FINANCE Watch
コラム 瓦版一気読み~独自ダネのオンパレードだが

  情報は時とともに劣化する・・・

  [1面トップ]
  ●ゲームからヘルスケアに
  3年ぶりの大雪となった首都圏など全国的にホワイトサンデーとなった昨日。大きな事件・事故はなく、今日の朝刊1面トップは“6紙6様”となった。大阪国際女子マラソン優勝の渋井陽子選手を取り上げた産経(同マラソンの主催者)を除いて、各紙とも独自ダネをぶつけているが、いずれもパンチ力に欠ける。

  ◇あえて1番手をあげると、日経の「マイカル(8269)が子会社スポーツクラブ株をコナミ(9766)に売却」か。経営再建中のマイカルだが、フィットネスクラブ「エグザス」などを展開する東証1部上場のピープル(4643)株をTOB方式で、ゲーム大手のコナミに売却するというもの。コナミは発行済み株式の60%程度を取得する方針で、買収金額は約800億円という。

  コナミは、健康分野を新規事業の有力候補としており、HE(ヘルスケアエンタテインメント)事業本部も設置している。1兆円強の連結有利子負債を抱え、資産売却を急ぎたいマイカルとの利害が一致した格好だ。日経は「29日に正式合意し、同日発表する」と、堂々とスクープをアピールしている。

  ◇読売は、「銀行の店舗展開自由化」。金融庁があさって31日召集の通常国会に銀行法改正案を提出し、年内にも届け出制による自由化が実現の見通しという。ATM設置の無人店舗を除き、銀行の出店は政府の厳格な管理下に置かれている。護送船団行政の「象徴的な存在」だ。

  通常国会の召集を前に、提出予定法案をチェックしておやっというネタを探す。困った時の法案頼みは、新聞社の常套でもある。だが、この自由化、随分前から話題になりながら、まだ法的措置も講じてなかったのかという“意外性”でマル。

  ◇朝日は、防衛施設庁が日本航空など航空大手3社に「米の輸送資格 取得要請」。近隣有事の際の米軍への輸送協力を想定したものだけに、航空各社からは「困惑の声が上がっている」という。

  ◇毎日は、年金福祉事業団の住宅融資を扱う地域年金福祉協会のうち、「19協会が新規融資業務を停止」。東京は「クローン人間来年にも」。米伊の医師が不妊治療の一環として本格研究を開始という、ワシントン発の特派員電。

  [経済・IT]
  ●幻の完全分離表明
  ダボス会議(世界経済フォーラム年次会議)を、失言なしでこなした森喜朗首相。実は、この会議の質疑応答でNTT(9432)の完全分離を示唆する質疑応答の想定文が用意されていたと、朝日が2面囲み記事で紹介している。「断固、強力な競争促進政策を進める」というもので、演説草案を見たソニーの出井伸之会長の「進言」で急きょ、用意されたという。幸い(?)、これに関する質問がなかったため、日の目を見なかったものの、答えていたら「また失言か」と捉えられたかも知れないね。

  ◇トヨタ自動車(7203)に次ぐ、収益力を誇るまでになったNTTドコモ(9437)。そのドコモの2001年度の設備投資は1兆1,000億円規模になって、東京電力(9501)を抜きトップに踊り出る(日経)。逆に、電力自由化で設備投資の厳格なチェックと圧縮に動いている東電は「22年ぶりに」1兆円を割るという。ケータイの勢い、恐るべし。

  [トピック]
  ●勇気と大きな悲しみ
  週末金曜夜のJR山手線新大久保駅で発生した事故は、日本と韓国に大きな悲しみをもたらした。勇気ある李秀賢さん(26)、関根史郎さん(47)のお通夜が、28日東京と横浜で行われた(各紙)。

  母親の幼児虐待や少年の無軌道な犯行など自己中心の犯罪が頻発するなかで、お二人の行動は悲しみともに胸に詰まる感動を与えてくれた。ご冥福をお祈りします。新聞各紙は、見舞い金や香典の受け付けを行っている。

  [メディア批評家 増山広朗]

■URL
・瓦版一気読み バックナンバー
http://www.watch.impress.co.jp/finance/kawaraban/2001/01.htm

2001/01/29 09:08