今、注目すべきは光ディスク

昨今のPC事情としては、Blu-ray Discドライブの重要性は薄れてきているように思えるし、実際、ほとんど利用していない人も多いだろう。話題のモバイルノートやタブレットPCのほとんどは光学ドライブを内蔵していないし、PC自作の分野では光学ドライブを搭載せずに運用している人も多い。ゲームなどもネット経由で簡単に購入することができる。しかし、OSや市販パッケージソフトのインストール時や、購入やレンタルしたオーディオCDの取り込み、Blu-ray Discの鑑賞など、あればうれしいシーンは多いし、いろいろとPCの用途も広がる。また、それ以上に、最近のタブレットPCやノートPCのバックアップ用途として積極的に利用したいのがBlu-ray Discなのだ。

Blu-ray Discは今こそ「ちょうどいい」メディア?

Blu-ray Discは、バックアップ用途に使うには絶対的に容量的に不足しているのでは、と考える人も多いだろう。しかし、Blu-ray Discの「大容量化」(BDXLなら100GB)や、昨今のノートPCやタブレットPCの「低容量化」(Surfaceをはじめ多くのモバイルPCは64GB~256GB程度のSSD搭載が多くなっている)が相まって、ノートPCやタブレットPCをメインに使っているユーザーにとっては、いつのまにかBlu-ray Discは「いい感じのサイズ感」になってしまったといえる(64~128GB程度のSSD搭載PCなら、BDXL1枚でフルバックアップができてしまう!)。

最近のノートPCやタブレットPCとBlu-ray Discは容量的にも相性が良い

もちろん、外付けHDDやNAS、USBメモリ、クラウドの利用など、ほかにもバックアップの手段は多々あるし、それぞれにメリットとデメリットがある。SSDやHDD、USBメモリーは非常に手軽だが、ストレージの信頼性は高くはない。HDDは容量当たりの単価は最安だが突然死するし、SSDやUSBメモリーは読み書き回数に「寿命」があるので永遠に使えるわけではなく、容量あたりのコストも高い。これらはどちらかというと「一時保存領域」というべきで、長く保存しておきたいデータを置くには向かない。クラウドサービスは手軽で信頼性も高いが、GB級の大容量ファイルをやりとりするには不便だし、100GBなどバックアップ用途として使える容量を契約すると月額課金となり、長く使うほどコストがかさんでいく。また、プライベートなデータを置いておくにはいまだに抵抗がある人もいるだろう。

以上の手段に比べると、Blu-ray Discは手軽さにはやや欠けるが、「信頼性」が高く、「コスト」もさほどではない、バランスがとれたメディアといえる。頻繁に書き換えるようなデータの保存にはまったく向かないが、バックアップはそもそも書き換えるものではないので、その点は問題はないわけだ。

記録型Blu-ray Discは光学ディスクということで、CD-R全盛の時代を知る人ほど信頼性が高いイメージがないかもしれないが、CD、DVD、BDと世代を重ねるごとにメディアとしての信頼性を増しているので、高温多湿や直射日光を避けさえすればかなりの長期間記録を保持できる。実際に「最大何年もつか」については、まだメディアが登場して日が浅いためサンプルは少ないが、Blu-ray Discの規格策定にも携わったパイオニアによると「業務用のメディアは200年と言われているが、実際はもっともっともつはず」、 「家庭用の記録型Blu-ray Discに関しても人間の一生分の期間はもつ」とのことだ。HDDなどとは違い機械的故障とは無縁で、水にぬれてもポリカーボネイト素材なので乾かせば使えるし、多湿の環境でカビが発生していても、表面に傷が付かないような目の細かいクロスなどで拭き取れば問題ない。増水などの災害にも強いため、ローカルでのバックアップ手段の中では信頼性は群を抜いているといえるだろう。

そしてもう一つの利点は安いということ。たとえば100GBのBD-R XLであれば容量単価は1GBあたり7.3円ほど。1GBあたり4円以下となるHDDほどではないが、1GBあたり45円ほどのUSBメモリーや、1GBあたり年間で十数円のクラウドストレージよりも安価だ。

実際の運用としては、週1回など定期的にPCのストレージをまるごとイメージバックアップできるツールなどでイメージを作成し、そのままBlu-ray Discに記録してしまえば、PCになんらかの原因で不具合が発生したり、OSが起動しなくなっても、任意のバックアップディスクからまるごと復元できる。

また、システムのバックアップ以外にも、写真や動画などのバックアップにも最適だ。写真に関しては、RAWで撮影していると、1日撮りまくるとあっというまに数GBのデータになってしまう。こうしたRAWデータを1日分や1か月分といった単位でBlu-ray DiscやDVDにバックアップしておけば、HDDやNASの容量が足りず泣く泣くJPGのみ保存する……といったことも避けられる。動画も、編集後の完成版をBlu-ray Discに永久保存するのはもちろん、編集前の素材のバックアップ用途にも気軽に利用できるだろう。

参考:画像/動画データのファイルサイズ

写真 1枚あたり 1000枚で
JPEG(1,000万画素) 4MB 4GB
JPEG(1,600万画素) 8MB 8GB
RAW(1,600万画素) 20MB 20GB
動画 30分あたり 10本で
AVCHDビデオ(bitレート5Mbps)
ビデオカメラの無圧縮長時間モード
1.3GB 13GB
AVCHDビデオ(bitレート28Mbps)
ビデオカメラの無圧縮高画質モード
6.4GB 64GB
MP4ビデオ(bitレート4Mbps)
ビデオカメラの圧縮長時間モード
1GB 10GB
MP4ビデオ(bitレート17Mbps)
ビデオカメラの圧縮通常画質モード
4GB 40GB
MP4ビデオ(bitレート35Mbps)
ビデオカメラの圧縮最高画質モード
8GB 80GB

高品質なポータブルドライブなら「パイオニア製」なワケ

前述した通り、Blu-rayドライブを1台持っているだけでいろいろな使い方ができるし、とくにバックアップメディアとして優れているが、実際に使う際にはメディア以上に重要になってくるのが、ドライブそのものの信頼性だ。特にポータブルドライブの場合、PCの内蔵用ドライブに比べてサイズや重量といった制約があるのに加え、振動の抑制や静粛性の面で大きなハンデがあるからだ。

そんなポータブルドライブの分野でも、高い技術で業界を支えるのがパイオニアだ。では、パイオニアのポータブルドライブは、果たしてどのように優れているのか。パイオニアポータブルドライブのフラッグシップ機である「BDR-XU03」を例にとり、パイオニア ポータブルドライブ開発陣に、その高品質さについて聞いた。

BDR-XU03。Windows対応の「BDR-XU03J」とMac対応の「BDR-XU03M」が発売中
パイオニアデジタルデザインアンドマニュファクチャリング株式会社 事業戦略統轄部 事業戦略室 事業戦略グループの下田 吉隆氏。
パイオニアデジタルデザインアンドマニュファクチャリング株式会社 技術統轄部 第4技術部の笛木 廣之氏。製品の電気系の開発を担当
パイオニアデジタルデザインアンドマニュファクチャリング株式会社 技術統轄部 第3技術部の小野寺 克博氏。ポータブル製品のメカ系を担当

「BDR-XU03」は、マグネシウム合金を採用したポータブルBDドライブだ。サイズは縦横が133mm、厚みは12mmと非常にコンパクトに設計されている。ここまでサイズダウンできるのは、実はパイオニアならではの生産体制にある。パイオニアでは、設計から製造まで、一貫して自社で行なうため、内部に組み込むパーツのレイアウトの自由度も高いというのだ。

縦置き可能で省スペース。シンプルな外観だが、内部は驚くべき「メカのかたまり」

例えばUSBポート部分。一般的なメーカーでは、USBポート部分は既製品のUSB変換アダプターを実装することが多いが、パイオニアでは自社製USBポート部品をBDの制御系と同じ基板上にデザインしている。Blu-ray Discをはじめ光学メディアの直径は120mmだが、この製品の縦と横のサイズはわずか133mm。メディアよりもわずかに大きくなっているだけというのは、技術力の高さと、パイオニアならではの生産体制あっての賜物なのだ。

基板上、最小限のスペースに実装されたUSBポート

ケースにマグネシウム合金を利用しているのもBDR-XU03の特長。マグネシウム合金は同体積のマテリアルを使った場合アルミニウムよりも軽く、丈夫で耐衝撃性能(正確には減衰能)が高いため、ケースの外装を薄く作ることができる。また、光学ドライブは書き込み性能が多少なりとも温度環境に左右されるが、マグネシウム合金は鉄ケースや樹脂ケースに比べ熱伝導率も高いため、内部の熱を素早くボディ全体に拡散し、冷却できる。しかもこのマグネシウム合金ケース部分、加工、表面処理、塗装まで、日本国内で行っていると言う。

BDR-XU03のもう一つの特徴が、スロットインタイプであること。カバーが跳ね上がるかたちで開閉するクラムシェルタイプに比べ、スロットインタイプの利点は縦置きで利用できるため、省スペースに使えることだ。

半面、スロットインタイプは内部にディスクを挿入/排出するための機構や、メディアをチャック・リリースする機構も必要になり、内部スペース的には不利になる。パイオニアでは、これらの入排出機構を徹底的に改良し、厚さ、わずか12mmの中に収めた。

ディスクを受け止め、また排出するメカも省スペースと動きのなめらかさを両立

コンパクトな作りと縦置きを可能とした使い勝手のよさ、強度や機能性を高める素材選択など、ハーフハイトと比較しても引けを取らない数々の工夫が、パイオニアのポータブルBDドライブには詰まっている。

そうはいっても、BDR-XU03以外にも多彩なラインアップを持つのがパイオニアの強み。軽量化を追求したクラムシェルタイプや、着せ替え対応のスロットインタイプなど、そしてワイヤレスタイプなど、個性的なモデルがそろっている。

BDR-XU03に比べややサイズは増すが、インテリジェントエコモード搭載でさらなる静音化を実現した「BDR-XS06」
樹脂製素材でコストを抑えたスロットインタイプの「BDR-XS05J」は外観の着せ替えに対応
パイオニア最軽量のクラムシェルタイプ「BDR-XD05J2」

「ワイヤレス」でさらに自由に楽しむ

パイオニアは、ドライブの信頼性向上に努めていると同時に、光学ディスクの新たな利用スタイルをも開拓しようとしている。そんな取り組みの代表格が、「BDドライブのワイヤレス化」だ。

Blu-ray Discドライブをワイヤレス化した「BDR-WFS05J」

パイオニアが2013年9月に発表したワイヤレス接続のポータブルBDドライブ「BDR-WFS05J」は、ワイヤレスドックとUSB接続の光学ドライブユニットで構成されている。ワイヤレスドックは、USBの通信をTCP/IPプロトコルに乗せてWi-Fi上でエミュレートする機能を持っているので、ワイヤレスドックに接続したBDドライブは、有線での接続時とまったく同様に、無線でディスク書き込みや読み込み、Blu-ray視聴などが可能となる画期的製品だった。これにより、Blu-ray Discドライブを内蔵していないノートPCやタブレットPCであっても、USBポートにドライブをぶらさげることなく、無線でBlu-ray Discドライブを利用することが可能になる。

Blu-ray タイトルの視聴に関しては、著作権保護によりDLNAなどでのWi-Fiを経由したファイル再生はできないようになっている。これに対し、PCでUSBドライブを接続し再生する方法は、著作権保護が守られている。ワイヤレスドライブは、このUSB接続を疑似的にWi-Fi経由としたものなので著作権保護上の問題は発生しない。これによりワイヤレスでの視聴が可能になっている。

パイオニアデジタルデザインアンドマニュファクチャリング株式会社 技術統轄部 第6技術部1グループの蓮沼 喜高氏

しかも、Blu-ray Discドライブ以外をワイヤレスドックにつなげれば、基本的にいろいろなUSB機器を無線化することができる。ケーブルに左右されずにプリンターなどのUSB機器の設置が行なえるうえ、一つのUSB機器を複数のPCから簡単に切り替えて共有することもできる。

Blu-ray Discの鑑賞時や音楽の鑑賞時にWi-FI経由にもかかわらずデータの劣化を伴わず、かつ安定した転送速度も確保するのは簡単な話ではない。 このような条件をクリアするためにBlu-ray Discドライブのドライバー開発やUSB to TCP/IP、TCP/IP to USB変換の高速化にも取り組んだ。

ワイヤレスドック部分はのちに「APS-WF01J」という型番で単体販売もされており、パイオニアの現行のUSB接続のポータブルBDドライブなら利用可能となっている。

ワイヤレスドックのコンセプトをさらに発展させた製品が、2014年末から発売された「Stellanova」だ。ワイヤレスドックをさらに拡張しパワーアップさせたワイヤレスユニットと、USB DACのセットで、PCやiPhoneなどとワイヤレス接続することで、ワイヤレスでハイレゾ音源をはじめとするオーディオが楽しめる製品だ。

「Stellanova APS-S301J」。ワイヤレスユニットとUSB DAC、ハイレゾ対応スピーカーがセットになっている。ラインアップとしてワイヤレスユニットが付属しない「APS-S201J」もある

ワイヤレスユニットには4ポートのUSB端子が備え付けられており、外付けのUSB接続HDDやUSBメモリ、光学ドライブ、プリンタなどのUSB機器を接続して、ワイヤレスドック同様にUSBを無線化することが可能。さらにStellanovaならではといえるのが、PCレスでのiPhone/iPad連携だ。たとえば、光学ドライブと外付けHDDをワイヤレスユニットに接続しておけば、iPhoneからの操作で光学ドライブからリッピングした音楽を外付けHDDに保存し、さらに外付けHDDの中にあるオーディオデータをiPhoneから操作しStellanovaから出力することもできる。

Stellanovaのワイヤレスユニットは「APS-WF01J」に比べ、USBポート数も増え大幅に機能強化されている

筆者はインタビュー後にワイヤレスユニットを備えたStellanovaとBDR-XS06Jをお借りすることができ、少しの間試用する機会をいただいた。BDR-XS06Jの作りもさることながら、USB DACユニットや付属のスピーカーの出来も素晴らしく、久々に高品位な音楽環境を楽しむことができた。パイオニアの高級アクティブスピーカー「DESK LIVE」など、高品位なスピーカーを接続して楽しむのもオススメだ。

取材当日はStellanovaのワイヤレスユニットと「DESK LIVE」を接続してのデモも視聴。デモはワイヤレスユニットとDESK LIVEを直結してDESK LIVE内蔵のUSB DACアンプで駆動しているが、ステラノヴァのDACアンプユニットを介して駆動することももちろ可能

今の時代だからこそ高品質な光学ドライブを

筆者は仕事柄、HDDの二重化とRAID環境を備えたNASを設置しており、定期的に光学メディアへのバックアップも行なっている。ここまでの設備は一般的な家庭でのPC環境において必要とはいえないが、一番簡単でコストも安くバックアップを行なうとしたら、光学メディア一択だろう。数々のパイオニアDNAが詰まったパイオニアのBDドライブであれば、バックアップデータの信頼性もより高まる。

ポータブルドライブであればノートPCやタブレットユーザーにも使いやすく、さらにワイヤレスドックを導入すれば無線化し、より手軽に利用できるようになる。PCを複数持っている環境の場合、光学ドライブを一つ一つのPCに用意するのはコストもかかるし面倒だが、ワイヤレスドックを用いれば多数のPCから1台のドライブを利用することもできる。ワイヤレスドックの利点は光学ドライブ以外でも得ることができるし、ポータブルBDドライブなら軽量で屋外に持ち運んで使うことも可能だ。

ここまで読んでいただいた読者のみなさん。あなたもパイオニアのドライブが欲しくなってしまったのではないだろうか。筆者はすでにBDR-S09J-Xを利用しているが、StellanovaとポータブルBDドライブも欲しくなってきてしまっている。

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