9月1日から「アクトビラ ビデオ」のサービスが開始される。
まだ多くの人が「アクトビラってなに?」という状態だと思う。ちょっとテレビに関心がある人は「たしかうちのテレビにもそんな名前の機能に対応していたような…」と思い出す人がいるかもしれないが、ちょっとややこしいことにちょっと前までの「アクトビラ」と「アクトビラ ビデオ」はちょっと違う。さらに、混乱してしまいそうなのが「アクトビラ ビデオ」には、その上位版である「アクトビラ ビデオ・フル」というサービスもある。
当然、現在のパナソニックから発売されている薄型テレビ「VIERA」シリーズも「アクトビラ」対応なのだが、機種によってその対応度が違う。ここではこの「アクトビラ」の基本情報を整理してみようと思う。
▼アクトビラってなに?
アクトビラには冒頭で述べたように「アクトビラ ベーシック」「アクトビラ ビデオ」「アクトビラ ビデオ・フル」の3タイプが存在するのだが、そもそも「アクトビラってなに?」と思っている人が多いと思うので、まずはそうした基本部分から説明しよう。
アクトビラとは、簡単に言えばテレビ本体だけで利用できるデジタル情報配信サービスだ。「デジタル情報配信」というとなにやら難しく聞こえるが、平たくいうとホームページのような図版テキストベースの情報から、映像、音楽のようなマルチメディア・コンテンツまでが視聴できるサービス…と捕らえてもらって構わない。じゃあ、そのデジタル情報はどこからやってくるのか…ということになってくるのだが、実は電波ではなくインターネットから。具体的に言えばブロードバンド回線だ。そのブロードバンド回線は、普段パソコンで使っているインターネット回線でOK。
購入した薄型テレビが「アクトビラ対応機種」であれば、そのテレビ本体とブロードバンドだけでこのサービスを利用できる。別売りの周辺機器は必要ないし、ブロードバンド回線も新たにもう一回線引く必要はない。ただし、テレビにネットワークケーブルを接続するためにインターネット回線を分配する意味合いで、市販のスイッチングハブなどを用意する必要はあるかもしれない。接続にまつわる疑問についてはアクトビラのオフィシャルサイトに詳しいのでそちらを参照して欲しい。
「テレビがインターネットに繋がる」というと「パソコンとなにが違うのか」ということになってくるのだが、メリットはいくつかある。 1つは、テレビをつけたあと「アクトビラ」呼び出しボタンを押すだけですぐにアクトビラのポータルサイトに繋がってしまう手軽さだ。パソコンのように本体を起動して、Webブラウザを起動して…という手間が一切、不要。まるでチャンネルを切り換えるような感覚で使える。
もう一つの利点は、見たいコンテンツを簡単に見られると言うこと。Webブラウザを起動して検索エンジンを活用しなくても、アクトビラのポータルから簡単に見たいコンテンツを選択することができる。また、配信されるコンテンツもちゃんとしたコンテンツホルダーから配信される正式なコンテンツなのでクオリティもしっかりしている。例えるならば、アクトビラは、ブロードバンド回線を活用した「インタラクティブなケーブルテレビ」というイメージに近いかもしれない。
▼3つある「アクトビラ」、あなたのテレビはどれに対応してる?
「アクトビラって聞いたことがある!」「うちのテレビはアクトビラに対応していたはず!」と思った人は、ちょっと待った。前述した3つのアクトビラのどれに対応しているかを確認しよう。
実は2007年の上半期以前に発売された薄型テレビの「アクトビラ対応モデル」は、9月1日より開始される「アクトビラ ビデオ」「アクトビラ ビデオ・ フル」には対応していない。2007年の上半期以前に発売された薄型テレビが対応している「アクトビラ」は、図版テキストのみの「アクトビラ ベーシック」のみなのだ。実は9月1日より開始される「アクトビラ ビデオ」「アクトビラ ビデオ・フル」のサービス開始にあたって、従来「アクトビラ」と呼ばれていた図版テキストのみの情報配信サービスは「アクトビラ ベーシック」と改称されたのだ。
つい最近、量販店でテレビを購入したという人でも、旧モデルを購入しているケースもあり、その場合「アクトビラ対応」とあっても「アクトビラ ベーシック」のみの対応だったりすることがある。購入前、あるいはアクトビラ・サービス利用前によく確認して欲しい。テレビの機種名と利用できるアクトビラ・サービスの種類の対応表についてはアクトビラオフィシャルサイトの対応表ページが詳しいのでそちらを参照して欲しい。
▼アクトビラ ビデオとアクトビラ ビデオ・フル
9月1日よりサービスが開始されるのは、映像配信のアクトビラである「アクトビラ ビデオ」と「アクトビラ ビデオ・フル」だ。
「アクトビラ ビデオ」と「アクトビラ ビデオ・フル」の違いは簡単に言えば映像のクオリティ。アクトビラ ビデオは2~4Mbps程度のビットレートの標準解像度のMPEG2映像の配信になる。映像クオリティは大体DVDビデオと同程度のだと思ってもらっていい。ブロードバンド回線もADSLで大方対応できるレベルだ。映像コンテンツの周辺には関連した図版テキスト情報なども同時に表示されるようなので、イメージ的にはパソコンでサイト上の映像コンテンツを見ているような雰囲気に近いかもしれない。
一方、アクトビラ ビデオ・フルは4~8MbpsのビットレートのハイビジョンのH.264映像の配信になる。こちらは映像コンテンツは全画面表示となり、クオリティもデジタル放送に近いと思ってもらっていいだろう。ブロードバンド回線はADSLだとやや不安で、実際、光回線の利用が奨励されている。
アクトビラ ビデオ・フル対応機種は、基本的にはアクトビラ ビデオとアクトビラ ベーシックには対応しており、アクトビラ ビデオ対応機種はアクトビラ ベーシックにも対応しているので、テレビの機能レベルという意味では「アクトビラ ベーシック < アクトビラ ビデオ < アクトビラ ビデオ・フル」という図式になっているようだ。
つまり、アクトビラ ビデオ・フル対応機種ならば全部のアクトビラ・サービスに対応していると思えばいい。
▼どんなコンテンツが楽しめるの?
9月1日よりアクトビラ ビデオとアクトビラ ビデオ・フルの映像配信が開始されることは分かった。次に気になるのは、どんなものが見られて料金体系はどうなっているのかというところ。
まず、アクトビラ・サービスの利用自体の入会費、基本料金は無料だ。映像コンテンツを見る場合には、そのコンテンツごとに無料と有料のものがあり、有料のものは視聴するコンテンツ単位に課金される方式。料金については番組によって異なり、料金の支払いはプロバイダ一括支払いやクレジットカード決済などが予定されている。購入したコンテンツは番組ごとに設定された配信期間の有効期限内で何度も再生が可能だが、録画には対応していない。配信されるコンテンツは2007年9月現時点では「映画」「ドラマ」「音楽」「アニメ」「趣味・実用・情報」「バラエティ」「アイドル・グラビア」「ドキュメンタリー」などのカテゴリーが予定されている。
詳しい番組情報についてはアクトビラオフィシャルサイトの番組表を参照して欲しいが、アニメは「OVAガンダム」、バラエティは「お笑い」などが充実しており、一般のテレビ放送ではなかなか見られない番組が取りそろえられている。アクトビラ対応機種ユーザーは定期的にポータルサイトで番組表をチェックしよう。思わぬ掘り出しコンテンツに巡り会える可能性がある。
なお、全ての番組がアクトビラ ビデオ・フルに対応しているわけではなく、全体的な割合としてはアクトビラ ビデオ対応のものが多いようだ。「音楽」「アニメ」あたりは逆にアクトビラ ビデオ・フルの対応が充実している。
9月1日から10月31日まではお試し期間と言うことで、全番組が無料視聴可能とのこと。このタイミングでVIERAを購入するのであれば、この無料期間に積極的に見まくってしまおう!
(トライゼット西川善司)
プラズマと液晶の違い http://panasonic.jp/viera/lineup/choice/01_difference.html