[Vol.3]写真は映像で魅せる、相川裕佳さん

カメラが自然と入り込んでいる暮らし。カメラを持ち歩く楽しみ。日々キラキラしていることを切り取る喜び。カメラのある生活を楽しんでいる女子に密着します。第3回目は現在フリーランスのWebマーケターとして、アクティブに活動している相川裕佳さん。

待ち合わせ場所に現れたのはキレイなお姉さんという印象の女性。直接お会いするのは初めてだったものの、私と同じ86年世代ということで会話が盛り上がる。旅の話、仕事の話、恋の話……渋谷にあるすこしおしゃれなカフェにて話すことは山ほどあった。

以前に相川さんがFacebookにアップした旅の写真を見て、私はハッと惹き付けられたことを覚えている。三重、京都、大阪を巡ったものだったのだけれど、そこにはやわらかくて美しく、繊細な日本の姿があった。こんな写真を撮影する女の子はどんな人なんだろう。そう思って取材をお願いした。

ハッピーを編集し続けた2年間

社会人になる前は専門学校でブライダルのことを学んでいた相川さん。卒業後は就職を考えていたが、就職活動中に友人の結婚式が3件も続いた。「友達が喜んでくれたらいいなと思い、式で流すメッセージビデオを撮影することにしました」と当時のことを思い出して微笑む。独学で3本ものビデオを作った。家族や友人だけではなく、担任の先生などにも登場してもらうなど、豪華な内容だったという。

就職活動をストップしたのは、そのビデオ制作がきっかけだった。フリーランスで映像編集の仕事をしよう——そう強く心に決めた。学校で学んだブライダルの知識を活かし、さまざまな結婚式で式の映像を編集する仕事をスタート。ビデオカメラで動画と静止画を繰り返し撮影し、披露宴で流す映像を素早く編集してつくる。式で流れる曲を事前に耳へ叩き込んでおき、絵を考えてから撮影するのがポイントだという。2年間に及ぶこの経験は、相川さんが写真を撮るスタンスとかなり強くリンクしている。

いいものを撮りたいから撮影時は真剣モード

サプライズでワクワクさせたい

そういえばあの関西旅行の写真はステキでした——そう振った私に相川さんは、友人同士での旅行では必ず写真を撮影するんですと語る。また同時に動画も撮影するという。「人を喜ばせるためのサプライズを仕掛けることが大好きなんです」とキュートないたずらっ子のような笑顔を見せる。一眼レフで撮影した写真と動画を組み合わせて、なんと旅の模様を記録したDVDをつくる。

最初からDVDとして仕上げることを想定した上で、写真を撮影しているというから驚いてしまう。「頭の中で編集しながら撮る感じなのかも」と相川さん。美しい景色のほか、友人たちの自然な姿を撮影し、その人のナチュラルな魅力や雰囲気を引き出していく。写真を撮影しているときの姿も撮る。後で見返したときに、その瞬間の空気や雰囲気や匂いまでも思い出せる、そんな写真を撮りためたいのだとか。

写真を使ったサプライズが大好きです

“楽しい”を見逃すことなく伝えたい

使っているカメラは父から譲り受けたというキヤノン EOS Kiss X3。今はほとんど使っていないけれど、学生時代に頻繁に使っていたFinepixも持ってきてもらった。旅するときはいつもキヤノンと一緒。気軽に撮影したいときにはiPhoneが活躍する。キヤノンの良さは「早い動きをするものでもキレイに撮れるところ」。静止画だけではなく映像も、モードをマニュアルにすると映画のような景色を撮影できるという。

旅以外の日常で撮る写真は個人ブログ用となる。書いている内容は出かけた記録、実践した美容、観た映画などさまざま。先日はタイ古式マッサージへ行ったときのことを書いた。「ブログに載せることを考えて、キレイに見える部分を撮影するよう努力しました」と笑う。色々な角度から何度も撮影した。できるだけいい写真を撮りたいのは自身の満足のためだけではなく、ブログを訪れてくれた人に「いいな!」と感じてほしいから。すべてに「“楽しい”を見つけて伝えたい」が関係している。

キヤノン EOS Kiss X3と昔愛用していたFinepix

撮影前にイメージを頭に描く

相川さんのブログをながめていると、1つ1つの写真から丁寧さがにじみ出ているのを感じる。ネイルひとつ撮影するのにも力を入れる。「この前は体操座りをして、足でカメラを挟んで顎でボタンを押して、両手を写すようにしました。人に見せられない格好ですね」と爆笑させられた。「あらかじめ、どんな写真にしたいかイメージしておくんです。そのためにはいいなと思う図や構成を頭に入れておくことが大切」と教えてくれた。

いくつかの好きなパターンを身につけておくためにしているのは、ステキな写真をたくさん見ること。今はソーシャルメディア上に流れる写真、ステキな写真の使われるブログをよく眺めている。「フワフワのファーを後ろにおいて撮影しているからかわいく写るのか」など、惹かれる写真に仕上がっている理由を、ディティールまでしっかり観察する。

人に見せることを意識すると、撮る写真も変化していく。まずは「どう見せたいか」「どう撮りたいか」を思い浮かべて、日々すてきな写真にふれよう。“すてきのサンプル”を蓄積して、アウトプットしていこうーーそう思わせてくれるひとときだった。

周囲の人との思い出を記録したい
(2012/8/15)
池田園子
1986年生まれ。岡山県出身。2005年に上京。楽天でポータルサイト運営、某ITベンチャーでメディア運営を経てフリーのライターに。Web、ガジェット、新しいモノ、会社、働き方、恋愛、イケメン系のネタを主に書く。コミュニケーション全般が好きで、人が好き。愛用カメラはPENTAX K-rとRICOHのCX4。取材で人を撮り、散歩しながらも撮っています。(ホームページ)(Twitter)