間の調査機関の調べで明らかになった。それによると、ソニー(6758)が男子文系、男子理系でともに3年連続1位、女子理系でも1位になり、女子文系は相変わらずJTBが1位だったが、ソニーは「三冠」を達成(朝日)。かつて会社の寿命は30年が相場だったが、最近は20年とも10年とも言われている。ソニーだって生き残れるかわからない。エイプリルフールにはまだ早いが、巷ではソニーとホンダ(7267)が“理想のカップル”とみられて、合併話も噂されているとか?

  ◇BS(放送衛星)デジタル放送番組の録画ビデオをインターネットのオークションで販売した店員が警視庁に逮捕された(産経)。これまで野放しに近かったテレビ番組の違法コピーに警鐘を鳴らした点で一歩前進だが、駐車違反と同じで、どこまで取り締まれるかお手並み拝見。

  [メディア批評家 増山広朗]

■URL
・瓦版一気読み バックナンバー 2月
http://www.watch.impress.co.jp/finance/kawaraban/2001/02.htm

2001/02/20 09:01