FINANCE Watch
コラム 瓦版一気読み~取り残されるニッポン

  情報は時とともに劣化する・・・

  【1面トップ】
  ●キャッチアップできる?
  全世界で20兆円の市場規模が見込まれている二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出権取引。欧米では既に20万トンの取引も成立しているが、日本では企業などがやっと検討に着手したばかりで、出遅れの感は否めない。

  おカネで環境対策を買うという負のイメージがつきまとうためだが、「行政の対応を待って」などと悠長なことを言ってる場合ではない。ということで、東証をはじめとする国内の主要取引所が国内市場の創設に向けて研究を始めたが、はたして出遅れを挽回し、欧米にキャッチアップできるか。

  このニュース、東京がトップで報じているが、時事通信が4日に配信した記事のようだ(時事のHPに4日付で掲載されていた)。

  ◇「選択と集中」は企業のサバイバル戦略のキーワード。日経によれば、NEC(6701)が主力の通信機器の海外生産子会社8社を2年後をメドに売却、パソコン関連の海外4工場も売却を検討しているという。

  「資産のスリム化で固定費を削減、成長分野に集中投資する体制を築く」のが狙いだが、こうした戦略はソニー(6758)や松下電器産業(6752)が既に先行している。それでもなお、1面トップで報じる日経の狙いは?

  ◇自治体から介護報酬を得る代わりに運賃を無料にする「介護タクシー」について、道路運送法に抵触するとしていた運輸省が方針を転換。一部のタクシー会社が既に実施している無料運行を認めることを決め、各地方運輸局に通知した。朝日がトップで報じている。

  ◇毎日は北九州の社会福祉法人の脱税工作、読売と産経は教育物を1面トップに持ってきた。

  【経済】
  ●カヤの外
  FRB(米連邦準備制度理事会)の緊急利下げにもかかわらず、主要市場で唯一株価が下落した4日の東京市場を、朝日や東京は「カヤの外」と表現している。「思わぬ『お年玉』」(読売)が効かなかったのは、「国内景気の不透明感や財政赤字の膨張など構造的な問題が横たわっている」(朝日)からで、専門家の間からは、「米国の利下げがあったから、4日の平均株価は94円安で済んだ」(東京)との声も漏れてくる。

  が、肝心の米市場の先行きも依然不透明。日経によれば、今回の利下げが米経済の失速回避へ向け直接効果を持つかどうかについては見方が分かれており、市場では「今月末以降の追加利下げへの期待感が高まっている」という。

  ここまで書いたところで、思いがけないニュースが飛び込んできた。FRBが4日、公定歩合を0.25%追加引き下げし、5.5%にすると発表した。FRBのこの迅速な決定、何を意味するのか?

  ◇金融システム再生の司令塔として2年間にわたって活動を続けてきた金融再生委員会が今日で廃止され、金融庁にその機能が引き継がれる。読売が経済面トップで再生委の2年間の取り組みを検証している。

  再生委が投入を承認した公的資金は22兆8,000億円に上る。再生委の活動が金融安定化に寄与したことは事実だが、システムの再生についてはいまだ道半ば。再生委の機能と宿題を引き継ぐ金融庁の前途は険しい。

  【IT・トピック】
  ●ITで檄!
  21世紀最初の「仕事始め」となった4日、大企業のトップたちは社員にどんな檄を飛ばしたか。

  トップの年頭挨拶に共通するキーワードは「経済のグローバル化」「IT革命」「環境問題」など。IT革命への取り組みは、昨年の年頭挨拶でも多くのトップが言及したが、今年はネットバブルが崩壊した直後とあって、「IT礼賛ではなく、いかにITを使うかにトップの関心は移っている」(読売)という。

  ◇「客を呼び込むためなら」と、北海道国際航空(エア・ドゥ)が批判覚悟で導入した喫煙席が早くも廃止されることになった。朝日によれば、次期社長に内定している石子彭培顧問が早期に廃止する意向を表明。機内禁煙という時代の流れには、やっぱり逆らえないということか。

  [メディア批評家 増山広朗]

■URL
・瓦版一気読み バックナンバー
http://www.watch.impress.co.jp/finance/kawaraban/index.htm

2001/01/05 09:03