Lesson 20 マクロレンズでジュエリー撮影!

 今回はLesson 19に引き続き、タムロンのマクロレンズ「SP AF 60mm F/2 Di II」を使ってジュエリーの撮影をしてみましょう。小さいジュエリーを撮る場合は、被写体に近付けるマクロレンズはとっても重宝します。ですが、宝石やリングなどは実は奥行きが深くて、絞りを調節しないとジュエリーとしての造形やキラキラ感は出ないのでステキには写らないのです。

 レンズの開放F値が小さいとついつい絞り開放で撮ってしまいがちですが、ここは絞りの基本からおさらいして、ジュエリー撮影に備えましょう!

絞りF16で撮影。中央のダイヤとサイドのメレダイヤのキラキラがわかるように絞り込み、サイドのプラチナのリング部分はうっすらとボケる程度にして、ガチガチの説明カットにならないようにしました。

 

絞りによる表現の違いをおさらいしましょう!

 作例の被写体は本物のパンではなく、2〜3cmのミニチュアです。小さなものを大きく写せるのがマクロレンズのいい所でもあります。このような小さな被写体だと絞りによる効果の違いがわかりやすいので、開放絞りのF2から最小絞りのF22までを見比べてみましょう。

F2 F2.8 F4
F5.6 F8 F11
F16 F22

 

 ピントはすべて左手前のパンの上部のゴマです。F2ではピントが合ってシャープに写っているのはゴマの一部分です。F4辺りでゴマの全体がシャープになってきて、F8では左手前のパン全体がはっきりするとともに、後ろのパンの形もはっきりしてきました。F22では両方のパンの形がF2とは比べ物にならないくらいはっきりとしました。

 マクロレンズの場合、ちょっとのピント位置の違いやボケの量によって作品の印象が大きく違ってしまうので、実際の撮影に入る前に試し撮りとして、このように同条件ですべての絞りで撮影したデータを作っておくと、いざ撮影というときにどの程度のボケが得られるかが頭の中でイメージしやすいので便利です。

 ここでひとつ注意点ですが、ご覧のように絞れば絞るほどピントはシャープになるのですが、忘れてはいけないのは被写体はとても小さいということ。どんなに息を止めて慎重にシャッターを切っても、いざ拡大してみたらブレブレだったという悲しい事態に陥らないためにも三脚を必ず使用して撮影してくださいね!

 

ダイヤのカットが見えるように絞りを調節!

 それではタイトルカットのジュエリー撮影にチャレンジしてみましょう!

 作例の撮影状況ですが、自然光の入る窓辺に机をひっくり返して、その足に半透明のアクリル板を撮影台として置きます。下からの光を強めるためにアクリル板の下には白いレフ板を置き、被写体の両サイドからは銀レフを当てて、中央の大きなダイヤの反射が三角形になるように調節しました。

 構図を決めたら三脚にカメラをセッティングして、撮影スタートです。ダイヤのどこにピントを合わせればいいか迷った場合は、サイドを止めている爪に合わせるといいでしょう。ダイヤが黒くくすんで見えるようでしたら、露出補正を+1〜2程度上げましょう。

 タイトルカットは絞りF16で撮影しましたが、他の絞りではどのように写ったのかを見てみましょう。

【F2】
絞り開放で撮影。中央のダイヤと爪は形がわかる程度には写っていますが、他はソフトフォーカスがかかってしまっていて、指輪だということもわかりにくい写真になってしまいました。
【F4】
中央のダイヤの形がかなりはっきりして来ました。ですが、サイドのメレダイヤがボケすぎてしまって、指輪全体のデザインまではわかりません。
【F8】
指輪のデザインがはっきりして来ました。’サムシングブルーとエンゲージリング‘なんてタイトルのイメージカットなら、こんなボケ具合でも調度いいかもですね。

 

 みなさんはどの絞りがお好みでしたか? 私はリングのデザインがしっかりと出るF16がベストだと思いました。このような小さな被写体は思ったよりも奥行きがあるので、決め打ちをしないでベストな絞りを見つけ出してください。

 今回使用した「SP AF 60mm F/2 Di II」は、フレアーやゴーストが出にくいコーティングがレンズに施されていますので、繊細なジュエリー撮影にはピッタリのレンズでした。また、60mm(35mm判換算で90mm相当)という画角は、手を伸ばせば被写体に手が届く位置で撮影できるので、こまめなセッティングが必要なテーブルフォトには最適な画角といえます。

 ぜひみなさんもマクロレンズを手に入れて、身近にあるキラキラした小物をステキに撮ってみてください!

 

今回の撮影機材
Canon EOS 7D
TAMRON SP AF 60mm F/2 Di II

 

(2012/6/15)
(みさき なな) フォトライター 東京都生まれ。B型。知り合いの写真家の作品撮りにモデルとして関わったことがきっかけで写真に興味が沸き独学で写真の勉強をし、その作品を持ち込んだ出版社に編集として入社。2010年独立。現在はカメラ雑誌の編集やWEBでのカメラレビュー、写真講座のライターとして活動中。
Twitter:@cosaruru ブログ:http://misakinana.com