[Vol.4]「Happy OL」編集長、薮内加奈さん

 カメラが自然と入り込んでいる暮らし。カメラを持ち歩く楽しみ。日々キラキラしていることを切り取る喜び。カメラのある生活を楽しんでいる女子に密着します。第4回目は現在フリーランスライター/エディターとして活動している薮内加奈さん。

 薮内さんと出会ったのは「Happy OL」という女性向けサイトがきっかけだった。現在は薮内さんが編集長を務めている。働く女子を応援しようと「ニッポンの働き女子をもっとHappyに!」をコンセプトに、女子の欲しい情報やユーザー参加型のコンテンツが、たっぷりと提供されている。

 私もHappy OLのイベントや活動に参加したことがある。そこで親しくなった薮内さんと、カメラや写真の話で盛り上がることがあった。一泊旅行でも最低50〜80枚、数日間の旅だと200〜300枚ほど撮影するというのは、私と似ている。なんだか急速に距離が近付いたような気がした。写真にはそのように人同士を引き合わせる強い力がある。

実は空を撮るのが好き

 

高校時代の一番高価な買い物は「一眼レフ」

 高校生のときからカメラに強い興味を持っていたという薮内さん。キヤノンの一眼レフをおよそ10万円で購入したのを今でも覚えている。「もちろん自分のお小遣いだけでは無理だったので、親に協力してもらいました」と笑う。影響を受けたのは当時存在感を増しつつあった写真家の蜷川実花さん。蜷川さんの色彩豊かなアート性の高い写真に憧れた。

 今から10年ほど前なのでフィルムの時代だった。「文化祭で自分の作品を展示するコーナーってありますよね。そこへ花や空などの写真を現像して飾っていました。たまにモノクロにすることもありましたよ」と懐かしそうに話す。でも今思うと少し恥ずかしいらしい。それでも空が好きなことは変わっておらず、大人になった今でも美しい空を目にするとシャッターを切る。iPhoneでよく撮影するのは夕焼け。写真を撮るようになってから「今まで見落としていたことに気付くなど、感性が鋭くなったように思います」と話す。

 

「そのときの空気感」が伝わる写真を撮りたい

 意外とマメだ。iPhoneの写真フォルダ内にはアルバムがずらりと並ぶ。「ハワイ旅行2011年」「女子会イベント2011年12月」などと、すべて名称を付けて整理している。写真には常に人がたくさんいる。「皆にデータを共有しています。『こんなに色々撮ってくれたんだ!』と喜んでくれるのが嬉しい」と薮内さん。撮った写真はまずパソコンへ取り込んで皆に送ったあと、自身のiPhoneにもバックアップとして入れる。

 写真は備忘録でもあり思い出話をするためのものでもある。「あの頃こうだったねという事実だけではなく、その場のテンションや空気感なども思い出したいんです」と話す。大学卒業式の写真もiPhone内に入っていて、学生時代からの友人たちには「まだ持ってるの(笑)?」とつっこまれる。それでも皆懐かしくなり、集まると必ずワイワイ盛り上がる。当時の香りが匂い立つようなリアルな写真が溢れている。

 

先生が周りにいっぱい!

 Happy OLの編集長という仕事柄、女性ユーザーや女性ブロガーたちを取りまとめることが多い。彼女たちと接していくうちに、写真の撮り方を学ぶこともある。特にブロガーは読者を意識した「魅せる写真」を撮るのがとても上手い。食べ物も美味しそうに撮るし、場の雰囲気が伝わるような撮り方をする。彼女らの影響もあって、食事へ行くと様々な角度から寄ったり引いたりして、5パターンほど写真を撮るのだとか。

富士フイルムのFUJIFILM X10とリコーのCX2を愛用

 これまではリコーのCX2を持ち歩いていた薮内さんは、最近新たに富士フイルムのFUJIFILM X10を購入した。彼への誕生日プレゼントという名目だが「実は私が使いたくて買いました」と小悪魔的な笑顔を見せた。「一緒に使おうね」という約束のもと彼にあげたものの、薮内さんの方がよく使っているそう。メカニックなものが好きなため、色はシルバーか黒と決めている。ちなみにレンズフードは彼のこだわりで、レンズフードに合うレンズカバーをネットで探しまわってぴったりハマるものを見つけるのに苦労したらしい。それにしても彼も写真好きだなんて羨ましい。

メカっぽさが好きで最近購入

 

人を撮るときの「魔法の言葉」とは

 人の集まる場では積極的に人物を撮るという薮内さんから、男女共にステキに撮るコツをお聞きした。「とにかくたくさん褒めることが大事」なのだとか。そのほか「撮られ慣れてるね」「(芸能人の)誰かに似てるね」なども使えるけれど、とっておきの言葉もある。仲良くなった人には「女の子口説く目してよ」「本気で好きな人に上目遣いして」などとリクエストすると、とびきりイケメンまたはキュートな一枚を引き出せることがあるそう。私も試してみよう。

 今後どんな写真を撮りたいかについても聞いてみた。被写体は一緒に行く人や景色、食べ物が多い。「人が好きなんです。旅をしたら『一緒に撮りませんか?』とたまに誘うこともありますね」と、現地に住む人の姿を今まで以上に積極的に撮りたいと話す。思想、空気、時間の流れ……あらゆることが日本とは違っているからこそ、その異なる面白さを記録したいのだとか。コミュニケーションを取り入れることで、旅行中の撮影がさらに楽しくなりそうな予感。

 普段の生活という日常でも、旅先という非日常でも写真を楽しみたい。色々なところで周囲の人を巻き込んで腕を上げたり、いい表情を引き出したりすることで、カメラライフはもっと彩りのあるものとなる。そういったことを気付かせてくれるひとときだった。

タイのリゾート地クラビ(撮影:薮内加奈) 地上1,300m以上にある仏像(撮影:薮内加奈)
エメラルド・プールという天然のプール(撮影:薮内加奈) ホテルのヴィラの屋上から眺めた夕陽(撮影:薮内加奈)
再訪したい隠れ家のようなホテル(撮影:薮内加奈)
(2012/8/31)
池田園子
1986年生まれ。岡山県出身。2005年に上京。楽天でポータルサイト運営、某ITベンチャーでメディア運営を経てフリーのライターに。Web、ガジェット、新しいモノ、会社、働き方、恋愛、イケメン系のネタを主に書く。コミュニケーション全般が好きで、人が好き。愛用カメラはPENTAX K-rとRICOHのCX4。取材で人を撮り、散歩しながらも撮っています。(ホームページ)(Twitter)