レビュー

“設置できれば”オススメ 防犯カメラ「Ring Spotlight Cam Pro」を使う

Amazonが発売しているスマートホームセキュリティ「Ring」シリーズ。その新モデルが2025年秋に登場し、シリーズ初となる4K撮影対応モデルが追加された。

その中から今回は、4K撮影に対応するセンサーライト搭載の防犯カメラ「Ring Spotlight Cam Pro」を1カ月ほど試用したので紹介する。価格は「Ring Spotlight Cam Pro Plug-in」が39,900円で、PoE対応モデル「Ring Spotlight Cam Pro PoE」が55,980円となっている。

バッテリー駆動モデルなし 有線での電力供給が必須に

はじめに、新たに登場した「Spotlight Cam Pro」と、従来モデルの「Spotlight Cam Plus」を比較しておこう。

双方とも、センサーライトを搭載する防犯カメラという位置付けは同じだ。モーション検知で人物や車などを検知し自動で録画したり、夜間など暗くなるとセンサーライトを点灯するといった基本的な機能面は変わらない。

Ring Spotlight Cam Pro本体

ただ、新モデルのSpotlight Cam Proでは、4K動画撮影に対応したことで、従来よりも高画質な撮影が可能となった。低照度でのカラー撮影や10倍ズーム機能など、映像関連機能も強化されている。

また、4K動画は従来のフルHD動画よりもデータ容量が増えるため、ネットワーク接続は無線LANが5GHz帯域対応のWi-Fi 6に強化。また、今回試用したPoE(Power over Ethernet)モデルでは有線LAN接続にも対応。これにより、より安定かつ高速なデータ通信が可能となった。

Ring Spotlight Cam ProRing Spotlight Cam Plus
対応ビデオ解像度4K1080p
モーション検知3Dモーション検知赤外線センサーとカメラによるモーション検知
視野角水平140度、垂直85度水平140度、垂直80度
オーディオ双方向音声、警告サイレン双方向音声、警告サイレン
ライト600ルーメン明るさ非公開
Wi-FiWi-Fi 6、2.4GHz/5GHzWi-Fi 4、2.4GHz
有線LANPoEモデルのみ対応非対応
バッテリー駆動非対応対応
電源アダプター対応対応
PoEPoEモデルのみ対応、PoE+(IEEE802.3at)非対応
防水防じんIP65IP65
動作環境-20~50度-20.5~48.5度
本体サイズ76×52×152mm76.4×80.5×126.2mm

本体サイズは76×52×152mmと、従来モデルと比べて奥行きが薄くなったが高さが増えており、見た目にはやや大きくなったという印象。ただ、玄関先に設置してもそれほど威圧感は感じられない。

カメラの仕様は、どちらも水平視野角が140度と十分な広さがある。垂直視野角は新モデルのほうがわずかに広いが、85度と80度の違いなので、撮影できる範囲はほぼ同じと考えていいだろう。

どちらもカメラ左右にセンサーライトを搭載。輝度は新モデルが600ルーメン、従来モデルは非公開。試した限りでは新モデルの方がやや明るい印象だが、従来モデルも十分明るく、こちらもそこまで大きな違いはない。

防水防じん性能や稼働温度もほぼ同等で、屋外で問題なく利用可能だろう。

ただ、従来モデルで可能だったバッテリー駆動ができなくなり、電源アダプターまたは有線LAN経由による給電(PoE)のいずれかが必須となった。これは、4K撮影対応により電力消費が増え、バッテリー駆動では長時間の運用が難しくなったためと考えられるが、電源が近くにない場所やLANケーブルの敷設が難しい場所での利用が難しくなった形でもあり、設置の自由度は低くなった。

製品パッケージには、本体と設置用パーツが付属。今回はPoEモデルを試用したため、PoEアダプターも付属している。こちらに有線LANケーブルを接続することで、有線LAN経由で電力を供給するとともにデータ通信も同時に行なえる。このPoEアダプターと本体との接続には、設置用パーツに付属するUSB Type-Cケーブルを利用する。

本体背面。従来モデルとは違いバッテリーを搭載できず、電源アダプターまたは有線LANのPoEで電力を供給する必要がある
本体後方下部には電源アダプターまたはPoEアダプターを接続するUSB Type-Cを配置
本体左右には、従来モデル同様センサーライトを搭載
人を検知するとセンサーライトが自動で点灯。従来モデルよりも明るい印象だ
今回試用したのはPoEモデルだったため、このようなPoEアダプターが付属する
PoEアダプターへはLANケーブル経由で電力を供給
Spotlight Cam Proへの接続は、専用の設置アダプタを介してUSB Type-Cケーブルで接続。これで電力供給と有線LANへのデータ送受信が行なえる
パッケージには本体に加えて設置用パーツが付属する

従来同様、録画データは全てクラウドに保存

Ringシリーズということで、Spotlight Cam Proも録画データは全てクラウドに保存され、最大180日保存される。このクラウド録画は、有料プラン「Ring Home」に加入することで利用可能となる。

プランは、Ringデバイス1台のみ対応の「Basic」、同一住所で台数制限なく利用できる「Standard」、Standardに加えて24時間連続録画や時間制限のライブ視聴も可能となる「Premium」の3種類を用意。金額はBasicが月額350円または年額3,500円、Standardが月額1,180円または年額11,800円、Premiumが月額2,380円または年額23,800円。

この有料プランに加入しない場合、モーション検知のアラート通知とライブ視聴、双方向通話、サイレンの遠隔などの基本機能は利用可能だが、録画は一切行なえない。そのため、Ringの機能を活用するには有料プランへの加入が必須と考えたい。
なお、利用開始から30日間は有料プランを無料で体験できるので、そこで機能を確認した上でプラン加入を検討すればいいだろう。

クラウド録画を活用するには、有料プラン「Ring Home」のいずれかに加入する必要がある

従来モデルより設置のハードルは非常に高い

製品には設置用パーツが付属しているが、木ネジでネジ止めすることが基本となるため、設置場所によっては別途設置用のパーツも必要となる。ただ筆者は、これまで従来モデルを玄関の軒下にネジ止めして利用していたので、そこに新モデルをネジ止めして利用することにした。

先に紹介したように、今回の試用機はPoEモデルということで、利用にはLANケーブルの接続が必須となる。ただ筆者の自宅は、建築時に玄関軒下へのセキュリティカメラ設置を想定してLANケーブルを敷設済みだった。これまではSpotlight Cam Plusを使っていたのでLANケーブルは使い道がなかったが、今回Spotlight Cam ProのPoEモデルを試用するにあたって、ようやくLANケーブルが活用できるようになった。

あとは、従来モデルを取り外し、LANケーブルを通す穴を開けてLANケーブルを引き出し、新モデルの設置パーツを利用して本体やPoEアダプターなどを固定して設置した。手持ち工具の関係でLANケーブルを引き出す穴開けにやや苦戦したものの、従来モデルの取り外しから新モデルの設置まで1時間かからず行なえた。

もともと利用していたSpotlight Cam Plus。これを外してSpotlight Cam Proに交換することに
Spotlight Cam Plusを外してLANケーブルを引き出す穴を開け、もともとこの付近まで敷設済みだったLANケーブルを引き出した
あとはLANケーブルをPoEアダプターに接続して、設置パーツを使って同じ場所に設置した。穴開けに少々手こずったが、1時間ほどで設置できた

ただ、一般の家庭の場合、今回のようにPoEモデルを利用する場合には別途LANケーブルを敷設したり、電源アダプターモデルを利用する場合でもどこから電源を取るかが問題となる可能性が高い。それらを解決するには大がかりな工事が不可欠となり、当然コストもかかる。そう考えると、設置のハードルは非常に高いと言わざるを得ないだろう。

そういう意味では、これから自宅を新築する場合に、玄関先などでSpotlight Cam Proを使いたいと考えているのであれば、設置場所の構造や電源確保、LANケーブル敷設などを事前に考慮しておくことをお勧めする。

PoE+対応のPoEインジェクターかスイッチングハブが必須

PoEモデルを利用する場合には、LANケーブル経由で電力を供給する必要がある。そのためには、PoEインジェクターまたはスイッチングハブが不可欠となる。

PoEインジェクターとは、1本のLANケーブルに対してPoE準拠の電力を供給するためのアダプターで、Spotlight Cam Proを接続する場合には、Spotlight Cam Proとルーターとを接続するLANケーブルの間に接続すればいい。PoE対応スイッチングハブの場合は、PoE出力対応のコネクタにSpotlight Cam Proを接続するLANケーブルを接続する。

このPoEインジェクターまたはPoE対応スイッチングハブは、1ポートあたり最大30Wの電力を供給できる「PoE+(IEEE 802.3at)」に対応している必要がある。試しに電力供給が1ポートあたり最大15.4Wの「PoE(IEEE 802.3af)」対応スイッチングハブにSpotlight Cam Proを接続して利用してみたところ、問題なく動作したが、動作状況によっては電力不足となり動作に問題が発生する可能性も否定できないため、使用はお勧めしない。

そして、このPoE+に対応するための機器が必要という点も、余計にコストがかかる部分であり、利用のハードルを上げる要因のひとつと言える。

Spotlight Cam ProのPoEモデルを利用するには、PoE対応スイッチングハブが必要となる
1ポートあたり30Wの電力を供給できるPoE+(IEEE 802.3at)対応が求められるので注意
こちらはPoEインジェクター。これをLANケーブルの途中に挟むことでも電力供給が可能となる(この写真のものはPoE+対応ではない)

さすが4K 画質は大幅向上

では、画質をチェックしていこう。まずは昼の明るい時間帯の画質だ。

下に掲載しているのが、従来モデルと新モデルの録画データのキャプチャ画像だ。従来モデルもまずまず高画質ではあるが、新モデルはさすが4Kで録画されているだけあって、圧倒的に高画質だと一目でわかるだろう。

掲載画像ではぼかしているが、路面の凹凸や植木の葉、駐車場に停車している自動車など、いずれも細かい部分までしっかり確認できることがわかる。従来モデルでは車が通ってもナンバープレートの数字は読み取れないことがほとんどだったのに対し、新モデルはナンバープレートの数字がしっかり読み取れるようになったのは大きな進化と感じる。

こちらは従来モデルで撮影した画像。十分綺麗に撮影できているが、細かな部分が潰れていたり、車のナンバーなどはほとんど読み取れない
こちらは新モデルで撮影した画像。路面の凹凸や植え込みの植物の葉、車のナンバープレートの数字など、細かなところまでしっかり読み取れる
旧モデルで撮影した画像の植え込み付近を拡大すると、全体的にぼやけたように写っている
こちらは新モデルだが、路面の凹凸や砂利、植物の葉など細かいところまでしっかり写っていることがわかる

また、自宅を訪ねてくる人の顔もはっきり確認できる。下は筆者を撮影したものだが、従来モデルに比べて新モデルの方が明らかにくっきりと撮影できている。これなら、誰が訪ねてきたかも確実に判断できそうだ。

こちらは旧モデル。静止していれば顔はわかるが、動いていると顔の判別が難しくなる場合もある
人間部分を拡大したが、あまり鮮明ではないことがわかるだろう
こちらは新モデル。顔がくっきり撮影できている
人間部分を拡大すると、鮮明に撮影できていることが確認できる

では夜はどうか。こちらも実際に確認してみると、昼同様に新モデルの方がはるかにくっきり撮影できている。

同時に、センサーライトが消灯している状態と点灯している場合を比べてみると、どちらもセンサーライトが点灯している方が高画質となっているが、どちらにしても新モデルの方が圧倒的に緻密な映像が撮影できている。

新モデルはHDR撮影に対応していることもあって、光源付近の白飛びも軽減されている。ここでは示せないが、夜間に車が通った場合でも、新モデルではナンバーがしっかり確認でき、4Kの威力が最大限発揮されているという印象だ。

もちろん、人の顔も同様。どちらも夜は人を認識するとセンサーライトが点灯するため画質的には有利となるが、やはり新モデルの方がはっきり顔を撮影できている。このあたりも、防犯という意味でかなり心強いと感じる。

ちなみに筆者宅は暗くなると植え込みの明かりが点灯するとともに、道路には街灯も付いているため、闇夜のように真っ暗になることはない。そのため、極端に暗い場所でもカラー撮影する「カラーナイトビジョン」は試せていない。

それでも、肉眼で見るよりも圧倒的に明るく鮮明にカラーで撮影できている点は、カラーナイトビジョンが有効に働いているからと考えて良さそうだ。

旧モデルで、センサーライトが消灯している状態で撮影した画像。昼の画像よりも荒く、光源付近は白飛びしてしまっている
旧モデルで、センサーライトが点灯した状態で撮影した画像。センサーライトで明るく照らされることで、昼に近い画質で撮影できている
人はなんとか顔が判別できるように撮影できているが、動きが速いと判別できない場合もある
新モデルで、センサーライトが消灯している状態で撮影した画像。植え込みの光源はやや白飛びしているが、その周囲の植物の葉もしっかり確認できるし、路面の凹凸や車のナンバーも確認できる
新モデルで、センサーライトが点灯した状態で撮影した画像。より鮮明に撮影できている
昼ほどではないものの、人物もくっきり撮影できており、顔もしっかり判別できる

機能面は従来モデルと大きく変わらない

機能面は、従来モデルから強化されている部分もあるが、そう大きくは変わっていない。設定やライブ映像視聴、撮影映像の視聴は、従来同様、専用のスマートフォンアプリを利用する。

撮影については、基本的には人やクルマなどの動きを検知して自動的に動画を撮影するモーション検知録画が標準となっている。その他には、有償プランのPremium契約時にのみ利用できる24時間連続録画や、モーションの種類を指定しておき、そのモーションが検知されたときのみに録画を行なうスマートアラートを用意。

モーション検知を行なう範囲も、もちろん設定可能。撮影範囲内で自宅の敷地内のみをモーション検知の範囲として設定しておけば、敷地内に入ってくる人のみが検知されるため、通行人を検知することがなくなる。自宅前の道の人通りが多くモーション検知が多すぎると感じる場合には、範囲を狭めるなどして対策すればいい。

録画していない状態で指定した秒数ごとに静止画を撮影するスナップショットは、15秒、30秒、1分、3分の4段階の間隔を指定できる。間隔を短くするとタイムラインの表示が遅くなるとアラートが表示されるが、実際に15秒に設定しても特に表示が遅くなったとは感じなかった。このあたりは運用環境で変わってくる可能性もあるので、実際に試して設定するのがお勧めだ。

この他、向かいの家などをマスクして写らないようにするプライバシー設定や、センサーライトの明るさ、モーション検知とセンサーライトの動作スケジュールの設定なども、従来同様可能だ。

基本的な操作や設定、映像視聴などは従来同様の専用アプリを利用
録画モードはモーション検知録画が標準で、24時間連続録画や、あらかじめ指定したモーションが検知された場合のみ録画するスマートアラートの3種類を用意
スマートアラートでは、人物や車など指定したモーション検知でのみ録画を行なえる
モーション検知の範囲を設定しておけば、それ以外のモーションは検知しなくなり、録画やアラートが必要以上に増えることを防げる
スナップショットは15秒、30秒、1分、3分から撮影間隔を選べる
センサーライトの明るさや点灯時間、動作スケジュールなども従来同様設定可能だ
モーション検知すると、スマートフォンに画像付きでアラートが届く

そして、従来モデルにはない機能が、俯瞰ビューだ。これは、検知した人がどのように移動してきたのか、上空からの視点で確認できるというもの。筆者宅の場合は、門や塀があるためか、人の動きを見失う場合も多かったが、検知した人がどう移動してきたのか把握できる点はなかなか面白い。家の前が開けていて、遠くから人が玄関に近付いてくる様子を捉えられる環境なら、そのルートをチェックすることで防犯に役立てられそうだ。

新モデルで追加された俯瞰ビュー。上空からの視点で検知した人がどう移動して来たのか把握できる
俯瞰ビューでは、上空からの視点で検知した人がどう移動してきたか把握できる

設置できればオススメできる

このように、Spotlight Cam Proは4K撮影が可能になり、撮影品質が大きく向上したことで、防犯カメラとしての魅力が一段高まったと感じる。

従来モデルでは、モーション検知で人が撮影されても、解像度が低く誰なのか判別できないということも多く見られたが、Spotlight Cam Proであればそういった場面はほとんどなく、明るい場面から暗い場面まで、しっかり鮮明に捉えられるのは、大きな進化点と感じる。

自前でサーバーやNASを利用して防犯カメラを運用する場合には、Ringのような有料プランに加入する必要はなく、初期投資だけで済むというメリットはある。ただ、初期投資はRingとは比べものにならないぐらい高額になるとともに、運用管理も自分で行なう必要があるため手間がかかる。

その点、Ringは有料プランへの加入がほぼ必須とはなるが、録画データは全てクラウドに保存されるため管理の手間が不要なこと、ネットワークさえ繋がっていれば確実に録画が行なえること、機器トラブルなどで録画データが失われる危険性も少ない。また、スマートフォンアプリにモーション検知のアラートが届いたり、録画データの参照も簡単に行なえる点も大きな利点と感じる。

このあたりは、防犯カメラをどう運用したいのか、個人個人の目的で変わってくるとは思うが、筆者としてはRingのほうが圧倒的に手軽かつ確実で、手間をかけたくない人やIT初心者にもお勧めできる。

とはいえ、Spotlight Cam Proに関しては、そういった特徴があるとしても、設置のハードルの高さがかなり大きいのも事実。筆者の場合は、事前にそのハードルをクリアできる設備を整えていたため、問題なく設置・運用できているが、多くの場合、電源や有線LANの敷設工事なども不可欠となり、多大な手間やコストがかかってしまう。

そこをクリアできるのであればもちろん広くお勧めできるが、それが難しいのであれば従来モデルのSpotlight Cam Plusのほうをお勧めしたい。

平澤 寿康