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SH-06Eに採用された4.8インチのフルHD IGZO搭載。スマートフォンにとって、ディスプレイは総合的なパフォーマンスを大きく左右することになるキーデバイスのひとつだが、「IGZO」とはどういうものだろうか。 まず、IGZOはシャープが世界ではじめて量産化に成功した「インジウム(In)」「ガリウム(Ga)」「亜鉛(Zn)」によって構成される酸化化合物で、これを液晶ディスプレイのTFT(薄膜トランジスタ)に活かして作られた液晶パネルが「IGZO」ということになる。一般的にTFT液晶パネルは素子が格子状に仕切られ、それぞれの枠にはひとつずつ薄膜トランジスタが付けられており、これに電気を通し、枠内の液晶を変化させることで、バックライトからの光を通したり、遮ることで、画面の文字やグラフィックを表示させている。枠内の液晶を変化させる重要な役割を担う薄膜トランジスタだが、液晶の素子の枠内に付けられているため、実は自らがバックライトの光を遮ってしまう邪魔な存在にもなっている。 これに対し、IGZOは一般的な液晶に採用されているアモルファスシリコンに比べ、電子移動度が高いため、液晶の素子の枠内に付けるトランジスタを小型化できるうえ、格子の枠の細線化もできるため、バックライトを遮るものを大幅に減らすことができる。その結果、限られた対角サイズでも高精細化を実現しやすく、少ない光量のバックライトで液晶を明るく表示させることが可能になる。つまり、ディスプレイとして、一定の明るさを実現するために、従来のアモルファスシリコンによる液晶に比べ、IGZOは光の透過率が高いため、無理にバックライトを明るくする必要がなく、結果的に消費電力を抑えることができる。こうした特徴はIGZOのものとして、SH-02Eなどでも説明してきたが、今回のSH-06Eのように、ディスプレイがフルHDになれば、当然のことながら、液晶の素子の格子はより高密度になり、トランジスタの数も一気に増えるため、さらにIGZOのアドバンテージが活かされることになる。フルHD対応ディスプレイでは今まで以上にディスプレイの消費電力が増え、スマートフォンの連続使用時間にも大きな影響を与えるが、IGZOは液晶パネルそのものの消費電力が少ないため、長時間の利用が可能になるわけだ。
そして、IGZOが他のディスプレイに比べ、もうひとつ大きなアドバンテージを持っているのが「液晶アイドリングストップ」と呼ばれる省電力機能だ。一般的に、アモルファスシリコンをはじめとした液晶パネルは、毎秒60回もCPUによって書き換え動作が発生するが、IGZOは1秒に1回しか書き換え動作が発生しないため、エコカーのアイドリングストップと同じように、静止画を表示しているときなどの電力消費を抑えることができる。これに加え、「FEEL artist」と呼ばれる新開発の映像リアリティエンジンを使い、表示に合わせた画像伝送を制御することにより、さらに電池の消費を抑えることに成功している。
また、気になる画質については、フルHD化されたこともあり、格段に美しさが増した印象だ。ちなみに、一般的な印刷物や写真プリントは300~350ppiだと言われているが、SH-06Eに搭載されているIGZOは、4.8インチの対角サイズであるため、460ppiというスマートフォンではトップクラスの高密度表示を可能にしている。画質モードについては、周囲の明るさや照明の種類、時間帯などに合わせ、自動的にインテリジェントに画質を調整するユースフィットモードをはじめ、色空間の国際標準規格であるsRGBに合わせ、ネットショッピングなどで有利なナチュラルカラーモード、ディスプレイの色調整でちらつき感を抑え、目に優しい表示が可能なリラックスモードなども選ぶことができる。公共交通機関などで利用するとき、周囲からののぞき見を防ぐベールビュー、屋外や太陽光の強い場所でもコントラストなどを調整して見やすくするアウトドアビューなど、従来のシャープ製スマートフォンで好評を得てきた機能も継承されている。ちなみに、ディスプレイの色空間調整については、コンピュータグラフィックなどでも利用されることが多いHSV色空間にも対応しており、自然な色合いへの調整を可能にしている。 |
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また、カメラの起動についても、最速時約0.4秒という「カメラON速起動」に対応する(※)。撮りたいときにすぐにカメラを起動できるため、シャッターチャンスを逃さないわけだ。撮影時の機能もシーン別撮影やパノラマ撮影、連写、笑顔フォーカス、振り向きシャッター、HDRなど、シャープ製スマートフォンでおなじみの機能が搭載されている。これらの多彩なカメラ機能を誰もが簡単に使えるように、シンプルカメラUIが採用され、ファインダーには機能ボタンとアイコンがシンプルに表示されるのみとなっている。
※ Feel UXのウェルカムシートからカメラを起動した場合
フロントカメラについては120万画素から210万画素にアップされ、メインカメラと同じ裏面照射型CMOSセンサーが採用されており、室内などでの光量があまり多くない環境でも自然な写真を撮ることができる。フロントカメラを使い、身だしなみをチェックできる手鏡モードが従来モデルでも女性ユーザーを中心に好評だったが、今回はフルHD対応になり、細かい部分も含め、しっかりとチェックできるように進化を遂げている。
カメラと並んで、スマートフォンで広く利用されている音楽をはじめとしたエンターテインメント機能も充実している。
Androidスマートフォンでは標準で音楽プレーヤーが搭載されているが、SH-06Eには高級オーディオ機器にも採用されているWolfson社製の高音質LSIを搭載することにより、SN比113dBという解像度の高い音楽再生を実現すると共に、AACやMP3形式の楽曲データを効率良く処理する独自の技術を組み合わせることにより、音楽の連続再生時間で最長75時間を実現している。これまでの多くのスマートフォンでは音楽プレーヤーの機能が搭載されているものの、電池残量が気になって使えない、使わないといった声も聞かれたが、SH-06Eであれば、音楽も存分に楽しむことができる。音楽の再生はステレオイヤホンやBluetoothヘッドセットのほか、FMトランスミッタでの出力にも対応する。
ちなみに、パソコンで音楽データや写真などを管理できるWindowsアプリケーション「MediaJet」が付属しており、パソコンにインストールすれば、簡単にSH-06E向けに音楽データを取り込んだり、他の音楽管理ソフトで取り込んだ楽曲データを利用することも可能だ。
さらに、ワンセグやNOTTVなど、映像コンテンツを楽しむ機能も充実している。なかでも注目されるのが「Miracast」への対応で、SH-06Eに表示中の画面をMiracast対応テレビ、もしくはMiracastアダプタを装着したテレビに出力することができる。スマートフォンで利用できる高品質なビデオ配信サービスが急速に増えているが、これらのコンテンツをテレビの大画面で楽しむこともできるわけだ。
ちなみに、他の機器との接続という点においては、液晶テレビAQUOSなどと接続できるスマートファミリンク、無線LAN対応プリンタを利用したワイヤレスプリントをはじめ、MHLによる接続、USBホスト機能、G-SHOCK連携をはじめとする、さまざまなBluetooth 4.0対応機器との連携、NFC連携など、多彩な機器と簡単に接続できる環境を整えている。さまざまな機器と組み合わせることで、SH-06Eの世界はさらに拡がることになりそうだ。

美しく省電力性能に優れたIGZO搭載液晶を採用したSH-06Eだが、その美しさを活かすために、なめらかで継ぎ目のないボディにまとめられている。
モデルごとに少しずつ印象は異なるが、これまでのAQUOS PHONEは直線的なデザインをうまく活かした力強いデザインだったのに対し、今回のSH-06Eは一体キャビによるなめらかなフォルムに仕上げられており、手に持ったときのフィット感もしっくり来る印象だ。ちなみに、SH-06Eのディスプレイの対角サイズは4.8インチで、前モデルのSH-02Eの4.9インチとわずかに異なるが、従来モデル及び多くの機種がホームキーやメニューキーをディスプレイ内にソフトウェア的に表示する手法を採っているのに対し、SH-06Eはディスプレイ下にセンサーキーによるホームキーやメニューキーを備えているため、ディスプレイにアプリを表示できるエリアは非常に広い。ボディカラーは3色がラインアップされ、Blueのみが光の反射で輝くグラデーションエッジガラスを採用する。
microSIMカード及びmicroSDカードスロットは本体上面のキャップ内に備えられており、その隣に3.5φのステレオイヤホン端子、電源スイッチなどがレイアウトされている。底面にはキャップのない防水USB構造によるmicroUSB端子(外部接続端子)が備えられる。2600mAhのバッテリー(電池)は基本的にユーザーが着脱できない固定式だが、本体背面下部に備えられた着脱式のカバーが取りはずせるようになっており、ドコモショップ店頭でこの部分から電池パックを抜いて、交換することができる。他の固定式バッテリーを採用する端末では将来的な電池交換が修理対応になり、本体も初期化しなければならなくなるため、あまり使い勝手が良くないが、こうした店頭対応が可能な構造はユーザーがスマートフォンを長く使っていくうえでも安心できる。ちなみに、電源については、防水なのにキャップがないことで充電しやすく、ワイヤレス充電の標準規格である「Qi」に対応したおくだけ充電も利用できる(ワイヤレスチャージャーは非同梱)。さらに、ACアダプタによる急速充電にも対応しているため、電池残量の状況に応じて、いろいろな充電方法を選ぶことができる。
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防水なのにキャップがないmicroUSB端子 |
バッテリーは固定式だが、本体背面下部のカバーが取り外せるようになっており、この部分からドコモショップ店頭で電池パックの交換が修理対応で可能になる |
背面下部には、ストラップホールも備える |
実際のユーザビリティについては、新たに開発した「UIリアリティ技術」により、視覚や聴覚、触覚など、ユーザーの感覚に訴える要素が増え、さまざまな機能の使いやすさの中にも感覚的なわかりやすさ、理解しやすさが盛り込まれている。
たとえば、スマートフォンを触りはじめたとき、多くの人が画面をタッチしたのか、反応しなかったのかがわからなかったり、ある程度、慣れてきても操作をミスしてしまうことがある。そこで、SH-06Eではサウンド・タッチフィードバックという新しい機能を搭載することにより、ユーザーが自分でどのように操作しているのかを音と細かな振動で把握できるようにしている。たとえば、画面をスクロールさせるとき、その画面の最後まで行くと、コンッと壁に当たるような振動が音と共に伝わってきたり、シャープ製スマートフォンでおなじみのホームアプリ「Feel UX」のシート切り替えも効果音と共にシートが浮き上がるようなアニメーションをするなど、細かい演出が数多く用意されている。着信音やお知らせ音なども凝ったものが収録されているが、効果音も含めた音全般については、サウンドクリエーターの井出祐昭氏(井出 音 研究所)が担当している。普段、スマートフォンはマナーモードで使っていても、SH-06Eを使いはじめると、音を出すことが楽しくなりそうだ。
また、シャープ製スマートフォンの特徴でもあるホームアプリの「Feel UX」については、壁紙や画面の色などの素材感をテーマで統一したデザインに一括設定したり、初心者にもわかりやすいように、ウィジェットやショートカットを表示せず、アイコンと文字が大きくなるシンプルモードを用意するなど、新たな改良が加えられ、一段と使いやすくなっている。ちなみに、SH-06Eのホームアプリとしては、Feel UX(3ラインホーム)のほかに、NTTドコモの「docomo Palette UI」がインストールされているほか、Google Playから「SHホーム」をダウンロードして利用することが可能だ。
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Feel UXの3ラインホーム |
壁紙や画面の色をテーマで統一したデザインに一括設定できる |
ウィジェットやショートカットを表示せず、アイコンと文字が大きくなるシンプルモード |
docomo Palette UIもインストールされている |
操作については、従来モデル同様、シャープ独自のダイレクトトラッキング技術によるチューニングが活かされているが、今回のSH-06Eでは新たに画面に触れずに操作できる「エアオペレーション」「エアズーム」が利用できる。エアオペレーションはパターンを利用したロック画面を解除するとき、画面に触れずにパターンをなぞって解除できるため、画面に指先の動きの跡を残さずに済み、安全に使えたり、エアズームは、ブラウザにWebページを表示中、画面に指を近づけるだけで、一部分が拡大されてリンクを選びやすくするなどのメリットがある。また、本体が画面オフのとき、背面をトントンと叩いて起こす「Finger Step」、声で機能を起動できる「Voice Awake」、画面オフのときに電源キーを押さずに、画面をなぞってオンにする「Sweep ON」、振って画面をオフにできる「Shake OFF」などの機能も利用できる。さらに、最近のシャープ製スマートフォンに搭載されてきた「クイックツールボックスEX」については、どのアプリを利用中でもホームボタンを長押しするだけで表示することができ、ちょっとした機能をすぐに使えるように作られている。
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【動画】「エアオペレーション」で、画面に触れずにパターンロック解除 |
【動画】「Sweep ON」で、電源キーを押さずに画面をなぞってオンにする |

日本仕様をサポートしたスマートフォンがシャープをはじめとしたメーカー各社から登場し、国内でのスマートフォンの本格的な普及がスタートしてから、すでに2年半近くが過ぎ、コミュニケーションからエンターテインメント、ビジネス、生活など、さまざまなシチュエーションでスマートフォンを活用できるようになってきた。そんな多彩なシーンでスマートフォンを活用するには、スペックをはじめとした基本性能はもちろん、ワンセグやおサイフケータイ、赤外線通信、防水といった日本のユーザーが求める機能をしっかりとサポートしたものが必要になってくる。そして、何よりも大切なのは電池だ。いざというとき、スマートフォンにしっかりと電池残量があり、安心して利用できる状態でなければ、せっかくのスマートフォンのポテンシャルを最大限に引き出すことができない。今回のSH-06Eは、他機種を圧倒する高い省電力性能に加え、最先端のハイスペック、優れたユーザビリティを持つなど、欲張りなユーザーのニーズに応え、スマートフォンを楽しみ尽くすモデルとして、仕上げられている。スマートフォンをもっと楽しく、もっと快適に、もっと便利に使いたいユーザーのための最強の『ワントップ』と言えるだろう。
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プロダクトデザイン篇 |
NO CHARGE JOURNEY篇 |

1963年神奈川県出身。携帯電話をはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。主な著書は「できるWindows 8」をはじめ、「できるWindows 8」、「できるポケット docomo AQUOS PHONE ZETA SH-06E スマートに使いこなす基本&活用ワザ 150」(2013年5月24日発売)、「できるポケット SoftBank AQUOS PHONE 006SH スマートに使いこなす基本&活用ワザ 150」(2011年6月30日発売)などのスマートフォン関連も数多く執筆。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。Impress Watch Videoで「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。
■AQUOS PHONE ZETA SH-06E 製品情報
http://www.sharp.co.jp/products/sh06e/
■シャープ 携帯電話 NTTドコモラインアップ
http://k-tai.sharp.co.jp/lineup/docomo/
■4.8インチのフルHD IGZO搭載「AQUOS PHONE ZETA SH-06E」
http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20121011_565004.html
■ドコモ、「AQUOS PHONE ZETA SH-06E」24日発売
http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20130521_600232.html

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