法林岳之レビュー

ついに来た!
あのフレームレスデザインが防水に!
コンパクトボディに5.2インチ大画面を搭載

昨年夏に発表されて以来、国内はもとより、海外でもその独特の「フレームレスデザイン」が話題となった5.0インチスマートフォン「AQUOS CRYSTAL」。昨年12月には日本仕様を搭載した5.5インチの「AQUOS CRYSTAL X」も発売されたが、今回2015年夏モデルとして登場した5.2インチの「AQUOS CRYSTAL 2」は、サイズ的にも初代AQUOS CRYSTALの正当後継機だ 。

ディスプレイだけを持ち歩くようなフレームレスデザインを継承しながら、ワンセグやおサイフケータイなどの日本仕様を取り込みつつ、ついに防水にも対応した待望のモデル「AQUOS CRYSTAL 2」、その仕上がりをチェックしてみよう。

AQUOS CRYSTAL 2

世界中から注目を集めたフレームレスデザイン

市場の主流がケータイからスマートフォンへシフトして、すでに数年が経過しているが、ケータイ時代はあれほどまでに個性的だった端末のデザインは、スマートフォンにおいてはほとんどの機種がスレート(板)状のボディを採用し、明確な個性を持たなくなりつつある。

そんなスマートフォンのデザインにおいて、昨年、ひとつの大きなインパクトを与えたのがソフトバンクのシャープ製スマートフォン「AQUOS CRYSTAL」だ。狭額縁液晶パネルにエッジカットを施した前面パネルを組み合わせることにより、まるでディスプレイだけを持っているようなフレームレスデザインを実現したモデルで、昨年夏の発表直後から日本だけでなく、海外のスマートフォン情報サイトでも取り上げられるなど、大きな話題となった。その後、米国でもSprintなどから同モデルが発売され、今年に入り、東南アジア向けにも投入されるなど、シャープ製スマートフォンのひとつの顔として、高い注目を集めている。初代AQUOS CRYSTALはワンセグなどの日本仕様がサポートされていなかったが、昨年12月にはディスプレイサイズをひと回り大きい5.5インチを採用し、ワンセグ、おサイフケータイ、VoLTE/HD Voiceに対応したAQUOS CRYSTAL Xが発売された。

日本だけでなく、海外でも高い注目を集めてきたフレームレスデザインのAQUOS CRYSTALだが、日本のユーザーからは防水機能を期待する声が多かったのも事実だ。グローバル市場ではまだまだ必須機能として扱われていない防水だが、改めて説明するまでもなく、日本においては高温多湿の環境に加え、24時間365日、日常的にスマートフォンを使い続けるユーザーが多いこともあり、防水に対するニーズはかなり高いが、AQUOS CRYSTALは発売当時の関係者のコメントでも「構造的に防水に対応させることはなかなか難しい」とされてきた。

しかし、初代モデルの発売から約1年を経て、いよいよ待望の防水にも対応した新モデル「AQUOS CRYSTAL 2」が発売された。AQUOS CRYSTALのフレームレスデザインはそのままに、IPX5/IPX7相当の防水性能を実現し、濡れた手でも気にすることなく、使うことができる環境を実現している。もちろん、ワンセグやおサイフケータイの日本仕様にも対応するほか、AQUOS Xxなどでも好評を得ている「グリップマジック」、シャープ製スマートフォンの新たな顔として着実に人気を拡大している「エモパー」も最新版を搭載するなど、まさに、この一台を待っていたというユーザーも多いはずだ。

フレームレスデザインが醸し出す美しい存在感

新たに発売されたAQUOS CRYSTAL 2を手にして、誰もが最初に驚かされるのがそのディスプレイだけを持つような独特のフレームレスデザインだ。前述の通り、スマートフォンのデザインはどうしても似通ってしまう傾向にあるが、フレームレスデザインは周囲の人が二度見してしまうほどの存在感とインパクトを持つ。筆者自身も従来モデルを海外渡航時に使っていたら、「それはどこのモデルだ?」と声をかけられることがあったくらいだ。

今回のAQUOS CRYSTAL 2も同じフレームレスデザインを採用。新開発の狭額縁液晶パネルにエッジカットを施した前面パネルを組み合わせ、レンズ効果によって、極限までフレームを見えなくするように仕上げられている。AQUOS CRYSTAL 2ではディスプレイサイズが約5.2インチと、初代AQUOS CRYSTALよりもひと回り大きくなったことで、さらにディスプレイの存在感が増した印象だ。背面側はラウンドした持ちやすい形状に仕上げられており、ボディ幅71mmながらも手の大きくないユーザーにも扱いやすいサイズ感を実現している。背面パネルのカラーもシンプルなブラックとホワイトに加え、ターコイズとピンクという目を引くカラーもラインアップされている。

横幅が非常に狭く、5.2インチとは思えないコンパクトさと持ちやすさ ディスプレイのエッジが斜めにカットされており、レンズ効果で大画面感とフレームレス感が増している カラーバリエーションは全4色

ディスプレイは1280×720ドットのHD表示が可能な約5.2インチのS-CG Silicon液晶を採用。新開発のバックライトとカラーフィルタ「S-PureLED(エスピュアレッド)」により、光の三原色すべての色再現性を向上させている。また、上位モデルと同じように、利用するアプリによって、画質を切り替える「おススメ画質モード」にも対応しており、テレビやゲームなどでは鮮やかに、カメラやアルバムは自然な色合いを再現する。

S-PureLED採用で色の再現性が向上

バッテリーは本体内蔵の固定式になり、2030mAhの容量を搭載する。フラッグシップモデルの3000mAh前後に比べると、容量が少ない印象を持つかもしれないが、シャープ製端末ではおなじみの省電力機能「エコ技」により、実質的には3日間に相当するロングライフを実現する。今回試用した範囲では他機種と比較して、同じくらいの利用頻度と持ち出し時間でもバッテリーの減りがかなり緩やかという印象を受けた。もちろん、使い方にもよるが、現在販売されているソフトバンクのスマートフォンの中でもトップクラスのロングライフと言えそうだ。

microUSB端子はキャップレス防水に対応

グリップマジック」は、すでにAQUOS Xxなどにも搭載され、好評を得ている機能だ。本体の左右側面のちょうど端末を握ったときに手が触れる部分にグリップセンサーが内蔵されており、手に持つと端末の画面がオンになったり、持っている間は画面回転を抑止したり、着信時には端末を持つことではじめて連絡先の登録名が表示されたり、ポケットの中に入れた状態で握るとバイブで着信の有無などを教えてくれたりするなど、非常に応用度が高い機能といえる。個人的には昨年来、他のAQUOSスマートフォンでも使っていたが、今や手放せない機能のひとつになりつつある。

端末を「握った」状態を感知して様々な機能を実現する「グリップマジック」

また、本体前面にはスピーカーが存在しないが、ディスプレイ部分が振動するダイレクトウェーブレシーバーを採用しており、周囲が騒がしいところでも耳にディスプレイをぴったりと当てる形にすれば、クリアな通話が利用できる。これに加え、ソフトバンクが昨年からサービスを開始したVoLTE/HD Voiceにも対応しており、対応機種との間で高音質通話が利用可能だ。

ワンセグやおサイフケータイに対応

初代モデル以来、ユーザーの期待が大きかった防水に対応したAQUOS CRYSTAL 2だが、その他の日本仕様もサポートされている。

ワンセグについては録画にも対応する。パッケージにはイヤホンマイク端子に接続するテレビアンテナケーブル(試供品)が同梱されているが、視聴にはテレビアンテナケーブルが必須というわけではなく、一般的なイヤホンやヘッドホンを挿しても同じようにクリアな画質で放送を楽しむことができた。音楽を楽しむためにイヤホンを持ち歩いている人も多いだろうが、そういった市販のイヤホンでもアンテナの効果が得られるのはユーザーとしてもうれしい。

おサイフケータイにも対応しており、背面中央にはおなじみのFeliCaマークが付けられている。

背面にはFeliCaポート。おサイフケータイに対応

日本ならではのサービス領域になるが、ビジネスユーザーにとって、「PrintSmash」はなかなか有用だ。AQUOS CRYSTAL 2に保存されている写真やPDFなどをWi-Fi経由でコンビニエンスストアのコピー機に送信し、プリントできるという機能で、仕事で取引先に資料を持っていくときもPCレスで対応できるので便利だ。

カメラはメインが800万画素CMOSイメージセンサーだが、ディスプレイ側のインカメラは昨年のAQUOS CRYSTALよりもスペックアップした210万画素CMOSイメージセンサーを採用する。

撮影機能については上位モデルと同等の機能が搭載されており、普段は「おまかせオート」で撮影しつつ、マニュアルで設定を変えた撮影を楽しんだり、全天球撮影で360度の風景を撮影するといった使い方ができる。撮影時にファインダー内に構図などをアドバイスするフレーミングアドバイザーも継承されている。面白いところでは1〜10秒おきに1枚を記録し、これを連続再生することで、動きの速い動画のように楽しめる「タイムラプス撮影(微速度撮影)」に対応している。電車やクルマでの移動時に、車窓からの風景を連続撮影したり、花の開く瞬間などを長時間撮影するのも夏休みシーズンには最適だが、意外に普段の生活で、自宅や外出時のカフェなどで外の様子を撮影してみるのも面白い。今までになかった新しいシーンが発見できるかもしれない。

内側のサブカメラについてはディスプレイの下側に内蔵されている。このままの状態で撮影することもできるが、天地を逆にして撮影すると、より自然な形での自分撮りが楽しめる。ワンタッチセルフタイマーにも対応しているため、シャッターにタッチしてから、2秒後か、5秒後にシャッターを切るという撮影もできる。

ところで、直接、カメラに関係する話題ではないが、AQUOS CRYSTALは従来モデルからフレームレスデザインを活かした機能として、本体の上の縁を横になぞると、スクリーンショットを撮る「Clip Now」という機能が搭載されている。Androidスマートフォンには標準で画面キャプチャの機能が搭載されているが、操作が面倒だったりして、やや使いにくい印象があったが、Clip Nowは本体の縁をなぞるだけなので、非常に簡単にスクリーンショットを撮ることができる。

画面脇に一時保存されたスクリーンショット画像を横スライドで全画面表示できる。 クリップした情報をすぐに確認できるので便利だ

WebページについてはURLもいっしょに保存されるため、あとからもう一度キャプチャ元のサイトに訪問するのに便利だ。また、マナーモードに設定しているときは、スクリーンショットを撮ったときの効果音が鳴らないのもうれしい点だ。よく電車の中で、画面キャプチャを撮っただけなのに、シャッター音が鳴り響いて、気まずい思いをするといったこともなくなるわけだ。

機能面では昨年来、AQUOSスマートフォンに搭載され、着実に人々がハマってきた(ハメられてきた?)「エモパー」も搭載される。エモパーも改めて説明するまでもないが、シャープが家電製品に搭載する人工知能「ココロエンジン」を搭載した製品を開発し、お掃除ロボット「COCOROBO(ココロボ)」などが各方面で話題になっているが、エモパーはこのココロエンジンで培われたノウハウをスマートフォンに活かしたもので、AQUOS CRYSTAL 2に内蔵されているキャラクターたちがユーザーのパートナーとして、心地良いタイミングで話しかけてきてくれるという機能だ。

ソフトバンク向けのAQUOSスマートフォンでは、昨年12月に発売されたAQUOS CRYSTAL Xで初搭載されたが、その後も着実にバージョンアップを遂げており、AQUOS CRYSTAL 2には現時点で最新の「エモパー2.0」が搭載される。従来バージョンとの違いとしては、よりユーザーが関心ある事柄について話しかけてくるようになったほか、「聞き返す」ことで話題を発展させることもできるように。さらに、これまでは外出時にはロック画面の文字のみで、音声で話しかけてくることはなかったが、エモパー2.0では外出時もイヤホンを接続していれば、位置情報などと連動して、「そろそろいつもの駅ですね」といった具合いに話しかけてくる。

エモパーのキャラクターについては、女性の「えもこ」、男性の「さくお」、ぶたの「つぶた」という3つのキャラクターが標準で搭載されているが、熱血キャラの「おれんじん」、不思議ちゃんキャラの「桜田かおる」もダウンロードで追加することができる。『実用』という観点では評価が分かれる機能かもしれないが、デジタルなツールでありながら、不思議な感情を持っているような演出が面白く、今までにない笑いや気づきを与えてくれる楽しい機能という印象だ。ぜひ、多くのユーザーに体験して欲しい機能のひとつだ。

防水対応にしたフレームレスデザインのAQUOS CRYSTAL 2は買い!

スマートフォンやケータイに限ったことではないが、やはり、どんな製品も個性が必要だ。スペックや機能など、いろいろな評価軸が考えられるが、普段、毎日のように持ち歩き、常に使い続けるモノであれば、デザインはもっとも重要なチェックポイントのひとつだろう。なかでもここ数年のスマートフォンはスレート状のボディでデザインが似通いつつあり、なかなか個性が発揮できない状況にある。

そんな中、ディスプレイのみを持ち歩くようなフレームレスデザインを実現したAQUOS CRYSTAL 2は、他製品にはない独特の存在感と個性を演出している。外見だけでなく、ワンセグやおサイフケータイなどの日本仕様に加え、防水にも対応するほか、カメラの多彩な撮影モード、使うことが楽しくなるエモパー2.0、実用的なグリップマジックなど、ユーザーが存分にスマートフォンを楽しめる機能が充実しており、「見た目も中身もスゴい端末」に仕上がっている。フレームレスという近未来的なデザインに、ユーザーが毎日を最大限に楽しめるポテンシャルを秘めたAQUOS CRYSTAL 2をぜひ体験していただきたい。

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執筆: 法林岳之

1963年神奈川県出身。携帯電話やスマートフォンをはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。主な著書は「できるWindows 8.1」をはじめ、「できるポケット docomo AQUOS PHONE ZETA SH-01F 基本&活用ワザ 完全ガイド」「できるゼロからはじめるタブレット超入門 Android 4対応」「できるポケット au Androidスマートフォン 基本&活用ワザ 完全ガイド」「できるWindowsタブレット Windows 8.1 Update対応」など、数多く執筆。Impress Watch Videoで「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。ホームページはこちら