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監督: 市川準
製作: パグポイント
ざわざわ下北沢製作委員会

2000年7月7日より
シネマ・下北沢にて公開

下北沢という街にはなにか不思議な存在感がある。
古いものと新しいものが入り混じって、老若男女、色んな人々が狭い街で肩を触れ合いながら過ごしている。

「ざわざわ下北沢」は
下北沢で生きている人々の息づかいが聞こえる映画であり、下北沢の街をライブ感覚あふれる映像で、生きている人々を真ん中に据えて描いている映画である。

序 章
『下北沢に呼び出されてはみたものの』の巻


第2章
『映画監督の真の演出する姿とは?』の巻

第3章
『ビリヤードと小田急線とワッフルと私』の巻


第4章
日曜日、下北沢の夜空の下で
』の巻

第5章
編集作業は根気がいるなり』の巻



 


文:佐藤ろまん
写真:YOKOX

第4章 『日曜日、下北沢の夜空の下で』 の巻
 2000年1月23日、午後5時半。快晴。
 ボクはいつもの日曜日の夕方と同じく、『笑点』をボーっと眺めていると、再びけたたましく電話が鳴った。日曜日に仕事がらみの電話が鳴ることは極めて少ない。なのでてっきり数少ない友人からの電話かと決めつけ、少し浮かれ気分で受話器を挙げた。しかし、ボクの予想は外れ、YOKOXからの事務的な取材要請だった。

この日のロケ地はココ!! そういったわけで、再び下北沢へ。今度のロケ地は、先日取材したビリヤード場に面した小さな路地である。現場に到着すると、すでに市川監督他、スタッフは顔を揃え、撮影の準備を行っている。それにしても今夜は寒い、寒すぎる! 裏通りなので人気が少なく、交通整理は滞りなく出来そうだが、人気が少ない分、体感温度が低く感じるのだ。前回ビリヤード場内で撮影した際は、やはり日が沈んでからの撮影だったが、冬に行う夜間での屋外での撮影は、“寒い”これありきだ。
 スタッフは白い息を吐きながらの準備を続ける。そんな寒波の中、スタッフルームで待機していた原田芳雄さんと岸部一徳さんが、満を持して登場! もちろんスタッフのエスコート付き!
 大変失礼なことだが、先日取材した時には、顔を見て名前が挙げられる出演者は一人もいなかった(今は違います!)。しかし、今日は子供の頃からブラウン管やスクリーンで見ていたこの両名により、おとといとはまた違った緊張感が取材班を支配する。スタッフの方はというと、そんな大御所(?)が登場しても、特に浮かれることも緊張することもなく、各自の現場に専念している。当然のことながら、その辺がプロフェッショナルなのだ。  

この日の原田さんの衣装は、着流しにゲタという出で立ち。見ているこっちが震えるくらい寒そうである。

(もちろん、この辺の防寒対策は用意周到であり、YOKOX撮影の写真も参照にしていただきたい。


原田さんがこの格好のまま走るシーンを撮影するので、ゲタの音が夜の下北に鳴り響いていた。
 続いて岸部さんも走る。こちらは原田さんとは対照的なコート姿で、幾分暖かそうだ。岸部さんは原田さんを追いかけるのだか、追いかけられてるのだかよくわからないが、とにかく走っている。飄々としたイメージの強い岸部さんが、一生懸命走るのは、新鮮かもしれない。カットの声が出るまで、ふたりとも全力疾走だ。大御所俳優が全力疾走する……こんな光景を目の当たりにするのも、そうない経験であろう 。

屋外撮影必携の
サバイバル(?)グッズを発見
サバイバル(?)グッズ
左の台車には、やかん、ビニール傘、軍手、毛布etc..
右の台車には、お湯の入ったポット、インスタントコーヒー、かぜ薬、使い捨てカイロetc..

 
(1)移動開始
撮影終了直後。 奥中央には
黒いコート姿の岸部一徳さん。
スタッフはさっそく移動準備を開始。
このシーンの撮影を終えると、50メートルほど離れた場所にある、これまた下北沢ではお馴染みのミスタードーナッツ前まで徒歩で移動。

機材類は台車やリアカーで「よいしょ、よいしょ」とスタッフとボランティアスタッフとで運ぶ。

アッという間に撤収し、狭い路地を移動した後、アッという間に配置する手際の良さは、見事としか言いようがない。おそらく『ざわざわ下北沢』のロケをしている間の下北沢では、見慣れた光景なのだろう。

(2)移動中
運ぶ当人は重いし寒くてハードワークに違いないが、端から見ると、なんともスムーズだ。

次のロケ地へ到着。道幅が狭いので
配置にも気を遣う。
(3)移動終了

 さっきの場所から、僅かしか離れていないのに、ここでは一変して人通りが激しい。下北沢の街の大部分がそうであるように、狭い道幅にも関わらず、さらには日曜の夜なのにも関わらず、若者を中心に人通りが途絶えないのだ。通行人の整理は、さっきより一層の注意が払われる。我々取材班もジャマにならないように気を付ける。
前方の赤&黄の看板は
ミスタードーナツ
(カメラ後ろから) カメラ後ろから
ミスタードーナツの向かいは雑貨屋
(カメラ横から)
カメラ横から

カメラ位置を直している間、監督は近くの雑貨屋の店主らしき人と会話をしていた。「ひょっとして、次回作は雑貨屋が舞台?」……というのは筆者の邪推。聞き取れなかったが、おそらく「お騒がせしまして」といった単なる雑談であろう。

 ここでスタッフが原田さんをエスコートし、スタンバイさせる。さっきと同じ着流しである。今度のシーンはさき程の続きらしく、原田さんがミスド前を駆け抜けるシーンの撮影である。本番がスタート!

 順調に撮影が行われ、もうすぐ撮影終了という時、ちょっとしたトラブルが発生した。
 とある居酒屋の主人が、営業妨害だと言って、スタッフに激しくクレームを付けてきたのだ。下北沢全域に撮影の許可をもらっていても、こうした苦情が出てしまうという現実……。映画の撮影とは、スクリーンには決して映らない、こうした避けられないアクシデントが付き物なのだろう。

こちらは前のロケ地付近の店主さんとのやりとり。

協力を申し出たものの、こんなに大変だと思わなかったという驚きを、誰もが多かれ少なかれ感じるのだろう。

事前の許可を過信せず、当日の調整もぬかりないのだが、 穏便に済むケースばかりではない。
「もうちょっと、この辺までで
 お願いできますか?」
地元の店主との折衝風景

 撮影の方は、無事OKが出て、本日の日程は無事終了。
 今日は人通りの多さや、芯まで冷える寒波、また撮影中のトラブル……これらへ柔軟な対応をするスタッフが印象的だった。もちろん、原田さん、岸部さんの両名の演技へ集中する姿も忘れられない。
 個人的には先日取材した時は、勝手がわからず、あれよあれよという間に終わってしまったが、今回は現場の空気が若干わかるようになった分、妙な緊張感が続いていた。よって撮影終了の声を聞いて、急に安堵感が訪れる。
「家帰ったら、留守録しておいた『ASAYAN』でも見ようっかな……。そういや、『ASAYAN』でやってたリハウスCFガールのオーディションって、市川監督が審査してたんだよなあ」なんてことを考えつつ、筆者は帰路へ向かう。
 当時、モーニング娘。は7人だった……。

CAST老若 シネマ下北沢の想い スタッフ撮影日誌



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