FINANCE Watch
コラム 瓦版一気読み~「女」の次は「カネ」嗚呼・・・

  情報は時とともに劣化する・・・

  【1面トップ】
  ●カネが飛び交う国会質問
  国会質問をめぐる受託収賄事件で、自民党の小山孝雄参院議員がKSD(中小企業経営者福祉事業団)から2,000万円を受け取ったことが、東京地検特捜部の調べでわかり逮捕された。KSD事件がついに政界に波及したことになる。きょうの各紙も、日経を除く、5紙が「小山孝雄議員逮捕」がらみのニュースをトップで掲載。国会質問が金で買われていたことになるわけで、まさに国民に対する背信行為といえる。

  産経は「“ものつくり大学”新設でも新たに数千万円を提供していた疑いがある」、朝日は「KSD預金の政界工作、2,500万円使途不明」と余罪を追及している。「予算・選挙頭抱える自民」(朝日)と報じているとおり、民主党などの野党は「こんどこそ森政権を追い込むチャンス」と意気込んでいる。先の国会は女性スキャンダル続出の「ピンク国会」と呼ばれていたそうだが、今月末に招集される通常国会は文字どおり「KSD国会」。永田町をめぐる“カネ”と“女”。国民もウンザリ、開いた口がふさがらない。

  ◇日経は、国際決済銀行(BIS)のバーセル銀行監督委員会が発表した「自己資本比率規制の改正案」の記事。銀行のリスク管理に市場原理を導入、財務の健全化を促すのが狙いで、貸出先に応じて必要な資本の額を変えることができる考えを取り入れているのがポイント。

  【経済・IT】
  ●打つ手早い、強いトヨタ
  低迷する株式市場をにらみ、株価対策をめぐる議論が活発するなかで、トヨタ自動車(7203)は、2,500億円(株式数7,500万株)を上限に自社株買い入れ消却に踏み切ると発表した。金融機関の持ち合い解消からトヨタ株の大量放出が予想されることなどに対応した措置。自社株買いの規模は国内企業では最大規模となる。この記事、きのう16日付の日経夕刊が1面トップで報道後、トヨタ側が正式発表した。ちなみにきのうのトヨタの終値は前日比450円高の3970円と急騰している。16日の東京株式市場・日経平均終値は78円22銭高の1万3584円45銭、小幅ながら3日続伸。

  ◇NTTドコモ(9437)は、従来の機種よりもパソコンに近い機能を装備した携帯電話の新シリーズ「503i」を来週中にも発売開始する方針を固めた(産経)。基本ソフトを入れ替えることで、事務処理からゲームまで幅広い作業を1台でこなせるのが特徴だそうだが、今年5月には、待望の次世代携帯電話のサービスが始まる。それまでの“つなぎ役”というわけか?

  ◇インターネット検索サービスのヤフー(4689)は、これまで無料だった同社の競売サイトを、3月をめどに有料化する。「有料登録によってネット上での詐欺や違法出品の防止が図れる」とヤフー側は説明しているが、景気の後退で企業広告の減少をカバーするのが大きな狙いでは?(朝日など各紙)。

  ◇昨年5月に経営破綻した第一火災海上保険の保険契約の受け皿探しを日本損害保険協会などの保険管理人が断念(朝日、日経など)。今後は損害保険契約者保護機構で引き受けることになる。

  【トピック】
  ●震災6年、湾岸10年
  「1・17」。阪神大震災から6年を迎えた。産経など各紙は被災地の神戸市の公園で「希望の灯」をともし黙とうする人たちの写真を1面で大きく取り上げている。読売は被災者を対象とする実態調査を実施し「失業率は前年の2倍、雇用・生活悪化目立つ」と報じている。一方、10年前の同じ日には、あの湾岸戦争が勃発、長引く経済制裁や国内暴動も頻発するなかで国際社会復帰をめざすイラクのサダム・フセイン大統領の近況などを朝日などが取り上げている。

  ◇「ノルウェー政府は脂身などの鯨肉製品の輸出を解禁する。輸出は事実上日本向けとみられる」と、東京が報じている。学校給食での鯨の味が忘れられない筆者にとつては朗報だが、環境団体などからの強い批判を浴びそうだ。

  ◇今年の正月に子供たちがもらったお年玉の合計額は、平均2万6,424円、4年ぶりに前年を上回った(読売)。第一勧業銀行(8311)の調査レポート。読売の記事からは誰からもらったのかわからないが、日経によると「お年玉スポンサー」の1位は今年も「親戚の人」、2位は久しぶりに「お父さん」だったという。

  ◇「“超氷河期”ちょっぴりとけた」(毎日)。今春卒業予定の大学生の就職内定率がわずかに改善し、75.2%になった。厚生労働省などの調べでわかったが、4人に1人が決まっていないで、「改善の兆し」というコメントはいかがなものか?

  ◇「芥川賞」と「直木賞」が発表された。それぞれ2人ずつ選ばれたが、直木賞の重松清さんは「フリーライターを10年やってきた。今の時代が面白い」(毎日)。「寄らば大樹」もいいが、重松さんのような“苦節10年”「自分流の生き方」を探すのも選択肢のひとつではないだろうか。

  [メディア批評家 増山広朗]

■URL
・瓦版一気読み バックナンバー
http://www.watch.impress.co.jp/finance/kawaraban/index.htm

2001/01/17 10:11