ビジネスマンに勧める「高速データ通信」
~料金? エリア? モバイルデータ通信は何で選ぶ?

(2013年3月11日)

携帯電話と同時契約なら料金がリーズナブルになることも

 モバイルデータ通信といえば、データ通信に軸足を置いているイーモバイルや、WiMAXによるデータ通信サービスを提供しているUQ WiMAXがまず思いつく人もいるだろう。それに対して、もともとの携帯電話事業者のデータ通信サービスは、料金が高いなどと思い込んでいないだろうか。

 最近は、キャンペーン料金や同時契約料金などが充実しており、老舗の携帯電話事業者のサービスも負けていない。それどころかサービスエリアまで加味すると、非常に有効なサービスとなっているのだ。

 まずは各社の高速データ通信サービス一覧を見ていこう。

主な超高速データ通信サービス

 ドコモ(Xi)au(4G LTE)※1au(+WiMAX)ソフトバンク(ULTRA WiFi 4G)イー・モバイル(LTE)UQ WiMAX
下り最大速度112.5Mbps75Mbps40Mbps110Mbps75Mbps40Mbps
上り最大速度37.5Mbps25Mbps15.4Mbps10Mbps25Mbps15.4Mbps
データ通信容量上限(※2)月間7GB月間3GB月間7GBなし(WiMAX利用時)月間7GB24時間ごと366MBなし
毎月の支払い額(※3)6513円4508円6513円4408円3883円3883円3880円
同事業者の携帯電話などがある場合の毎月の支払い額4508円4408円
契約期間24カ月24カ月24カ月24カ月(※4)24カ月24カ月12カ月
※1 au(4G LTE)は現在のところ法人向けサービスとして提供中
※2 通信容量上限を超えた場合、大幅に通信速度が減速となる
※3 毎月の支払い額は、月額定額料金+プロバイダ月額使用料+ユニバーサルサービス料の合計額。2013年3月時点で実施中の各種キャンペーン適用時の金額
※4 au(+WiMAX)は、au携帯電話の契約があれば、2年契約なしに安い料金で利用できる

 毎月の支払い額を見ると、ドコモ(Xi)とau(4G LTE)が高い。しかし、ドコモのデータ通信容量上限7GBのプランは、ドコモの携帯電話やスマートフォンを持っている場合、お得な料金設定をしている。一人で同時に通信することはあまりなく、単体利用よりもあまりネットワークに負担をかけないという判断もあるのだろう。

 また、ドコモについては月額のデータ通信容量上限が3GBのプランも用意しており、さらに期限の決まっていないキャンペーンを実施しているため、大幅に安く利用できる。

 単純に月額料金だけを比較すれば、データ通信を主に提供している事業者が安いのは間違いないのだが、果たしてそれだけで良いのだろうか。

 例えば、事業者が違えばサービスエリアが異なる。月々の支払いを少々節約したところで、使えない場所ができてしまうのでは意味がない。極端な話、エリアを我慢して節約するなら月額数百円で利用できる公衆無線LANサービスでもよい。モバイルデータ通信を利用する場合、それよりも高いコストを掛けるわけなのでサービスエリアも妥協したくない。

 また、データ通信には端末が必要となる。端末代金やその支払い方法にも注目したい。現在はほとんどのケースで通信料と相殺されて実質的に端末代がタダになるサービスが多いものの、タダにするためには2年間、毎月の料金を払うことが前提。何らかの理由で途中解約しなければならなくなった場合に負担する金額等の条件も比べておきたい。

サービスエリアは、ケータイで通話ができるエリア

 超高速通信ができる各サービスのエリアを見てみよう。1つの方式しか提供していないWiMAXはすべての場所でWiMAXオンリーだが、他のサービスはLTEといった超高速方式のエリア外でも、速度は遅くなるが3Gのサービスエリアで利用できるようになっている。

 3Gサービスのエリアは、携帯電話で通話できるエリアと同一と言ってよい。たとえば、ビルの奥のほうでも通話ができるならデータ通信も可能。データ通信だからといって、エリアが極端に狭いといったこともない。

各社利用できるサービスエリア

 ドコモ(Xi)au(4G LTE)au(+WiMAX)ソフトバンク(ULTRA WiFi 4G)イー・モバイル(LTE)UQ WiMAX
超高速エリアXiエリアLTEエリアUQ WiMAXエリア4G(AXGP)エリアLTEエリアWiMAXエリア
通常エリア3Gエリア3Gエリア3Gエリア3Gエリア3Gエリア-

 最近では、地下鉄の駅間トンネル内も携帯電話が通じるように整備されているが、データ通信も駅間のトンネルでできる。

 このため、音声通話で利用していてエリアの面で評判の良い通信事業者を選ぶことが、どこでもデータ通信ができる環境を手に入れる近道ということになる。

 昔ほどではないかもしれないが、携帯電話の音声通話のサービスエリアは各社とも差があり、場所によっては一部の通信事業者が全く使えない場所がある。ビジネスマンが利用する場所で、エリアにバラつきがあると思われる場所は、地下にある喫茶店をはじめとする飲食店や地下駐車場などだ。

 特に自動車で得意先回りをしているような営業マンなら、クルマに戻って商談の報告や受注処理をしたり、次の訪問先の事前準備など、クルマの中でノートPCを広げて通信をする機会が多い。屋外の駐車場ならあまり問題にならないが、地下駐車場に停めた場合、データ通信が圏外となってしまい、全く通信できなくて困ったということもあるだろう。

 それでも、現在の携帯電話なら地下でも圏外になることはあまりない。携帯電話が主力の通信事業者のモバイルデータ通信サービスなら、携帯電話とほぼ同等のエリアで通信できる、ということを覚えておこう。

使えるエリアの充実は、通信事業者の取り組み次第

 サービスエリアの広がりや、エリア内で快適に使えるかどうかは、それを維持・管理するための熟練した技術スタッフや設備、資金などが必要だ。これは第3回でも述べた。音声通話やスマートフォンの利用がうまくできなければ、モバイルデータ通信も同様にうまくいかない。

 また通話・通信のサービスエリアに不満がある場合、通信事業者に検査や改善を申し入れる窓口がしっかりしていることも選ぶポイントになる。もし仕事上、重要な場所でデータ通信が使えなかった場合に、しっかりと対応してくれる窓口があることも条件だろう。

 もちろん、事前に自分が使いたい場所すべてで良好に使えるということが確認できれば、どの事業者を選んでも問題ない。しかし、その場所が未来永劫、安定して使えるかどうかはわからない。一方で加入して2年の間に、自分の仕事上の行き先が全く変わってしまうということもある。であれば、エリアの維持・管理に定評のある通信事業者を選んでおくというのは良い選択だろう。

端末は同じではない、使い勝手もさまざま

現在主流のモバイルルータタイプ。写真はドコモのL-03E

 エリアの問題の次は端末だ。現在のデータ通信端末といえば、まずモバイルルータということになるだろう。モバイルルータはどれも一緒と考えがちだが、機種ごとに特徴があり、実際に使い比べないとわからない部分が多い。

 使い勝手の面では、まず、連続通信時間や本体サイズ、重さが気になると思われるが、実際に使うと電源ボタンを押してから使い始められるまでの時間も重要だ。一度オフにしてしまうと起動に時間がかかるばかりに、ずっとつけっぱなしにしてしまう人もいるだろう。起動が早いモバイルルータであれば、使用しないときにこまめに消しても不便を感じない。

 そこで、端末の種類が多い事業者もおすすめしたい。購入前に選べるのはもちろんのこと、実際に加入した後でも機種変更(買い増し)することで不便さを解消できるかもしれないからだ。

端末ラインアップのメーカーと機種数

 ドコモ(Xi)au(4G LTE)au(+WiMAX)ソフトバンク(ULTRA WiFi 4G)イー・モバイル(LTE)UQ WiMAX
機種数623368
メーカー数312323
※ カタログや製品紹介サイトから現行機種として想定されるものをカウント

 端末購入の際の価格差も注目すべきで、新規契約であれば、概ね0円で端末を入手できるものの、途中で購入となれば定価で購入するしかない場合が多いからだ。端末の破損や紛失の場合は保証制度の加入で対応できる場合もあるが、自腹で端末を買い直さなければならない事態になった場合も、端末価格は重要だ。

 また、2年を待たずに途中で解約しなければなくなった場合も端末価格は重要だ。分割払いで購入した場合は残額を払わなけれればならず、一括払い購入でも端末価格に見合った高額な違約金が用意されていることが多い。端末価格が安ければ、万一、解約しなくてはならなくなった場合や、途中で端末を買い換える場合にも有利になる。

主な機種の端末価格

 ドコモ(Xi)au(4G LTE)au(+WiMAX)ソフトバンク(ULTRA WiFi 4G)イー・モバイル(LTE)UQ WiMAX
機種名L-03EWi-Fi WALKER LTEWi-Fi WALKER DATA08WULTRA WiFi 4G 102HWPocket WiFi LTE(GL06P)AtermWM3800R
端末価格17640円オープン(28000円程度)(※5)オープン(※6)33600円33600円オープン(17800円程度)
※ 事業者直販サイト等から調査
※5 au(4G LTE)は法人向けサービスのため、端末の価格情報なし。見積もり情報などから推測
※6 au(+WiMAX)は端末価格が回線込0円となる販売ケースが多いため単体価格は不明

圏外ならただの箱、最後はサービスエリアで選びたい

 今や外出先でインターネット回線を利用する手段は多くある。公衆無線LANはお店やスポットといった“点”でしか使えないが、使える場所が“面”で展開されて、どこでも安心して使えるのが今回紹介したモバイルデータ通信となる。

 しかし、選んだサービスによっては使えない場所もある。そのため、重要な情報に触れることができなかったり、大事な連絡を逃した経験がある人も多いだろう。

 そこで選ぶなら、多少の利用料金の大小ではなく、使えない場所の少ないことを重視してサービスを選んでほしい。圏外で通信ができなければ持っていないも同然だからだ。

(正田拓也)

URL

ドコモ 「Xi」(クロッシィ)データ通信
http://www.nttdocomo.co.jp/service/data/xi/
KDDI Wi-Fi WALKER LTE
http://www.kddi.com/business/data/hwd11/
au Wi-Fi WALKER DATA08W
http://www.au.kddi.com/seihin/ichiran/data/data08w/
ソフトバンク モバイルデータ通信
http://mb.softbank.jp/mb/data_com/
イー・モバイル モバイルデータ通信サービス
http://emobile.jp/service/mobiledata.html
UQ WiMAX
http://www.uqwimax.jp/