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また、低消費電力という点については、IGZOによる液晶パネルは大きなアドバンテージがある。一般的なアモルファスシリコンを利用した液晶パネルは、画面に文字やグラフィックなどを表示するとき、1秒間に60回も駆動する必要があるため、その間、CPUも休みなく動き続けている。表示している情報が静止画でもその動きは変わりない。これに対し、IGZOによる液晶パネルは、静止画の表示中であれば、1秒間に1回の駆動で表示を維持することができるため、それ以外の時間はCPUの動作を休ませることが可能だ。自動車のアイドリングストップと同じような動作だと考えれば、わかりやすいだろう。従来のアモルファスシリコンによる液晶パネルは、信号で停まっているときも常にエンジンが動作したままだが、IGZOによる液晶パネルは信号で停まっているとき、1秒に最小1回だけ、エンジンを動作させるだけで済み、消費電力を大幅に抑えることができる。
このIGZOによる液晶パネルの省電力に加え、従来からシャープがスマートフォンで取り組み、高い評価を得ている独自のAndroidプラットフォームの省電力機能「エコ技」機能を組み合わせることにより、連続待受時間が3Gで約1040時間、LTEで約980時間、連続使用時間が静止画表示時で約24時間、動画再生時で約12時間を達成している。ちなみに、バッテリーは固定式だが、3460mAhの大容量リチウムポリマーバッテリーを搭載しており、約330分でフル充電が可能だ。防水防じん対応モデルということもあり、卓上ホルダが同梱されているので安心して使うことができる。ちなみにこの卓上ホルダはワンセグ視聴時も重宝する。 |
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【動画】IGZOの高感度タッチを試してみるため、鉛筆でSHT21をタッチ操作してみた様子 |

SHT21は冒頭でも説明したように、約7.0インチのIGZOによる液晶パネルを搭載しているが、他の7インチクラスの液晶パネルを搭載したモデルに比べ、軽量かつスリムに仕上げられている。
ボディを手にしたとき、最初に感じるのがボディ幅がスリムで、やや縦長に見えることだ。通常、7インチクラスの液晶ディスプレイを搭載したタブレットは、「片手で持てるくらいスリム」といった形容詞で語られるが、実際にはほとんどのモデルが130mm以上の幅があり、男性なら片手で持てるものの、女性の手で持ち続けるにはそれなりの握力が必要とされる。これに対し、SHT21はボディ幅が約106mmに抑えられており、グッとスリムになっている。これはIGZOによる液晶パネルが配線を細線化でき、液晶パネル周囲のフレームも極小化する「Edge to Edge設計」を採用したためだ。実際に、店頭などで他の7インチクラスのタブレットと比較して欲しいが、液晶ディスプレイ部の左右のスペースは7インチクラスのタブレットでもっとも狭く、5インチクラスのスマートフォンと比較しても遜色がないほど、狭く仕上げられている。
また、持ち歩くという点においては、やはり、重量も気になるところだが、このクラスの防水防じん対応タブレットではもっとも軽い約272gに抑えられている。この程度の重さであれば、普段、カバンに持ち歩くだけでなく、旅行などに持っていき、スマートフォンやフィーチャーフォンと併用しながら使ったり、音楽などのエンターテインメントを楽しむための機器として活用する使い方もしやすいだろう。
ちなみに、ボディについて、もう少し補足しておくと、SHT21の背面側は周囲を少しラウンドさせ、手に持ちやすい形状に仕上げている。背面パネルはマットなシボ加工が施されており、指紋などが付きにくく、キレイに使うことができる。microSDXC対応のメモリーカードスロットやau Micro ICカード(LTE)スロット、MHL対応のmicroUSB外部接続端子はいずれも底面側に備えられており、それぞれには防水パッキンつきのキャップがついている。背面中央に「NFC」の文字がプリントされていることからもわかるように、非接触ICのType A/B搭載によるNFCにも対応しており、NFCを利用したサービスや機能をいち早く利用できる環境が整っている。
ハードウェア面ではCPUに米QUALCOMM製デュアルコアプロセッサ「SnapDragon S4」MSM8960/1.5GHzを搭載し、メモリーは16GB ROMと1GB RAMという構成となっている。通信環境については、auが10月からサービスの提供を開始した「4G LTE」サービスに対応しており、受信時最大75Mbps、送信時最大25Mbpsの超高速データ通信が利用可能だ。auの4G LTEサービスについては筆者自身もスマートフォンで利用してきたが、新たに開始されたサービスでありながら、エリアも広く、超高速データ通信のメリットを何度も体験することができている。なかでも4G LTEサービスではオプションを契約することにより、テザリングが利用できるが、3G対応端末のときと違い、パケット通信料の上限が本体のみで利用したときと変わらないため、テザリングを使いやすい環境にある。特に、SHT21のようなタブレットであれば、バッテリー容量も大きいため、電池残量を気にしながら使わなくても済む。ちなみに、シャープによれば、Wi-Fiテザリングは連続利用で3Gなら約850分、LTEでも約500分も利用できるという。実際の利用シーンでは、モバイルノートパソコンやゲーム機などとの組み合わせが一般的だろうが、実は3G対応スマートフォンを持つユーザーがSHT21を組み合わせ、大容量のデータをダウンロードするときなどに4G LTEサービスのパフォーマンスを活かしたり、最大10台まで利用できるメリットを活かし、旅先などで友だちや家族と一時的にインターネット接続を共有するといった使い方もできる。
Wi-Fiについては、2.4GHz/5GHzの両帯域を利用したIEEE802.11a/b/g/nに対応しており、無線LANアクセスポイントの簡易接続設定は、業界標準の「WPS」、バッファローの「AOSS」に対応する。au Wi-Fi SPOTへの接続も簡単だが、ワイヤレスプリントにも対応しているため、Webブラウザなどで表示しているページや「書」ノート(かくノート)で書き込んだメモを直接、プリンターにWi-Fi経由で送信し、プリントすることもできる。プリンターの方もワイヤレスプリントに対応したものが今年から増え始めており、将来的なことを考えてもこの機能がサポートされているのは便利だ。
さらに、Bluetooth 4.0に対応しており、今後のアップデートで、カシオ計算機製Bluetooth対応G-SHOCKとペアリングすることで、SHT21でのメール受信を腕時計側にワイヤレスで通知させることが可能となる予定だ。Bluetooth利用時の高音質技術「aptX」にも対応しており、同技術に対応したBluetoothヘッドホンなどを組み合わせることで、高音質かつ高品位のサウンドをワイヤレスで楽しむことができる。特に、auの場合、「うたパス」や「LISMO unlimited」、「ビデオパス」といったコンテンツサービスが充実しているため、さまざまなシチュエーションで活用できそうだ。
カメラについては、背面に裏面照射型CMOSセンサーによる約808万画素カメラを搭載し、カメラ部の隣にはモバイルライトも備える。タブレットのカメラ機能というと、今ひとつ注目されてこなかった印象もあるが、約7.0インチの大画面をファインダーとして利用できるうえ、SHT21では撮影した写真を付属のスタイラスペンを使い、文字や絵を描き加えたり、画像を切り抜いて、デコレーションをするなど、多彩な使い方ができる。機能的には、撮りたいときにすぐに撮影できる「ON速起動」、0.3秒のわずかなタイムラグで連続撮影ができる「連撮モード」、多彩なシーンを会わせた撮影ができる「高精度シーン別検出エンジン」、露出の異なる画像を自動的に撮影して合成できる「HDR撮影」など、スマートフォンのカメラ機能とほぼ同等のものが搭載されている。ちなみに、本体前面には約31万画素のサブカメラも備えられており、自分撮りや身だしなみチェックに活用できる。
さらに、SHT21はUSBホスト機能にも対応しているため、本体底面のmicroUSB外部接続端子にキーボードやマウスを接続して使うこともできる。画面にタッチしての文字入力に慣れないユーザーや文書作成などに頻繁に使うユーザーは、コンパクトな外付けキーボードを組み合わせて使うと便利だ。

SHT21には前述のように、IGZOによる液晶パネルを活かすため、スタイラスペンが付属し、本体左上部から取り出すことができる。このスタイラスペンを活かせるのが「Pen Flow」だ。
スタイラスペンによる入力を活かすために、「書」ノートというアプリがプリインストールされており、ロック画面からすぐに起動し、いつでもすぐにメモを取ることができる。「書」ノートにはスケジューラ機能、メモ機能、ノート機能が搭載されており、いずれの機能でもスタイラスペンによる入力が可能だ。メモ機能ではWebサイトや画像など、さまざまな画面に直接、ペンで文字などを書き込むことができる。スケジュール機能も手書きに対応し、登録した予定に絵を描き込んだり、色を付けるなど、視覚的にも楽しめるように作られている。手帳にいろいろなアイコンやマークを書き込んできたことが多い女性ユーザーにもうれしい機能と言えそうだ。
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画面下部に表示されているペンのアイコンをタップすることで、ロック画面からでも「書」ノートを起動できる |
Webサイトや画像などに直接書き込むことができる「メモ機能」 |
とったメモを閲覧、編集できる「ノート機能」は、手書き検索もできる |
手書きに対応し、絵を描き込んだり色を付けたりできる「スケジュール機能」 |
また、シャープでは新しいユーザビリティを追求するため、2012年夏モデルからスマートフォンでは「Feel UX」と呼ばれる新しいオリジナルのホームアプリ(オリジナルUI)を搭載している。起動直後に表示される「ウェルカムシート」には、複数の壁紙を設定できるほか、画面下には天気予報や株価などの情報を表示することができ、ロックボタンをタッチすれば、電話やメール、カメラなどの機能もすぐに呼び出せる。ロックを解除したときに表示される画面は、「アプリケーション」「ウィジェット」「ショートカット」という3つの縦方向にスクロールするシートが設定されており、上段のタブをタップすることで、それぞれのラインを切り替えられるようにしている。シャープ製スマートフォンのFeel UXでは、アプリケーションシートやショートカットシートに並ぶアイコンが3列表示と4列表示を選べたが、SHT21はタブレットということもあり、4列表示と5列表示から設定できる。タブをタップすると、最上段と最下段をすぐに行き来できるほか、それぞれのシートのタブをロングタップすれば、並び順を変更することもできる。
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「ウェルカムシート」。ロックボタンをタッチすることで、アプリのショートカットをすぐに呼び出せる |
オリジナルのホームアプリ「Feel UX」を搭載 |
Android標準のランチャーも利用できる |
画面端からフリックすることで表示される「クイックツールボックス」 |
ところで、一般的にタブレットは画面サイズが大きいため、タッチ操作をするとき、指先を動かす範囲が広くなる傾向にあるが、SHT21ではシャープ製スマートフォンでも好評を得ている「クイックツールボックス」が搭載されており、ブラウザを利用しているとき、画面端からフリックをすることで、ブックマークや戻る、進むといった操作が簡単にできるメニューを表示することができる。フリックする位置は画面端であれば、どこでも構わないので、ぜひ覚えておきたい使いこなしだ。

ここ数年のスマートフォンの進化と普及には、この業界に関わる我々も驚かされたが、冒頭でも説明したように、その一方でコンテンツサービスもかなり充実してきている。これまでスマートフォンはケータイからのスムーズな移行のために、三種の神器をはじめとするハードウェアをしっかりとサポートすること、ケータイで利用してきたメールなどが継承できることばかりが注目されてきたが、実はアプリだけでなく、音楽をはじめ、映画やドラマなどが楽しめる映像サービス、雑誌や書籍、新聞が読める電子書籍サービスなども充実し、さまざまなサービスを選べる環境が整いつつある。これらのサービスを利用するのは、基本的にスマートフォンということになるが、実はモバイルツールとしてのポテンシャルを考えると、タブレットはかなり魅力的な選択肢だ。
そんな可能性を持つタブレットの本命とも言えるのが今回解説した「AQUOS PAD SHT21」だ。IGZOによる液晶パネルを採用することにより、これまでのタブレットを大きく上回る省電力、高画質のディスプレイ、コンパクトなボディ、快適に利用できるユーザーインターフェイスなど、さまざまな面において、新しいモバイルの活用スタイルを快適に体験できるように作り込まれている。なかでも省エネ性能については、今までのタブレットやスマートフォンのイメージを大きく覆すものであり、タブレットを経験したユーザーも未経験のユーザーもぜひ一度、体験してみて欲しいモデルと言えるだろう。

1963年神奈川県出身。携帯電話をはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。主な著書は「できるWindows 7」をはじめ、「できるポケット SoftBank AQUOS PHONE 006SH スマートに使いこなす基本&活用ワザ 150」(2011年6月30日発売)、「できるポケット docomo AQUOS PHONE SH-12C スマートに使いこなす基本&活用ワザ 150」(2011年6月16日発売)などのスマートフォン関連も数多く執筆。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。Impress Watch Videoで「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。
■ AQUOS PAD SHT21 製品情報(au)
http://www.au.kddi.com/seihin/ichiran/tablet/sht21/
■ AQUOS PAD SHT21 製品情報(シャープ)
http://www.sharp.co.jp/products/sht21/
■ シャープ 携帯電話 auラインアップ
http://k-tai.sharp.co.jp/lineup/au/
■ LTE対応、7インチIGZO液晶搭載タブレット「AQUOS PAD」
http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20121017_566358.html

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