「VAIO Pシリーズ」の2010年の夏モデルは、2009年初頭にポケットスタイルPCとして鮮烈なデビューを飾ったVAIO type Pの第2世代モデルだ。今回の製品はデザイン、内部ともに変化が見られる。そこで新モデルの特徴を、過去のVAIO type P等と比較しながら紹介しよう。

デザイン一新! キーボードも一般的なレイアウトでより使いやすく進化

VAIO Pシリーズは、基本的なスペックでVAIO type Pを継承している。それはポケットスタイルコンセプトだったり、8インチ1600×768ドットパネルによる横長サイズだったりといったところだ。しかし、デザインは似ているようで細かいところで大きく手を入れられている。

まずデザインは、本体を開いたインターフェース部分に黒地を採用したものへと変更されている。 黒いラインを挟んだだけでも全体が引き締まった印象だ。細かい部分の形状も変化しており、本体の質感の変化もあいまって、手で持ったときによりしっくりくるようになった。また、細かなところだがカラーリングでは他にもバッテリーの色がシルバーから本体同色へと変更されている。

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携帯性を追求したVAIO Pシリーズ。カラーバリエーションはホワイトに加え、個性をアピールできるピンクやオレンジといったビビッドカラーが用意されている。さらにVAIOオーナーメードモデルではブラック、そして目にも鮮やかなグリーン、そして鰐皮を模したブラッククロコダイル天板を選択可能 天板は、光沢感のある旧モデルと異なり、つや感をおさえた加工となっている。指紋が目立ちにくいのは歓迎すべき点 開いたところ。デザイン的にはもっとも大きく変化した部分だ。デザインコンセプトがより明確になり、スタイリッシュになった印象
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鮮やかなカラバリが増えたのも新モデルの特徴。キーボードまで同色で統一される VAIOオーナーメード限定のクロコダイル天板モデル。カラーはブラック 横長のボディと相まって、一見すると長財布の様にも見える個性的な外見

インターフェース部分と液晶パネル前面が黒、その他の本体表層は、オレンジ、ピンク、グリーン、ホワイト、ブラックそして、ブラッククロコダイルと、 各カラーリングとなっている。これだけでも受ける印象はずいぶん異なるのだ。インターフェースも紹介しておくと、右側面には変化無し。USB2.0端子とディスプレイ出力やLAN端子を増設できるI/Oコネクターが搭載されている

左側面のインターフェースはワイヤレスON/OFF切り替えスイッチ、ヘッドホン出力、USB2.0端子、DC入力となる。ワイヤレスON/OFF切り替えスイッチがこの位置に移ったのはポイント。従来モデルにあった排気スリットが廃されファンレスとなっている

前面を見ていくと従来モデルに搭載されていたスライド式電源ボタンも他の場所に移ったことがわかる。新モデルでの電源ボタンは、キーボード最上段のひとつ上のスペース。つまりごく一般的なノートブックと同じ場所へと移ったこととなる。

キーボードレイアウトにも変更がある。それは全角/半角キーの位置だ。従来モデルでのこのキーは、数値の「1」キーの上、ESCキーとF1キーの間に挟まれた位置だった。新モデルのレイアウトは、ごく一般的なノートブックと同様にTabキーの上、ESCキーの下だ。

キーボード面にはもうひとつ新機能がある。それは照度センサーの搭載だ。このセンサーは使用環境の照度を検知し、例えば明るい環境であればバックライト輝度を上げ、暗い環境であれば輝度を下げるといった自動調節をしてくれる。イメージとしてはブラビアの明るさセンサーのような働きで、省電力に貢献する。

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従来モデルでは前面にあったワイヤレスON/OFF切り替えスイッチ。サイズも小さく、それも本体の角となる位置に窮屈にレイアウトされていた。新モデルではこれが左側面に移り、大型化して操作も快適になっている。 右側面のインターフェースは旧モデルと変更なし 新型は排気口がなくなり、その位置にワイヤレスLANオン/オフスイッチが移設された。ちなみに、今回は排気ファンもなくなっている
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背面もよりすっきりとした印象に バッテリーは旧モデルと同サイズだが、内部のバッテリー容量が増加している 地味ながら大きく使い勝手を向上させているのがキーレイアウトの変更。キーの印字の視認性が改善されているのもポイント。F9キー上方には照度センサーが確認できる

さて、ここまで紹介したとおり、新モデルのデザインはVAIO Pシリーズのコンセプトに関わるデザイン変更に加え、より一般的なノートブックに近づけるという方向性が見えてくる。初代では、まずこのサイズに詰め込むことが最優先されたのに対し、それを2世代目はブラッシュアップし、使い勝手を向上させているという認識で良いだろう。

次はこれもデザイン変更のひとつだが、液晶パネル面の左右にタッチパッドとボタンを追加して実現したモバイルグリップスタイルについて紹介しよう。

モバイルグリップスタイルとセンサーにより生まれた新しい操作系

モバイルグリップスタイルと言えばVAIO U1で採用され、Uシリーズで代々受け継がれてきたが、Uシリーズの終息とともに途絶えていた。しかしVAIO Pシリーズでモバイルグリップスタイルが復活したことになる。しかも、各種のセンサーを加えることで、新しい操作性もプラスされている。

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ディスプレイ右側にタッチセンサーを装備。親指によるマウス操作を行える。その上に見えるのはWebカメラ「Motion Eye」 ディスプレイ左側には左/右クリック用のボタン VAIO Uシリーズ以来のモバイルグリップスタイルが復活した

さて、そのモバイルグリップスタイル。筆者としては"満員電車の中でも原稿が書ける "VAIO U1~U101のモバイルグリップのイメージであり、 VAIO U1が登場したのはまだ無線LANも登場したてだった頃で、実際内蔵されたのはU101からだ。 VAIO Pシリーズのこれはブラウジング操作に特化したものだ。キーボード入力主体というよりもカーソル操作が主体。 現在は無線LANに加え、WiMAXやWWANのようにいつでもワイヤレスネットワークに接続できる環境が整ってきている。 ユーザーの使い方も、昔はキーボード入力主体のビジネスアプリケーション、今ではもっと多くの方がウェブブラウジングや、 あるいはGPS地図のようなデータ閲覧型の使い方をする時代へと移ってきている。

また、VAIO PシリーズではVAIO U101であったローテーション機能も復活した。そしてそれは更なる技術進化を遂げている。U101では画面のローテーションのためにボタンが用意されていたが、VAIO Pシリーズ新モデルでは加速度センサー(WAN/GPS無しモデルにも搭載)が本体の向きを感知し、自動的に画面が回転する仕組みだ。単純に持ち替えるだけで切り替わる。さらにこの加速度センサーが、ウェブブラウザの進む/戻ると傾き方向で操作するジェスチャー機能を実現している。進化したモバイルグリップスタイルは新モデルの注目ポイントだ。

このほか、オーナーメードモデルで選べるWWAN/GPS搭載モデルなら、もうひとつ地磁気センサーも搭載している。地磁気センサーはいわゆるコンパスの役割を果たし、「VAIO Location Search」では自分がどちらを向いているのかまで把握できるようになった。

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傾きセンサーを新規に搭載している。傾きでWebブラウザーなどの「戻る」「進む」を行うことも可能 本体を左に回転して持ち替えればセンサーがその回転を検出し画面もローテーションする。1600ドットのパネルによってスレッド型掲示板なども読みやすくなる 本機種からPS3のリモートプレイにも対応した

VAIO type Pで生まれたコンセプトをブラッシュアップしたスペック

最後にスペック面を紹介していこう。新モデルと従来モデルとは、ベースとなる部分に関して大きな変更は無いものの、いくつか使い勝手で向上している部分がある。

まずはベースとなる部分での変更点。CPUがAtom Zシリーズという点は同様だが、VAIOオーナーメードモデルのカスタム項目として「インテル®Atom™プロセッサー Z560(2.13GHz)」と、グラフィックコア周波数を向上させた「US15X」チップセットが選択可能となっている。より高クロックなCPUと強化されたグラフィック機能によって、体感的なパフォーマンスも向上する。メモリは店頭販売モデルも含めて全て2GB搭載されている。法人向けカスタマイズモデルにあるXPダウングレードモデルすらも2GBだ。また、ストレージは全てSSDとなり、HDDは選択できなくなった。容量は64GB~256GB、インターフェースが引き続きUltara-ATAである。

次はネットワーク機能。新モデルでの目玉はVAIOオーナーメードモデルで選べるWiFi/WiMAXとWWANの同時搭載。言うまでも無く、WiFi、WiMAX、WWANはそれぞれ得手不得手があり補間関係にある。WiFi/WiMAXまたはWiFi/WWANの2択だった従来モデルと比べ、使用環境に合わせてネットワーク接続を切り替えることが可能となっている。また、店頭販売モデルに関してもWiFi/WiMAXが搭載されているのもポイントだ。

選択肢が広がったのは通信機器だけではない。WWANを利用するためのキャリアも、NTTドコモのFOMAに加え、b-mobileが選択可能になった。月額固定費のかからないチャージ式の料金体系が手軽な上に、「Pシリーズ b-mobile最大6ヵ月無料ワイヤレスネット接続パック」なら、文字通り最大6ヶ月の利用料金が無料となる。チェックしてみよう。

さて、最後にバッテリーだ。新モデルでは全モデルでSSDを採用したことや基板のさらなるコンパクト化などでバッテリー容量を増やすことに成功、それと同時に各部の省電力化も進んだことで駆動時間の延長を実現している。カタログ値で見ると従来モデルが約4.5時間であるのに対し新モデルは約5~6時間。BBench v1.01で測定しても実に1.5倍近く長時間駆動してみせた。携帯性を重視したVAIO Pシリーズだけに、バッテリー駆動時間の向上は心強い。

type Pのコンセプトがよりいきる新デザイン、新スペック

VAIO Pシリーズはtype Pで生まれたコンセプトを正統進化させたという印象だ。軽量・コンパクトなボディそのまま、ワイヤレスネットワークもより充実しさせ、バッテリー駆動時間を延長している。なにより初代はコンセプトに対し技術が先行していた印象が残っていたのに対し、新モデルは更なる技術進化によってコンセプトがいきてきたという印象を受ける。スマートフォンも進化してきているが、PCでなければアクセスできないデータはまだ多い。携帯するPC、出先でデータにアクセスするPCを求める方には新しいVAIO Pシリーズをおすすめしたい。

(Reported by 石川ひさよし)
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