レビュー
今こそ室内サイクリング! 30日間Zwiftチャレンジでやせられる?【前編】
2020年5月7日 08:30
オフィス勤務から在宅勤務に移行したみなさんは、薄々気づき始めていると思う。
テレワークは太る 、と。
筆者も外出自粛が叫ばれ始めた頃、わがままマイバディを見るにつけ、これはいよいよ自分の脂肪に危機感を覚えた。だからといって今のこの状況では、運動してカロリー消費することも難しい。屋外のランニングやサイクリングでも新型コロナウイルスの感染リスクはなくはないし、狭い室内で運動しようにもできることは限られている。
だがしかし、スマートサイクルトレーナー「Wahoo KICKR」があれば話は別。これなら室内で思う存分サイクリングでき、しかもゲーム感覚で楽しめるのだ。
このKICKRでペダルを回しまくって、外出自粛で太るどころか、むしろこの1カ月間で理想体重に戻してやろうではないか! そんな謎のモチベーションが唐突に湧いて出て、勢いでKICKRを注文したのは東京都に緊急事態宣言が出された4月7日のことだった。
届いたKICKRを自転車にいそいそとセットし、4月11日から30日間の室内サイクリングチャレンジが開幕したのである。果たして本当に「理想体重」を達成できるのか!?
スマートトレーナー「KICKR」とサイクリングソフト「Zwift」とは?
まずは「KICKRとはなんぞや」というところから説明した方がよさそうだ。簡単に言ってしまえば、KICKRは室内で自転車をこげるようにするサイクルトレーナーの一種。自転車と組み合わせて利用するトレーニング機器だ。
一口にサイクルトレーナーと言っても自転車への固定方法の違いでいろいろな種類があり、3本のローラーの上に乗る本格的なタイプや、ローラーを後輪に押しつけるタイヤドライブ式なんかが一般的。KICKRはその2つとも違って、自転車の後輪の代わりに取り付ける「ダイレクトドライブ」と呼ばれる方式で、静粛性が高く、スマートサイクルトレーナーに適したタイプとなっている。
また、スマートサイクルトレーナーの名称から想像できるように、コンピューターと連動した負荷の自動調整が可能になっているのも特徴だ。昔からあるスマートではない機械式のサイクルトレーナーでは、自分で走行しているイメージをなんとなく思い浮かべながら手動で負荷(ローラーの回転の重さ)を調節していた。
ところが、KICKRのようなスマートサイクルトレーナーは、PCなどで表示した仮想のサイクリングコースの勾配に合わせて負荷がダイナミックに変化する。自ら操作する必要がないうえにリアリティが高いというメリットもあるのだ。
仮想のサイクリングコースと連動するということは、KICKRと連動するソフトウェアが必要ということ。つまり、KICKRはバーチャルなサイクリングが楽しめるソフトウェアとセットで利用するのが基本になる。
そのなかでも有名なのが「Zwift」だ。3Dグラフィックで構築されたリアルなサイクリングコースを、世界中のユーザーと一緒に好きなだけ走ることができる。雑に例えれば、自転車で動き回るオープンワールドなオンラインRPGみたいなもの、と言えるだろうか。
実際のところは自由に世界を動き回れるわけではないから、その意味でオープンワールドとは言えない。最初にいくつかある決められたコースのなかから選んで、そのコースから外れることなくただひたすら走り続けることになる。分岐点でルートを選んだり、Uターンしたりはできるものの、自由度は高くない。
ただしユーザーとしてはペダリング、足を動かすことに専念できるので、フィジカルトレーニングには最適だし、プレー中に誰かと衝突することもなく、(よほどのことがなければ)転倒することもないので安全だ。
Zwiftを始めるのに必要なもの
KICKRのようなスマートサイクルトレーナーでバーチャルサイクリングを始めようとしたとき、ネックとなるのはやはり準備すべき機材の多さ。
KICKR以外に、取り付け可能な自転車(ロードバイク)と、Zwiftを動作させるPCが最低でも必要。できればワイヤレス(BluetoothもしくはANT+)で接続できる心拍センサーも揃えたいし、熱中症防止のために扇風機かサーキュレーターもあった方が便利だ。KICKR自体、実売価格が15~16万円とそれだけで本格的な自転車1台分に相当してしまうわけで、金額面でのハードルもなかなか高い。
ただPCについては、代わりにスマートフォンやiPad、Apple TV(+ディスプレイ)を使ってもほぼ同じことができるので、そこである程度コストを抑えることはできる。Wahooのスマートサイクルトレーナーには最上位のKICKRのほかに、中位モデルの「KICKR Core」(113,000円)や下位モデルの「KICKR SNAP」(63,250円)もあるので、許せる予算の範囲内で組み合わせを考えると良いだろう。
一方で、今は予算があったとしてもどうしようもない問題もある。4月末時点でこれらスマートサイクルトレーナーが品薄気味になっているのだ。Wahooの公式オンラインストアではKICKRとKICKR Coreが在庫切れとなっており、KICKR SNAPの在庫はあるものの配送には通常より時間がかかるとアナウンスされている。もちろん、原因は新型コロナウイルスであり、筆者と同じように室内トレーニング用に買い求めるユーザーが増えていることも遠因かもしれない。
それでも、在宅勤務で体重増に歯止めがかからない状況を改善したいなら、今うちに注文して室内サイクリング環境を整えておきたいところ。
屋外で気兼ねなくトレーニングできるようになるまで、まだ時間がかかるだろうし、たとえ屋外トレーニングできるようになっても、6月の梅雨の時期のように悪天候で外出できないシチュエーションは少なくない。
そんなときでもKICKRがあれば好きなときに好きなだけ室内サイクリングで汗を流せるのだ。なんてすばらしい! さあ、さっそく注文だ!
と、なんだかものすごく宣伝色が強くなってしまっているが、今回、筆者はKICKRを自腹購入している。これまでいくつかの企画でKICKRを使ってきたけれど、いずれもメーカーから一時的にお借りしたもの。しかしさすがにこの状況になると、長期的な健康維持のためには無理してでも投資すべきだと考えた。それだけ今回の企画は本気なのである。是が非でも16万円分の本気を見せていきたい。これからの30日間で、目指すは体重70kg切りである。
2週間経過。筆者の体重はどうなったか
そんなわけで、この原稿を執筆しているのはスタートからちょうど半分、2週間が経過したところ。在宅勤務メインになってからというもの、過去最高体重の記録を更新し続けている筆者のチャレンジスタート時点の体重は76.5kgであり、目標である70kg切りには6.5kg以上削らなければいけない。
どれだけトレーニングすればどれだけ減るか、なんてことは当初何も計算していなかったが、現実的に1日に室内サイクリングに割けるのは1時間ほど。30日間休まずに、毎日少なくとも1時間自転車をこぐことにして、あとは普段通り過ごし、食事も取り立てて制限することなく、自由にやってみることにした。何事もメリハリが大事である(好きなものを好きなだけ食べたいんじゃ!)。
Zwiftもその日に走るコースは気まぐれに選んで、ソロで可能な限り全力で走るというシンプルなスタイルとした。そうではなく、一定期間ごとの走行目標を立てたり、友達や世界中のユーザーと一緒に走る「MEET UP」というイベント走行に参加したりと、ストイックに走ることも、みんなと楽しみながらトレーニングすることもできるので、自分に向いた方法で取り組みたい。
さて、30日間の半分となる15日を経過した今、筆者の体重がどうなっているか。目標到達のためには少なくとも3.25kgは減っていてほしいところだが、以下のグラフを見ていただきたい。
なんだろう、この見事なまでのフラット具合は。15日目の体重は75.8kgで、トータルではたったのマイナス700gだ。というか期間中の体重の増減を見る限り、この700gというのはほとんど誤差の範囲ではないか。少なくともZwiftに励んでいるおかげで体重が減っている、とは言いがたい。絶対に減ってなるものか、という強い意志を感じる。
これからの2週間が正念場
原因は、食べ過ぎも考えられるが、圧倒的な運動不足だろう。体重(体内脂肪)を1kg減らすためには7,000kCalを消費する必要があると言われている。6.5kg減量するには、食事による摂取カロリー分を差し引いたうえで45,500kCalを期間内に消費しなければならない。30日で消費するとなると、1日当たりはだいたい1,517kCalだ。対して、Zwiftを1時間プレーして消費するのは平均700kCal程度。1日に必要なカロリー消費を半分しか達成できていないことになる。
もちろん、安静時にもカロリーは消費しているし、日常生活で自然と消費されるものもあるから、今の2倍以上自転車をこがないとやせない、という計算にはならない。のだけれど、体組成計によれば筆者の基礎代謝量は1,730kCal前後であり、これにZwift分の700kCalが加算されたとしても、2,400kCalとちょっと。筆者のような体格の、男性の一般的な1日当たりの必要カロリーが最大2,400kCal程度のようだから、要するに体重は増えもしなければ減りもせず、「現状維持」に止まるわけだ。
今後、抜本的な対策を施さなければ到底挽回できない情勢である。 これからの2週間が正念場だ 。不要不急の外出を避けながら4万kCal消費しなければいけない。今求められているのは生産性の高い仕事とトレーニングの仕方である。まさに働き方改革。いや、もう普通に考えて無理な気もするけれど、奥の手を使ってでも最後までやり遂げる所存である。次回、2週間後まで自宅待機!