FINANCE Watch
ネット証券が地場証券を囲い込み~準大手・中堅と激突へ

  オンライン証券各社が地方に点在する有力地場証券の「囲い込み」に乗り出した。東京証券取引所に加入していない地場各社は、東証正会員の大手や準大手、中堅証券を通じて株式を売買している。正会員各社は地場証券から「業者間委託手数料」を徴収し、収益の柱としてきた。コストをかけずに安定収入が得られるため、兜町では投資信託の代行手数料と並んで“眠り口銭”と呼ばれる。利益なき繁忙に苦しむオンライン各社がこれに目を付け、従来型証券会社との新たなバトルが始まった。

  ●新興勢力になびく
  関係者によると、オンライン証券の大手は既に有力な地場証券に対し、圧倒的に安価な業者間手数料を提示、営業活動を始めたという。大手などは資本参加した上で地場を「友好証券」としている例が多い。しかし、資本関係にないケースでは、地場が従来型証券との友好関係を断ち切り、新興勢力になびく可能性は十分にある。

  従来型証券はこれまで友好証券の所在地には出店を見送るなどで、「眠り口銭」を確保してきた。一方、地場各社も地元名士や富裕層の取引注文を差し出し、投信の販売目標ノルマも引き受けるなど、忠誠心を示して“共生”を続けてきた。この共生関係が崩壊すると、準大手以下の収益は大きな打撃を受ける。大都市で個人顧客をネットに奪われた上に、地方の米櫃(びつ)を失えば、業態として存亡の危機を迎えかねない。

  ●中核都市を重点攻略
  しかも、個人投資家のインターネット取引が大都市から、地方に今後拡大するのは必至だ。あるオンライン証券は地方の中核都市をいくつかピックアップ、重点的に攻略する作戦を検討しているという。

  手数料のダンピング戦争は、主戦場を個人取引から業者間に移す。しかも、決済改革に伴う、システム投資負担が従来型証券を崖っぷちに追い詰める。ある中堅証券の幹部はこのほど大手証券系のシンクタンクから、「2003年春までに、Tプラス1(翌日決済)対応のシステムを構築できなければ生き残れない」との“助言”を受け、呆然としたという。兜町は再び淘汰・再編の時代を迎えた。

■URL
・「新型手数料」でネット証券に反撃~兜町の“新旧”覇権争い
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2000/11/21/doc1110.htm
・株式ネット取引は「カネ食い虫」~黒字の証券はひと握り
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2000/11/02/doc927.htm

(兜太郎)
2001/01/29 14:24