FINANCE Watch
2001年の株式相場を占う~「前半混乱、後半高」の展開に

  バブルの清算が未だ完了していないなか、新年の株価は大雑把に言えば「前半混乱、後半高」の展開となりそうだ。前半は米国経済、株価の動向が最大のカギ。ソフトランディングに失敗すれば、わが国株価への影響も無視できない。後半は、わが国経済が新生化する第1歩とみられ、株価は長期上昇への出発点となろう。

  ●師走相場は新年相場への懸け橋

  師走相場は、12月21日に日経平均で1万3100円台の当面の安値をつけた。定石通り悪材料が集中化することによって売り方が安値を形成したのだ。すなわち、

  (1)米国経済の減速ピッチが速く、ハードランディングのリスクが高まり、米国株価、中でもナスダック指数が急落している。

  (2)国内的には政治の混乱、景況の先行き変調懸念が強まった。

  (3)需給関係が悪化した。投機筋のカラ売り(株券を持つことなく信用取引で売り、下落すればその差額分を利益とする)、事業法人・金融法人の持ち合い解消売り、損失確定のための個人投資家の売却、加えて海外投資家の売りがみられた。

  だが、いったん安値をつけると、しばらくは戻り相場に入るケースが多い。多分、1月早々には日経平均で1万5,000円程度への自律反発は可能であろう。

  ●新年相場はどう動く?

  2001年の相場は、ひと言でいえば、「前半混乱、後半高」となりそうだ。わが国経済は、バブル崩壊による、その清算が終わっていない。確かに最近、景気は製造業を軸に回復に向かっているが、一方で個人消費は依然回復の兆しが見えず、何よりも土地の価格下落から金融機関の不良債権がなお増加傾向にあり、景気の本格的自律回復は当面望めそうにない。したがって株式市場も、こうした業況感を反映して一気に日経平均が2000年4月高値の2万833円を上回るほどの上昇は期待し得ないとみられる。

  こうしたなかで、年前半、なかでも1~3月は、米国経済のハードランディング懸念、つれてわが国景気の先行き不安から安値圏での波乱商状が予想される。特に需給関係で、3月決算期末を控え、法人は2002年3月期の時価会計導入から前倒しに持ち合い株を売却してくる可能性が高い。

  もっとも、4~6月期は、日米ともに景気対策面で、米国は減税、金利引き下げ、またわが国では金融の量的緩和、ゼロ金利政策への復帰も視野に入れた金融政策の大胆な変更への思惑から反動高もあり得よう。

  ●下落局面は2回

  しかし、そうした政策効果が顕在化するには半年~1年の時間が必要。再び夏から秋口にかけて景気の実勢悪を反映して安くなるとみられる。

  よって新年は、2~3月頃、さらに8~9月頃と2回ほど下落局面を迎えると予想する。その際、場合によっては、この師走の安値である1万3100円を下回る懸念もないとはいえないだろう。

  いずれにしても、秋口以降は景気対策も徐々に功を奏してくるとみられ、株価は年末にかけて急速に回復をみせることになろう。おそらく、8~9月安値が、その後の長期上昇波動の出発点となる可能性が高い。

  年間を通じての日経平均の水準は、大胆に占えば、安値1万3000円割れ~高値2万1000円のゾーン内の展開と予想される。

  ●投資家のとるべきスタンス

  新規投資としては、とりあえず1~3月の安値時点で購入し、年前半の高値で売却、再び安値があれば再度購入するといったこまめな逆張り戦法(株価を睨みながらの売買)が肝要な年となりそうだ。


  ■筆者略歴
  植木 靖男(うえき・やすお) 日興証券で株式スポークスマンなどを務めた後、1998年4月にポコ・ファイナンシャル・ビジネス・オフィスを設立。アナリスト、株式評論家として日本テレビ、日本短波放送などのメディアで活躍中。産経新聞、夕刊フジ、ジャパンタイムズなどコラムを連載しているほか、週刊誌からの取材も多い。慶応義塾大学経済学部卒、62歳。


(植木靖男)
2001/01/01 08:38