ネット回線契約、ちょっと待った!?
新生活・高速モバイルデータ通信のススメ

(2013年3月13日)

毎朝のニュースはスマホでチェック。お昼ごはんの写真はFacebookにアップして、フィードに流れる気になる動画はその場で確認。外出先で次のアポまでにできてしまった1時間は、喫茶店でノートパソコンを広げてお仕事。帰宅するまでの通勤時間は、ゲーム機でオンライン対戦……。

そんな、いまや「いつでもどこでも」インターネットにつながることがあたりまえになった日常を、もっと快適にするのが高速モバイルデータ通信サービスだ。一昔前には想像もできなかった、固定回線並の数十Mbpsの回線速度を叩き出すイマドキの高速モバイルは、とくに、この春大学進学や就職をする人におすすめ。来たる新生活にぴったりの高速モバイルデータ通信サービスを見つけてみよう。

新生活のお伴に最適な高速モバイルデータ通信

春からキャンパスライフ! の学生に

この春、大学進学と同時に自分用のモバイルノートPCを新調するという人も多いだろう。新しく買ったノートパソコンをさらに活用するためには、高速モバイルデータ通信があるとなにかと便利。

たとえば通学の移動中や、講義と講義の間の空き時間などで、ノートPCを使ってレポートを作成したいこともあるだろう。高速のモバイルネット回線さえあれば、キャンパス内でもカフェでも、どこでも資料集めができて時間を有効利用できる。

ノートPCやタブレット端末をフル活用するなら、高速モバイル回線をひとつは持っておくと便利

最近は学内無線LANが導入されている大学も多いが、カフェや図書館などの決められた場所でなくても使えるのはやっぱり便利。また、学内無線LANのセキュリティが厳しいと、手持ちのゲーム機やスマホをつなげようと思っても簡単につながらなかったり、最悪、大学の情報管理部門から注意が入る可能性もあるので、自分で高速モバイル回線を持っているといろいろ安心だ。

大学生活では意外に空き時間が発生するが、ノートPCやタブレットと高速モバイル回線があれば、いつでも必要な作業をこなせる

また、ひとり暮らしで自分の部屋で使うインターネット回線も、実はこの高速モバイル回線ひとつで事足りる場合も。特に、1、2年時は郊外、3、4年時は都市部など、同じ大学でも途中でキャンパスの移動があったりする場合、引っ越しが必要になることも。そんなときも、固定回線でありがちな工事の手間を気にせず、引っ越してすぐ使えるのがモバイル回線の利点だ。

固定回線は契約〜開通〜解約の手間があるが、モバイル回線なら手間いらず

屋外での課題の調べ物から、自宅でのインターネット接続、動画サイトの閲覧までヘビーに使うなら、通信できるデータ量の制限がないタイプがおすすめ。月額料金が固定なら使いすぎて請求が怖い、ということもない。また、契約時のキャンペーンでタブレットが無料でもらえたり、値引きになったりするプランなどもあるので、まだそれらのデバイスを買いそろえる前なら、ぜひ活用したい。

春から新社会人や単身赴任になる社会人に

期待と不安の入り交じる新生活のスタート。生活リズムも大きく変わり、めまぐるしく変化する毎日にも、高速モバイル回線があると便利。支店が多くある会社の場合、研修後にまだどこに配属されるかもわからない、という新社会人も多いのではないだろうか。ひとり暮らしの部屋にあわてて有線のインターネット回線を引く前に、とりあえず高速モバイル回線でしばらくようすを見てからでも遅くないだろう。転勤で短期間単身赴任になるという場合も、高速モバイル回線なら行った先々で、工事なしで使えるので安心だ。どのサービスも現在はエリア範囲も全国規模。市街地なら問題ない場合がほとんどだ。

高速モバイル回線の場合契約期間は2年単位になっている場合が多いが、契約してすぐに使えて、基本的にどこに引っ越ししても同じように使える気軽さがある。回線の種類によっては1年単位のものや、月額料金は少し高くなるが、一カ月単位でいつでも解約できるプランもあるのでそのプランを選んでもいいだろう。

春からもっと環境を整えたい社会人に

新生活がはじまるわけではなくても、春は心機一転、なにかをはじめたり、見直すのに最適。通勤時間にタブレットを活用したり、デジカメにEye-Fiを入れてFacebookにアップする写真をワンランクアップさせたり、やりたかったことをこの機会に実現してみよう。また、過去、この時期に引っ越した人なら、インターネット回線の契約も3月や4月はじまりだという人も多いのではないだろうか。インターネット回線は2年契約が一般的で、その翌月一カ月間だけが違約金なしで変更できるシステム。たとえ2年を過ぎていても、一日でも過ぎてしまうと違約金が請求されてしまうので、利用しているサービスに不満があるなら、そのタイミングで回線契約を見直すのがおすすめだ。

家族で住んでいるなら、自宅のインターネット回線は別途用意しつつ、高速モバイル回線もセットで使うとお得。出張が多く、どこに行っても快適な速さの高速モバイル回線を使いたいという場合はその高速モバイル回線を速度重視で選んだほうがいいだろう。ちなみに1カ月間に5GB、7GBなどデータ量制限がある場合は、データ量を超えても、通信速度が遅くなるだけでつながらなくなるわけではない。

高速モバイルデータ通信サービス、どうやって使う?

実際に高速モバイル回線を契約してみようと思っても、「LTE」や「WiMAX」など聞き慣れない用語が多く、どれをどう選んだらよいのかわからない、という人も多いだろう。次に高速モバイル回線に関するごく基本を解説したい。

まず「高速モバイルデータ通信サービス」は、インターネットがどこでも使える無線通信サービスのことで、ケータイと同じように回線契約して使う。

高速モバイルデータ通信には大きく分けて2つの利用法がある。モバイルルータを使う方法と、モバイルデータ通信内蔵のPCやタブレット/スマホを使う方法だ。

「モバイルルータ」は、高速モバイルデータ通信を行うための通信デバイス。これ1台あれば、Wi-Fi通信機能のある機器ならなんでも、複数同時にインターネットにつなげられるので、たとえば外出先のカフェでノートパソコンを使いたい、ちょっとした空き時間にPSPでオンラインゲームをしたい、通勤時間中に動画サイトをタブレットで見たいなど、さまざまな用途に応えてくれる。最近のモバイルルータは連続通信時間が6〜10時間程度と長く、しかも休止モードなどの省電力機能も充実しており、丸一日カバンに放り込みっぱなしで使えるのもうれしい。多くの場合はサービス契約時に同時に購入する。単品でも購入できるが、契約時に同時購入すると割引されるケースが多いので、よっぽどの理由が無い限りそちらがおすすめ。

WiMAX用の最新モバイルルータ「AtermWM3800R」(左)と「URoad-Aero(右)」。いずれも手のひらにすっぽりおさまるサイズでありながら、最新の省電力機能と使い勝手を備え、バッテリーも長時間駆動

モバイルデータ通信内蔵のPCやタブレットを利用して高速モバイルデータ通信サービスを利用する場合は、いちいちモバイルルータを持ち運ぶことなく、デバイス1台で完結できるので、シンプルな運用が可能になる。ただ、基本的にその通信サービスを契約したデバイス1台でしか使用できないので、手持ちのいろいろなデバイスをつなぎたい、という人には不向きだ。

ただ、例外なのは、「テザリング」機能を使用する場合。テザリングは、スマホやタブレットを「モバイルルータ」代わりに使う機能。スマホとモバイルルータを別々に持つ必要がなく、しかもスマホ/タブレットの回線契約ひとつで済むので料金もリーズナブルだが、最近の「電池は1日ぎりぎりもつ」くらいのスマホで使うとあっというまにバッテリーを消費してしまうのがやや使いづらいかもしれない。また、どの事業者もテザリングサービスについては、一カ月の通信データが一定量を超えると速度が極端に遅くなる「帯域制限」をかけている。一週間に一度しか使わない、データ通信はメール送受信だけ、というような場合はこのテザリングも便利だが、帯域制限を気にせず思いっきり使いたいという場合は、やはり高速モバイル回線専用のサービスを別途契約するのがおすすめだ。

モバイルルータやテザリングは、ひとつの回線契約で複数の端末をネット接続できるのが利点だ

料金は「縛り」の有無によって大きく変わる

現在高速モバイル回線を提供している会社は、おもに「NTTドコモ」、「ソフトバンクモバイル」、「UQコミュニケーションズ」、「イー・アクセス」の4社。さらに、これらの回線を借りてサービスを提供する「MVNO」の事業者も多数存在する。

さまざまな条件はあるが、料金は大体「月額3,000円〜5,000円」のあいだくらい。事業者によって異なるのはもちろんだが、同じ事業者でも「1年契約」や「2年契約」といった、いわゆる「縛り」を大きくするほど安くなるようになっている。

たとえば、UQ WiMAXであれば「縛り」無しの完全定額プラン「UQ Flat」は月額4,480円だが、1年間の継続利用という「縛り」を付与することで月額3,880円まで安くなる。

「縛り」期間の途中でサービス解約も可能だが、所定の違約金を請求される。この違約金の額もサービスによってまちまちなので、事前に確認しておきたい。

各通信事業者のサービスを概観

では次に、各社のサービス内容を具体的に見ていこう。ここでは各社の回線を利用する「MVNO」事業者はいったん保留し、通信インフラ提供元の1次事業者が提供する高速モバイルデータ通信サービスに絞って紹介していく。また、スマートフォン契約のように、音声通話プランを含むものに関しても除外し、高速データ通信サービスのみに絞っている。

NTTドコモ「Xi」

まずはNTTドコモのデータ通信サービス「Xi」。「LTE受信時最大112.5Mbps」をうたうLTE+3Gの通信サービス。最安プランとなる月額3,980円は、データ通信専用プランの「Xiデータプラン フラット にねん」(2年縛り)をドコモのケータイユーザーが2回線目として契約して「プラスXi割」を適用した場合。ドコモのケータイユーザー以外の場合は同じ「Xiデータプラン フラット にねん」が月額5,980円となる。プロバイダー料金が別途必要で、ドコモの提供する「mopera U」の場合で月525円(最初の6カ月はプロバイダー料金無料)。また、ひと月のデータ量は7GBまでに限定され、それをオーバーすると当月内は送受信が最大128Kbpsに制限されている。

■Xi データ通信 料金プラン
http://www.nttdocomo.co.jp/charge/
■Xi サービスエリア
http://www.nttdocomo.co.jp/support/area/index.html

ソフトバンクモバイル「4Gデータ通信」

ソフトバンクのデータ通信サービス「Softbank 4G」は「4Gエリア内全域下り最大110Mbps」をうたう4G(LTE)+3G通信サービス。「4Gデータし放題フラット」は本来、月額料金が5,985円、4Gデータ通信基本料が525円かかるプランだが、現在は「4Gデータ通信スペシャルキャンペーン」の適用で、2年縛りで月額3,880円。Xiのように同社スマートフォン契約が必要となることはない。ただし、こちらも1カ月あたり7GBまでのデータ量制限があり、オーバーすると当月内の送受信が最大128Kbpsに制限される。

■Softbank 4G データ通信 料金プラン
http://mb.softbank.jp/mb/price_plan/data_com/
■Softbank 4G サービスエリア
http://mb.softbank.jp/mb/service_area/map/?service=4gtd

イー・アクセス「EMOBILE LTE」

イー・アクセスの「EMOBILE LTE」は、現在は下り最大75Mbpsに対応するLTE+3G通信サービス。「LTEフラット(にねん)」が月額3,880円で2年縛りとなっている。基本的には上記2社と違い、1カ月あたりのデータ通信量制限はないが、24時間で300万パケット(366MB)を使った場合は当日21時〜翌2時まで通信速度制限がかかる。また、2014年5月以降は1カ月あたり10GBのデータ量制限が予定されている。

■EMOBILE LTE データ通信 料金プラン
http://emobile.jp/charge/#content-datac
■EMOBILE LTE サービスエリア
http://emobile.jp/area/area.html

UQコミュニケーションズ「WiMAX」

UQコミュニケーションズが提供する「WiMAX」は下り最大40Mbpsのデータ通信サービス。上記3社はLTEと3Gの両方で通信できるが、WiMAXは3G通信は含まない。同社のホームページで行われている「Try WiMAX」を利用すると、15日間無料でお試しができるのが特長。また、データ通信量の制限は存在しない。最安プランは「UQ Flat 年間パスポート」で、月額3,880円。他サービスの最安プランのほとんどが2年縛りなのに対し、WiMAXは1年縛りと短い。高速モバイルデータ通信を自宅の固定回線としても活用したい場合は、通信量制限が無く、TryWiMAXで事前に自宅での通信速度もチェックできるWiMAXが有力な選択肢だ。

■UQ WiMAX 料金プラン
http://www.uqwimax.jp/service/price/
■UQ WiMAX サービスエリア
http://www.uqwimax.jp/service/area/

au「+WiMAX」

WiMAXの派生的サービスといえるのが、auの「+WiMAX」。上記のWiMAX回線に加え、WiMAXがつながらない場所ではauの3G回線を用いて通信できる。最安料金は、「誰でも割シングル」(2年縛り)または「WINシングルセット割」(au携帯電話の同時利用必要)のどちらかと、「WINシングルフラットおトク割」(専用モバイルルータ購入と同時に「WINシングルフラットWiMAX(シンプル)」加入)を組み合わせた際の月額3,880円となっている(プロバイダー料金が別途必要)。

■+WiMAX 料金プラン
http://www.au.kddi.com/service/mobile/win_single_flat/ryokin.html
■WiMAX サービスエリア
http://www.uqwimax.jp/service/area/
■au 3G サービスエリア
http://www.au.kddi.com/service_area/index.html?bid=au_sn_1004

以上、各社のサービスを比較してみたが、基本的には、自分がよく行く場所でちゃんと通信できるか、自分の使い方で通信料制限を守れそうか、などを念頭に置いて選んでみよう。また、上記サービスの回線を借り受けてサービス提供している事業者(MVNO)の場合は、上記の料金よりさらに安くなる場合もある。

お得な買い方アリ! MVNOやプロバイダー経由に注目

さて、実際に契約する際には、契約時の特典もチェックしていきたい。

とくに「縛り」で契約を行う場合、お得な買い方がいろいろと選べる。意外に穴場なのがMVNO事業者との契約だ。

たとえば、@niftyは、UQ WiMAX、NTTドコモ、イーモバイル等の「本家」の回線を借り受けたMVNOサービスを展開しているが、同社ホームページを見てみると、本家のドコモやUQ WiMAXよりもややお得感があったりする。

MVNO各社は差別化のため、お得な契約者特典をズラリ用意している

たとえば「@nifty WiMAX」の場合、WiMAXの1年契約は3,853.5円と、そもそも月額料金がUQ WiMAX本家で契約するよりも少し安く、そのうえモバイルルータとLenovoのタブレット「IdeaTab A2107A」のセットが契約者特典として1円で購入できたりする。

また、ドコモXiサービスの「@nifty do LTE定額にねんプラン」だと月額3,937.5円。 機器代金は別途かかるが、NTTドコモが直接提供している「Xiデータプラン フラット にねん」よりやはり安い。本家でかかるプロバイダー代もこの額に含まれているのでかなりお得だ(4月以降はデータ量制限が5GBとなり、超過した場合、当月末まで300kbpsの速度制限がかかる場合がある)。

「@nifty EMOBILE LTE定額にねんプラン」はイー・モバイルのモバイル回線を使うプラン。月額3,878.7円で、モバイルルータの「Pocket WiFi LTE(GL04P)」は税込1円。

MVNOなら、そのプロバイダーの提供する各種セキュリティサービスや動画コンテンツ等の利用ができるなど、特典も豊富。また、光ファイバーなど有線回線との格安セットプランを提供している事業者もある。ぜひ隅々までお得なプランやキャンペーンをチェックしたい。

(西村敦子)