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クレジットヒストリーとソーシャルセキュリティナンバー

かづひ
KADUHI
趣味で「パチもん」ばかり発明しているシリコンバレー在住のエンジニア。HP 200LX日本語化やPalm用キーボードThumbTypeなど、時にはまともなものも。過去の発明品はこちら(の第5回)をご覧ください。


 前回は、「シリコンバレー携帯電話事情」と称して、ここシリコンバレーの携帯電話事情が日本と比べるといかに遅れたものなのかをご紹介してきた。今回は、出張などで米国に長期滞在する場合に携帯電話を気軽に購入できない米国ならではの理由についてご紹介しよう。

■ 気軽に買えない携帯電話

ショッピングモール
日本と違って、米国では携帯電話を“誰でも簡単に購入”というわけにはいかない

 こちらには、Mail-in-Rebate(詳しくは前回の記事を参照のこと)などの、日本にはない独自のサービスがあったりして、消費者としてはなにかと得した気分が味わえるという反面、なかなか厳しい面も当然ある。その一つが、今回ご紹介する恐怖の「クレジットヒストリー」なのだ。これに関しては、編集者から「詳しい話が聞きたい」というリクエストもあったので、ここで少し詳しく話をしよう。

 例えば、あなたがシリコンバレーに長期の旅行や出張に来たとして、そこで「携帯電話を買いたい」と思ったとしよう。すぐに購入することができるのか? 答えは「ノー」。お金持ちの方であれば答えはいつも「イエス」というのが世の常なので例外としておくにせよ、通常はムリである。それは「クレジットヒストリー」という、こちらならではのセキュリティシステムが「ビービービー、ガイトウシャ ナシ、クレジットヒストリー ゼロ、ソイツニ ウル ノハ キケン」と、まるであなたが犯罪者か何かでもあるかのような判断を下してしまうからなのだ。このクレジットヒストリーに関しては、私も随分と色々な目に遭っていて、苦労させられたもののひとつに数えられる。

 さて、この「クレジットヒストリー」だが、その正体は「その個人にどれだけ経済的な信用があるのかを証明する目的のために、どこかの地下室かどこかに隠された、超巨大データベース上に密かに蓄積され続けている個人情報」のことである。「クレジット」と聞くと、何かクレジットカードに関連する情報か何かのように思えるが、そのような限定した情報ではなくむしろ「個人の経済活動に関する情報全般」という、たいへん広義な意味を持つ。



■ クレジットヒストリーとは?

 ここアメリカでは、携帯電話などのサービスや、部屋を借りる、車や家のローンを組むなど、何かあるごとにこの「クレジットヒストリー」が参照され、その人の現在の「ポイント」に応じて、契約を断られたり、「もっとクレジットカードを作りませんか」ダイレクトメールがバンバン来たりするのである。しかし、ポイントが貯まったからと言って、それで飛行機のチケットがタダで手に入ったり、電気製品がゲットできるわけではない。飛行機のマイレージやお店のポイントカードとは違うのである。

 私も今では人並みのクレジットヒストリーができたのか、最近では毎日のように「新しいクレジットカードを作りませんか?」的なダイレクトメールをいただくようになったが、こちらに来た最初の頃は、クレジットカード一枚作るのにも、大変苦労した覚えがある。アパートの部屋を借りる時も、やれ勤務先の身元保証のレターを持って来いだの、保証人として知り合い3人の住所氏名を書けだのと色々うるさいことを言われたものだ。しかし、毎月着実に家賃やその他の支払いを続けていけば、徐々にヒストリーが貯まっていくのである。逆に、家賃滞納などが続けば、後々までそのヒストリーが尾を引くことになるのであるが……。

 ちなみに私は、かなり以前から「CITIBANK」に口座を持っており、また海外旅行でクレジットカードを使ってバリバリ買い物をしていたので、少しはその「クレジットヒストリー」とやらがあってもおかしくないハズなのであるが、どうやら「日本の」CITIBANKや、「日本の」クレジットカードを海外で使っても、全く関係無いようなのだ。



■ キー情報はソーシャルセキュリティナンバー

携帯電話の申込書にはソーシャルセキュリティナンバーの記入欄がある

 それもそのハズ、そのクレジットヒストリーデータベースで使用されているキー情報が、アメリカで各個人に発行されている「ソーシャルセキュリティナンバー」と呼ばれる数字なのだ。当然その数字を持たない日本人が、いくらクレジットカードを使おうが、自己破産しようが、アメリカで管理されているクレジットヒストリーには影響しようがないのである。

 そのソーシャルセキュリティナンバーであるが、携帯電話の契約書などには必ず記入しなければならないのだが、記憶力の悪い私がHP 200LXなんぞをゴソゴソ取り出して調べていると、「え? 君、自分のソーシャルセキュリティナンバーも覚えてないの?」と、大変驚かれた経験がある。最初はあまりその意味がわからなかったのであるが、このソーシャルセキュリティナンバーこそ、日本で導入が検討されている「国民総背番号制」システムと同じ類のものであり、名前や生年月日がどうであれ、「この番号 = アナタ」なのである。アメリカではこのたった9ケタの番号をキーとして、ありとあらゆる個人情報が蓄積されているのだ。だから、自分の名前と生年月日をたとえ忘れたとしても、この番号だけは覚えておく必要があるらしい。この事実から察するに、それを覚えていない私なぞは、彼らから見ると「自分の生年月日を覚えていない人」と同じに映っていたに違いない。

 さて、クレジットヒストリーが無い人が、それでも携帯電話を買いたいという場合はどうすればいいのか。先ほど「お金持ちの方であれば」と書いた通り、「お金さえあれば」方法はちゃんと存在するのである。さすがは資本主義バリバリのアメリカ、実にイヤラシイといえばイヤラシイ。

 その方法というのは、いわゆる「ディポジットを入れる」ということである。つまり、購入時にある一定の「保証金」を担保として用意し、一定期間そのお金を相手に預けることで、「私はその保証金が惜しいので、逃げも隠れもしませんよ、もし万が一私が失踪して未払いが発生した場合でも、そのお金で補償されるのであなたには決して損はさせません」というように、相手方のリスクをなくすのである。いわば「信用がない分をお金で補なう」ようなものであろうか。

 ちなみにこの方法はクレジットカードを作るような場合でも有効で、そのようにディポジットを入れて作ったカードのことを「セキュアードクレジットカード」などと呼ぶこともある。その場合、当然のことながら使用限度額はディポジットした金額までとなる。このような仕組みが当然の、こちらの人達の目からすると、大学生がカード破産する日本の状況は、全く理解できないものがあるのではないであろうか。

(KADUHI)
1999/11/18


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