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iボードはiモードを変えるか?

■ N502i/P502iにiボード登場

 CeBIT2000の取材とレポートが続いたため、しばらくお休みをいただいたが、今週から週刊MOBILE CATCHUPも再スタートだ。この約1カ月の間、携帯電話の世界にもいろいろと新しい動きが出てきた。新生活シーズンということもあり、市場にも新機種が続々と登場している。

 この2月と3月に登場した新機種の注目株と言えば、まずNTTドコモのiモード端末『N502i』と『P502i』だろう。ともに、501i世代では画面の大きさなどから最も高い人気を獲得していたが、502i世代では先に発売された富士通製の『F502i』と三菱電機製の『D502i』がカラー液晶を採用したため、その動向が注目されていた。N501iとP501iの販売実績から考えて、当面はモノクロ液晶だろうと予想されていたが、一部に願望的な憶測として「急遽、カラーになった」といったデマ(!?)が飛び交うほどだった。ところが、いざフタを開けてみれば、予想通りのモノクロ液晶を採用しており、デザインなども従来と基本的に同じ路線を踏襲していた。

 しかし、N502iとP502iは先行して発売されたカラーiモード端末に対抗するため、モノクロ液晶でも最大限にiモードを活用するための数々の工夫がこらされている。たとえば、外付けキーボードの『iボード』もそのひとつだ。iボードはPDCデジタル携帯電話のデータ通信に使われる端子に接続する外付けキーボードで、N502iとP502iにそれぞれ専用のものが提供されている。こうした携帯電話用外付けキーボードは、ERICSSONが同社製携帯電話のオプションとして販売している程度で、製品化された例は少ない。いきなり2つのメーカーがそれぞれの製品用に提供してしまうあたりは、さすが携帯電話先進国の日本といったところだろうか。



■ 折りたたみ式ケータイN502i

N502i
NTTドコモ N502i
『N502i HYPER』サイズ:93×48×22mm(折りたたみ時)、98g。NECオリジナルの折りたたみ式デザインを採用。写真のクレセントシルバーの他、シンシアブルー、チェリーブロッサムの2色をラインアップ

 N502iはNECオリジナルの折りたたみ式デザインを採用している。折りたたみ式デザインは片側に液晶ディスプレイ、反対側にキーボードを配置することで、大画面の液晶ディスプレイを採用できるというメリットを持つ。折りたたんでしまえば、カバンの中などでボタンを押してしまうこともない。昨年、NTTドコモがiモードを発表するとき、「NECさんはiモードのために、折りたたみ式を取っておいてくれた」と言わしめたほど、iモードにマッチするデザインだ。

 基本的なデザインは従来のN501iと同様だが、細かい部分に改良の後が見られる。たとえば、大画面の液晶ディスプレイは4階調表示になり、ボディを開いたときにアニメーション表示がされるようになっている。ボタン回りではメール画面を瞬時に呼び出せるメールボタンが搭載され、iモードメニューや機能を操作するときのカーソルキーも一体型の丸いものに変更されている。また、背面トップには電話やメール、メッセージの種類、掛けてきた相手によって色が変わるイルミネーションランプを装備している。

 機能面では着信メロディが4和音対応になり、通話機能も502iシリーズや208シリーズでは標準的なハイパートークに対応している。ちなみに、着信音メロディは標準で15曲も収録されており、この他に10曲のオリジナルメロディも登録できるが、和音で再生できるのは標準メロディとダウンロードしたメロディ(和音の場合)のみで、自分で入力したメロディは単音になってしまう。余談だが、標準で登録されている「RYDEEN」(Y・M・O)は、前奏の「タッタカタッタカタ……」というドラムのパートから収録されており、筆者もちょっと驚かされた(笑)。

N502i + iBoard
N502iとiボード N001。本体と比べてみてもiボードがいかに大きいかがよくわかる。端末側のコネクタカバーは本体固定のキャップ式なので、なくす心配がない

 一方、iモードコンテンツの閲覧やiモードメールの送受信だが、「http://」「.ne.jp」「.com」などの文字列をワンキーで入力できるようにしたり、iモードメールでメモリダイヤルに登録されたメールアドレスを参照できるようにするなど、確実に従来モデルよりも使い勝手が良くなっている。
 ただ、機能メニューを含めた全体の反応速度はそれほど変わらず、他の機種に比べると、一呼吸ゆっくりしていようにも感じられる。メモリダイヤルは最大700件登録できるが、今回はすべての登録に対して、電話番号が4件、メールアドレスが3件ずつも登録することが可能だ。携帯電話やPHSによるEメールサービスが普及したことで、1人が複数のメールアドレスを持つことも当たり前になってきたが、こうした現状にも十分対応できるスペックと言えるだろう。



■ スリムになったP502i

P502i
NTTドコモ P502i
『P502i HYPER』サイズ:130×43×16mm、69g。従来モデルより、厚さ4mm、重量で20gのダイエットを果たしたスリムデザイン。写真のプレシャスブルーの他、グレイスシルバー、スノーホワイトをラインアップ

 Panasonic(松下通信工業)の携帯電話と言えば、NTTドコモのmovaシリーズでも常に高い人気を獲得してきた。P501iは501i世代のiモード端末で最後発の製品ながら、軽快な動作で発売以来、急速に人気を伸ばしたことでも知られる。昨年、サントリーが行なった『BOSS電』のベースモデルに選ばれたのは記憶に新しいところだ。実は、筆者も501i世代の端末で、唯一、最後まで使い続けたのがP501iだった。理由は独自開発のブラウザ(他社はアクセスのブラウザを採用)ながらメニュー回りが高速であったこと、液晶ディスプレイが大きかったこと(N501iほどではないが)などが挙げられる。

 今回発売されたP502iは基本的にP501iのデザインを踏襲しているが、ボディがかなりスリムになっており、手に持ったときの印象は異なる。厚さにして4mm、重量にして20gのスリム化が図られている。従来モデルでは賛否両論だったボディ中央のコマンドナビゲーションボタンも改良されている。従来モデルでは動きがカタく、突起部で指が痛くなるなどの不評を買っていたが、P502iではコマンドナビゲーションボタンの動きが軽くなり、ボタンのトップも平たくなったため、かなり軽快に操作ができるようになっている。

 液晶ディスプレイはサイズこそ変わらないものの、N502i同様、4階調表示になっている。音声通話はハイパートークに対応し、着信メロディは3和音、待受画面も標準で16種類のイラストが用意されるなど、使う楽しさは確実に増している。ちなみに、着信メロディは標準で8曲が登録されており、自分で入力したメロディとダウンロードしたメロディをぞれぞれ5曲ずつ登録できるようになっている。iモード利用時のURL入力は「http://」「.ne.jp」「.com」などの文字列が定型文に登録されており、iモードメール利用時のメモリダイヤル参照も簡単にできるようになっている。これらの点は現行の他の502iシリーズと同等と言えるだろう。

P502i + iBoard
P502iとiボード P001。本体と変わらないコンパクトサイズなので、持ち歩きもラク。端末側のコネクタカバーは着脱式なので、なくしてしまいそう

 P502iの新機能のうち、注目すべきものは主に3つ挙げられる。ひとつは「iワープボタン」、もうひとつは簡易赤外線通信の「Ir-kiss」、そしてカーナビゲーションシステムへの対応だ。iワープボタンはよく見るサイトをあらかじめ登録しておくと、「iワープボタン+数字(1~9)」の組み合わせで瞬時に呼び出せるというもの。iモードメニュー内の“マイメニュー”や“Bookmark”とは別に管理されているので、本当に利用頻度の高いものを登録しておくと便利だ。Ir-kissはP502i同士でブックマークや電話帳、自作メロディなどを交換できる機能だ。

 同様の簡易赤外線通信はD502iでも採用されているが、通信手順などが違うため、異機種間の通信はできない。このあたりは統一してもいいような気がするのだが……。カーナビの対応は実際に試用することができなかったが、対応カーナビに接続すれば、カーナビの画面上でiモードを利用したり、iナビリンクサイトから行き先を取得してカーナビの地図上に表示する、iモードメールを使って自分の居場所を友だちのiモード対応カーナビに送信するといったことができる。実際に使ってみないとわからない面もあるが、なかなか面白いアプローチと言えるだろう。



■ iボードは使えるか?

 さて、両機種に発売されたiボードだが、出荷早々からたいへんな人気で、ほとんどのショップで売り切れの状態が続いている。

 まず、ボディサイズだが、これはP502i用の方がコンパクトだ。写真を見てもわかるように、端末本体より少し大きい程度だ。N502i用はサイズが大きいが、数字キーを標準で備え、カーソルキーも使いやすい位置に配するなどの工夫が見られる。ともに、動作には単4乾電池が必要で、携帯電話と接続するケーブルは底面に格納されている。

N502用iボード P502用iボード
『N502i用iボード N001』サイズ:143×76×14mm、79g。「1」~「0」までの数字キーも配列されているが、句読点や音引きなどを入力する度にシフトキーを押さなければならないため、やや入力しにくい 『P502i用iボード P001』サイズ:129×52×14mm、85g。数字を入力するときは左側の「数・記」キーを押さなければならないが、音引きや「@」マーク、句読点は直接、入力できる

 キーは初代ポケットボードなどと同じゴム製キートップを採用しており、キーピッチはN501i用が11mm、P502i用が10mmとなっている。これは初代ポケットボードやポケットボード ピュアとほぼ同じサイズだ。配列はともにQWERTY配列を採用し、ローマ字かな変換入力専用になっている。アルファベット以外のキーについては、P502i用の方が「@」「、」「。」などの記号を入力しやすいのに対し、N502i用はiモードメニューを直接呼び出すためのキーなどが充実している。筆者としてはURLやメールアドレスが入力しやすいP502i用iボードに一日の長があると見ている。

iボード2種
携帯電話と接続するケーブルは底面に格納されている。ケーブルはN502iの方が長いが、P502i用の方が扱いやすい

 iボードを利用するときのスタイルだが、これもなかなか難しい。まず、机などに置いた場合だが、N502iは端末を開いた状態でも液晶ディスプレイが少し立っているため、比較的入力しやすいのだが、P502iは完全に寝てしまうため、真上から見るような位置になってしまう。端末とiボードを手に持って入力する方法になると、P502i用iボードの方がコンパクトなので、多少は入力しやすくなる。ちなみに、NTTドコモ中央エリアでは広末涼子が出演するiモードのCMが放映されており、N502iを開いた状態でボタン部分にiボードを重ねるようにして持つシーンが登場するのだが、実際にこの持ち方を試してみると、端末側のボタンをiボードで押してしまうことがある。端末側のボタンをロックできるか、iボード接続時は入力できなくすればいいのだろうが、現時点では少し注意をしながら持つしかないようだ。


N502用iボード P502用iボード
CMでも使われる『広末スタイル』は、iボードで端末のボタンを押してしまいそうだ。iボードと端末の間に指を挟んでおくとベター P502iはiボードもコンパクトなため、重ねて持たなくても大丈夫。キーの数は少ないが、入力モードなどの切り替え動作は意外に少ない

 また、ケーブルを接続するときに気になったのが端末側のコネクタカバーだ。N502iは端末本体に固定されたキャップ式を採用しているのに対し、P502iは着脱式のコネクタカバーを採用している。着脱式の方がケーブル接続時に邪魔にならないという意見もあるが、コネクタカバーを紛失しないという点ではN502iのような固定キャップ式の方がベターだ。Panasonic製端末は着脱式を採用することが多いようだが、iボードという外付け周辺機器を出すのであれば、これを機に見直しても良かったのではないだろうか。

 実際の入力するときの感覚だが、これはハッキリ言ってかなり気持ちいい(笑)。筆者のように、普段からキーボードに慣れているユーザーなら、ボタン入力よりも確実に早く入力できるハズだ。特に、メールや掲示板などを使うユーザーにとっては、iボードが強力な武器になるだろう。ただ、ある業界関係者から指摘を受けたのだが、最近ではタッチタイプで端末のボタンから入力ができたり、端末を左右からはさむようにして持ち、両手の親指で怒濤のごとく入力するユーザーも居るという。世代的なものもあるが、若年層を中心にこうしたユーザーが増えていることを考慮すると、iボードは20代後半以上の世代に売れる商品ということなのかもしれない(笑)。

両手打ち 噂の必殺両手打ち。ボタンの感覚やボディサイズにもよるが、意外に入力しやすい。慣れれば、iボードもいらない!?



■ iモードのシングルモード化への布石?

 さて、最後に「iボードは買いか?」という点について考えてみよう。N502i/P502iとiボードという組み合わせは、iモードの使い勝手を向上させることは間違いない。端末のみのときよりもiモード対応コンテンツやiモードメールが使いやすく感じられてくる。「あー、ボタンで入力するなんて面倒だ」と感じていたユーザーもiボードを使えば、掲示板やメールによるコミュニケーションが楽しくなるはずだ。しかし、端末とiボードを合わせれば、重量は150g以上になり、最近のメール端末などと変わらないレベルになってしまう。このあたりをどう捉えるかがiボードの『買い』の度合いが変わってくる。筆者の個人的な見解を言わせてもらえれば、ボタン回りが比較的大きめのN502iよりも、コンパクトなP502iの方がiボードが活きてくるように感じられる。

 また、もうひとつ書き加えておきたいのが「iモードのシングルモード化」の可能性だ。N502i/P502iにiボードを組み合わせた環境で使っていると、実はiモードのみをサポートしたキーボード付き端末が登場してもいいのではないかという考えが浮かんできた。携帯電話を少し知っている人なら、ご存じの通り、iモードはいわゆる『デュアルモード機』だ。音声通話のためのモード、iモードを利用するためのパケット通信モードの2つの機能を搭載している。この2つのモードのうち、パケット通信のみをサポートする専用端末も『アリ』ではないかということだ。

 NTTドコモでもハイパートークの採用など、音声通話に対する改良が続けられているが、音声通話にはPHSやcdmaOneなど、一般にPDCデジタル方式よりも音質がいいとされるサービスがあり、ユーザーの選択肢は広がっている。また、他社の携帯電話やPHSを持ちながら、「iモードは使いたいけど、電話番号が変わっちゃうし……」といった声もよく聞かれる。こうしたユーザーに対し、音声通話機能を省いたiモード専用端末を提案すれば、さらにiモードの世界も拡がりを見せるのではないだろうか。iモード専用端末であれば、液晶ディスプレイも大きなものが採用でき、消費電力も少しは押さえることができるはずだ。基本料金などのランニングコストが安くなる点も見逃せない。iボードはそんな新しい可能性を垣間見させてくれる商品でもある。


◎関連URL ■N502i商品情報(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/i/lineup/n502i/n502i.html
■N502i商品情報(NEC)
http://www.nec.co.jp/japanese/product/mobile/
■P502i商品情報(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/i/lineup/p502i/p502i.html
■P502i商品情報(松下通信工業)
http://www.mci.panasonic.co.jp/topics/P502i/

法林岳之
2000/03/21


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