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MN128-SOHO Slotinは卓上がよく似合う

正雪
正雪
 普段は愛機ThinkPad 600を肌身離さず持ち歩く、「どこでも同じ環境でパソコンを」を信念としているヘビーキャリアーのモバイラー。あとはThinkPadでゲームができれば、というのが現在の願い。最近はパソコンでのDVD環境構築を楽しんでいる。


■ 新型はやはり12月8日に

 昨年末にNTT-MEから発売された「MN128-SOHO Slotin」。やはりというべきか発売日は12月8日(イチニッパ)であった。日本にISDNを爆発的に普及させた初代「MN128」がこの日に発表されて以来、NTT-MEにとってこの日は特別の意味合いを持っている日になっているようである。ただし、当機の目玉とも言える無線ユニットの「SS-LAN Card」の発売は、年明けの1カ月後にようやく発売されることになった。

MN128-SOHO Slotin MN128-SOHO Slotin
MN128-SOHO Slotin
標準価格59,800円。別売の無線LANカード「MN128 SS-LAN Card」は発売記念価格12,800円。4ポートイーサネットHUB、DSU(切り離し可)内蔵。豊富なインターフェイスと簡単設定は従来路線通りだが、今回新たにPCカードスロットを2基搭載した



■ 卓上の友を目指すルータ

 読者のみなさんはルータを普段どこに置いているだろうか? 通常は部屋の隅っこだとか、机の下などあまり目立たない所に置いているのではないだろうか。そもそもルータなどはどちらかといえば「きちんと安定して動いている」と言う事が大事で、その本体を注意して見るというような事はほとんど無いのではないかと思われる。

 この「MN128-SOHO Slotin」はそのような使い方を真っ向から否定するデザインだ。漢字表示が可能なディスプレイや本体全面に設置されたスイッチ類。さらにはイーサネットやUSBのコネクタも前面に並んでおり、「見て・触って」を前提とした機能が盛りだくさんとなっている。実際にこの「MN128-SOHO Slotin」を卓上に置いて使ってみると、使い勝手が非常に良いのがわかる。細かい気遣いは後述するとして、まさに「卓上の友」といえるルータだ。また、特にノートパソコンを持ち歩いて使っているユーザーには「これは」と思わせるなかなか便利な点が数多く見られる。



■ モバイルノートとのコンビネーションは良好

 「MN128-SOHO Slotin」のモバイルユーザーに対する気遣いとしてまず挙げられるのは、前面に配置された「イーサネット」と「USB」のポートである。ノートを持ち運んで使用する筆者にとって、机についてからLANへの接続が非常に便利になっている。

 この時特筆すべきはそのUSBポートの仕様である。「MN128-SOHO Slotin」は、PCのUSBポートに接続できる。LANインターフェイスを持たないノートパソコンをLANにつなげる場合、LAN PCカードを使っている人がほとんどだと思われるが、抜き差しの面倒くささや、ちょっとしたトラブルが多いのが現状である。特に他のPCカードと併用して抜き差しした時の不安定さを感じる事が多い。筆者は今まではLinkSYSのUSB―イーサネット変換コネクタを使用していた。しかしこの「MN128-SOHO Slotin」ではUSBケーブルを繋ぐだけで済んでしまう。持ち歩くものもケーブルだけと非常に楽になった。

 また、ルータの初期設定も、このポートにCD-ROM付きのノートパソコンを接続するだけで簡単にできてしまう。全面のUSBポートにつなげ、後は指示に従うだけ。以前から設定の簡単さでは定評のあった「MN128シリーズ」ではあるが、さらに輪をかけて設定が楽になったのは非常に嬉しい。ちょっとおちゃらけたネーミングだが、付属の簡単設定ソフト「設定らくだ」を使えばあっという間に導入完了である。

MN128-SOHO Slotin 設定らくだ
ノートユーザー向けの前面LANポート
設定らくだはとっても楽だ(らくだの起動画面)
MN128-SOHO Slotin
詳細設定はお決まりのWebで



■ ユニークな前面操作パネル

 「MN128-SOHO Slotin」が「卓上の友」であるといえるもう一つのポイントは、今までのルータに比べて格段に多い前面のスイッチ類と大型の漢字表示のコンソールパネルである。ちょっと見るとデザインの一部のように見える十字カーソルと3つのボタンで、さまざまな情報を操作することができるのはなかなかおもしろい。聞けばCPUにはなんとPowerPCを使っているそうで、贅沢なCPUを使って豊富な機能を提供しているのだなと思ってしまう。ルータの状況がパソコン無しで直接本体から、しかも漢字表示で見ることができるというのは、試みとしては非常におもしろい。

 漢字表示の機能の中で今回の目玉となっているのは、なんといっても本体だけで直接メールを受信して表示できる機能であろう。本体側の設定で一定時間ごとにPOPサーバーにアクセスしにいき、メールが来ていれば、本体のメモリにそれを取り込む。着信の通知は本体全面の「メッセージ」ランプが光ることでそれを知らせてくれる。本体に取り込んだメールは直接「MN128-SOHO Slotin」のコンソール上に表示でき、メールを確認することができる。ここで漢字表示の真価が発揮されるのである。感覚的には携帯電話でメールを読む感覚に近いものがある。

 もっとも実際には、メールチェックの度に回線料金がかかるため、あまり頻繁には使えないが、席に着いたときにメールが来ているのがわかるのはなかなか嬉しい。ただし、ルータ本体でメールを読むという状況は、オフィスのような公共の場ではなかなか使いづらい。自宅での使用でも、小さなコンソールでメール本文を読むというのもあまり必然性がなく、実際にはその機能の一部「メールチェック」しか活躍できる場面が無いのは残念だ。

MN128-SOHO Slotin MN128-SOHO Slotin
これまでのルータには類を見ないスイッチ群
漢字表示の大型のコンソール



■ 背面は接続用のコネクタがびっしり

MN128-SOHO Slotin
本体背面には各種ポートが所狭しと並ぶ

 前面はデザインを重視したように思えるが、背面はケーブルを取り付けるためのコネクタが所狭しと並んでいる。アナログポートが3つ、LANポートが4つ(うち1つにHUBを取り付けてカスケード可能)、9ピンのシリアルポートが1つ、ISDNポートが2つといった具合だ。さらに、無線LAN PCカードなどを利用できるPCカードスロットを2基備えている。個人ユーザーではすべてを使用する事はまず無いのではないかと思われるほどで、小規模なオフィスにちょうど良いかなあといった感じである。

 インターフェイスでは、本体にPCカードスロットを備え、無線LANカードやFAXカードなどが利用できるようにした点に注目したい。PCカードで利用できるような機能は、本体にこれらの機能をはじめから内蔵した方が構造的には単純でコストも安くなる。しかし、昨今の機能の発展には対応できなくなってしまう。とくに今回のように、無線で10Mbpsを超える時代への過渡期にあたる時期には、とりあえず2Mbpsの製品を出して、期が熟すのを待つといった方法が取れるのは大きなメリットと言えるだろう。
 実際のところは、パーツ化によるメンテナンスの簡略化と機能強化・拡張に対する柔軟性を目指していると思われる。ユニークな機能が盛りだくさんの「MN128」だけにこうした形で今後どのような機能が提供されていくのか興味深い。



■ 無線LANは割と楽しめる

 「MN128-SOHO Slotin」の最大の特徴はなんといっても無線LANを使ったワイヤレス接続である。ノートパソコンをLAN環境で利用しているユーザーにとっては、待ち望んでいた機能だ。特定の一カ所で仕事をしている人は別として、家の中でノートパソコンを持ち歩いて、いろいろな所で作業するような場合には、LANケーブルの呪縛から解放されるという意味は大きい。

 筆者の場合はそれでなくても、パソコンルームの中はケーブルだらけになる傾向があり(実際はテレビゲーム関係のケーブルがごちゃごちゃしているのではあるが)、LANが無線になったというのはとても嬉しい。またノートパソコンで作業する割合も高く、この時にノートパソコン本体からACアダプターとLANケーブルが出ているのは、ちょっと動かす際にでも非常に煩わしいと感じていた。持ち運んで使用するノートパソコンの場合、ケーブルが1本出ているか、2本出ているかの違いは意外に大きい。

 この無線LANカードの正式名称は「MN128 SS-LAN Card」で、通信方式はその名称が示すように無線LANでは一般的なDS-SS(直接拡散スペクトラム拡散)方式を使用している。電波の到達範囲が100メートルと、一般的な屋内の使用では特に問題ない性能を持っている。転送レートは2Mbpsと今後の主流となると見られる11Mbpsにはかなり劣るが、体感的にはあまり問題を感じないレベルだ。先日も友人と2人で無線LANの環境でオンラインゲームをして遊んだが、特に無線がネックになっているという感じは受けなかった。

 無線LANについては、10Mbps版がすでに発表されているので、10Mbps版ではどの程度のパフォーマンスが出るか非常に楽しみだ。ただし、今後、無線LANの業界標準になると言われる米Lucent Technologiesの半導体を搭載したモデル(メルコ AIRCONNECT 11MbpsやアップルコンピュータのAirMacなど)との互換性は今のところないようで、その点はちょっと気になる。

MN128-SOHO Slotin MN128-SOHO Slotin
MN128 SS-LAN Card本体
チップはシャープ製なのだろうか?



■ ルータの方向性はどうなるのか

 「MN128-SOHO Slotin」は今後のルータの方向性を提案する製品となっている。他社のルータがその設置場所を、人目にあまり付かない所に置くようなまたは中途半端なデザインになっているのに対し、明らかに「卓上」の操作しやすく目立つところに置いて欲しいという主張が見える。

 ただし、今後家庭内LANの普及が予測され、その場合は「ルータは有線LANでサーバーのそばに」という設置が多くなっていくかと思われる。となれば外見よりもきちんと動き収納しやすいデザインが好まれていくような気もする。また、サーバーをLAN接続する場合には、やはりPCIカードによる接続ソリューションを用意してほしいと感じる。メルコのようにPCIカード用の無線LANアタッチメントなどが出てくれば良いのだが、現在のままでは設置場所には結構困りそうだ。明らかにオペレーションにフォーカスが当てられている製品だけにちょっと残念である。

 ただし、今後ルータは明らかに「目立たない部屋の隅」か「手軽に操作できる場所」に設置されるという二極化がはっきりとして来るであろう。とにかく、この「MN128-SOHO Slotin」はそういう意味で遊べるルータの最右翼に位置づけされる製品となったわけである。



■ 早くPIAFS2.1の対応を

 「MN128-SOHO Slotin」はそのさまざまな機能と拡張性にはかなりの期待が持てるルータと言えるであろう。ただ、その機能には前述したメールの表示機能や、無線LANのアドホックモードなど、あれば面白いのだが、実際使うとなるとちょっとというものも結構多い。しかしそのチャレンジ精神は評価したい。

 特に無線接続については、AirMacなどで採用されている規格の11Mbpsが今後主流になりそうな気配もあり、それへの対応は気になる。また、無線LANの高速化に合わせ、内蔵イーサネットHUBのスピードも100BASE-TXへの対応が気になるところだ。FAXカードも含め今後の展開に期待したい。

 また、ルータ機能としてはDDIポケットのα-DATA64(PIAFS2.1)への対応を早期に実現して欲しい(ドコモPHSの64kbps通信規格、PIAFS 2.0には対応している)。旧機種の「SL10/SL11」がBIOSのアップデートで対応済みなのに、最新鋭の機種の対応が遅れているというのはちょっと残念である。筆者のまわりでも繋がり易さと音質面から、ドコモからDDIポケットのH"に切り替えている仲間も多い(最近ではカラーiモード機も流行っているが)。64kbpsの通信環境でルータに接続できれば、使い方はさらに広がる。早期の対応を期待したいところだ。



■MN128-SOHO Slotinニュースリリース
http://www.ntt-me.co.jp/mn128/slotin/slotin_topics.html
■MN128-SOHO Slotin製品情報
http://www.ntt-me.co.jp/mn128/slotin_index.html
■B.U.G.のホームページ(ファームウェアアップデートのお知らせなど)
http://www.bug.co.jp/

(正雪)
2000/02/10


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