【製品レビュー】Walkman Xシリーズ NW-X1060/BI ~第3回:【音質編】これはウォークマン史上最高峰の音質だ!
(7/09)ハイエンドオーディオに肉薄する高音質を実現する"S-Master"
連載ラストとなる今回は音質面のインプレッションをお届け
前述した6種類の技術の中で、最大の目玉機能がフルデジタルアンプ"S-Master"の採用であろう。これは音声信号をフルデジタル処理することにより、音の歪みを抑え、原音を忠実に再現するというもの。一般的なアナログアンプの場合、入力されたデジタル信号の音楽ソースをD/Aコンバーターでアナログに変換してから増幅処理を施すわけだが、"S-Master"はこれを入力時のデジタル信号をデジタルのままで増幅するという仕組みになっている。さらに、音源中のジッター(音の揺らぎ)を低減し、ボリュームレベルの大小を問わず、音源をクリアに保ってくれるという。
初めて聴いたとき、とにかく"音がクリアだな"という印象を持った。低/中/高の各音域がはっきりと出力され、非常に聴きやすく、ボリュームを絞った時でもクリアな音質は保持されている。これもフルデジタルアンプの恩恵なのであろう。MP3を筆頭とするデジタル圧縮音源の場合、特にポータブルオーディオプレイヤーで聴いている時、少し曇り気味の、膜を1枚張ったような、音抜けの悪さが気になるが、本機だとそれがまるで感じられない。まるで録音スタジオに備え付けられているモニターで聴いているような錯覚すらしてしまうほどの高音質ぶりに感動してしまった!
低音域の迫力も相当なものだが、輪郭がはっきりしているため、ボヤけることなく、しっかり聴き取れるところも優秀だ。さらに高音域に関しても存在感が十二分に出ていて、ギター音源を聴くのに最適だと思った。例を出すと、スティーヴィー・レイ・ヴォーンのギター・ソロで、時折耳に突き刺さるようなピキーンというチョーキングフレーズを繰り出すが、安物オーディオプレイヤーだと音がか細くなってしまう。それが「NW-X1060/BI」で聴くと、音が"太い"こと!
高音質を支える、さまざまなテクノロジー
多彩な音質オプション
"S-Master"以外の音質機能を見ていくことにしよう。まず「クリアステレオ」は、ステレオのL(左)とR(右)の出力をしっかりと分けて,再生するという機能。チャンネルセパレーションをはっきりさせた録音方法をしていた昔の音源を聴く際に、この機能をONにすると、効果は絶大なので是非試してみていただきたい。ちなみに筆者が聴いて面白かったのが、ザ・ビートルズ『アビーロード』に収録されている「サムシング」。ポールのベースの音が右から左へPANしていき、ジョージのギターの音は完全にレフト・チャンネルに寄せている。何度も聴いた音源にも関わらず、このようなミキシングをしていたことを、本機での再生を通じて初めて知り、感心してしまった。
続いての機能は「DSEE」(Digital Sound Enhancement Engine)。これは圧縮により失われがちな高音域をクリアに再現するというもの。クラシックやジャズ、あるいはアコースティック・ギター1本によるソロ演奏といった、繊細な音源を聴く際に向いているように思える。
「クリアベース」は文字通り低音域を補完する機能だが、音量を上げた時でも、歪みのないメリハリのある重低音を再生するという優れものだ。
この他にも、曲調にあわせて音質が選べる5種類の「イコライザ」や、ヘッドホンで広がりのあるサウンドを実現する6種の「VPT アコースティックエンジン」といった、ユーザーが自分好みのサウンドを作る手助けをしてくれる再生機能も搭載している。さらに録音レベルが異なる曲を聴きやすい音量に自動調節する「ダイナミックノーマライザ」などは、非常にありがたい機能なので、積極的に使うといいであろう。
使用環境に合わせて設定可能な「デジタルノイズキャンセリング」
「Xシリーズ」ではパワーアンプとともにノイズキャンセリング機能もデジタル化し、それに伴い性能は大幅にアップしている。より緻密で広範囲なフィルターの採用により、騒音低減性能が大幅に向上し、周囲の騒音を約98%カットすることができるという。
使用環境に応じて、電車・バス/ 航空機/ 室内の3モードが用意されており、この中から利用シーンにあわせて、最適なモードを選択可能だ。さらに、音楽を再生しないときでもノイズキャンセル効果を利用して周囲の騒音を低減することができる「サイレントモード」や、別売の録音ケーブル「WMC-NWR1」を利用して、他機器と接続すると、"ウォークマン以外で再生した音楽などにノイズキャンセルをかけることができる「外部入力モード」も備えている。
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| 環境によって設定を切替えることでノイズキャンセルの効果を最大限に発揮 | さらにノイズキャンセルの強度を調整可能 |
まずは地下鉄で「電車・バス」モードで使ってみたところ、その効果は絶大。車内アナウンス(これが意外とうるさい)も、かき消したのには驚いてしまった。これならかなり音楽に集中できるという印象だが、あまりに没頭し過ぎて、乗り過ごしをする危険性もあるかも!?
続いて新幹線に乗る機会があったので、そこでも試してみた。乗車区間は新横浜駅から名古屋駅まで。ここでは敢えて静かめな音源の方が効果がわかりやすいだろうと思い、グレン・グールドの『バッハ:ゴールドベルク変奏曲』を選んでみた。ピアノ・ソロによる静かな曲ゆえに、トンネル通過は鬼門であったが、轟音がほとんど入ることなく、グールドの音世界にどっぷり浸かることができた。以前にソニーの「NW-S706F/T」や「NW-A919/BI」で、「ノイズキャンセリング機能」を新幹線でチェックしたことがあったが、その時よりも確実に進歩しているという印象を受けた。
「ウォークマン史上最高峰」モデル
ソニーが目標に掲げた「高音質」、「高画質」、「優れた操作性」、「コンテンツ入手」のいずれにおいても、「Xシリーズ」は高水準で目的を達成しているなと感じた。その中で、有機ELディスプレイによる高画質や無線LAN機能の搭載なども魅力的ではあったが、音楽ヲタクの筆者として一番惹きつけられたのが音楽再生能力である。今後もっとすごいモデルを作るのであろうが、現時点ではお世辞抜きで「ウォークマン史上最高峰」モデルが完成したという印象を強く受けた。
今回3回に渡って紹介した「NW-X1060/BI」は、ソニーのオンラインショップ「ソニースタイル」のみで発売されている限定モデルである。特別カラーのアイスブラック仕上げに加え、購入者には無償でボディにオリジナルメッセージを刻印してくれるという、うれしいサービスを受けることができる。自分だけの究極のポータブルオーディオプレーヤーを手にしたいという人に、強くオススメしたい。
【text by ashtei】


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