連載:ぼくらの自由研究室

テレワークしてみたら“働き方以外”が改革されてしまった件

こんにちは、3度の飯より仕事が好き(ただしカレーを除く)、佐々木です。

正確には、「仕事が好き」というより「仕事が心配でいつも見てないと不安」というヘタレの私です、社畜乙。最近は、常時接続とモバイル通信とWebサービスが発達したおかげで、いつでもどこでも仕事ができて本当にいい時代になりましたね(※個人の感想です)。

ですが、1つだけ変わらないものがあります。それは通勤です。

子どもの誕生を機に職場まで片道1時間半、最寄り駅までバスで20分(渋滞すると1時間以上)という関東のはずれに引っ越し、はや15年。せっかくテクノロジーが発達して、私はどこで仕事してもほぼ同じことができる世の中になったというのに、毎日往復3時間と2000円をかけて、満員電車にすり潰されながらFacebookにいいねする日々を送っています。

テレワーク・デイ! 1/60000になってみた

そんな日々を送る中、「テレワーク・デイ」なるものがあることを知りました。テレワーク・デイとは、2020年に開催される東京オリンピックの開会式である7月24日に、交通機関や道路が混雑するであろう始業から10時半までの時間帯、電車や車などをできるだけ使わずに、テレワークを一斉実施して効果測定をしよう、という産官あげての取り組みです。結果的には、東京都内を中心に900以上の企業・団体が参加し、約6万人がIT機器を活用し、自宅など職場以外の場所で働いたそうです。

「テレワーク・デイ」公式サイト

「テレワーク」と言ってもさまざまな形があり、自宅で業務にあたる「在宅勤務」や、出先で仕事をする「モバイルワーク」、レンタルオフィスなどに出勤する「サテライトオフィス勤務」の3種類から、各参加企業が業務の実態に合わせて選びます。私の就業形態は、裁量労働制(自主的にコアタイムを11時~16時に設定)ですので、通勤時間帯はもともと朝のラッシュからは若干ずれているのと、往復3時間の通勤時間を有効活用したいと考え、今回「在宅勤務」の形式で実施してみることにしました。

テレワーク・デイに先立ち、いきなり当日出社しないで電話会議したい、なんて通じないので、まずは社内のネゴから始めます。前週中に自部署と関係する部署の会議で「来週月曜日はテレワークしまーす」と伝えておきます。通常通り内線が受けられること、離席や休憩等のプレゼンス情報は内線アプリのステータスを確認してほしいこと、万が一の場合は携帯電話にも連絡できること、など、主に連絡を取るための手段について念入りに周知を図りました。当日は社内の定例会議が2件あるので、同じ会議に出席する同僚に協力してもらい、Skype用のノートPCとWebカメラを接続して持ち込んでもらうよう調整もしました。

余談ですが、弊社の内線電話はIP電話化されていますが、PCアプリでイントラネット内の利用に限られています。私は常々テレワークをしてみたいと思っていたので、技術部門にお願いしてあらかじめスマホで受けられるようにしてありました。テレワーク・デイに参加しようと思い立ってすぐ実行できた背景には、こうした下地作りもありました。

使い道のないiPhone 4sを内線電話専用に利用

テレワークな1日

そうして迎えたテレワーク・デイ当日、気持ち的にはいつもの月曜日と変わらないよう心掛けながら準備を進めます(テレワークによる効果をわかりやすくするため、いつもの月曜日と違うところは太字にしています)。

テレワーク・デイ当日の流れ

06:30 起床、妻子らと朝ごはんを食べる
07:30 上の娘が登校
08:00 妻が出勤、布団をたたみつつ夏休み中の息子と保育園に行く下の娘と身支度をす
08:30 娘を保育園に連れていく
09:00 息子と小学校へ行き、夏休みの宿題であるヘチマの観察日記をつける
09:30 息子がヘチマ観察日記を書き終えたのを見届けて、朝一の会議参加の準備を始める
10:00 業務開始メールを部署に送り、本日最初の定例会議にSkypeで出席
11:00 次の定例会議にもSkypeで出席
12:30 昼食、そうめんを茹でて息子と食べる
13:00 祖父母が息子をプールに連れて行ってくれる、これで夕方まで仕事が捗ると一安心
13:10 上の娘が帰ってきたので、昼食と引き換えに通知表を要求して嫌がられる

ヘチマの観察日記のあと滅茶苦茶ヤブ蚊に刺された
娘の昼食は冷凍カニトマトクリームパスタ、忙しいお昼の心強い味方である

13:30 昼食休憩終了し、たまったメールの対応を始める
14:30 いったん休憩しコーヒーを淹れる
15:00 原稿校正の催促メールを受け、慌てて原稿を読む
16:00 原稿校正を終え、再びたまり始めたメールに対応していると息子がプールから帰ってきた

一人静かに淹れたてのコーヒーをカップで飲めるという当たり前のことに軽く感動を覚える
何かわめいてると思ったら、五つ葉のクローバーを見つけたといって見せてくれた、すげえ

17:00 妻が帰宅したので、しばらく家事のため休憩に入る
18:30 業務に復帰、メールに対応する
20:00 上の娘が外出から帰ってきたので業務を中断し、家族そろって晩御飯を食べ、下の子らを風呂に入れる

妻が保育園に迎えに行っている間に風呂を洗い布団を敷き晩御飯を作る、もちろんカレーだ
1人で食べてもカレーはうまいが、家族で食べるともっとうまい

21:30 下の子も寝たので業務再開
22:00 業務完了メールを部署に送り、1日の仕事を終える
24:00 就寝

ちなみにこの日は22時まで仕事をしていますが、テレワークでこの時間になったのではなく、私の業務ではいつも通りな時間です。

やってみてわかったテレビ会議の課題

今回のテレワークで定例会議にSkypeで参加してみて、マイク品質が大事だということを痛感しました。

特に課題だと思ったのは、複数の人が同時に話した際の聞き取りにくさや、小さな声やこもった声が聞き取れないことです。まして仕事ともなると、うまくいってない案件や自信のない報告は小さく低い声になりがち、もっとも重要なトラブルの種を聞き流してしまう恐れがあります。今回は比較的高性能なWebカメラを用意したものの、指向性マイクだったため会議には不向きでした。逆に映像は参加者の表情がわかれば十分なので、ノートPC搭載のカメラで十分です。次回は会議用の全指向性マイクを用意して臨みたいと思います。

また、余程活発なディスカッションでない限り、自分のマイクはミュートにしておくのがよいこともわかりました。会議を聞きながらメモを取っていると、こちらが思うよりキーボードの打鍵音が先方に聞こえてしまうようです。あと、会議中に息子が「ねー、おとーさん、ゲームやっていい!?」って乱入してきたときも冷や汗かかずにすみます。

マイクをミュートにしておけば、こちらの生活音で会議を邪魔しないで済む

あと、自宅でテレビ会議参加する場合に限った注意点ですが、テレアポ営業なのか朝の10時くらいから頻繁に自宅電話が鳴ります。前述の子どもが会話に乱入するトラブル同様、テレビ会議中に恥ずかしい思いをしますし、何より業務も中断されてしまいます。テレワークの時は、0コールで留守電になるように自宅電話を設定しておくとよいでしょう。

ちなみに、用事があれば気軽に内線してほしい、と事業部内に内線番号付きで周知をしていましたが、結局この日は1件も内線はかかってきませんでした。

テレワークの本質は「社員の可処分時間を増やすこと」にあり

まる1日、テレワークを中心とした在宅勤務をしてみてわかったのは、テレワークは働き方が改革されるというより、生活そのものが大きく変わるということです。

今回テレワークをすることで、通常業務の休憩(私の場合、昼食と夕食2回と、作業の合間の息抜き30分程度)に加え、通勤時間分の3時間を手に入れました。やってみる前は、その3時間はより多くの仕事のために費やされるだろうと思っていましたが、実際は大きく異なりました。その3時間は、ちょっとした家事と、家族とのかけがえのない経験の共有に費やされたのです。結果、私は「いつもと同じ時間を働き、家族と過ごす時間が増える」という、とても素晴らしい体験をすることができました。

今回は子どもの夏休みが重なったため、家事や子どもとの時間が大半を占めましたが、これが平日であれば、もっと自分の趣味や勉強のために時間を使うこともできるでしょう。もちろん(できれば避けたいですが)、繁忙期であれば仕事に回すことも可能ですし、それでも朝のラッシュと終電に怯える必要がないと思えば、いつもより仕事の効率も上がりそうです。

会社に行くと、自分の席にいればなんとなく仕事をした気になり、会議に出席していれば参加した気になりますが、在宅勤務だと「席にいる」という仕事アピールができません。恥ずかしながら、テレビ会議の方が心なしかいつもより会議にも主体的に参加できたように感じました。

とはいえ、誰もがテレワークで良い結果を得られるわけではないことは言うまでもありません。極端な例を挙げれば、対面の受付業務を会社から期待されている人がテレワークって、ありえないですよね。私のように、通勤時間が長いけど業務の裁量がある程度認められていて連絡手段が確保できているなら「在宅勤務」、外回りがメインの業務なら会社にいちいち寄らずに営業先へ直行直帰して適宜会社に報告をする「モバイルワーク」など、個々人がやるべき仕事で最もパフォーマンスを発揮できる方法を選択できることが理想です。

悪しき全体主義に陥ることなく、働きたい人が自分に合った形で自由に働いて、成果を出して評価される世の中になればいいなあ、などと青臭いことを考えたアラフォーおっさんのテレワーク体験記でした。

それではまた。

佐々木勇治